専門学校は中卒でも入学できる?

専門学校は「高校卒業後の進学先」といったイメージを多くの人が持っています。

しかし、専門学校の中には中学卒業の資格を持っていれば入れる学校もあります。

中卒で進学できるのはどのような専門学校なのか、学校の特徴や通うメリットについて紹介します。





中卒で入れる専門学校とは?

中卒の段階で入学できる専門学校について解説する前に、まずは専門学校にはどのような種類があるのかを整理しておきます。

中卒で進学可能な学校は、厳密には専門学校ではなく「専修学校高等課程(または高等専修学校)」と呼ばれています。

専修学校高等課程とはどのような学校なのか理解しておきましょう。

専門学校の種類と高等専修学校

一般的に「専門学校」と呼ばれている学校は、実は専修学校の中の一種です。

専修学校には「専門課程」「高等課程」「一般課程」の3種類があり、中卒で入学可能な学校はこのうち「高等課程」です。

専門課程は専修学校のうちの約80%を占めており、いわゆる専門学校と呼ばれている学校がこの専門課程にあたります。

各課程には入学資格があり、専門課程は高校卒業以上、高等課程は中学卒業以上となっています。

一般課程には入学資格がとくに設けられておらず、誰でも入学して学ぶことができます。

《専修学校の種類》

種別 入学資格
専門課程 高校卒業(見込み)以上
高等課程 中学卒業(見込み)以上
一般課程 とくになし

高等専修学校で学べること

高等課程は「職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図ること」を教育を掲げ、職業で生かせる実践的な知識・技能を身につけることを目指しています。

認可されている高等課程の専修学校では、、以下の8分野を学ぶことができます。

《専修学校高等課程で学べる8つの分野》
1.工業(情報処理、自動車整備、放送技術など)
2.農業(農業、園芸、畜産、造園など)
3.医療(看護、歯科衛生、理学療法、作業療法など)
4.衛生(栄養、調理、理容、美容など)
5.教育・社会福祉(保育、社会福祉、介護福祉など)
6.商業実務(経理・簿記、旅行・観光・ホテル、医療秘書など)
7.服飾(ファッションビジネス、スタイリストなど)
8.文化・教養(公務員、デザイン、音楽など)

高校までの勉強は英語や数学、国語といった科目が中心ですが、高等課程では職業に直結する専門分野に特化した内容を学ぶ点が大きな特徴です。

学べる分野としては、いわゆる専門学校(専門課程)とほとんど変わりはありません。

ただし、高卒者が入学する専門学校と比べると、学科の選択肢はやや狭くなる傾向があります。

高等専修学校は全国にどのぐらいある?

