日本文学(読了時間:3分45秒)

日本文学の概要・理念

日本文学は、わが国で生まれた文学作品全般を研究対象とする学問です。

ここで言う文学作品とは小説などの物語だけでなく、詩歌や戯曲、能楽といったジャンルの作品も含まれます。

文学作品には、それぞれの時代を生きた作家の感受性や思想が言葉によって刻まれています。

文学として体現されたメッセージを読み解き、解釈を試みるのが文学の原点と言えるでしょう。

ただし、読み方や解釈に正解があるわけではなく、多様な捉え方が可能なケースがほとんどです。

著名な作者や作品ともなると、とてつもない数の研究者が1つの作品を論じていたり、膨大な量の先行論が存在したりすることもめずらしくありません。

自身の解釈を理論的に説明し、客観的で説得力のある論として構築していく必要があります。

文学作品を掘り下げていく過程において、自分自身と深く向き合い、生き方や考え方を研鑽していくことができるのが、文学を修める上での魅力の1つと言えるでしょう。

日本文学で学ぶこと

文学の研究にはさまざまな切り口があります。

作品を解釈するために深く読み込むだけでなく、その作品が書かれた時代背景や当時の風俗、作者の思想や人物像を追究していくこともあります。

同時代を生きた他の作家との比較や、作家自身が影響を受けた作品や作家と比較しながら研究する場合もあります。

さらに、作品を構成する語彙や音節といった言語学の方面から研究を進める方法もあります。

このように多彩な方法が考えられる文学研究の基本的な手法について学んだのち、時代やジャンルを絞り込んだより専門的な研究へと進んでいきます。

3年次以降になるとゼミが始まり、自分が興味を持ったテーマについての研究を進め、卒業論文の執筆の準備へと入っていきます。

日本文学の大学での授業科目の例

中古文学

『源氏物語』に代表される平安時代の物語や、和歌を中心とした文学作品の研究方法について研究します。

中世文学

『平家物語』『徒然草』といった鎌倉・室町時代の文学作品の特徴について研究します。

近世文学

江戸時代に成立した文学作品の鑑賞方法や、くずし字を読解するための技能を習得します。

近現代文学

明治〜昭和・平成に至るまで、各時代の代表的な作品や作家を取り上げて研究します。

漢文学

中国の古典である漢詩文などの漢文学について、読み解くための知識や技能を学びます。

国語学

日本語の成立過程や文字・音声の特徴、方言研究といった日本語全般についての研究を行います。

日本文学のレポート・テーマの例

日本文学のレポートは、文学作品に着目する作品論と、作者に着目する作家論に大きく分けられます。

作品論は特定の作品またはいくつかの作品を深く読み解いて書く必要があります。

作家論となると、研究対象とする作家の作品を読んだ上で書く必要があります。

  • ・『古事記』における神々の呼称について
  • ・『たけくらべ』論
  • ・三好達治論
  • ・大江健三郎「同時代ゲーム」論
  • ・日本語方言における挨拶言葉の研究

日本文学と関連する学問

日本文学は、心理学・哲学・歴史学などの学問と関わりのある学問です。

作品内の描写や作家研究を行う際、なぜそのように考えるに至ったのかを心理学の見地から分析する場合があります。

また、作家が生きた時代に主流だった哲学に影響を受けていることが少なくないため、とくに作家研究においては哲学が重要な背景知識となることがあります。

同様に、作家が生きた時代や作品が読まれた時代背景に関する基礎知識が必要になりますので、歴史学の知識が求められることもめずらしくありません。

日本文学を学んで就職に有利な業界・仕事

日本文学は実学ではないため、就職に有利にならないと言われることがありますが、一概にそうとも言い切れないところがあります。

国語科の教員を目指すのであれば、日本文学を学んだことで得た知識は授業や教材研究において活かすことができます。

新聞社の記者や出版社の編集者といった言葉を扱う仕事においても、多くの文学作品に触れてきた経験が良い方向に働く可能性があるでしょう。

別途資格を取得する必要がありますが、図書館司書を目指す場合も、文学作品に関する広範な知識を持っていることは有利になりやすいと言えます。

日本文学の知識は人生でどう役立つ?

日本文学は長く歴史を持ち、各時代で多くの先人が人生そのものを作品として残してきました。

そういった先人たちの感性に触れた経験は、その後の人生において壁にぶつかったとき、多くの言葉となって自分自身を救ってくれるはずです。

また、豊かな語彙や表現力を持っていることは、コミュニケーションを図る上で重要な要素です。

自分の言葉で自身を表現し、人に思いを伝える力は、どのような場面においても対人関係の中で役立ってくことでしょう。

企業の重役や経営者の中には、文学が好きな人も多くいます。

若いときに文学作品を深く追究した経験が、人生経験豊富な先輩方と話す際に話題の引き出しとなり、思わぬところでチャンスをつかむきっかけになるかもしれません。

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