ラジオディレクターの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ラジオディレクター」とは
ラジオ番組の企画・構成を行い、現場監督として制作スタッフをまとめ上げる。
ラジオディレクターとは、ラジオ番組の企画・構成や番組内で使用する曲の選曲などを行い、本番でパーソナリティなどへ指示を出す「まとめ役」になる人のことを意味します。
ラジオディレクターの主要な活躍の場は、大手の放送局や地方のコミュニティFMといったラジオ局です。
このほか、番組制作会社やナレーター事務所などでも、ラジオディレクターが募集されることがあります。
特別な資格は必要ありませんが、視聴者を引き付けるラジオ番組を作る熱意や発想力は欠かせません。
また、多くの番組関係者の間に立って、的確に場を仕切ったり指示を与えたりしなければならないため、高いコミュニケーション能力と順応性が求められます。
「ラジオディレクター」の仕事紹介
ラジオディレクターの仕事内容
ラジオの企画や構成を担当し、現場をまとめる
ラジオディレクターとは、ラジオ番組の企画・構成を行い、制作スタッフたちの「まとめ役」になる人のことです。
番組内で使用する曲の選曲などを行い、本番ではパーソナリティなどへ指示を出しながら、スムーズに、理想通りの番組制作ができるように立ち回ります。
録音時には、ラジオミキサーと呼ばれる機器を調整し、番組全体の進行を管理します。
なお、一般的に台本の作成は「構成作家」や「放送作家」が担当しますが、場合によってはラジオディレクターが書くこともあります。
担当番組によって臨機応変に動く
ラジオディレクターの仕事の進め方は、勤務先となるラジオ放送局や担当番組によって異なります。
音楽専門番組であれば、ブース内での生演奏などに備える準備をしますし、ニュースなどの情報番組であれば、鉄道や交通の最新情報を常にチェックします。
また、タレントがトークを繰り広げる番組では、ゲストが話しやすい台本を考えたり、エコーなどのエフェクトを要所要所で面白く魅力的にかけていったりと、さまざまな工夫をします。
クリエイティブな要素が強い仕事のため、アイデアが豊富で、視聴者の心を掴むような企画を考えられる発想力やセンスも求められます。
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ラジオディレクターになるには
学校卒業後、ラジオ局などへの就職を目指す道が一般的
ラジオディレクターとして働く一般的な方法のひとつは、放送局(ラジオ局)に就職することです。
大手の放送局では、新卒採用で高学歴の学生を求めるため、大学に進学しておくことをおすすめします。
ただし、放送局に就職できたとしても、ラジオ番組制作チームに配属されるかどうか、さらにディレクター職に就けるかどうかは本人の能力と運次第になります。
確実にラジオディレクターになりたいのであれば、ラジオ番組制作会社やナレーター事務所に就職する道を検討してもよいでしょう。
アルバイトから現場に入る方法も
近年のラジオ業界では、正社員としてのディレクターの求人が減っています。
一方、アルバイトが募集されるケースはしばしばみられるため、まずはアルバイトとして現場に入る道を模索するのもひとつの手です。
アルバイトとしての仕事ぶりや熱意が認められれば、その後、社員になれる可能性はあります。
求人は不定期に行われているため、地方のミニFMやコミュニティラジオなど、さまざまな局の求人情報をチェックしてみましょう。
なお、この仕事では特別な知識や技術は求められませんが、エンタメ全般への関心が強かったり、流行に敏感で企画力があったりする人が活躍しやすいです。
ラジオディレクターの学校・学費
大手ラジオ局を目指す人は大学進学がおすすめ
ラジオディレクターになるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
ただし、大手のラジオ局では新卒採用でも「大卒以上」の学歴を応募資格とすることが多いため、大学に進学しておくほうが就職先の選択肢は広がります。
学部・学科は不問です。
メディアやマスコミ関係を専攻する人もいますが、それ以外の勉強をしてきた人でも問題ありません。
ラジオディレクターは、豊かな人間性や発想力、多様なジャンルに関する好奇心と教養が求められる職業です。
自分が好きな学問を学びながら、多様な経験を積んで視野を広げておくのがよいでしょう。
放送技術系の専門学校に進学する道も
ラジオに関する専門的な勉強をしたい場合には、放送技術系の専門学校が候補に挙がります。
