入国警備官の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
公務員試験対策 通信講座無料資料請求【PR】
入国警備官の仕事とは
入国警備官は、海外から日本を訪れる外国人や日本国内に在留する外国人を管理し、日本の安全を守る仕事です。
法務省の「出入国在留管理庁」に所属する国家公務員となります。
外国人が観光・留学・駐在などの目的で来日または滞在する場合は、「出入国管理及び難民認定法(通称「入管法」)」の下、定められた手続きが必要です。
さらに、来日の目的によっても滞在可能な期間などが決まっています。
しかし、なかには殺人や強盗などの犯罪行為や不法就労などを目的に、入管法に違反して在留し続ける外国人も増えています。
そんな入管法違反者を取り締まり、退去強制させる権限を持っているのが入国警備官です。
年間1万人以上の違反者を退去強制していることからも、日本の安全を守る上で非常に重要な職業だといえるでしょう。
参考:法務省出入国在留管理庁 令和3年における入管法違反事件について
20代で正社員への就職・転職
入国警備官の業務の内容
入国警備官の業務内容は、大きく「違反調査」「摘発」「収容」「送還」の4つに分けることができます。
違反調査
一般の人からの情報提供や自らの調査をもとに、入管法に違反する外国人を見つけます。
全国の違反者を見つけ出すのはとても大変ですが、数々の有力な情報をつなぎ合わせることで違反者の見当をつけていきます。
その後は違反者本人や関係者から事情聴取をおこない、より具体的な調査を進めます。
摘発
「違反調査」によって「捜索」が必要だと判断した場合には、裁判所の許可に基づき強制的に「捜索」をおこなうことが可能です。
その後、確実な証拠が見つかれば「摘発」の流れになり、押収や臨検をおこなっていきます。
違反者に逃亡などの可能性があれば、違反者の身柄を拘束することもあります。
警察官と連携して摘発業務に当たることもあり、とくに慎重な行動が求められる部分だといえるでしょう。
収容
身柄を拘束した違反者や、出頭によって入管法違反が認められた外国人は、収容令書により「地方出入国在留管理局に設置された収容施設」に収容されます。
その間に「入国審査官」による審査がおこなわれ、入管法違反への該当が認められれば退去強制令書が出されます。
その後は退去強制の手続きが進められますが、送還するまでの間に違反者が逃亡しないように監視することや、施設の警備をおこなうのも入国警備官の大事な仕事です。
送還
退去強制令書が出された外国人は、国籍国などに強制送還されます。
その際、入国警備官は在日外交館とも連携し、速やかに旅券発給などの依頼もおこないます。
その後もトラブルなく確実に出国させるために、空港や海港まで護送するのも入国警備官の担当業務です。
入国警備官の役割
入国警備官は違法に滞在する外国人を取り締まる、日本の治安を守るうえで欠かせない役割を担う仕事です。
そして、日本の治安を守るだけではなく「国際交流の発展を目指す」という側面もある職業であり、その社会的意義は非常に高いといえるでしょう。
このように重要な役割を担っている入国警備官ですが、入国警備官の人数は全国に1,450人余りと、ほかの公安職に比べてもとても少ない人数となっています。
入国警備官になるための試験倍率も高い傾向があり、求められる能力は高い仕事です。
とくに、違法滞在者の摘発業務においては外国人が逃亡や抵抗をおこなう場面もあり、危険をともなう業務にも対応しなければいけません。
日本の安全を守る誇り高い仕事ですが、その分困難なことも多く、目指すうえでは覚悟も求められるのが入国警備官の仕事です。
20代で正社員への就職・転職
入国警備官の勤務先の種類・異動
勤務先の種類
海外から入国する外国人を管理するために、世界各国においてそれぞれの法律に基づいた入国管理体制が敷かれています。
日本の場合、入国管理体制のトップにある組織が法務省の「出入国在留管理庁」です。
出入国在留管理庁の下には「地方出入国在留管理局」が置かれ、新人の入国警備官をはじめ、多くの入国警備官はそこで働いています。
そのほか、外国船の入港が多い港や国際空港の近くに置かれた、地方出入国在留管理局の「支局」や「出張所」、また、事情によりすぐに送還できない違反者を収容する「入国管理センター」に勤める人もいます。
人事異動について
入国警備官の業務内容は幅広く、数年単位で各部門や職場を異動しながら経験を積んでいきます。
活躍の場は全国に広がるため、転勤をともなう異動となる可能性もあります。
また、幅広い視野や国際感覚を身につけるため、外務省など他省庁との人事交流が活発におこなわれているほか、キャリアを積むことで同じ法務省に所属する「入国審査官」と併任になるケースもあります。
入国警備官の仕事の流れ
入国警備官の仕事の流れは、「1.違反調査」「2.摘発」「3.収容」「4.送還」のうちどれを担当するかによっても大きく異なります。
「1.違反調査」は、入管法に違反する外国人の調査がおもな仕事です。
独自に進めた調査や一般人からの情報提供をもとに違反者を突き止め、該当者の事情聴取をおこなっていきます。
「2.摘発」は、実際に違反者の身柄を拘束する仕事であり、慎重さに加えて運動能力の高さも求められるでしょう。
違反者が凶器を持って抵抗してくるケースも考えられるため、入国警備官の業務の中でも、とくに危険をともなう部分を担当することになります。
「3.収容」は、身柄を拘束した違反者を収容する地方入国管理局で働く仕事です。
違反した外国人が逃亡などをおこなわないように監視することがメインの仕事となります。
「4.送還」は、おもに退去強制令書が出された外国人の退去強制を対応します。
違反者が出国を完了させるまで、最後までトラブルがないように護送することも入国警備官には求められています。
入国警備官と入国審査官の違い
入国警備官とよく似た仕事に「入国審査官」があります。
まず、入国警備官はすでに日本国内に不法滞在・不法就労中の外国人をおもな対象とし、裁判官の許可の下で違法調査や摘発をおこなう、いわゆる「外国人専門の警察官」のような仕事を担当しています。
これに対して、入国審査官は「これから日本に入国しようとする外国人」を相手にする仕事です。
入国審査官のわかりやすい仕事としては、空港でのパスポートチェックが挙げられるでしょう。
入国を希望する外国人のパスポートやビザ、入国目的などを審査し、入国の可否を決定するのがおもな役目です。
そして入国可と判断した場合にも、「在留資格」や「在留期間」を定めたうえで入国許可を出しています。