生命科学とは? 大学で学ぶことや就職先は?

(読了時間:4分11秒)

生命科学の概要・理念

生命科学は、生物学の知見を実社会で役立てる方法を考えるとともに、適切な活用の仕方とはどうあるべきかを考えるなど、生命について総合的な視点から研究する学問です。

たとえば、農学や生物工学、理学、医学、薬学といった分野は、いずれも生物や生命に関わる研究が進められていますが、生命科学はこれらを「生命」という大きな括りの中で包括的に研究していきます。

したがって、専門とする研究分野は大学や研究室によってさまざまなです。

バイオテクノロジーを活用した細胞生物学や分子生物学に関する研究が行われていることもあれば、生命倫理や医学・薬学といった観点から医療現場とも密接に関わる研究をしていることもあります。

授業は講義だけに留まらず、実習や実験を通じて仮説を検証したり、検証結果をレポートにまとめるといった実践的な内容もあります。

実社会における課題を解決するための具体的な方策を考えることもありますので、問題解決能力や課題抽出能力、論理的思考力といった能力が求められる学問ともいえます。

生命科学で学ぶこと

生命科学で扱われる研究領域は非常に幅広く、生物工学、農学、理学、医学、薬学をはじめ,生命倫理、社会学、環境科学、哲学といった学問と関わる研究が行われています。

ただし、いずれの専門分野を研究する場合においても、土台となるのは生物学や化学、生物物理学といった基礎研究分野です。

こうした土台にあたる知識を1年・2年次に学び、その後の専門領域に進むための下準備をします。

3年次以降はゼミや研究室での専門的な領域へと移っていき、実習や実験を通じた実践的な研究が行われることもあります。

バイオテクノロジーなどの分野では、実際に企業と連携して実証実験を行うなど、実社会に役立つことを実感できる場面に立ち合うこともあります。

生命科学の大学での授業科目の例

生命科学の授業には、大きく分けて「基礎研究分野」と「専門研究分野」があります。

基礎研究分野では生物学や生物物理学などのほか、生命倫理学など生命に関わる問題についても学びます。

専門研究分野では、生命工学や農学、医学などとも関連する専門性の高い研究に取り組みます。

生物学

生物の基本的な体の構造や、活動の特徴・仕組みなどについて総合的に学びます。

生物物理学

生物の体を構成する分子や、それらの化学反応について、熱や構造といった物理学の観点で探究します。

生命倫理学

体外受精や臓器移植、脳死といった生命に関する問題について、倫理的な側面から深く考えます。

ゲノム科学

生物を構成する最小限の遺伝子群を含む染色体の組であるゲノムやその遺伝情報について研究します。

細胞生物学

生物の体を構成する細胞の構造や構成する分子、細胞内の化学変化など、細胞を構造レベルから理解するための研究に取り組みます。

生命科学のレポート・テーマの例

生命科学では、農学、理学、医学など、多岐にわたる学問と関わりのある研究が行われています。

そのため、レポートにおいても授業や専門分野によって幅広いテーマが設定されており、さまざまな知見が必要な学問であることがうかがえます。

  • ・動物実験の必要性について
  • ・現代社会における遺伝子組換え技術の必要性
  • ・ゲノム疫学調査について
  • ・タンパク質の電子移動反応メカニズム
  • ・高分子ナノテクノロジーによる疾患の前触れ検出

生命科学と関連する学問

生命科学は生物学を応用して実社会で役立てる視点から研究する学問ですので、生物学・生命工学などと深い関わりを持っています。

また、生命について総合的に研究するため、農学、理学、医学、薬学といった幅広い学問と研究領域が重なることがあります。

生命倫理の分野では、生命が社会の中でどのように認識され扱われているか、といった観点から研究を進めることから、社会学や環境科学、哲学といった分野とも関わっていることがあります。

生命科学を学んで就職に有利な業界・仕事

生命科学を学んだことで就職に有利になりやすい業界としては、食品メーカー化粧品メーカー製薬会社などが挙げられます。

生命科学という学問のイメージから企業で研究職として活躍する姿をイメージする人が多いかもしれませんが、大学院を修了した人の中でも研究職に就けるのは一握りと考えたほうがいいでしょう。

一般的に、生物系の学部学科は理系の中でも就職にあまり強くないといわれています。

生命科学を学んだ知識を直接的に活かすことのできる仕事にこだわるとなると、たしかに選択肢はかなり狭まってしまうでしょう。

実際には、生命科学を学んできた人の多くが総合職や営業職、商品企画といった職種で活躍しています。

こうした職種においても、たとえば前に挙げたような業界であれば、生命科学の知見を活かして力を発揮できる場面が必ずあるはずです。

その意味においては、生命科学を学ぶことで習得した知見や技能を活かせる仕事は数多くあるといえるでしょう。

生命科学の知識は人生でどう役立つ?

現代は、生命を人為的に操作することが技術的な面では可能になってきています。

遺伝子組み換えやクローン技術といったように、遺伝子レベルで生命を操作できることも実験を通じて実証されつつあります。

こうした新しい技術を有効かつ適切に活用することができれば、医療分野などで役立てることが可能になり、命が助かる人や治療を楽に済ませられる人を増やすことができるかもしれません。

一方で、生命を操作することに対しては常に厳しい倫理観が問われます。

技術的に可能かどうかという観点だけでなく、倫理的に正しい行いであるかどうかという視点を持ち、バランスの取れたものの見方をする上でも、生命科学の知識を役立てていくことができるでしょう。