専門学校の偏差値・倍率は? 落ちることはある?
入試はどれくらい難しいのか、倍率はどのくらいなのか、気になっている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、専門学校の偏差値・倍率、入試に落ちてしまうことはあるかどうかについてまとめました。
また、専門学校選びの際に知っておきたい「認可校」と「無認可校」の違いについても解説しています。
専門学校への進学を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
専門学校の偏差値はどのくらい?
受験の世界でよく耳にする言葉のひとつに「偏差値」があります。
高校や大学の入試では入試の難易度が偏差値で示され、受験生が合格可能性を判断する目安としています。
では、専門学校の偏差値はどのくらいなのでしょうか。
まずは専門学校の偏差値について考えるにあたって、そもそも偏差値とはどんな数値なのか、本来の意味について整理しておきましょう。
そもそも偏差値とは?
偏差値とは、受験生の中で自分の学力がどの位置にあるのかを判断する際に用いる指標で、平均を「50」としたときの散らばり具合を表したものです。
得点の散らばり具合を知るには、一定数の受験生が同じ条件で試験を受ける必要があるため、大学受験では予備校などが定期的に「模擬試験」を実施し、偏差値を算出しています。
偏差値を出すためには、模擬試験など定期的に実施される試験の存在が不可欠なのです。
逆の見方をすれば、模擬試験が実施されていなければ偏差値を算出することができないため、偏差値によって学校の難易度や受験生の合格可能性を判断することもできません。
専門学校の偏差値とは?
専門学校への進学を目指す人のための模擬試験は、一部の例外を除いて実施されていません。
基準となる試験結果などの具体的なデータがないため、専門学校の偏差値を算出することは実質的に不可能です。
そのため、学校ごとに難易度の違いを比較するのは難しく、合格基準については各学校の案内を確認するのが一般的な方法です。
そもそも専門学校は大学などとは違い「特定の分野で実践的に役立てることのできる知識や技能を学び、職業に生かすことを目的としている学校」です。
入試では、大学受験などのように主に学力で合否を判定するのではなく、「その分野について学びたい!」という意欲や熱意も重視されます。
そのため、一般的な専門学校には大学受験のような偏差値という考え方は存在しません。
偏差値の基準がある専門学校とは?
ただし、一部の専門学校では偏差値の基準を設けている場合があります。
というのも、目標とする職業に就いて働く上で一定以上の基礎学力が求められる分野においては、専門学校を目指す人を対象とした模擬試験が実施され、偏差値によって合格可能性の判定が行われているのです。
専門学校に特化した模擬試験が実施されていなくても、大学受験用の模擬試験を代用することで学力を知る目安とすることができます。
一例として、次のような分野の専門学校では、偏差値を合格可能性の目安とすることができる場合があります。
- 医療系
- ホテル、航空関係
- デザイン系
- 情報処理系
こうした分野では、英語や数学といった分野の知識を仕事で使う場面も多いため、一定以上の基礎学力が求められます。
目安として、偏差値40~50に相当する学力を持っていれば、入試合格だけでなく、入学後に授業についていけるかどうかを判断する上でも目安になります。
偏差値の高い専門学校の種類は?
一般的に「偏差値が高い」と言われる分野の専門学校もあります。
たとえば、「看護師」を目指すための看護専門学校や、「理学療法士」「作業療法士」などを目指す医療系の専門学校などです。
こうした分野の専門学校では将来的に国家試験への合格を目標としているため、一定以上の基礎学力が求められます。
看護系や医療系の専門学校では「看護医療系模試」といった模試も実施されています。
その試験結果によって偏差値が出ることから、学校のレベルによってランク付けされていることもあります。
模試が実施されて偏差値が算出される分野の専門学校の場合、受験勉強や志望校決定のプロセスは大学受験とほとんど変わらないと考えていいでしょう。
専門学校の倍率はどのくらい?
