卸売業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





卸売業界とは

卸売業界とは、メーカーから商品を仕入れ、それを小売業者に販売する卸売(おろしうり)を行う業界です。

商品の流通に関する仕事を一手に引き受けることで、メーカーと小売業社は自らの仕事に専念できるようにするのが卸売業者の役割です。

卸売業界は、さまざまな商品を取り扱う総合卸と、特定の商品のみを扱う業種卸に分類されます。

総合卸は数千〜数万種類の商品を販売しており、施設や人員も大規模になる傾向にあります。

業種卸は特定の商品に関する専門性が高く、ニッチな分野で勝負している企業が多いです。

卸売業者で勤務する場合、人に好かれるためのコミュニケーション能力、ニーズを的確に把握する分析力、さまざまな場所を渡り歩いて契約を勝ち取るためのタフネスさが必要です。

小売業者から「あなたの所に頼めばなんでも揃う」と頼られるようになれば、一人前の社員と言えます。

インターネットの発展により、「メーカーと小売が直接やりとりする」ことが可能となったため、卸売業界は岐路に立たされています。

卸売業者にしかできないサービスを提供し、継続して利用してもらえるかが今後の課題です。

卸売り業界の役割

卸売業界の歴史は、江戸時代に存在した「問屋」まで遡ります。

生産された商品を問屋が受け取り、それを小売に販売するということがすでに行われていました。

小売が店舗での販売、メーカーが工場で商品開発に専念できるよう、商品の調達、物流、金融機能を請け負うのが卸売業界の役割となります。

小売業社にはメーカーの商品を紹介、メーカーには商品を買いたい小売業者を紹介し、販売から納品までを請け負う商品調達が第一の役割です。

メーカーから仕入れた商品を保管し、小売に配達する物流管理が第二の役割となります。

第三の役割は、メーカーから商品を買い取り、小売への販売や代金徴収を代行する金融機能です。

卸売業者がこれら3つの役割を請け負うことで、ドラッグストアやコンビニは数千〜数万種類の商品を安定して販売できます。

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卸売り業界の企業の種類とビジネスモデル

総合卸

食料品と日用品など、2つ以上の商品を商品を取り扱っているのが総合卸です。

商品の販売だけでなく、売れる仕組みを作り出すためのマーケティングや情報提供など、幅広い事業を展開しているのが強みです。

「三菱商事」、「伊藤忠商事」のようなトップクラスの企業は「総合商社」とも呼ばれ、有名大学を卒業した優秀な学生を社員として採用しています。

さまざまな商品と顧客を扱う仕事であり、働く際にはマルチタスクに仕事をこなすことが必要です。

業種卸

総合卸とは違い、専門的なサービス・商品を取り扱うのが業種卸です。

子会社や中小企業など、総合卸よりも規模の小さい企業が多く存在します。

とはいえ、特定の事業を狭く深く展開し、総合卸以上の専門性を持っている企業も少なくありません。

顧客を掴むには、ニッチなニーズを先取りし、他社と差別化できるサービスを提供する必要があります。

卸売業界の職種

営業職

卸売業界の花形といえるのが、メーカーや小売業者のパイプ役となる営業職です。

企業を訪問しながら仕事を行う外回りが多く、担当者と話をして商談を進めていきます。

商談を成功させるには、取引先に信用してもらうことが第一です。

そのためには、商品知識・ビジネスマナー・コミュニケーション力などが求められます。

企画職

事業計画の立案を担当する部署です。

どの企業と取引するのか、どのような事業に進出するのかを決定し、実際に実行していきます。

マーケティングなど、卸売業の範疇にとどまらない仕事も業務範囲となります。

活躍の幅が広い分、幅広い視野と観察力が必要な職種です。

事務職

営業職のサポートを行うのが、事務職の役割です。

営業担当の代わりに電話担当や書類作成を行う、デスクワークが中心となります。

女性を中心に人気の高い職種で、求人倍率は高いです。

