レーサー・オートレーサーになるには? 必要な資格とは?

カーレースのレーサーやオートレーサーを目指すルートは、どのレースで活躍したいのかによって異なります。

特殊なライセンスの取得や、養成所の入所が必要になる場合もあるため、まずは自分がどのようなレーサーになりたいのかを考えておきましょう。

この記事では、カーレースのレーサー・オートレーサーになるための道のりや、レーサーに向いている人、キャリアパスなどを詳しく解説します。

レーサーになるまでの道のり

運転免許証とレースライセンスが必要

F1などのカーレースのレーサーになるためには、取得しなくてはならない「ライセンス」が2つあります。

  • 自動車運転免許証
  • レースライセンス

自動車運転免許証は、レーシングカートを除いて国内で行われるすべてのレースで必要になります。

もう一つのレースライセンスとは、JAF(日本自動車連盟)の発行するもので「国内Bライセンス」と「国内Aライセンス」があります。

「Bライセンス」では出場できるレースが限られている一方、「Aライセンス」の取得者は国内で行われるほとんどのレースに出場できます。

ただし、実際にはAライセンスのレーサーは大半が趣味としてレースを楽しんでいる人たちです。

国内Aライセンスだけでは、プロとして十分な収入を得ることは難しいです。

プロレーサーは国際ライセンスも必要

プロのレーサーとは、一般にレーシングチームとドライバー契約を結んだ選手のことをいいます。

資金面でしっかりしたレーシングチームと契約しようと思えば、海外の大きなレースに出場して好成績を収めることが必要です。

海外でのレースに出場するには、国際ライセンスを取得しなければなりません。

国際ライセンスを取得するためには、国内のレースに出場して1年間に5回以上決勝で完走するという条件があります。

条件を満たしたレーサーは「国際Cライセンス」を取得する審査が受けられ、さらに実績を積んで試験に合格すれば、国際Bライセンス、国際Aライセンスが取得できます。

F1に参戦できるのは、国際Aライセンスをもつレーサーの中でも一握りにだけ与えられる「スーパーライセンス」をもつレーサーのみです。

スーパーライセンスをもつレーサーは、世界で50人前後しかいません。

オートレーサーになるには

日本国内で公営競技として開催される「オートレース」は、国家資格を所有する人のみ参加可能です。

国家資格を取得してオートレーサーになるには、2年に1回行われる養成所の入所試験を受けなくてはなりません。

養成所の入所試験に合格したら、筑波サーキットに併設されている養成所で9カ月間の訓練を受けます。

その後、選手資格検定に合格すればオートレーサーとして認められます。

レーサーライセンス試験の難易度・合格率

レーサーの資格・レーサーライセンスの種類

カーレーサーになるまでのルート

オートレーサーになるまでのルート

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レーサーになるための学校

カーレースのレーサーを目指す場合、必ずしも学校に通わなければいけないわけではありません。

プロレーサーとして活動するにはレーシングチームとドライバー契約を結ぶ必要があり、具体的には以下のようなケースが挙げられます。

レーシングチームとドライバー契約を結ぶルート
  • 幼少期ににレーシングカートを始め、頭角を表してスポンサーがつくケース
  • レーシングスクールに入校して優秀な成績を収め、スカラーシップなどを得てレースに参加していくケース

子どもでも才能が認められれば、カートレースへの参加費用などをサポートしてもらいながらステップアップしていくことは可能です。

また、幼いころからカートレースで経験を積んだ子どもが、高校卒業後にレーシングスクールを経てプロレーサーになる例もあります。

一方で、オートレーサーになるためには必ず養成所に入る必要があります。

レーサーになるための学校・スクールにはどんなものがある?

