企業研究のやり方、方法
企業研究の目的や情報の集め方、集めた情報のまとめ方について知り、効果的に企業研究を行う準備をしていきましょう。
企業研究とは何をすればいい?
企業研究とは、ひと言で表すと「興味のある企業について詳しく調べ、整理しておくこと」を指します。企業へのエントリー前に、下調べをしておくということです。
しかし、企業について調べると言っても、具体的に何をどのように調べたらいいのか分からない人が多いのではないでしょうか。
たとえば、金融機関への就職を希望しているA君という人がいたとします。A君は、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行といった、いわゆるメガバンクの名を知っていますし、これらの銀行の口座も持っています。
ただし、ふだんの生活で接している銀行の仕事は普通預金や定期預金ぐらいのもので、それ以外に銀行がどのような仕事をしているのか、よく知りません。
また、それぞれの銀行の沿革や従業員数、売上高、取り扱っている商品について知っているかと問われれば、実は知らないことだらけだということに気づくでしょう。
企業へエントリーし、実際に選考が始まったら、志望動機や入社後やってみたいことについて具体的に話せるようにしておかなくてはなりません。
そこで、企業について情報を集め、基本的な知識を身につけておくために、企業研究を行うのです。
企業研究はなぜ必要なの?
「企業説明会もあることだし、前もって企業研究をしておく必要はないのでは?」と思った人もいることでしょう。
それでは、企業研究が不十分なまま、あるメーカー企業にエントリーして面接選考へと進んだ場合のことを考えてみましょう。
面接で、面接担当者から「何か質問はありますか?」と聞かれたので、「今後、海外へ事業展開される可能性はあるのでしょうか」と質問したとします。
面接終了後、企業のホームページを改めて詳しく見てみると、何年も前からグローバル展開に力を入れていることが判明しました。
面接に先立ってあなたが企業のホームページをきちんと見ていなかったことが、採用担当者に伝わってしまったことになります。これでは、内定をもらえる可能性はかなり下がってしまうでしょう。
企業側は、学生がきちんと自社について調べているか、面接で数分間話せばすぐに分かってしまうのです。
面接で非常に的確な受け答えをしているようであれば、きちんと下調べをしていることが伝わりますので、志望度が高いと見なされるはずです。
反対に大して事前準備をしないまま面接に来ていることが分かれば、数あるエントリー先の1社だったのだろうと思われてしまうでしょう。
このように、企業研究は「志望の本気度」を示すためにも欠かせないプロセスなのです。
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企業研究と業界研究の違い
企業研究と似た言葉に、業界研究があります。企業研究と業界研究は、どう違うのでしょうか。
「今日から企業研究を始めよう」と決めて、調べておきたい企業がすぐに思い浮かぶ人は、もともと志望する業界が定まっていたと考えられます。
反対に、ほとんどの人はどの企業を調べればいいのか分からないという状態なのではないでしょうか。
そこで、世の中にどのような仕事があり、それぞれの仕事にはどのような特徴があるのかを、業界のカテゴリ別に分けてざっくり調べていくのが業界研究なのです。
興味のある業界がある程度絞られてきたら、次に企業単位で深掘りして調べていくのが企業研究になります。
つまり、業界研究が広く浅く調べるのに対して、企業研究は深く狭く調べる、といったイメージです。
業界研究は、企業研究を進めるにあたってベースとなるプロセスにあたります。
業界研究が不十分なまま企業研究を始めてしまうと、あらゆる企業を手当たり次第に調べていくといった進め方になりがちですので、業界研究をきちんと行うことも大切です。
企業研究がうまくいかないときは?
企業研究を進めてみたものの、途中で行き詰まってしまうこともあるかもしれません。
なかなかピンとくる企業が見つからないようであれば、業界研究の段階でリサーチ不足だったり、志望する業界がしっかりと定まらないまま企業研究を始めてしまったりといったことが原因として考えられます。
このような企業研究の進め方をしていると、業界の中での各社の位置づけや、隣接業界との関係が見えてこないため、リサーチから得られる情報が狭まってしまい、結果的に効率が悪くなることも考えられます。
企業研究がうまくいかないときは、焦らずにいったん業界研究へ立ち返るようにしましょう。
たとえば、特定の業界にもともと先入観を持っていて、自分には関係のない仕事と考えてリサーチしていなかった、といったことはないでしょうか。
あまり興味がないと思っていた業界や企業でも、調べてみるとこれまで知らなかった情報に触れて興味を持つようになるかもしれません。
企業研究がうまくいかないようであれば、業界研究の段階からリサーチの対象を狭めていなかったか振り返ってみるといいでしょう。
企業研究のための情報源は?