貿易に関わる企業では貿易事務と呼ばれており、通関の知識も追加で必要となります。

卸売業界のやりがい・魅力

人と人、会社と会社を繋ぐ仕事ができるのが、卸売業界の魅力です。

さまざまな商品の知識が身につき、人脈も広がり、業務を通じて日々成長していることを実感できます。

海外と取引をする国際的な仕事は、難易度が高い分やりがいも感じやすいです。

大きな案件を成功させれば、それが実績となり、将来的な給料増やキャリアアップにつながります。

同じ商品を取り扱うライバル企業も多いので、競争に勝つための工夫を行えば成果を残せるでしょう。

卸売業界は、国内需要の低下・インターネットによる卸業者を通さない流通の開始など、産業構造の変化に巻き込まれています。

グローバルな展開が難しい中小卸売企業は、構造改革や効率化が必要です。

海外展開を行う大企業は成長を続けていますが、海外情勢の変化を受けやすく、投資する事業は慎重に見極めなければなりません。

いずれにせよ、時代やニーズの変化に順応できる、情報量と分析力が今後のカギとなります。

自社の強みを徹底的に分析し、小売業者やメーカーに選んでもらえるサービスづくりを目指しましょう。

卸売業界の雰囲気

人と人、企業と企業を繋ぐ仕事のため、外回りを含む忙しい日々が続きます。

メーカーや小売業者の要望に応えるため、時間外労働や休日出勤も必要となる場合があります。

取り扱う商品が競合と変わらない場合も多く、価格競争を乗り越え、差別化をいかに行うか工夫する日々になるでしょう。

頻繁に行われる飲み会・度重なる出張など、体育会系な職場環境の会社も多いです。

それらの困難を乗り越え、会社から課された目標を達成することで、日々確実に成長していくことができるでしょう。

何より体力が資本となるので、体調管理に気を使い末永く働ける体制作りが重要となります。

あらゆるビジネスの基本となる営業力が磨かれるので、転職を行う際にも糧となる仕事です。

独立して起業する際にも、卸売業界の経験が役に立ちます。

卸売業界に就職するには

就職の状況

商品開発能力が必要ないので、参入障壁が低く、大企業から商店クラスの小企業まで、あらゆる会社が存在します。

特別なスキルが不要な営業職の募集が多く、就職難易度は低めです。

コミュニケーション能力や折衝力に自信のある方は、是非挑戦してみましょう。

ただし、価格競争に巻き込まれやすく、独自の強みやサービスが無い企業は淘汰されるので、注意が必要です。

入社する際は、「この会社にはメーカーや小売業者から支持される強みがあるのか」を慎重に確認しましょう。

就職に有利な学歴・大学学部

有名大卒業を条件とする大企業から、高卒・専門卒も対象となる中小企業まで、求められる学歴も様々です。

経済学部や商学部など、経営に関することを大学で学んでいると、選考でアピールしやすくなります。

総合商社のような大企業は倍率が高く、就職難易度も高いです。

就職を狙う場合は、インターンシップやOBなど、早め早めの対策が必要となります。

学歴にハンデのある方は、中小の卸売業者を狙うのが効果的です。

入社した企業で実績と経験を積んだあと、より大きな企業に転職することで、キャリアアップを実現できます。

基本的には特別なスキルが不要な業界なので、気になる企業は積極的に挑戦しましょう。

就職の志望動機で多いものは

「さまざまな人と繋がれる卸売業に興味を持った」、「モノを流通させることで経済の流れを支えたい」など、卸売業の特徴に根ざした志望動機が数多く見られます。

海外進出も行なっているトップ企業を目指す際は、留学経験や語学力など、アピール材料になる事柄を書く方が多いです。

志望者の多い業界なので、「なぜ卸売業界なのか」、「なぜ卸売業界の中で我が社を選んだのか」を採用担当は厳重にチェックしています。

それらをしっかりと明記し、自分が企業に貢献できることや将来のキャリアビジョンを志望動機で伝えると、評価も高くなるでしょう。

卸売業界の転職状況

転職の状況

転職活動では、営業職での経験や、特定の商品に対する知識があると効果的です。

営業職未経験、業界未経験歓迎の求人もあるので、比較的転職しやすい業界となっています。

