大学の入学金を払えない場合は? 納入期限と滑り止め校の返金問題を解説
また支払いのタイミングはいつなのか、そして返金制度についても知っておきたいところです。
本記事では、入学金についての基本的な情報や支払いの方法、また返金が必要になった場合の手続きについて詳しく解説します。
大学の入学金は「入学の意思を表明する」こと
大学に入学するときに支払う費用に、入学金があります。
入学金は、大学に入学するときだけ支払います。
進級するときや、その他の時には支払う必要はありません。
授業料や諸費用などの学費は、多くの大学が前期と後期に分けて納入します。
これらの費用は、前・後期が始まる前に支払う必要があります。
つまり、大学1年生の前期には、入学金と授業料などの費用を合わせた金額がかかります。
大学に入学する手続きでは、必要な書類を提出するとともに、初年度の学費を支払うことが必要です。
このときに支払う金額には、入学金も含まれており、実質的に入学金を支払うことで、入学する意思を表明することになります。
入学金は「地位の対価」として支払われる
入学金は、その大学に入学し在籍できるという「地位の対価」として支払われます。
つまり、入学金が納入された時点から、大学側はその学生を受け入れる準備を進める義務を負い、学生側は入学する権利を得ます。
実際にその大学へ入学し在籍するかどうかはともかく、少なくともその時点においては、入学手続きを進めてもらいたい旨を大学側へ伝え、在籍する権利を得たいという意思表示をしたことになるのです。
これが入学金を支払うことの意義であり、本来の意味合いです。
入学金は用途が明確になっていない
大学に入学する際には、初年度に納入する学費がありますが、その中には入学金以外にも授業料や諸費用が含まれています。
入学金以外の費用に関しては、基本的に何に使われるのかが明確です。
授業料は、授業を受けるために支払うものであり、設備費や諸費用は大学の施設や備品を維持するために必要な費用です。
しかし、入学金は用途が明確になっていません。
実際には、入学手続きに伴う事務処理などの費用がかかるため、入学金はこれらの対価として支払われます。
ただし、入学金は「入学する意思表示」であり、他の学費とは根本的に異なるものであることを理解しておきましょう。
入学金の支払い時期・納入期限は合格発表後の1週間から2週間以内
入学金は、前期学費と同時に納入する必要があります。
入学金の納入時期は、合格発表後の1週間から2週間以内になることが多いです。
推薦入試で合格した場合は、一般入試の出願受付前に入学金を納入する必要があります。
私立大学の場合は、国公立大学の合格発表前に納入しなければなりません。
例えば、国立大学の滑り止めとして受験した私立大学に合格した場合、国立大学の合格発表まで待って私立大学へ入学金を納入することはできません。
第一志望校の国立大の合否に関わらず、合格した私立大学へ入学する権利だけは得ておく必要があるためです。
第一志望の国立大学に合格した場合は、私立大学を辞退しますが、その時点で入学金はすでに納入済みということです。
入学金を支払い忘れたら大学受験合格は無効になる
大学の入学金を支払い忘れた場合、大学によって対応が異なります。
一部の大学では、支払い期限を過ぎた場合には、大学受験合格は無効となり、入学を取り消すという措置をとっているところもあります。
また、支払い期限を過ぎても入学を認める大学もありますが、その場合には、たいてい遅延損害金や追加費用がかかります。
したがって、入学金の支払いを忘れた場合、万が一、入学金が支払えない事態に陥った場合には、すぐに大学の担当者に連絡し、解決策を相談することが重要です。
遅れた理由によっては、支払い期限の延長や分割払いなどの相談ができる場合もあります。
しかし、こうした対応を取らなかった場合、入学取り消しや追加費用が発生するなど、大きなトラブルにつながることが多いため、早めの対応が必要です。
大学の入学金はいくらかかるのか?
具体的に入学金はいくらかかるものなのでしょうか。
さらに、納付済の入学金を返金してもらうことは可能なのでしょうか。
これらの点について、詳しく解説していきます。
国公立大学の入学金は282,000円が標準
国立大学の入学金は、文部科学省が282,000円を標準としています。
大半の大学がこの金額ですが、夜間学部の場合は半額になったり、美術大学など一部の大学では、この標準よりやや高い金額を設定しているところもあります。
また公立大学では、県外からの入学者と県内の入学者とで、入学金に差があることもあります。
一部の例外があるとはいえ、国公立大学の入学金には大きなばらつきはありません。
私立大学の入学金は10万円〜30万円程度
私立大学の場合は、各大学が独自の入学金を定めています。
一般的には、10万円〜30万円程度までの範囲に収まることが多いです。
ただし、医学部や歯学部などの学部では、入学金が100万円〜200万円台になることもあります。
大学や学部によって、入学金にはばらつきがあることを理解しておく必要があります。
大学の公式サイトやパンフレット、入学案内などであらかじめ確認しておくとよいでしょう。
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大学入学を辞退したら入学金は返金される?