専修学校高等課程は全国におよそ420校あり、学校教育法124条で定められた正式な教育機関です。

平成28年の統計調査によれば、専修学校の課程別学校数は下表のようになっています。

専門課程 2,817校
高等課程 424校
一般課程 157校

専修学校全体で見た場合、高等課程を持つ専修学校はおよそ12%と決して多いほうではありません。

しかし、同調査によれば全国の大学が777校、短期大学が341校ですので、高等課程は短期大学よりもたくさん設置されていることになります。

実際、平成28年時点では高等課程で学ぶ生徒数は全国に38,962名いることから、多くの人が高等専修学校に進学して学んでいることが分かります。

参考:文部科学省「数字で見る専修学校」

高等専修学校に通うメリット

ここまで、専修学校の中での高等専修学校の位置づけと、高等専修学校の学校数、多くの人が高等専修学校で学んでいる実態について見てきました。

では、高校ではなく高等専修学校に進学して学ぶメリットとはどんな点にあるのでしょうか。

主なメリットとして、次の3点が挙げられます。

職業に直結する内容を学ぶことができる

高等専修学校で学ぶのは、将来職業に就いた際に必要とされる知識・技能といった実践的な内容です。

修業年限は1年制の学校から5年制の学校までありますが、調理系の学科では1年制、准看護では2年制、理・美容では2年制の学校が多い傾向があります。

高校の修業年限は3年間ですので、高校を卒業して社会人となる人たちよりも1〜2年早く社会に出られる学校がたくさんあるわけです。

このように、高等専修学校で学ぶことによって将来の職業に直結する知識・技能を学ぶことができるだけでなく、より早く仕事に就いて社会経験を積むことが可能になります。

中学の時点ですでに将来やりたいこと、進みたい方向性が明確になっている人であれば、中学卒業後は高等専修学校に進学するのも選択肢の1つとなり得ます。

職業に役立つ資格を取得できる

将来目指したい職業によっては、仕事に従事する上で必須となる資格がある場合があります。

たとえば調理関係の仕事に就くのであれば調理師の国家資格が必要になるほか、自動車整備士や准看護師理容師美容師といった職業においても資格は必須です。

高等専修学校の中には、こうした将来職業に就くにあたって必須とされる資格を卒業と同時に得られる学校や、卒業時点で受験資格を得られる学校があります。

また、簿記や公務員試験といった各種試験に合格することを目指す高等専修学校も見られます。

こうした受験資格を早い時期に取得しておくことによって、より早く就職先が決まり実務経験を積んでいくことができるメリットがあります。

高卒資格が得られる

高等専修学校の3年制の課程を修了すると高卒資格が得られます。

つまり、高校を卒業した人と同等の資格を取得できます。

この場合、就職時には高卒者と同等に扱われますので、中卒で就職する場合よりも有利に就職活動を進められます。

目指す職業によっては、卒業時点で職業に直接役立つ資格を持っていない高卒者よりも、高等専修学校で学んで資格を取得済みの人のほうが就職において優遇されるケースも考えられます。

さらに、高卒資格を取得していれば将来的に大学や短期大学へ進学することも可能になります。

高等専修学校を卒業後、就職以外の進路も選べるのは大きなメリットといえます。

高等専門学校で学びつつ、将来の進路についてさまざまな可能性を摸索することができます。

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どんな人が高等専修学校に進学する?

高等専修学校は中学卒業後の進路選択の1つとして考えることができますが、進学先としては高校を選ぶ人が大多数であるのは事実です。

では、高等専修学校に進学するのはどのような人なのでしょうか。

もちろん人によって事情は異なりますが、主に次の2点が高等専修学校を選択する理由として挙げられます。

中学卒業時点で将来やりたいことが明確になっている人

中学の段階では将来就きたい職業や進みたい進路が明確になっていない人も多くいます。

そうした中で、すでにやりたいことが決まっており、明確に目標を掲げている人もいます。

就きたい職業が明確になっているのであれば、高校で一般的な科目を学ぶよりも専門的な知識・技能に特化した勉強をしたいと考えても不思議ではありません。

高等専修学校では特定の分野の仕事に生かせる能力を伸ばしたり、資格を取得するために役立つ学びを得られますので、進みたい道が決まっている人にとって有力な進路の選択肢となり得ます。

また、できるだけ早く社会に出て働くことを希望する人にとっても、高等専修学校は目標を実現する手段として有効なものとなるでしょう。

さまざまな事情により高校に進学できなかった人

高校に進学するには入試に合格しなくてはなりません。

もちろん高等専修学校にも入試はありますが、面接や作文が課されるのが一般的で、英語や数学などの学科試験が課される学校においても難易度は高校入試ほど高くありません。

そのため、中学で学校に馴染めずあまり学校に通えなかった人や、基礎学力の面で不安を感じている人の中には高等専修学校を進学先として選ぶ人もいます。

また、高校に進学したものの中退した人の中にも、高等専修学校に入り直して手に職をつけたいと考える人がいます。

このように、さまざまな事情で高校に進学できなかった(または中退した)人が、将来の仕事に結びつく知識や技能を身につけるために高等専修学校に進学するケースがあります。

この記事のまとめ

専修学校の高等課程は、多様化する生徒のニーズに柔軟に応えながら、それぞれの個性を尊重する教育機関として社会的にも認められています。

中学卒業後は専門的な勉強がしたい、高卒資格を取得したい、将来の職業に役立つスキルを身につけたいと考えている人は、進路の選択肢として検討してもよいのではないでしょうか。

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