プロ野球の審判になるには? 審判になるまでの流れや必要な資格を解説

プロ野球が好きな人のなかには、選手としてではなく、審判として活躍したいと考える人もいるでしょう。

日本でプロ野球の審判として活躍するためには、まずNPBアンパイア・スクールで学び、審判としての素質を認められなくてはなりません。

この記事では、プロ野球の審判になるまでの道のりについて解説します。

野球の審判で生活できるのはプロ野球だけ

日本の野球界において、プロ野球の審判だけが審判としての収入だけで生計を立てています。

高校野球や大学野球、社会人野球、独立リーグなどの審判は、通常本業を持ちながら、あるいはアルバイトをしながら審判業務を行っています。

アマチュア野球の審判は、1試合を担当するごとに数千円程度の報酬しか得られないため、審判業務だけで生活することは難しいのが現状です。

高校野球や大学野球では、多くの審判員が活躍していますが、実際には学校の先生や公務員、自営業などの職業を持っており、基本的にはボランティアに近い形で審判をしています。

アマチュア野球の審判員になるには、都道府県や市町村の野球協会に所属し、審判員として経験を積む必要があります。

審判の腕前が評価されると、徐々に重要な試合の審判を任されるようになるでしょう。

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NPBアンパイア・スクールで学ぶ

プロ野球の審判になるには、まず「NPBアンパイア・スクール」という研修を受講する必要があります。

NPBアンパイア・スクールは、2013年に設立され、審判員の育成とプロ野球審判の採用を目的としています。

NPBには、61人の審判が所属しており(2019年時)、内訳は現役の審判が55人、現役の審判を指導する技術指導員が5人、そのすべてを統括する審判長が1人です。

そのうち、元プロ野球選手は13人です。

このスクールは通常、12月に開催され、6泊7日の日程で行われます。

場所は埼玉県さいたま市です。

応募資格は高校卒業以上で、性別、身長、体重、視力、年齢などに制限はありません。

以前はプロ野球審判の応募条件に身長175cm以上の25歳未満の男性という条件がありましたが、現在はこれらの条件は設けられていません。

応募はメールで行い、氏名、住所、電話番号、年齢のほか、身長、体重、視力、野球経験、審判経験、応募理由、自己PRなどを記入する必要があります。

NPBアンパイア・スクールの定員は66名で、応募者が多い場合には書類審査やオンライン面接が行われます。

受講料は受講期間中のホテル代や食事代、その他の道具代などを含んでおり、2022年の場合は8万6000円でした。

期間中はプロ野球の審判を講師に迎え、9:00~16:00はグラウンドでの実技、19:00~21:30は座学での講義が行われます。

開催概要

開催期間 2022年12月10日(土)~12月16日(金)6泊7日
会 場 ロッテ浦和球場(さいたま市南区)
講 師 NPB審判員(審判長含む)
応募資格 高卒以上(2023年3月高校卒業見込みの方を含む)
定 員 60名前後

採用について

7日間のプログラム修了者の中から数名を研修審判員として採用します。

採用実績
2015年度 4名
2016年度 3名
2017年度 4名
2018年度 3名
2019年度 4名
2021年度 4名
※2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により開催見送り

2軍で審判経験を積む育成審判員

NPBアンパイア・スクールの全プログラム修了後、プロ野球の審判としての資質が高いと判断されると、翌春のプロ野球キャンプに参加することができます。

キャンプでは改めて適性が判断され、合格すれば日本野球機構(NPB)と「育成審判員」または「研修審判員」として契約を結ぶことになります。

育成審判員は主に2軍の試合で審判を務めながら、1軍昇格を目指して成長していく道です。

2軍では1年間に約100試合の審判を担当します。

通常、1軍に昇格するまでには約5年の経験が必要とされていますが、優れた能力を持つ審判員は1年で1軍に昇格することもあります。

ただし、1軍に昇格しても最初は塁審(ベースの判定を行う審判)として活動し、主審(試合全体の判定を行う審判)を務めるには、1軍の審判として5年から7年の経験が必要です。

主審はより高い責任を持ち、試合の進行や判定の最終決定を行います。

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独立リーグで審判経験を積む研修審判員

NPBアンパイア・スクールを修了した合格者のほとんどは、まず「研修審判員」として契約することになります。

研修審判員は、主に独立リーグである「ルートインBCリーグ」と「四国アイランドリーグplus」に派遣されて審判の経験を積むことが多いです。

研修審判員としての1年間の活動や成績が評価されれば、その後に育成審判員として新たに契約を結ぶことができます。

通常、NPBアンパイア・スクールの受講生の中から3〜4名が研修審判員として契約されることが多く、2019年度にも4名の受講生が研修審判員として契約し、独立リーグに派遣されました。

独立リーグでの審判経験を通じて、さらなる成長を遂げることが期待されます。

ちなみに「研修審判員」は、月17万円の6カ月契約で年俸は102万円、「育成審判員」は、年俸345万円となっています。

プロ野球の審判になるにはのまとめ

NPBアンパイア・スクールを修了し、研修審判員になった後、プロ野球の審判まで上り詰める人はごくわずかです。

プロ野球の審判になるには、道のりは厳しいかもしれませんが、熱意と努力を持って挑戦すれば、夢を実現する可能性があります。