しかし、どの企業も激しい競争を強いられているので、「これを最後の転職にしたい」と考えるなら、企業を慎重に選びましょう。

人と人とのつながりが重要な仕事なので、取引先や同僚を大切にする気構えが求められます。

転職の志望動機で多いものは

「特定の商品に関する知識を生かしたい」、「人に関わる仕事がしたい」という志望動機が、数多く見られます。

志望度の高い社員の場合、「貴社で取り扱っている商材に魅力を感じた」、「社員の人柄や社風に惹かれた」などより具体化した志望動機を作成しています。

人気企業の競争が激しい業界なので、しっかりと企業研究をし、ほかの志望者と差別化できる志望動機を作成しましょう。

転職で募集が多い職種

営業職の応募が、転職市場では一般的です。

ある程度の社会人経験とコミュニケーション力があれば、未経験可の求人なら内定は難しくありません。

数年以上営業職の経験がある方、特定の商品に関する知識を持っている方なら、企画職に挑戦することもできます。

事務職は人気が高く、募集があっても倍率は高めです。

もちろん、大企業の場合は、あらゆる職種の転職難易度が上がります。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

コミュニケーション力や信用を問われる仕事であり、交渉や折衝に従事した経験があれば評価されます。

基本的にはモノを売る業界なので、営業職として従事した経験があれば、面接でもアピールしやすいでしょう。

大企業を目指す場合は、前職で挙げた顕著な成果や語学力などのスキルが必要です。

中小企業では未経験歓迎の求人も多いので、未経験から挑戦したい場合は狙ってみましょう。

卸売業界の有名・人気企業紹介

三井物産

日本初の総合商社です。

鉄鉱石・ガス・石油などの資源を商材にしており、「資源の三井物産」とも呼ばれています。

戦前から国外へと進出してきた歴史を持ち、築き上げて来た国外ネットワークは他社の追随を許しません。

三井物産株式会社 ホームページ

日本出版販売

出版社と書店の間をつなぐ、書籍卸の最大手です。

「文化メディアの総合商社」を目指し、既存の常識に囚われない書籍を生み出しています。

近年は業界2位のトーハンと提携し、物流費の高騰などの問題に対処しています。

日本出版販売株式会社 ホームページ

PALTAC

全国のコンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアに日用品や医薬品を販売する、メディパルホールディングスグループの1社です。

年間30億個にも及ぶ商品を取り扱い、日本の小売業者を支えています。

近年はコスト削減や業務効率化に力を入れており、ロボットの導入にも積極的です。

株式会社PALTAC ホームページ

卸売界の現状と課題・今後の展望

競争環境

卸売業界は、メーカーから値上げ要求を、小売業者からは値下げ要求を受け、常に板挟みな状態にあります。

近年は、インターネット流通の発展で、直接小売業者と取引するメーカーも増えています。

「卸売不要論」も囁かれる中で、各社とも生き残りに必死なのが現状です。

利用してもらうためのサービスを提案し、商品情報のデータベース化・共有を進め、業務効率を改善する必要があります。

最新の動向

規模が大きい総合卸は、このような状況を打破するため、新たなビジネスの開拓や世界で活躍できるグローバル人材の育成を進めています。

IoTやビックデータのような最新技術への投資も進んでいますが、大きな効果が出るかは未知数です。

業種卸は、展開するサービスに付加価値を付け、顧客に利用してもらうための企業努力を続けています。

取り扱う商材の需要によって業績は変動するため、就職する際はどの分野に専門性がある商社なのか分析が必要です。

業界としての将来性

今後の卸売業界は、時代の変化や顧客のニーズに合わせ、柔軟に変化することができるかが成長の鍵となるでしょう。

どんなものでもビジネスに変え、形を変えていくという意味では、卸売業者の可能性は広がっているといえます。

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