住職・坊さんになるには? 年齢制限はある? 女性も目指せる?
多くの寺院では「世襲制」をとっているため、お寺の子どもとして生まれた人が僧侶になる場合がほとんどです。
しかし最近は後継者不足などの社会変化もあって、外部の人が僧侶になるケースも増えてきています。
この記事では、住職・坊さん(僧侶)になるための方法や年齢制限について、また女性でもなれるのかどうかなどを詳しく解説しています。
住職・坊さんになるまでの道のり
住職や坊さんは、いずれも正確には「僧侶」と呼ばれる職業のことを指しています。
「住職」とは、寺院の僧侶たちをまとめて葬儀や法事の責任者となる人のことを指す、いわば寺院の顔となる存在です。
「坊さん」は、僧侶を親しみを込めて呼ぶときの言葉です。
したがって中高生や未経験から住職・坊さんになるには、まず僧侶になる必要があるということです。
僧侶になる方法は宗派によっても異なりますが、以下のステップを経るのが一般的とされています。
- 仏教について学べる学校(大学・短大・専門学校)を卒業する
- 寺に弟子入りして修行をする
僧侶に必要な知識を身につけるため、仏教系の大学で学んでから各宗派に入門する人が多いといわれています。(ただし、絶対ではありません)
また学校で学んだ人でも、ほとんどの場合は厳しい修行をして認められなければ僧侶になることはできません。
なお、ほとんどの寺院は「世襲」によって住職を継承するため、僧侶になっても後継者のいる寺院で住職を目指すのは難しいと考えておきましょう。
一方、跡取りのない寺院では、本山から推薦された僧侶を住職として迎えています。
寺院の生まれでない僧侶が住職を目指す場合は、本山で厳しい修行を積み、認められる必要があります。
住職は一寺の最高位の僧侶であるため、常に向上心を持って、継承したあとも厳しく鍛錬に励み続けなければいけません。
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住職・坊さんの資格・難易度
住職・坊さんになるために、いわゆる一般的な資格は必要ありません。
ただし、仏教の世界には仏門に入ることを許可してもらうための「得度(とくど)」という儀式があります。
得度は、まさにこれから自分が僧侶として生きていく決意と覚悟を示す場でもあります。
そこからさらに「受戒(じゅかい)」「加行(けぎょう)」「灌頂(かんじょう)」という儀式・修行を修めることで、僧侶になることができます。
修行期間は2年程度といわれており、一般の人々とは異なる生活をし、厳しい修行に耐えていくことが求められるのです。
なお、お寺は基本的に世襲制となるため、お寺の子どもとして生まれた人が僧侶になる場合がほとんどです。
それ以外の人がこの道を目指す場合には、継承者がいない寺に推薦してもらえるように、とくに地道な修行と努力を重ねる必要があります。
住職・坊さんになるための学校の種類
住職・坊さんになるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
ただし、一般的に僧侶を目指す人は仏教系の大学に通うことが多くなっています。
「仏教系の大学」はそれなりに数がありますが、以下のように宗派がさまざまであるため、どの宗派で学びたいのかを考えておきましょう。
- 天台宗:大正大学
- 真言宗:種智院大学、高野山大学
- 浄土宗:佛教大学、淑徳大学
- 浄土真宗:龍谷大学、武蔵野大学、同朋大学、相愛大学
- 曹洞宗:駒沢大学、鶴見大学、愛知学院大学
- 臨済宗:花園大学、常葉大学
- 日蓮宗:立正大学、文教大学、身延山大学
このほか、専門学校や通信講座でも仏教関連の勉強をすることはできます。
どのような場で学ぶとしても、そこから僧侶になるためには必ず各宗派に入門し、修行期間を経なくてはなりません。
さらに何年も修行を積んでいき、仏教についての知識や経験を十分に重ねると、僧侶の上位職である住職になることができます。
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住職・坊さんに向いている人
住職・坊さんに向いているのは、まず仏教に興味や関心がある人です。
僧侶を目指すとなれば一般の人々とは異なる生活を送ることになるため、厳しい修行にも前向きに取り組むだけの熱意や志は欠かせません。
また、将来的に住職を目指していきたいのであれば、一般の僧侶以上に仏の教えを熱心に学ぶ姿勢が必要です。
お寺では、運営を円滑にするために僧侶の弟子を数人抱えるところが多いです。
弟子は法事や葬儀の際、住職に同行してその補佐に携わりながらスキルを高めるため、住職は常に弟子の見本とならなくてはなりません。
生涯を通じて向上心を持っていられる人、弟子を育てる意識がある人、リーダーシップがある人も住職に向いているでしょう。
住職・坊さんのキャリアプラン・キャリアパス
僧侶として認められると、さらに修行に励んでいく日々が続きます。
その後は世襲をするか、本山に推薦されることで住職に就くことができます。
住職になった後にも、仏教への理解を深めることと日々の修行は欠かせません。
なお、時代の変化によて現代の寺院経営は困難になってきているため、経営努力が必要です。
代々受け継がれてきた寺院を次の世代につなぐ大切な役割を担う住職の責任は、決して軽いものではありません。
住職・坊さんを目指せる年齢は?
住職・坊さんを目指す年齢に制限はありません。
最近では、会社を退職した60歳以上の人が、第二の人生として僧侶になり、修行を重ねて住職として活躍するケースも出てきています。
ただし、お寺によっては僧侶の見習い募集として年齢制限を設けている場合もありますし、僧侶の階級である「僧階」は修行年数や貢献度によって決定するのがルールです。
そのため若いうちから住職を目指す方が見習いとして受け入れてくれる寺院の選択肢が多く、僧階も高い階級を目指しやすいのも確かです。
とはいえ、本当に仏門で修行をしたいと思うのなら、いくつになってからでも決して遅くはありません。
住職・坊さんは高卒から目指せる?
住職・坊さん(僧侶)は、有名企業への就職のように、高い学歴が求められる職業ではありません。
高卒からでも目指すことができますが、得度をしたあとの修行期間は、高卒者の方が大卒者よりも長くなる傾向にあります。
また何の知識も持たない状態では、仏門に入門するための「得度」の儀式をしてくれるお寺を探すのは難しいといわれています。
そのため仏教系の大学で基本的な知識を身につけてから得度を受け、僧侶となり、それから修行を経て住職を目指すのが一般的です。
宗派によって修行の内容なども異なるため、興味のあるお寺が見つかったら、直接話を聞きに行ってみてもよいでしょう。
住職・坊さんは女性でもなれる?
住職・坊さんは、女性でもなることができます。
僧侶は男性の仕事というイメージを抱く人もいるようですが、女性の僧侶は仏教が生まれた2500年ほど前のお釈迦さまの時代からいますし、現代でも女性の僧侶や住職は活躍しているのです。
寺院のひとり娘として生まれて住職を目指した人もいれば、一般家庭に育ったものの僧侶の言葉に救われて仏門を目指した女性僧侶もいます。
ただし男性に比べて女性僧侶の数自体が少ないため、女性が住職のお寺はまだまだ少ないのが現状です。
しかしながら、結婚して子育てをしながら住職として活躍していたり、女性ならではの視点で人々の駆け込み寺として機能している寺院もあったりするなど、女性住職たちの今後の活躍が期待されています。
住職・坊さんになるにはのまとめ
住職・坊さんになるには、まずは仏門に入門するための「得度」の儀式を行い、長い期間修行を積み、周囲から信頼されることが必要です。
年齢や性別に関係なく活躍できる仕事ですが、若いうちから住職を目指すと、より受け入れ先の寺院の選択肢が多くなるでしょう。