納棺師の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

納棺師の仕事とは

納棺師とは亡くなった人を棺に納めるために必要な作業をする人です。

映画『おくりびと』でその存在が広く世間に知られ、興味・関心を持つ人が増加してきました。

「湯灌師(ゆかんし)」「復元納棺師」とよばれることもありますが、厳密な規定はありません。

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納棺師の業務の内容

遺体を棺に納める

納棺師の仕事は、遺体を棺に納めることです。

ただ棺に納めればいいというわけではなく、遺体を整え、旅立ちの衣装を着せて棺に納めるという一連の作業をプロとして手際よく進めていきます。

エンバーミング

エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法のことです。

日本語では死体防腐処理、遺体衛生保全などといわれますが、90%以上の遺体が火葬される日本ではこの慣習は定着していません。

一方で土葬が基本の欧米では、遺体から感染症が蔓延することを防止する目的もあり、ほとんどの遺体がエンバーミング処理されています。

エンバーミングは、エンバーマーと呼ばれる葬儀の専門の技術者や医学資格を有した医療従事者によって行われますが、特別な規定がない場合はその限りではありません。

東北大震災の際、身元不明者の遺体を遺族に確認してもらうために一定期間保存するためにエンバーマーが被災地に派遣されたことを受け、大きく注目されました。

これ以降志願者も増えてきており、損傷の激しい遺体の復元等での活躍も期待されているエンバーミング技術もこれからの納棺師には求められるでしょう。

納棺師の役割

遺体を整える

葬儀社などからの依頼で火葬までの遺体の状態を管理しつつ、遺族や参列者が故人と対面できる様に遺体の見栄えを整えるのが納棺師の役割です。

具体的には、ドライアイス等で内臓や体全体を冷やし腐敗の進行を抑えたり、含み綿等を使って表情を整えたり、経帷子等の衣装に着替えさせたり、顔剃りや化粧をしたりします。

また、変死体の場合は死因に沿って遺族のショックを和らげるために特別な処置を施します。

お別れの時間を提供

納棺師が作業をしている時間は遺族にとって、死と向き合う大切なひとときでもあります。

そのため、可能な限り遺族にも納棺作業への参加を促し、悔いのないお別れをしてもらえるように努めるのも納棺師の役目です。

厳粛でありながら、おだやかな雰囲気を作り出すことができるかどうかは納棺師の力量ひとつにかかっています。

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納棺師の勤務先の種類

納棺業務の専門業者か葬儀会社

納棺師の就職先としては、納棺業務の専門業者、または葬儀全般を執り行う葬儀会社が挙げられます。

納棺の専門業者は遺族や病院、葬儀会社から依頼を受けて納棺作業のみを行うことになりますが、後者の場合はそれ以外に葬儀の司会進行や誘導、事務作業等の業務を総合的に担当していきます。

葬儀会社に就職した場合、納棺師としての業務に携われるチャンスが巡ってこない可能性もありますが、葬儀全体を把握しあらゆる役割を経験できることはその先のキャリア形成を考えた上でも大いにプラスになるといえるでしょう。

納棺師の仕事の流れ

湯灌(ゆかん)

納棺作業の前段階として湯灌(ゆかん)という工程があります。

湯灌とは、葬儀に際し遺体を入浴させ、洗浄したり清拭したりする作業のことをいいます。

納棺師とは別に湯灌専門のスタッフが担当することもあれば、病院で看護師の手によって済まされていることもあります。

どのようなケースにも対応できるように湯灌の技術を持っている納棺師がほとんどです。

最近では湯灌を省略して、清拭で済ませる場合もあります。

死化粧(エンゼルメイク)

死化粧は地域や宗派によりますが、女性は薄く化粧を施し、男性は髭を剃るなどして身だしなみを整えます。

生前の顔に寄せるだけではなく、死後どうしても変化してしまう故人の顔を整えて遺族の心情に配慮するという役割もあります。

死装束を着せる

仏教の場合は、全身白の衣装を左前に合わせて着せます。

宗派によって衣装は異なりますが、近年では伝統的な白の衣装を用いることは少なく、個人が愛用していた衣類を着せる場合も増えてきています。

その後、故人を棺に納め、愛用していた品などを副葬品として棺に納めます。

納棺師と関連した職業

納棺専門の部署がある葬儀会社

納棺師と葬儀会社は切り離せない関係にあります。

大手の葬儀会社の場合、自社内に納棺専門の部署を持っており、社員として納棺師が所属していることがあります。

葬儀におけるあらゆる業務を全て自社で賄うことができるということになるため、葬儀を行う側にとっては費用を比較的安価に抑えることができるというメリットがあります。

働く納棺師にとっても葬儀の数に関わらず安定した給与を得ることができると考えていいでしょう。

ただし、葬儀会社で働く納棺師は、場合によっては他の業務を担当する可能性があることを理解しておく必要があります。

納棺は専門業者が請け負うことが多い

納棺や湯灌は葬儀の流れの中でも特殊な技能を必要とするため、専門業として独立していることが多いといえます。

したがって、ほとんどの葬儀は全体を葬儀会社が担当し、納棺や湯灌は専門業者が請け負うといった形になります。

読経を僧侶が担当するのと同じ原理です。

専門業者は納棺や湯灌に関して独自のメニュー設定をしているため、コストはかかりますが細かな要望に応じてくれるというメリットがあります。

葬儀社によっては業者ではなく個人の納棺師に業務委託している場合もあるようです。

いずれにしても葬儀会社に葬儀の依頼をした場合、納棺師の手配は会社側が行うため、遺族からすると請負かどうかということをあまり意識することはないでしょう。