入学金は納付したら返金されない
大学に入学するために支払う入学金は、一度納入すると返金されないと考えましょう。
その理由は、入学金は「この大学に入学する」という意思表示を示すために支払うものだからです。
一度支払うと大学側は学生を受け入れるための準備を進める必要があります。
たとえ学生が入学を辞退したとしても、学生が入学する前にはさまざまな手続きが進められているため、入学金はその対価として支払われているのです。
そのため、入学金は返金されないものと考えておきましょう。
前納する授業料や諸費用は返金される可能性あり
入学金以外の授業料や諸費用については、辞退することで返金される場合があります。
これらの費用は、受けるはずだった授業や利用するはずだった大学施設のためにかかる費用です。
入学すること自体がなくなり、授業を受けたり施設を利用したりしないと確定した時点で、払い戻してもらう合理的な理由があるからです。
ただし、実際に納入済みの学費を返金するかどうかは、大学ごとに独自の規定を設けていますので、よく確認しておく必要があります。
このように、「入学金は返金される可能性なし」「入学金以外は返金される可能性もある」と整理して覚えておくようにしましょう。
併願パターンによっては辞退orキープの判断に迷う場合も
入学金を含めた学費を前払いすることは、大学がその受験生を自分たちの学校にとどめたいと考えている表れと言えます。
学費をすでに払ってしまうと、その大学を辞退するのが難しくなってしまうため、受験生と保護者にとっては大きなハードルとなります。
特に、第一志望の大学が確定するまでの間、第二志望以下の大学に合格した場合、滑り止めを辞退してしまうか、入学金や学費を前払いしたままキープしておくべきか、迷うことがあるかもしれません。
そのため、受験前に入学を希望する大学を整理し、どこまで本気で受験するのかを決めることが大切です。
国公立大学の二次試験合格発表まで入学金を待ってくれる大学もある
入学金は一度支払うと返金されないものですが、支払いを待ってくれる私立大学の入試方式があります。
たとえば、国公立大学の二次試験の合格発表後に入学金や学費の支払いができる大学があります。
法政大学の入試方式は、大学入学共通テストを利用した入試C方式で、5教科6科目の入試で、文系や理系の13学部が対象です。
この方式では、国公立大学の合格発表後に入学金や学費を支払うことができます。
成蹊大学のP方式では、大学入学共通テストの5科目と独自試験の1科目を受験し、対象学部は経済学部、経営学部、法学部、文学部です。
この方式でも、国公立大学の二次試験の合格発表後に入学手続きをすることができ、地方会場での受験も可能です。
共通テスト・独自併用 5科目型国公立併願アシスト入試(P方式)
大学の入学金を支払うときのポイント
入学金納入締切日を確認して受験する
受験した大学の入学金支払い期限は、志望校や併願校を問わず、必ず確認しましょう。
入学金の支払いは合格通知が届いてから1~2週間と短い期間なので、支払いを忘れないように注意が必要です。
また、入学金や授業料などの費用についても、出願時点で確認して、あらかじめ準備しておくと安心です。
もし入学金を準備できない場合は、教育ローンを利用する、奨学金を利用するなどの方法などがあります。
詳しくは現在所属している学校の受験担当者や大学の事務局などに相談してみるとよいでしょう。
入学金の予算を決めて受験を考える
大学入学金の平均額は、1校につき20万~40万円ほどで、複数校受験する場合、入学金は合計するととても大きな金額です。
すべてを支払うことは現実的ではないので、どの大学に入学金を支払うか、あらかじめ保護者と相談する必要があります。
受験前には、志望校と併願校を合わせて何校受けるかを考え、合格した場合、総額でいくら入学金がかかるのか確認しておくとよいでしょう。
何校までなら入学金を支払えるか、どの大学なら支払ってもいいのか(場合によっては辞退してもいいのか)を決めておくといいでしょう。
多くの場合、奨学金を入学金に充てることはできない
日本学生支援機構の奨学金には、「予約採用」と「在学採用」の2種類がありますが、基本的には入学前に金銭を受け取ることはできません。
たとえ高校在学中から奨学金の申し込みが通ったとしても、実際に振り込まれるのは入学後になるからです。
入学金は合格通知が届いてからすぐに支払う必要があり、基本的には奨学金を入学金には充てることができません。
もし入学金を用意するのが難しい場合は、国や民間の教育ローン、自治体の支援制度や貸付制度を利用します。
ただ、保護者と早いうちから相談し、大学側にも伝えておくことが大切です。
大学の入学金を払えない場合は?のまとめ
大学の入学金は、その意味合いを理解しておくことが重要な学費です。
いちど納入したら返金されませんので、併願校に入学金を納入するか、辞退するかの判断は極めて難しいものになるケースも考えられます。
志望する各大学の入学金についてよく調べ、納入金額や支払時期について把握しておくようにしましょう。
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