企業研究のための情報源として、まず参考にしたいのが企業のホームページです。
各社のホームページにアクセスし、「企業情報」「会社概要」といったページを探しましょう。ここに、企業の基本情報が書かれています。
企業のホームページ以外にも、求人サイトに掲載されている情報も参考にしましょう。
職場の様子や先輩社員の声といった、企業ホームページにはない情報が掲載されていることもあるからです。
さらに、FacebookやTwitterといったSNSでも、経営者のアカウントがあればフォローしてみるといいでしょう。
経営者の考え方が会社の方針に反映されている場合もありますので、トップの考え方に触れておくことは重要です。
企業研究のために情報を集めるにあたって注意しておきたいのは、正確な情報を集めることです。
世の中には似たような社名の会社や、似た名前の会社も存在する場合がありますので、誤って別の会社のことを調べてしまわないようにしましょう。
企業研究で調べておきたい項目
企業研究で調べておきたい項目は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、企業の基本情報にあたる項目です。
企業の正式名称や本社住所、代表者名、創業・設立年度、事業拠点、業態、従業員数、売上高、営業利益、グループ会社の有無、株式公開について、といった項目が挙げられます。
2つ目は、企業の今現在の状況です。主力となる商品やサービス、経営理念について深掘りして調べていきます。
扱っている商品・サービスや、経営理念をきちんと調べているかどうかは、志望動機を考える際に大きな差となって表れますので、必ず調べておくようにします。
3つ目は、企業の将来性や社風についてです。
仕事はチームで進めることが多いのか個人プレーが多いのか、新しいことに挑戦する社風なのか、従来のやり方を大切にする社風なのか、といった点は、入社して働き始めるとすぐに体感することなので、できれば事前に調べておきたいところです。
また、扱っている商品やサービスが時流に合っているかどうか、これからも需要が見込めるかどうかを判断することで、その企業の将来性を自分なりに予測してみましょう。
企業研究のテンプレートを作ろう
企業研究で調べておくべき項目は多岐にわたります。1社1社調べていくと案外時間のかかる作業ですが、どれも重要な情報なので漏れのないようにする必要があります。
あらかじめ調べるべき項目を挙げておき、どの企業にも使えるようにテンプレート化すると、テンプレートを「埋める」感覚で企業研究を進めることができ、漏れなく効率的に進めることができます。
テンプレートは自分で作ってもいいですし、インターネット上にあるテンプレートをダウンロードして利用してもいいでしょう。
テンプレートを作る際の注意点として、テンプレートの項目を増やしすぎないようにしましょう。
項目を増やしすぎるとリサーチに時間がかかってしまったり、結局は空欄のままになってしまったりといったことになりがちです。
作ったテンプレートを使って試しに1社リサーチし、項目の分量が適切かどうか、リサーチに時間がかかりすぎないか、といったことを確認した上で、他の企業にもテンプレートを利用していくといいでしょう。
企業研究ノートにまとめよう
企業研究で入手する情報は膨大な量になります。集めた情報はノートにまとめていき、後から見返すことができるようにしておきましょう。
ただし、企業研究を進める中で志望順位が変動することや、そもそも志望する業界自体が変化することも十分あり得ます。
また、企業研究ノートは一度に書き上げるものではなく、新たな情報を得るたびに少しずつ追加し、アップデートしていくためのものです。
こうした企業研究ノートの使い方を想定すると、ページが固定されたノートよりも、後から順序の入れかえやページの増減をしやすいルーズリーフを使うことをおすすめします。
あらかじめ調べるべき項目をテンプレート化する場合にも、できるだけ余白を広めに取って後から書き加えやすいようにしておきます。
後から見返したときに分かりやすいよう、情報を追加した日付を記入しておくことも大切です。
企業活動は刻々と変化していきますので、わずか数か月で情報が古くなってしまうことはめずらしくありません。いつ記入した情報なのか、ひと目で分かるようにしておくといいでしょう。
重要度の高い企業は企業研究レポートを書こう
企業研究が進むと、ぜひ応募してみたいと思えるような企業がいくつか出てくるかもしれません。
こうした重要度の高い企業については、企業研究ノートとは別に企業研究レポートを作成するといいでしょう。
企業研究レポートは人に読んでもらうためのものではなく、あくまで自分の確認用に作成するものです。
企業研究ノートに少しずつ書き足してきた情報をレポート形式でまとめ直すことによって、情報を整理したり優先順位を付けたりする効果が期待できます。
あくまで自分が後から見返すために書くものなので、ダラダラと文章で書くよりも箇条書きで簡潔に書いたほうが分かりやすい場合もあるはずです。
また、要点や重要な箇所がひと目で分かるよう、ポイントとなる部分にはマーカーを引くなどして目立たせます。
企業研究レポートは〈概要〉〈本論〉〈結論(まとめ)〉といった形式でまとめていきます。
このうち〈結論(まとめ)〉は企業研究を経てその企業を志望するに至った理由にあたりますので、エントリーシートや履歴書の志望動機を書く際の重要なエッセンスになる可能性が高いのです。
企業研究はいつやればいい?かけられる時間は?
企業研究はいつ、どのぐらいの時間をかけて行えばいいのか、よく分からないという人は多いかもしれません。
まず、就活全体のスケジュールを考えてみましょう。
多くの企業が3月下旬から4月下旬にかけてエントリーシートの提出期限を設定しています。
すると、遅くとも3月までには企業研究を終え、どの企業へエントリーするのかを決めておく必要があることが分かります。
つまり、1月から2月にかけての時期で集中的に企業研究を行い、その後エントリーシート作成に移るとスムーズに進められると考えられます。
実際にはもっと早い時期から企業研究を始めることも可能ですが、あまり早すぎると就職活動への実感が湧きにくく、何をどう調べたらいいのか分からない可能性もあります。
また、企業研究を終えてから時間が経ってしまうと記憶が薄れやすくなるため、記憶が新鮮なうちにエントリーシートを書くことができる時期に企業研究をするほうがいいでしょう。
企業研究では、いくつかの企業に興味を持って調べ始めてから、実際にエントリーする企業を決める段階まで到達する必要がありますので、少なくとも半月間はかかると思っておいたほうが無難です。
調べていくうちに志望順位が変化していくことも十分考えられますので、そのような場合の軌道修正も織り込んで最低でも半月程度を目安に予定を立てておくようにしましょう。
この記事のまとめ
企業研究は「いつかやらなくてはいけない」と思っていると、なかなか始められません。
企業研究の目的や就活全体のスケジュールを考慮した上で、時期を逃すことなく企業研究を行うようにしておきたいものです。
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