偏差値と並んで受験の世界でよく聞く言葉として「倍率」があります。
倍率は「募集定員」を「志願者の数」で割ることで算出され、その学校の競争率を表しています。
受験生から人気のある大学などは倍率が高くなりやすいことから、「倍率=学校の人気度」と考えてもいいでしょう。
では、専門学校の場合、倍率はどのくらいになるのでしょうか。
入試の倍率を公表している専門学校
高校受験や大学受験では各学校の志願者数や競争倍率が公表されており、受験生の中には倍率を見て志望校を考えなおす人もいます。
しかし、専門学校の場合は倍率を公表していない学校が多いです。
一部の専門学校では倍率を公表していますが、とくに人気があるとされる看護専門学校など、多くの受験生が入学を希望することが見込まれる学校に限られています。
裏を返せば、倍率を公表している時点で、その学校は一定以上の人気があると考えることができます。
看護や医療のように、とくに人気のある分野の専門学校に出願する場合は、倍率が公表されているかどうか確認しておくとよいでしょう。
定員割れとなっている専門学校も多い
近年は高校を卒業する年代の人口が減りつつあります。
そのため、とくに人気のある一部の専門学校を除いて「定員割れ」となっている学校もめずらしくありません。
定員割れとは、募集定員よりも出願者数が少ない状態のことをいいます。
こうした学校では、出願者のうちよほど高校時代の生活態度などに問題がない限り、出願して審査を受ければ合格できる場合もあります。
また、定員に達した時点で出願受付を締め切る専門学校も見られます。
定員に対する出願者の状況は専門学校によってまちまちですが、少なくとも定員割れになっている学校が倍率を公表することはありません。
前年度の定員と出願者数は各学校のホームページやパンフレットに掲載されていることがあるので、参考までに確認しておきましょう。
人気校を除いて倍率はあまり気にしなくて大丈夫
倍率が公表されていないのなら、志望する専門学校の人気度をどうやって知ればいいのか不安に感じる人もいるかもしれません。
しかし、専門学校を受験するにあたっては、一部の人気校を除いて倍率をあまり気にする必要はありません。
倍率を気にして志望校を選ぶのではなく、学びたい分野や将来進みたい道をよく考えて「ここへ入学して学びたい」という熱意を伝えられる学校を選ぶようにしましょう。
ただし、看護や医療といった分野では、専門学校によって倍率が5倍前後になる場合もあります。
とくに倍率が高い一部の専門学校になると倍率が10倍を超えることもあります。
人気のある分野の専門学校を志望する人は、注意して倍率を確認する必要があるでしょう。
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専門学校の入試で落ちることはある?
合否の判定という観点で見た場合、専門学校の入試は一部の分野を除いて、それほどシビアなものではないことが見えてきたのではないでしょうか。
では、専門学校の入試を受けて不合格になることはあるのでしょうか?
もし不合格になることがあるとすれば、どんな点に注意すれば不合格の回避に役立つのか、解説していきます。
専門学校は100%合格できるとは限らない
専門学校の入試は大学入試のような「落とすための試験」ではないため、合格基準はそれほど厳しくないと思われるケースが多いようです。
たしかに、専門学校によっては応募要件を満たしていれば、ほぼ問題なく合格できるところもあります。
ただし、専門学校の中には定員よりもずっと多くの応募者が集まる人気の学校も存在します。
そのような学校では、書類選考や面接、筆記試験、作文など、さまざまな角度から入試を行い、総合的に判断した上で合格者を決定します。
入試の結果、残念ながら不合格になってしまう人がいないわけではありません。
このことは「一般入試」だけでなく「AO入試」などでも同様です。
AO入試では受験生の意欲や熱意、人柄を重視する傾向があり、面接で意欲が伝わらなかったり、専門学校が求める人物像に合わないと判断されたりすると不合格となる場合があります。
このように、専門学校の入試は100%合格できるとは限らないため、しっかりと準備しておくことが大切です。
不合格にならないために気をつけておくべきこと
専門学校の入試で不合格にならないようにするためには、入試の内容や実施される試験の内容をよく調べ、傾向に合わせた対策を講じておきましょう。
筆記試験がある学校では、出題される科目を把握し、可能であれば過去問を入手しておくのがおすすめです。
過去問を実際に解いてみて、制限時間内に解き終えることができるか、難易度はどの程度なのか、といった感覚をつかんでおきます。
また、面接や作文など、筆記試験以外の対策も忘れずに行っておきましょう。
面接は高校の先生に協力してもらい、模擬面接を実施してアドバイスをしてもらうと効果的です。
専門学校が求める人物像は学校ごとに異なるため、学校のパンフレットを請求したり、学校見学やオープンキャンパスに参加したりして、よく把握しておくことが大切です。
専門学校の認可校・無認可校の違い
認可校・無認可校とは?見分け方は?
