宮司と神主の違い

神道の世界にあまり馴染みのない人にとっては、「宮司」と「神主」の違いがよくわからないかもしれません。

ただ、宮司は神社の代表者として、各神社に一人しかいないといった特徴があります。

この記事では、宮司と神主の違いをわかりやすく説明します。

宮司と神主はなにが違う?

「神主」は職業名で、正式には「神職」という

神社では、「宮司(ぐうじ)」や「神主(かんぬし)」と呼ばれる人たちに出会うことができます。

どちらも同じような職業のように思えますが、じつは両者には違いがあります。

まず、神社神道の世界では、神社に仕えている人を総称して「神職と呼びます。

一般の人々から「神主さん」と呼ばれている人たちも、正式な職業名は「神職」というわけです。

お寺に置き換えてみると、「お坊さん」という職業名はなく、正式には「住職」「僧侶」であることとよく似ています。

「宮司」は神職のうち、神社の代表者

一方、「宮司」は、神職の階級で最も上の役職を示す言葉です。

宮司も神職の一人ではありますが、その神社の責任者を務めている神職だけが宮司と呼ばれます。

神社を会社にたとえるなら、神職は社員で、その組織の代表者(社長など)が宮司という具合です。

宮司は代表者なので各神社に一人しかいません。

逆にいえば、どのような神社にも必ず一人の宮司がいます。

宮司は、単に神社という宗教法人の代表としてだけではなく、神社が行う宗教儀式の責任者としての役割も担います。

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ほとんどの神職は宮司という現状

日本全国には8万社ほどの神社がありますが、その中で宮司は1万人ほどしかいないといわれています。

つまり、7万社もの神社は、常駐している宮司がいない神社ということになります。

こうした神社では、他の神社で宮司を務めている神職が兼務する形で宮司を務めています。

常駐の宮司がいる神社でも、日本全国にある神社のほとんどは中小規模であり、神職が一人というところが非常に多いです。

そのため、そこにいる唯一の神職は宮司となります。

ほとんどの人が「宮司さん」と「神主さん」を混同しているのは、こうした神社の現状が関係しているものと考えられます。

宮司以外の神職の役職

神職には、宮司以外にも階級があります。

一般的に、宮司のすぐ下の階級は「権宮司(ごんぐうじ)」で、そこから「禰宜(ねぎ)」「権禰宜(ごんねぎ)」「出仕(しゅっし)」と下がっていきます。

出仕は、神職の見習いのことを示します。

ただし、伊勢神宮は他の神社とは異なり、最も上の階級は「祭主(さいしゅ)」です。

その下から「大宮司(だいぐうじ)」「小宮司(しょうぐうじ)」「禰宜」「権禰宜」「宮掌(くじょう)」「出仕」となっています。

祭主は伊勢神宮のみに設けられており、規則で、皇族または皇族であった人だけが就ける階級です。

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「宮司と神職の違い」まとめ

神社神道の世界では、神社に仕えている人を総称して「神職」といいます。

一般の人々が「神主さん」と呼ぶのは、あくまでも職業名としての通称のようなもので、神主たちも神職です。

宮司は神社の代表ですが、日本では常駐している宮司がいない神社のほうが多く、ひとりの宮司が複数神社の宮司を兼務するケースも多いことが特徴です。