放送技術系の専門学校では、カメラマン、ディレクター、照明、音響などさまざまなコースがあり、より「放送」についての実践的な授業が多く用意されています。
専門学校には、テレビ局や制作会社からのアルバイトの求人もたくさん届くため、学生時代のうちに現場で働く経験を積んでおくのもよいでしょう。
ラジオディレクターの資格・試験の難易度
特別な資格は一切不要
ラジオディレクターとして働くにあたって、特別な資格が求められることはありません。
難易度の高い国家資格を持っていれば就職に有利というわけでもないため、資格取得のために頑張る必要はありません。
ただ技術的なことでいうと、「ミキサー」などの放送機器に関する知識があれば、業務で役立つことはあるでしょう。
それ以外は資格というよりも、世の中のさまざまな動きや流行に関心を持ったり、おもしろいものをどんどん見つける姿勢で日々を過ごすことが大切といえます。
ラジオディレクターの給料・年収
大手ラジオ局は給与水準が高めで福利厚生も充実
ラジオディレクターの収入は、勤務先や雇用形態などによって大きな差が出ます。
大手放送局で正規雇用されているラジオディレクターの場合は、ある程度の経験を積めば年収600万円~1000万円程度が見込めます。
一方、地方のローカル局や下請けの制作会社の場合、年収は350万円〜600万円ほどにとどまることが多く、大手ほどの高収入を得るのは難しいのが実情です。
初任給の時点でも、大手ラジオ局と地方のコミュニティFMでは5万円以上の差がつくことがあります。
大手放送局は福利厚生も充実しているため、多忙ではありますが、待遇としては申し分ないでしょう。
ラジオディレクターが収入アップするには
ラジオディレクターとして収入を上げるには、キャリアアップをするのが一番です。
ラジオの制作現場に入った新人は、通常まず「アシスタント」からスタートします。
アシスタント時代は給料が低めで、あまり余裕のある生活は送れませんが、一人前のディレクターになれば収入が上がります。
なお、ディレクターとしてさらに経験を積み、ラジオプロデューサーや局長にまでなれば、一気に高収入を得られる可能性が高いです。
簡単な道ではありませんが、独立し、フリーランスのディレクターとして成功を収めている人もいます。
関連記事ラジオディレクターの年収はいくら? 給料についてくわしく解説
ラジオディレクターの現状と将来性・今後の見通し
「ラジオ離れ」の厳しい時代を生きる覚悟が必要
現代社会では人々の「ラジオ離れ」が進み、ラジオを常習的に聞いている人が減少しています。
聴取率がとれないのであれば大きな予算はかけられず、またスポンサー探しも難しく、番組自体が終わってしまうことも今やめずらしくありません。
ラジオが一切なくなることは考えにくいですが、ラジオディレクターはできるだけ制作費をかけず、それでいて「おもしろい」と思ってもらえるような番組を制作する必要があります。
この先は、今以上に素晴らしいアイデアや面白い企画を生み出す力が求められるでしょう。
また、少人数で制作することが増えているため、ラジオに関わる取材・原稿・企画など、複数の分野をマルチでこなすディレクターが活躍しやすいともいわれます。
幅広い知識と教養、スキルを備えておくことも重要といえるでしょう。
ラジオディレクターの就職先・活躍の場
ラジオ放送局や番組制作会社などで活躍
ラジオディレクターの主な活躍の場は、ラジオ番組の企画や制作を行う放送局です。
なお、ラジオ局では、営業や技術、イベント、編成、総務など多様な職種の社員がいるため、100%制作の仕事ができるとは限りません。
制作部門に配属された場合、新人はアシスタントからのスタートですが、制作経験を積むなかで一人前のディレクター業務ができるようになります。
ラジオ局以外では、ラジオ番組の制作会社やナレーター事務所なども、ラジオディレクターの活躍の場のひとつです。
制作会社やナレーター事務所は小規模のところが多いですが、制作業務に深く携われるなどの魅力もあります。
ラジオディレクターの1日
担当番組によっては早朝や深夜に働く
ラジオディレクターの多くは、ラジオの放送局や制作番組会社で活躍しています。
番組制作の仕事には「定時」というものはなく、担当する番組のスケジュールに沿って仕事をします。
早朝や深夜に動く人もおり、不規則な生活になりがちです。
ここでは、ニュース番組担当のラジオディレクターのある1日の流れを紹介します。
関連記事ラジオディレクターの1日の流れ 残業は多い? 仕事は激務?
