麻薬取締官と麻薬取締員の違い
麻薬取締官と麻薬取締員の仕事内容の違い
「麻薬取締官」は厚生労働省の職員、つまり国家公務員です。
それに対して、「麻薬取締員」は都道府県の職員、つまりは地方公務員であることが、この2つの職業の大きな違いです。
しかし、麻薬取締官と麻薬取締員は、どちらも薬物犯罪の捜査や医療麻薬の不正使用・盗難防止などに携わっていくことから、仕事内容としては似たところがあります。
麻薬取締員は、麻薬取締官と同様に「特別司法警察職員」としての権限も与えられており、拳銃などの小型武器を携帯するほか、逮捕術の訓練も受けています。
麻薬取締官と麻薬取締員は、お互いに連携をして働くこともあります。
ただし、地方自治体で働く麻薬取締員は、麻薬取締官に比べると捜査をする機会はそこまで多くなく、啓発活動を中心に行うとされます。
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麻薬取締官と麻薬取締員のなる方法・資格の違い
国家公務員と地方公務員では、採用形態がまったく異なります。
麻薬取締官には、国家公務員試験一般職試験(大卒程度)の「行政」または「電気・電子・情報」を受けて合格し、採用となるか、「薬剤師」の資格を有する人が採用試験を受けて採用されるかによってなることができます。
そして、全国に12ある厚生労働省の地方市分部局である地方厚生(支)局の麻薬取締部に所属します。
一方、麻薬取締員の場合、まずは地方公務員試験を受けて各都道府県の薬事担当課に配属され、職員の中から選ばれた人がその職に就きます。
麻薬取締員は麻薬取締官と違って定員枠もなく、各都道府県の判断によって必要な人数が任命されています。
実際に働いているのはわずか数名程度という都道府県も多いようです。
麻薬取締官と麻薬取締員の資格・必要なスキルの違い
麻薬取締官と麻薬取締員は、どちらも資格がなくてもなることができる可能性のある職業です。
麻薬取締官の場合、薬剤師の資格を持っている人を対象とした試験も行われていますが、資格のない人でも採用試験を受け、採用されるチャンスはあります。
麻薬取締員も、基本的には各自治体の薬事担当課の職員の中から選ばれますので、地方公務員として採用される時点で特別な資格は必要ありません。
働くうえで薬物捜査や鑑定などに関する専門的な知識・技術は求められてきますが、それらは配属後に研修を受けたり、現場経験を積んだりして身につけることができます。
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麻薬取締官と麻薬取締員の学校・学費の違い
国家公務員のなかでも、麻薬取締官として働ける人はほんの一握りです。
また、採用試験の受験資格として「大卒」であることが求められるので、麻薬取締官を目指す場合には、大学に進学することが必須となります。
学部に制限はありませんが、職務に関連する知識が学べる法学部や薬学部からの採用が多くなっています。
薬学部の課程を修了して薬剤師国家試験に合格すれば、薬剤師の資格が得られ、専門知識を強みに採用試験を受けることができます。
麻薬取締員を目指す場合には、学校を卒業して都道府県の職員になるための採用試験を受ける必要があります。
応募資格は都道府県によって異なりますが、「薬剤」の試験区分で受験し、採用されるケースが多いようなので、こちらも大学の薬学部を出ておくほうがなれる可能性は高まるかもしれません。
麻薬取締官と麻薬取締員の給料・待遇の違い
麻薬取締官の給料は、国家公務員の行政職の給与が適用されます。
その額は俸給表に基づいて決まりますが、地域手当がつくことから、実際に支給される額は所属する地方によって多少変動します。
また、調整手当という特別な手当もあり、世代の一般事務職に就いている人よりは年収が高くなっているようです。
一方、麻薬取締員は採用される都道府県ごとに定める給料が支給されます。
基本的には年齢と階級が上がっていくにしたがって給料はアップしますが、都道府県によってだいぶ違いも出てきます。
麻薬取締官も麻薬取締員も、一般的な公務員としての休暇制度や福利厚生が適用されます。
なお、公務員には一定周期での異動があります。
少数精鋭で薬物捜査などにあたる麻薬取締官は、異動となっても全国の別の麻薬取締部で働くことになるのが一般的で、基本的にはずっと麻薬取締官としてのキャリアを積んでいくことになります。
一方、麻薬取締員の場合、都道府県職員の一人であることから、まったく別の部署に異動になることもあるようです。
麻薬取締官と麻薬取締員はどっちがおすすめ?
麻薬取締官と麻薬取締員は、どちらも薬物に関する専門的な知識・経験を持ち、薬物乱用防止のために働きます。
ただし、両者は国家公務員と地方公務員という身分の違いがあり、なるためのルートも異なります。
薬物犯罪の捜査等により深く、専門的に関わっていきたいのであれば、はじめから国の職員として働く麻薬取締官を目指すほうがよいでしょう。
地方公務員である麻薬取締員は、各都道府県の職員の中から選ばれますので、必ずしもなれるとは限りません。
ただし、麻薬取締官も麻薬取締員も、日本全国で活躍する人の人数は決して多くないので、狭き門をくぐり抜けていく覚悟が必要です。