専門学校への進学を考えていくにあたっては、「認可校」と「無認可校」の違いも知っておくとよいでしょう。
両者の違いを簡単にまとめると、以下の通りです。
- 認可校:学校教育法に基づき公的機関(都道府県知事など)から設置認可を受けている学校
- 無認可校:学校教育法に基づいた認可を受けていない教育施設
教育施設が認可校になるには、授業時間や修業年数など、細かな条件をいくつも満たす必要があります。
たとえば「学生数40人以上」「年間授業時間800時間以上(夜間は450時間以上)」「修業年限1年以上」の3点があげられます。
日本各地には、専門的な仕事・職業に就くための教育を行う施設がたくさんありますが、そのすべてが、法律に基づく専門学校といえるわけではないことは頭に置いておいてください。
「○○専門学校」のように名乗れるのは認可を受けた専門学校だけなので、見分ける際には、そこを意識してみるとよいでしょう。
ただし、認可を受けている一部の専門学校は、あえて「専門学校」の名称を付けていないこともあり、その点にも注意が必要です。(例:神田外語学院、モード学園など)
認可校・無認可校の違いとメリット・デメリット
認可校・無認可校には、さまざまな違いと、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ここでは、主なものを紹介します。
授業時間数・修業年限
無認可校には規定がないため、学校によって授業時間はまったく異なり、就業年数も1年以下だったり、2年だったりとまちまちです。
学歴
一方、無認可校は学歴にはならないため、もし高校卒業後に進学した場合、最終学歴は「高卒」となります。
奨学金
ただし、無認可校でも独自の奨学金制度を設けている場合が多いため、各校の入試情報を詳しく調べてみましょう。
定期券
無認可校は原則として「通勤定期券」になりますが、一部の学校では「通学定期券」が利用できます。
認可校・無認可校はどちらが卒業後・就職に有利?
認可校と無認可校を比べると、どうしても「認可校の方が就職に有利なのでは?」と思ってしまう人もいるかもしれません。
ですが、認可校・無認可校は単純な優劣で比較できるものではありません。
そもそも専門学校に進学しようと考える人の多くは、専門的な知識・技術が求められる仕事・職業に就きたいと考えています。
就職活動・社会に出る際にも学歴はさほど問われず、「学生時代にどれだけスキルを身につけて実践力を高めてきたか?」が重視されることが多いです。
無認可校でも、認可校を超えるほどの充実したカリキュラムや施設設備、また関連業界との深いつながりによって非常に高い就職率を誇り、多くのプロフェッショナルを輩出しているところは多々存在します。
なお、無認可校は株式会社が運営していることが多いですが、業界の変化に素早く対応し、実務に役立つ教育を行うために、「あえて」無認可校であることを選び続けている学校もあるほどです。
認可校になると、どうしても法的な制約や縛りを受けて、柔軟な学校運営ができない場合があるからです。
こういった理由から、無認可校だからといって特別に心配する必要はなく、自分自身が「そこで何をどう学びたいか?」をきちんと考えていくことが重要です。
ただし、認可校には「専門学校卒」の学歴が得られるなど、認可校ならではの特徴や魅力もあります。
専門学校選びの際には、それぞれのメリット・デメリットを念頭に置いた上で、その学校で自分の将来の夢・目標に向けてしっかりと学ぶことができるかどうかを考えてみてください。
この記事のまとめ
専門学校の入試は、大学受験でよく使われる「偏差値」や「倍率」の考え方は、あまり意味をなさないことが多いです。
主に学力によって合否が決まる大学入試は「落とすための試験」が実施されるのに対して、本人の「学びたい!」という熱意や意欲が重視される専門学校は、比較的入学しやすいともいえます。
ただし、専門学校でも一部の人気校は倍率が高くなることがあり、難易度によっては偏差値でランク分けされている場合もあります。
自分が受験しようとする専門学校がどのようなタイプの学校かを調べておき、入試傾向に合った対策をおこないましょう。
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