レーサーに向いている人

レースに勝つにはドライビングテクニックだけではなく、チームワークも重要です。

レーサーは、レース中はもちろん、普段のマシンの整備なども含めてメカニック担当スタッフやデザイナー、設計者、広報担当者などとチームで動きます。

チームメイトとコミュニケーションを取りながら協力して働ける人でなければ、プロのレーサーとしてやっていけません。

また、レーサーは本番のレース以外にもテスト走行を何度も繰り返す必要があるため、日常的に集中力が求められます。

レース中に気を抜けば最悪の場合は事故で命を落とすこともある職業ですから、並大抵ではない集中力が不可欠です。

レーサーに向いている人・適性・必要な能力

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レーサーのキャリアプラン・キャリアパス

カーレーサーの場合

カーレースのレーサーは「Aライセンス」を取得すれば国内のほとんどのレースに出場できますが、国内でレースに出場できるようになってもプロレーサーとしてやっていけるようになるのは一握りの人だけです。

海外でのレースに出場するには国際ライセンスを取得しなければなりませんし、国際ライセンスにもC、B、Aとランクがあります。

つまり、プロになってからもカテゴリーを上げていく努力が必要な職業です。

オートレーサーの場合

オートレーサーの場合はまず、養成所に入るのが狭き門となっています。

養成所の入試は2年に1度行われていますが、2020年に行われた入試では合格者20名に対して応募者は337名という難関でした。

身体能力・運動能力・技能テストに加え、人間性も厳しく審査されるため、生半可な気持ちでは合格できません。

また、養成所に入ってからも強い気持ちを持ってオートレーサーとしての知識・技術を磨き続ける努力が求められます。

オートレーサーは成績によるランク付けがなされ、新人選手はB級でデビューし、その後は成績によってランクが変動します。

定年はないため、健康状態がよく、レースに対する情熱があれば、何歳になっても上を目指してレーサーを続けることができます。

女性でもレーサーになれる?

男性にくらべれば人数はまだまだ少ないですが、女性もレーサーになることができます。

カーレースの世界に男女の区別はなく、女性ドライバーも男性ドライバーに混じってレースに参戦します。

女性レーサーがどのようにプロになり、どんな活躍をしているのか、実際の例を紹介します。

モデルからレーサーに転身した井原選手

井原慶子選手は、モデルから転身して女性レーサーとして活躍しました。

モデルをしていたころ、レースクィーンとしてサーキットを訪れたのがきっかけとなって、モーターレースに惹かれたそうです。

しかし、当時の井原選手は自動車免許も持っていなかったため、自動車教習所に通うことからスタートしました。

1999年に25歳でデビューすると、モデル時代の貯金で「フェラーリ・チャレンジ」に参戦して、初戦で3位に入る活躍を見せます。

その後はイギリスに留学し、スポンサーも自分で探しながらイギリスやフランスのレースに出場しました。

デビュー4年目の2002年には「アジアン・フォーミュラ2000」で優勝し、国際自動車連盟(FIA)の公認レースでは女性として初の優勝という快挙を果たしています。

さらに、耐久レースにも出場するようになり、2013年世界耐久選手権シリーズで女性としては世界最高位のランキング22位に輝き、世界最速の女性ドライバーとなりました。

2014年のル・マン24時間レースでは、日本人最高位となる総合14位での完走も果たしています。

レーシングカートからプロになった三浦選手

三浦愛選手は、男性レーサーと同じようにレーシングカートからキャリアをスタートしており、子どものころから有名な存在でした。

小学6年のときに父と兄の影響でレーシングカートに乗るようになり、デビュー戦でいきなり優勝を果たします。

中学生のときには鈴鹿サーキットで開催されたカートレースに出場し、男子レーサーと上位争いをする女子レーサーとして知られる存在となりました。

その後、大阪産業大学に進学すると、ソーラーカーのドライバーとして活躍、国際ソーラーカーレースで優勝したこともあります。

大学卒業後は多額の費用がかかることからフォーミュラカーへの参戦がなかなか実現しませんでしたが、自動車部品メーカーの「エクセディー」が支援を申し出ました。

三浦選手はこの会社で広報として仕事をしながら、会社のバックアップを受けてフォーミュラカーレースに参戦できるようになりました。

2014年4月、三浦選手は「全日本F3選手権」の「Nクラス(旧型マシンで争う)」で女性レーサーとして初の優勝を飾っています。

女性のオートレーサーも誕生

一方で、オートレースの世界では、女性のレーサーが存在しない時代が続いていました。

そもそもオートレーサーになるための養成所の入所条件に「男子」という項目があるため、女性はプロになる資格がなかったのです。

しかし、2010年より女性も養成所に入れるようになり、現在は女性のレーサーも徐々に増えている状況です。

レーサーを目指せる年齢は?