ラジオディレクターのやりがい、楽しさ
「ラジオ」ならではの番組を作り、リスナーの反応を感じること
ラジオ番組は、テレビに比べると、リスナーから寄せられるFAX・はがき・電話などで反応をダイレクトに感じやすく、そのことがディレクター自身のモチベーションにもつながります。
よい反応も悪い反応もしっかりと受け止めることで、制作者として「もっとよい番組を作ろう!」という気持ちになれるものです。
また、ラジオ番組はテレビ番組よりも制約がやや緩く、ときにマニアックな話題やゲストのプライベートに一歩踏み込んだ話などもしやすいという特徴があります。
「ラジオならでは」の世界観を存分に表現し、おもしろい番組を作ることも、ラジオディレクターにとっての大きなやりがいです。
ラジオディレクターのつらいこと、大変なこと
日々のネタ探しや、番組をコントロールする難しさ
ラジオはテレビに比べて、出演者が自由にトークできるという強みがあります。
しかし、自由さゆえに一歩間違えると大きなトラブルが起きることがあります。
放送中に問題発言や放送禁止事項が発生してしまった場合は、番組の現場監督であるディレクターは対応に追われて大変です。
番組が盛り上がるのはよいことですが、トラブルになるギリギリのところでディレクターの判断でセーブをかけなければならないのが難しいところです。
また、ラジオではリスナーに寄り添いながら、地域の情報や流行など、さまざまな話題を提供する必要があります。
毎日がネタ探しとなり、なかなか心が休まる暇はありません。
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ラジオディレクターに向いている人・適性
エンタメ全般が好きで、想定外のことにも順応できる人
ラジオディレクターのような番組制作職は、まずエンターテインメントやメディア全般が好きな人に向いている仕事といえます。
流行りの音楽を流したり、話題のテレビや映画などについて取り上げたりすることも多いため、ディレクター自身が常にアンテナを張り、おもしろいものを見つけておくことが大切です。
また、ラジオ番組の制作は、基本的に生放送が多くなります。
そうしたなか、当日ゲストが来ないなどのアクシデントもたまに起こりますし、パーソナリティーとゲストの話が盛り上がって、台本の筋書き通りに話が進まないケースもあります。
さまざまな「想定外」が起こりうる世界なので、あらゆる状況に素早く順応し、度胸をもって場をうまくまとめることを楽しめるような人に向いている仕事といえるでしょう。
関連記事ラジオディレクターに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
ラジオディレクター志望動機・目指すきっかけ
ラジオならではの表現、おもしろい番組を追求したい
ラジオ番組には、テレビのような「映像」がないぶん、出演者のトークによってリスナーの気分を高めながらラジオの世界に引き込んでいかなければなりません。
音と声だけで表現することの難しさと、おもしろさがあります。
ラジオ業界を目指す人は、もともとラジオを聞く機会が多く、ラジオならではの表現や世界観に魅了されているケースが多いようです。
志望動機を考える際にも「なぜテレビではなくてラジオなのか」「ラジオの制作スタッフとして何がしたいのか」を、具体的に語れるようにすることが大切です。
好きな番組や思い入れのある番組、ラジオの思い出などについても話せるようにしておきましょう。
ラジオディレクターの雇用形態・働き方
正社員やアルバイトを中心に、フリーランスで働く人も
ラジオディレクターの雇用形態はさまざまです。
ラジオ局や制作会社では、正社員として雇われている人もいれば、アルバイトとして雇われている人もいます。
とくにアシスタントディレクターはアルバイトの採用が目立ち、現場で雑用をこなしながら地道にディレクターになれる日に向けて努力している人も多いです。
会社で経験を積むと、そのまま社内で昇進していく人もいますが、フリーランスのラジオディレクターになる人もいます。
独立志向があるならば、会社に身を置いているときにできるだけ顔を売っておき、業界内の人脈を広げておくことが大切です。
ラジオディレクターの勤務時間・休日・生活
担当番組によって勤務時間が変わる
ラジオディレクターは、放送局や制作会社で正社員として雇用されている人もいますが、アシスタントはアルバイトとして働く人も多いです。
勤務先や雇用形態、また担当番組によって、勤務時間や休日には違いが出てきます。
放送局や制作会社の社員ディレクターの場合、自分の担当している番組の放送時間に合わせて働くのが一般的です。
平日の番組担当の人は土日は休み、逆に土日の番組担当の人は平日に休みをとります。
ラジオはテレビと同様、365日いつでも放送しているため、担当番組によっては必ずしも世間一般の人と同じような時期に連休がとれるとは限りません。
また、ラジオディレクターの多くは、いつもおもしろいネタを探しており、休日といっても仕事のことが常に頭にある人が多いです。
ある意味、オンオフをきっちりと区別するのが難しいため、仕事が好きでなければなかなか続けられないでしょう。
ラジオディレクターの求人・就職状況・需要
大手から地方のラジオ局まで求人情報を定期的にチェック
ラジオディレクターを目指すのであれば、大手ラジオ局はもちろん、地方のローカルラジオ局、またラジオ番組制作会社の求人情報をこまめにチェックしましょう。
マスコミ業界は人気が高いですが、体力的・精神的に厳しいこともあり、人員の入れ替わりが激しい世界です。
大手ラジオ局では定期的な新卒採用を行っていますが、規模が小さなラジオ局や制作会社でも、人員不足になったら求人が出ることはあります。
また、正社員としての就職が難しい場合には、アルバイトでも現場に入る道を模索するのがよいでしょう。
ラジオディレクターになるには、とにかく制作現場での経験を積むことが必要です。
ラジオディレクターの転職状況・未経験採用
放送局での制作経験者は有利、未経験からの転職は難しい
ラジオ局をはじめとする放送局は人気が高いため、転職は容易ではありません。
放送局での制作職のキャリアがある人なら、別のラジオ局へ転職することはそこまで難しくなく、また制作会社も人手不足のところが多いため需要はあるでしょう。
一方、まったくの異業種から、つまりメディアやマスコミ関連の仕事を経験したことがない人だと、転職は非常に厳しいものになります。
年齢が若めで、新卒と同じような可能性を秘めている場合は採用される可能性もありますが、まずはアシスタントからのスタートです。
地道に下積み経験を積んでいく覚悟が求められます。