医療機器業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





医療機器業界とは

医療機器とは、医療の様々な場面で使用される機械一般のことを指します。

そのため、使用される目的や場面によって、その種類や特徴は様々です。

現在、世界的な高齢化社会と医療の高度化に伴い、医療機器業界へのニーズは例年高まりを見せています。

それに呼応するように業界内の技術力も成長傾向にあります。

例えば、自動手術ロボットの開発や、新しい検査技術の開発など、これまでになかった高度な医療技術の開発も進められています。

医療機器業界は今後どんどん発展していくと考えられる、成長業界といえます。

また、医療機器業界の特徴として、社会的な貢献度が高い業界であるということも言うことができます。

医療機器として扱う中心は、医療機関において診察や検査、あるいは治療に使用される機械です。

そのため、医療機器の発展は、そのまま医療の発展に直結しています。

自分の開発した機械が使われることによって、患者さんの病気の発見や治療、予防に役立つことができるという点は、大きなやりがいとなることでしょう。

医療機器業界の役割

世界的に医療に対するニーズが高まりを見せる中、医療機器業界の担う社会的な役割も大きくなってきています。

最も大切な役割は、医療の安全性を守るということです。

病院へ行って、正しい診断を受け、効果的な治療を受けることができるという安心感は、一人ひとりの生きる上でとても重要です。

このとき、診断の正確性を守っているのが、レントゲンや内視鏡といった検査機器、治療の有効性を守っているのが、透析機器や手術機械などの治療機器です。

医療というと、医師看護師といった業種が思い浮かびますが、医療機器業界も、医療の安全性においてとても重要な役割を担っているのです。

また、医療機器業界の特有の役割として、新しい医療のスタンダードを作る、というものもあります。

医療機器の技術や正確性が向上すれば、これまで発見や治療が難しかった病気への診断・診療方法が変わります。

それによって、私たちが受けることができる医療の質も上がっていきます。

このように、これまでにない高度な医療を実現することも、医療機器業界の大切な役割の一つです。

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医療機器業界の企業の種類とビジネスモデル

一言に医療機器といっても、その種類や用途は多岐に渡ります。

小さなものでは、注射針や点滴バッグ、大きなものでは検査用のCTの機械や手術用ロボットなどが含まれます。

そのため、同じ業界であっても、扱う機器の種類によって仕事内容やビジネスモデルは大きく違ってきます。

検査・診断機器

検査・診断機器は、レントゲンやCT、内視鏡といった、検査に使用する機械のことをいいます。

この分野では国内開発の機器のシェアが高く、日本で盛り上がりを見せている分野です。

例えば、消化器内視鏡の機械では、カメラでも有名なオリンパス株式会社が世界シェアの7割を占めています。

患者さんの診断に関わるとても重要な機械であり、より高い正確性が求められ続けています。

新しい技術の開発や、既存の技術の向上により、これまでには発見できなかった病気の発見・診断が可能になることで、患者さんの治療の可能性が広がるという、大きなやりがいを感じることができる分野です。

治療機器

治療機器は、人工透析の機械やペースメーカー、がんに対する放射線治療機械など、患者さんの治療に使用される機械のことをいいます。

人工透析に使用される機械では、ニプロ株式会社やテルモ株式会社が有名です。

また、手術ロボットや移植に使用される機械もこちらに分類されます。

この分野の技術が向上することで、患者さんの治療や生活の質が上がったり、これまでには助けることが難しかった患者さんを助けることができるようになったりします。

治療機器は特に人の命や生活と直結しているものが多く、強い責任感も生じますが、社会に貢献している実感も大きい分野です。

施設用機器

施設用機器とは、手術台や処置台など、医療施設に必要な設備のことを指します。

この分野では、ミズホ株式会社や株式会社セントラルユニといった企業があります。

検査機器や治療機器に比べると一見地味なようにも見えますがこの施設用機器の使い勝手が向上することで、医療の質が上がります。

また、機器の工夫により医療ミスを防ぐこともできます。

先進医療の開発といった華やかさとはまた違いますが、医療現場において欠かすことのできない分野なのです。

医療機器業界の職種

医療機器業界で働く職種は、その専門性に応じてとても広く様々な職種が存在しています。

また、会社によっても、存在している職種が少しずつ違ったりします。

ここでは、この分野の特徴的な職種を3つ紹介します。

研究・開発職

新しい技術や医療機器の開発、あるいは既存の機器の質の向上を研究・開発する職種です。

ある意味医療機器業界の花形といえる職種ともいえます。

専門性がとても高く、専門の勉強・研究をしてきた人が求められます。

法律職

医療機器の特許など、法律に関わる分野を担うスペシャリストです。

医療技術と特許、薬事法などの法律は切り離すことができません。縁の下の力持ちとして、なくてはならない存在なのです。

こちらも、法律の専門的な教育を受けてきた人材が担うことが多いです。

営業職

開発された機器を導入してもらえるよう、医療機関に対して営業を行ったり、既に導入している医療機関に対するサポートの窓口になったりといった、対外的なやり取りを行う職種です。

