入国警備官になるには

国家公務員である入国警備官になるには、「入国警備官採用試験」を受けて合格し、採用される必要があります。

採用試験には年齢制限が設けられているので、受験を考えている人は必ず情報を確認しておきましょう。

この記事では、入国警備官になるための道のりや、なってからのキャリアパス・キャリアプランなどをまとめて解説しています。

入国警備官になるまでの道のり

国家公務員である入国警備官になるには、まず法務省の「入国警備官採用試験」を受けて合格することが必要です。

ただし、試験に合格してもすぐ入国警備官として活躍できるわけではありません。

採用試験の合格者のうち、成績上位者から採用候補者名簿に記載され、この名簿に記載された人の中から入国警備官として任命されます。

採用が決定されるのは試験の試験受験日の翌年4月以降となるのが通常ですが、欠員がある場合はすぐに採用が決まる場合もあります。

勤務地は、全国各地にある入国者収容所入国管理センターや地方出入国在留管理局、空港や港です。

国家公務員であるため、全国各地への転勤の可能性もあります。

入国警備官になるまでのルート

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入国警備官の資格・難易度

入国警備官採用試験の難易度は、国家公務員一般職試験の高卒者試験と同程度といわれています。

試験の内容自体はそれほど難しいものではありませんが、競争率が非常に高い点に注意しましょう。

2019年度は申込者数2,251名に対して最終合格者数は137名であり、合格率は約6%となっています。

入国警備官の人数は全国に約1,500人で、ほかの公安職に比べても少なめです。そのため、毎年高倍率になる傾向があり、決して簡単な試験とはいえません。

参考:人事局 2019年度国家公務員採用試験実施状況
入国警備官採用試験の難易度・合格率・倍率

入国警備官になるための学校の種類

高卒や中卒でも採用試験を受験できる

入国警備官採用試験を受けるのに必要な学歴は「高卒または中卒以上」であり、大学を卒業している必要はありません。

試験のレベルは高校卒業程度であるため、しっかりと試験対策ができれば高校在学中に現役で合格することも可能です。

また、受験資格のなかで「高校または中学校を卒業してから5年を経過していない者」という定めもあります。

そのため、大学に進学する場合は、採用試験を受験できるのは大卒1年目まで(浪人していない場合)となる点に注意しましょう。

参考:公安職俸給表(一)学歴別人数

以下の図は、刑務官を含む「公安職俸給表(一)」の学歴別人数をグラフで表したものです。(※2022年のデータより)

大卒者は約52%と過半数に達していますが、高卒も約36%、短大卒が約11%と、さまざまな学歴の人がいることがわかります。

公安職俸給表(ー)学歴別人数_2022

※公安職俸給表(一)は、「入国警備官」のほかに「皇宮護衛官」や「入国警備官」などが含まれます。上記の図はあくまでも参考程度に確認してください。

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入国警備官に向いている人

入国警備官は日本の安全を守る仕事であり、「強い正義感」がなければ務まらない職業です。

違反者の摘発など危険をともなう場面も多く、日本語の通じない外国人を相手にしなければなりません。

決して楽な仕事ではないため、使命感や誇りがなければ続けていくことは難しいでしょう。

また、正義感に加えて「運動能力」や「状況判断力」を持ち合わせていることも大切です。

警察官のように、抵抗する違反者の身柄を拘束する状況に立ち会うことや、体格の良い外国人を相手にしなければならないときもあります。

こういった場面で最低限の運動能力やとっさの判断力がなければ、違反者を取り逃がしてしまったり、みずからが危険な状況に追い込まれてしまったりするかもしれません。

緊張感をもって業務遂行のために努力していくことが求められます。

入国警備官に向いている人・適性・必要なスキル

入国警備官のキャリアプラン・キャリアパス

まずは初任科研修で必要な知識・技能を身につける

入国警備官として採用・任命されると、まずは全員「初任科研修」を受け、入国警備官として必要な知識と技能を身につけます。

具体的な研修内容としては、憲法・行政法・入管法など入国警備官の日常業務に深く関わる法律や、英語・中国語などの語学に関する座学があります。

また、違反者を取り押さえる際には自ら体を張ることもあるため、警察官のように武道訓練や逮捕術、けん銃の訓練もおこないます。

研修期間は約3か月間で、研修期間中は全寮制での生活となります。

入国警備官は複数人で協力して業務を遂行しなければならないため、仲間との生活を通して協調性や連帯感、忠誠心を養うことが重視されています。

もちろん、研修期間中も国家公務員の身分として、きちんと給料が支払われます。

研修後は地方出入国在留管理局で経験を積む

初任科研修を終えた新人の入国警備官は、まずは地方出入国在留管理局に配属されるのが一般的です。

ここでは違反調査・摘発・収容・送還といった入国警備官の中心業務が日常的におこなわれており、さまざまな業務に当たりながら経験を積んでいきます。

入国警備官が一つの職場だけに留まることはほとんどなく、その後も別の地方出入国在留管理局や入国者収容所入国管理センターなどへ異動を繰り返しながらキャリアアップを目指します。

なお、入国警備官には、警守、警守長、警備士補、警備士、警備士長、警備長、警備監の7つの階級があります。

まずは一番下の階級である「警守」からスタートし、その後は努力と適性によって上位の階級に昇進が可能です。

入国警備官を目指せる年齢は?

入国警備官採用試験は「警備官」「警備官(社会人)」の2区分に分かれており、それぞれに年齢制限があります。

  • 警備官:高校または中学校を卒業してから5年を経過していないこと
  • 警備官(社会人):40歳未満であること

大学卒業後に採用試験を受ける場合、留年などをしてしまうと社会人区分での受験を余儀なくされることがあります。

社会人区分の採用枠は小さいため、注意しましょう。

入国警備官は高卒から目指せる?

前述のとおり、入国警備官採用試験の受験資格は「高校または中学校を卒業してから5年を経過していないこと」であるため、この条件を満たしていれば高卒や中卒でも目指すことが可能です。

試験の難易度も高校卒業程度であり、大学へ進学していないことが試験上不利になることもないでしょう。

高校在学中に現役合格を目指す人や、高校を卒業してから公務員予備校などに通って試験合格を目指す人もいます。

入国警備官は女性でもなれる?

調査や摘発などの仕事内容からは「男性の仕事」というイメージのある入国警備官ですが、実際には多くの女性が活躍しています。

例年、採用試験の全申込者のうち約3割は女性であり、最終合格者も2割~3割程度は女性が占めています。

国家公務員である入国警備官は福利厚生や待遇面、育児休業制度などは充実しており、女性にとっても仕事を続けやすい環境だといえるでしょう。

女性の入国警備官のキャリアパス・結婚後の生活