人間科学とは? 大学で学ぶことや就職先は?

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人間科学の概要・理念

人間科学は、「人間とは何か」という根源的な問いを探求する学際的な分野の学問です。

研究分野には多くの切り口があり、人間の行動や社会との関わり方、環境との関係、身体と心といった、人間に関するほぼあらゆることが研究対象となり得ます。

研究にあたってアプローチする上での手法も幅広く、人文科学や社会科学はもちろんのこと、自然科学やスポーツ科学の理論を用いることもあるなど、文系・理系の枠にとらわれることなく課題を探求していくのが大きな特徴です。

このように、人間科学は特定の分野について掘り下げていくというよりは、幅広い分野を横断的に学びつつ、人間という大きなテーマについて考える学問なのです。

学問の歴史としては比較的浅いほうなので、十分に体系化されているとは言いがたい面もありますが、そのぶん新たな課題を自分の力で見つけ、研究テーマとして掲げていくことができる分野といえるでしょう。

人間科学は、人間について深く考え追究することを通して、時代の変化に左右されない本質的な思考力を育むことができる学問と見ることもできるのです。

人間科学で学ぶこと

人間科学で学ぶことは多岐にわたりますが、大きな柱としては心理学社会学教育学の3分野が挙げられます。

たとえば、人間の生と死をテーマに研究を進めるのであれば、人間の死が持つ社会的な意味合いや、生物学的側面から見た死、生命倫理学や文学における死の解釈といったように、多面的な視点から生と死を捉え、思考を深めていくのです。

場合によっては医学法学といった分野にも踏み込むこともありますので、文献を読み込んで理解するだけで相当な時間を要することもあります。

このように、人間科学における研究には決まった形や進め方はなく、文系・理系を問わずあらゆる学問分野の理論や手法を必要に応じて学び、研究に役立てていきます。

人間科学の大学での授業科目の例

社会心理学

社会における人の心と行動の関係について、科学的な手法を用いて研究します。

人間関係論

人と人との関係における感情や行動、あるいは組織の中での人間関係について考察します。

環境論

人間と自然環境の関係について研究し、人間社会が自然に与えている影響やその対策について学びます。

政治学

社会を形成する上で人々の利害を調整する役割を担う政治の在り方について考えます。

生態学

生物と環境の関係や生物同士の相互作用について、その法則や理論を探求します。

人間科学のレポート・テーマの例

人間科学はさまざまな切り口から人間について研究する学問ですので、レポートのテーマも多種多様です。

人間の身体と心について科学的に考察するものから、社会学的な視点から実際に調査を行った結果をまとめるものまで、形式や目的もさまざまです。

  • ・現代人と死の受容
  • ・障害者スポーツにおける問題点
  • ・学校・家庭での不適応を抱える児童生徒に対する支援について
  • ・SNS利用と性格特性
  • ・断食と健康指標

人間科学と関連する学問

人間科学の研究を進める上での大きな柱となる心理学、社会学、教育学の3分野は、言うまでもなく関連性が非常に高いと言えます。

他にも、研究テーマによって文学や倫理学、政治学、法学といった分野を参考にすることもあれば、医学や生物学、スポーツ科学といった分野の知見を活用することもあります。

端的に言えば、人間について深く考える上で役立つ学問であれば、ほとんど全ての学問が関わりを持つ可能性があると考えられます。

人間科学を学んで就職に有利な業界・仕事

人間科学の大きな特徴の1つに、文系・理系を問わない文理融合型の学問である点が挙げられます。

そのため、総合的な思考力や高い論理性が求められるシンクタンクやマスコミといった職業に就くにあたって、人間科学を通じて培ってきた論理的思考力が役立つことがあります。

ただし、人間科学を学んだ経験を活かしていくことができるのは、こうした専門性の高い職業に就く場合だけではありません。

世の中の多くの職業において、実は文系・理系を問わない幅広い知識やバランス感覚が求められる場面が非常に多いと言えます。

人間科学を学ぶことで物事を多面的に捉え、客観的な視点を持つためのトレーニングを重ねてきた経験は、社会に出て働く上で大変役に立つと考えられます。

このように、人間科学を学ぶことを通じて体得した知識や技能は、論理的思考力が求められる仕事はもちろんのこと、自分の頭で考え課題を見出していくという点で、あらゆる職業で活かせることでしょう。

人間科学の知識は人生でどう役立つ?

社会が成熟していくにつれて、専門性の高い学問を修めた人材が求められるだけでなく、さまざまな学問分野を横断的に学び、幅広い知見や教養によって複雑な課題に取り組むことのできる人材がますます必要とされるはずです。

文系・理系という壁はもちろんのこと、学問の分野ごとの壁も飛び越えながら、バランスよく思考を深めていくことが求められる時代になると考えられるからです。

また、将来的にはAIやロボットが社会の一端を担う時代がやってくることでしょう。

そのとき、「人間とは何か」という根源的な問いは、かつてないほど重要な意味を持つテーマとして注目されることでしょう。

未来の世の中を見据えて学んでおくべき学問を考えた場合、人間科学は有力な分野の1つになると考えられます。