カーレースのレーサーを目指すにあたっての年齢制限はありませんが、プロとして活動していく人は、若いころからレース経験を積んでいることが多いです。

また、カーレーサーは引退年齢が比較的早いため、現実的には20代の前半までにプロのレーサーになるのが一般的です。

一方、オートレーサーの場合は、カーレースのレーサーとは対照的に競技者としての寿命が長いことで知られており、60代以上のレーサーも存在します。

養成所の入所資格も、以前は「満28歳以下」という条件があったものの、現在は撤廃されており、何歳からでもオートレーサーを目指すことは可能です。

レーサーの練習方法・トレーニングの内容

レーサーに欠かせない持久力トレーニング

カーレースのレース時間は、種目によってさまざまです。

10分〜30分のレースもあれば60分かかるレースもあり、最高峰のF1のレースであれば2時間近くを要します。

レーサーは自分の足で走ったり戦ったりするわけではありませんから、あまり体力を必要としないように見えるかもしれません。

しかし、実際にはかなりの体力を使います。

レースのスタート時には、レーシングカーのコックピットに座っているだけで心拍数が通常時の3倍以上に上がります。

季節によってはうだるような暑さと耳をつんざくエンジン音のなか、窮屈なコックピットに長時間座っているのは想像以上に体力を消耗するものです。

レーサーはそういった過酷な状況下でも、冷静で的確な判断でマシンを操作しなければいけません。

そのため、レーサーのトレーニングといえば真っ先にあがるのが、持久力をつけるための有酸素運動です。

一般にランニング、水泳、自転車などのトレーニングがよく行われており、選手の興味によってはバドミントンやテニス、ラクロス、スカッシュなどを行う人もいます。

オフシーズンには1週間に5〜6日、1日1〜2回くらいのペースで持久力を維持するためのトレーニングを行っているレーサーもいます。

マシン操作のための筋力トレーニングも必要

レーサーには、筋力トレーニングをしている人も少なくありません。

レーシングカーには一般車のようにハンドルの操作を助けるパワーステアリングがないため、ハンドルが非常に重くなっています。

また、ブレーキにも一般車のようなアシスト機能がなく、レーシングカーのブレーキは軽く踏む程度では動かない構造となっています。

ブレーキをかけるだけでもかなり強く踏み込む必要があり、レーシングカーを運転することは一般車の運転とは比較にならないくらいの筋力が必要です。

多くのレーサーはマシンの操作に必要な最低限の筋力をつけるため、日々のトレーニングで筋力強化を行っています。

首を鍛えることも重要

レーシングカーでコーナーに入ると、重力加速度のために頭部には通常の5倍の重さがかかるといわれています。

一般に「横G」と呼ばれるものですが、慣れるまでは首を動かせない人もいるほどの重さがかかります。

何周も横Gを受けていると首にかなりの負担がかかるため、首を鍛えるのも大切なトレーニングです。

F1レーサーのなかには滑車装置のついたヘルメットをかぶり、さまざまな角度から引っ張られることで首を鍛えている人もいます。

オートレーサーのトレーニング

オートレーサも基本的にはカーレーサーと同様で、マシンを操作する競技ではあってもかなりの基礎体力を必要とします。

オートレーサーの登竜門である養成所でも早朝からランニング、筋力トレーニングといったメニューが毎日あり、オートレーサーになるための基礎体力を鍛えています。

バイクに乗るのに重要なのは、体幹トレーニングです。

重量のあるバイクを自在にあやつるためには体幹の強化が不可欠で、とくにカーブを曲がる際にポイントとなるのが体幹の強さです。

そのため、オートレーサーには体幹強化のメニューを日々のトレーニングに取り入れている人が多くいます。

レーサー・オートレーサーになるには?のまとめ

レーサー・オートレーサーになるにはいくつかの方法がありますが、プロとして活動していくには、幼少期からレース経験を積むことが大切です。

レーサー・オートレーサーを目指している人は、今のうちから努力を重ねておくことが大切です。