審判になるには
審判になるまでの道のり
各競技の協会が設けた資格を取得する
競技によってその手段は異なりますが、日本で審判になるための方法は大きく分けて2つの種類があります。
1つはサッカーやテニス、バレーボールの審判のように、その競技の協会が実施する講習会や筆記試験、実技試験などを受検して資格を取得するというものです。
サッカーの場合であれば4級審判員資格から取得して、3級、2級、1級と順に取得していきます。
1級審判員の資格を取得すると、Jリーグの試合で主審を務めることができます。
審判としての収入で生活するには、さらに日本サッカー協会から「プロフェッショナルレフリー」として認定され、プロの審判として契約しなくてはなりません。
プロフェッショナルレフリーは、1級審判員と女子1級審判員の中から優秀な人が選ばれます。
約200名の1級審判員と女子1級審判員のうち、プロフェッショナルレフリーはわずか30名ほどです。
審判として採用される
2つ目の方法は、プロ野球の審判やプロレスのレフリーのように、プロ野球機構やプロレス団体といった運営組織に採用されるというものです。
採用されると研修を受け、プロ野球なら2軍、プロレスなら前座試合から経験を積み、審判として評価されると大きな試合を任せられるようになります。
プロ野球の審判になるには「NPBアンパイア・スクール」を受講し、そこで審判としての資質を認められる必要があります。
その後、春季キャンプに参加してさらに適性を認められれば、プロ野球機構に採用される可能性があります。
プロ野球審判の採用は受講生約50人のうち4人前後ですので、狭き門です。
プロレスのレフリーの場合は定期的に採用があるわけではなく、そのプロレス団体のレフリーの定員に欠員ができれば募集されます。
サッカーと野球の審判員の場合
サッカーの審判員もC級からA級まで設けられており、A級審判員の資格を取ればプロリーグであるJリーグの審判を務められます。
ラグビーなどと同様に、サッカーの場合も一番下の審判資格であるC級は各都道府県のサッカー協会で取得可能です。
野球の場合も同様ですが、プロ野球の審判になるためには日本プロ野球機構の主催する「NPBアンパイア・スクール」を受講する必要があります。
「NPBアンパイア・スクール」は12月に約7日間かけて行われ、そこで審判としての資質が認められれば、翌年の春季キャンプに参加します。
そこでも適性が認められれば審判員として採用され、独立リーグやプロ野球の2軍戦で経験を積んで1軍の審判となります。
ラグビー審判の資格
たとえばラグビーの場合、下から順に「都道府県公認レフリー(C級)」、「三地域協会公認レフリー(B級とA2級)」、「日本協会公認レフリー(A1級とA級)」という審判の資格があります。
「都道府県公認レフリー(C級)」は、高校ラグビーの都道府県大会など都道府県協会主催の試合でレフリーを務められます。
資格取得の条件は支部協会のレフリーソサエティ委員2名の推薦を得たうえで、都道府県協会が実施する認定試験に合格することです。
「三地域協会公認レフリー(B級とA2級)」は、東日本、西日本、九州の各地域が主催する試合でレフリーを務められます。
資格取得の条件はC級レフリーの経験者か、レフリーソサエティの実施する講習会を受講した者で、各地域協会の認定試験に合格することです。
「日本協会公認レフリー(A1級とA級)」は、日本ラグビーフットボール協会主催の試合や国際大会でレフリーを務められます。
A1級の資格取得の条件はB級レフリーの経験者か、レフリーソサエティの推薦によって研修会に参加して優秀な成績を収め、かつ日本協会の実施する認定試験に合格することです。
A級の資格取得条件はA1級レフリーの経験者か、レフリーソサエティの推薦によって研修会に参加して優秀な成績を収め、かつ日本協会の実施する認定試験に合格することです。
認定試験には筆記と実技があります、男女の別や年齢、体格などは問われていません。
多くの競技団体の資格
各競技団体で審判の資格を設けている場合、たいていはラグビーと同じような設定になっています。
多くの競技団体においてC級が都道府県協会公認、B級が地域協会公認、A級が日本協会公認です。
資格のランクがアップするほど、大きな大会や試合で審判を務めることができます。
資格取得には支部協会の推薦が必要な競技が多く、資格試験には筆記テストと実技テストがある場合が多いです。
20代で正社員への就職・転職
審判になるための学校
競技によって審判になるための学校が存在する場合もありますが、おもなものではプロ野球の審判になるための「NPBアンパイア・スクール」くらいしかありません。
その他の多くのスポーツではその競技の協会が実施している講習会を受け、その後に筆記試験や実技試験を受けて資格を取得します。
審判になるための勉強を前もって専門的にしたい人は、大学のスポーツ関係の学部やスポーツ系の専門学校などで学ぶこともできます。
たとえばサッカーの審判になりたい場合であれば、サッカー関連の業界への就職を目指す生徒が集まるJAPANサッカーカレッジなどが有名です。
JAPANサッカーカレッジのように一つの種目に特化した学校は少ないですが、その他の競技でも審判員になるための勉強ができる大学や専門学校は存在します。
審判に向いている人
審判になるには、必ずしもその種目のプレー経験がなくてもかまいません。
しかし、プレー経験があるほうが選手の動きについていけたり、次の展開を予測できたりするため、採用試験でも有利な面はあります。
また、競技スピードの速い種目の場合は審判もそれなりに運動能力が高くなければ、競技についていけません。
競技種目を問わず、審判には「人間性」も求められます。
審判はどんなときでも堂々と毅然とした態度をとり、誰に対しても余裕をもって大きな心で接することが必要ですから、審判になるにはそういった人間性を備えていることも重要です。
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審判のキャリアプラン・キャリアパス
日本のスポーツ界では、審判を専業として生活していける競技は限られています。
具体的にいえばプロ野球とJリーグのトップレベルの審判くらいで、その他の多くの競技の審判はアルバイトかボランティアに近いカタチで務めている場合が多いです。
プロ野球の審判やJリーグのトップレベルの審判は狭き門であり、審判になってからも日々審判としてのレベルアップのために努めなければいけません。
専業として審判をやっていくことが現実的でない競技の場合は、本業を他に持ちながら好きな競技の審判を副業として務めている人が多いです。
女性でも審判になれる?
女子スポーツが盛んになっている時代ですから、女性が審判としても活躍できる場は徐々に増えています。
サッカー、バスケットボール、バレーボールなどのさまざまな競技においては、国際審判の資格を取得すれば男女関係なく国際舞台で審判を務められます。
プロ野球でも、現在はまだ女性の審判は誕生していないものの、ルール上は女性でもなることは可能です。
サッカーの場合も1級審判員の資格を取れば女性でもJリーグの審判になることができ、実際に1級審判員として登録している女性審判も存在します。
審判を目指せる年齢は?
審判になるための資格取得の条件は競技によって違い、各競技の協会で取得する資格に関しては年齢の上限がないものもあります。
しかし、プロの審判として活動するには、採用条件に年齢制限が設けられるケースがあります。
たとえばプロ野球の審判に関しては、募集時点で応募できる年齢は満30歳未満です。
サッカーのJリーグで主審を務められる1級審判員の試験を受けられるのは34歳までで、国際審判員に関しては男女ともにその年の1月1日時点で45歳以下でなければいけません。
現実的に一から職業として審判を目指すのであれば、20代の中盤くらいまでには動き出す必要がある競技が多いといえます。