医療機関や機器を使用している患者さんとのやり取りを一手に引き受ける、いわば企業の「顔」となる職種です。

大学などでの専門性に関わらず、様々な人材が活躍しています。

医療機器業界のやりがい・魅力

このようにとても特徴的な業界である医療機器業界ですが、そのやりがいや魅力はどこにあるのでしょうか。

普段身近に触れることの少ない業界ですが、実はとても魅力あふれる業界なのです。

医療の発展に寄与できる

医療機器の発展は、そのまま医療の発展に直結します。

検査や治療に使用する機器が発展すれば、それだけ検査の制度が上がったり、治療効果が高まったりという結果が期待できます。

医療の発展により、多くの人の病気が治り、命を救うことができるようになるということです。

その発展に自分が貢献できているという実感は、他の何でも得ることのできない大きなやりがいです。

役に立っていることを実感できる

医療機器は、病気を抱える人にとってなくてはならないものです。

医療機器業界で働く中で、そのような患者さんやその家族から感謝の気持ちを伝えられることも少なくありません。

特に、患者さんが自分で扱う治療機器のメーカーなどでは、実際に使用している患者さんと手厚く関わることもあります。

そういう場合には、自分が関わる製品がその人の生活や生命に必要とされていることを身をもって実感することができるでしょう。

成長分野である

医療機器業界は、広い意味で医療業界の一部です。

世界的に高齢化が急速に進んでいます。

今後、健康に対するニーズはなくなることはありませんし、高齢化が進めば、今以上に医療の必要度が上がります。

これからの医療の発展を担う医療機器業界は、どこよりも今後も発展性のある、成長業界であると言えます。

医療機器業界の雰囲気

医療機器業界で働く人には、様々な人材がいます。

たとえば、研究分野であれば、細かいことにしっかりと気が付く、まじめで凝り性の人材が向いています。

あるいは、営業職は対人コミュニケーションに長けた、明るい人材が求められているでしょう。

実際に医療者や患者さんと関わる職種ですから、相手の希望や思いをくみ取る力や、信頼感を与えるような物腰も必要です。

現場での仕事を支える、事務系の人材にも、医療分野らしくしっかりとした人が多いのが特徴です。

医療という、とても責任ある分野を担う人材ですから、全体的にまじめで責任感のある人が多く見られます。

また、外資系のメーカーなどでは、日本企業に比べ自由な社風の企業も多く、社員が自分らしく働いているのも特徴のひとつです。

医療機器業界に就職するには

それでは、実際に医療機器業界に就職するにはどうすれば良いのでしょうか。

業界全体の状況も交えつつ紹介します。

就職の状況

医療機器業界は安定して成長が見られる業界です。

人材の需要も常にあり、採用数も安定しています。

不況など経済の影響を受けにくい分野でもありますから、経済全体の状況に関わらず、安定して求人が存在するのも特徴のひとつです。

人気の分野でもありますので、就職は簡単とは言えませんが、求人がないわけでもありません。

しっかりと対策をして臨めば、充分採用の可能性が期待できる業界と言えます。

就職に有利な学歴・大学学部

医療機器業界の就職に有利な学部は、希望する職種によって大きく異なります。

研究職を希望する場合は、大学でもそれに近しい研究を行ってきたことが求められることが多いです。

例えば、機械の開発や運用、システム開発などです。あるいは、医療系の学部も評価されることが多いようです。

具体的には、理工学部生物学部、薬学部などの出身者が活躍している職種です。

営業職であれば、専門知識よりも、コミュニケーションスキルが重視される傾向にあります。

医療者や患者さん本人のニーズや不安を理解し、解決策を提案することが仕事ですから、相手の気持ちを汲み、解決方法を検討する力が必要です。

また、機器に関わる知財や法律関係の管理部門もあります。

こちらは、法学部など、法律についてしっかりと学んできた経験が生かされる職種です。

就職の志望動機で多いものは

医療機器業界の志望動機で多いのは、「安定性」と「社会的貢献度」です。

今後予想されるさらなる高齢化社会において、医療機器業界は長く安定して成長を続けていく業界であると考えられます。

また、より良い医療の開発・提供を担う業者として、社会的貢献度は大変高いことは間違いありません。

多くの学生がこの業界を志望する理由としてこちらの2点を挙げると考えられます。

この業界を第一志望として強くアピールしたいのであれば、さらに一歩踏み込んだ志望動機が必要です。

例えば、医療業界の中でもなぜあえて医療機器なのか、どのように貢献したいのかを具体的に伝えられると、他の志望者に少し差をつけることができるでしょう。

医療機器業界の転職状況

もちろん、新卒採用以外でも、医療機器業界で活躍している人材は多くいます。

医療機器業界は、業界内や別の業界など、様々な分野からの転職者が働いている業界です。

現在別のキャリアでも、これから医療機器業界を目指すことは充分に可能です。

転職の状況

医療機器業界の求人は絶えることなく、常にどこかしらが人材を募集していると考えて良いでしょう。

とはいえ、それは人材がどんどん辞めてしまう、大変な業界だからというわけでもありません。

常に新しい人材が必要なくらい、業界が成長しているということです。

専門的な内容も多い業界ですから、業界内での転職も多く見られます。

しかし、別の業界からでも、それまで培ってきたキャリアをどう生かすか、そしてなぜ医療機器業界を志望したのかをしっかりと伝えることができれば、充分に採用が期待でいます。

転職の志望動機で多いものは

転職の場合も、志望動機で最も多いのが、「安定性」と「社会貢献度」です。

しかし残念ながら、これだけでは、なぜ医療機器業界を志したのか、本当のところが伝わりません。

このふたつは、志望者ならば全員が口にすることができるくらいの、特徴のない志望動機です。

自分が医療機器業界を目指すきっかけも含め、志望動機は具体的なエピソードやその時の感情なども交えながら、情熱的に語るのが良いでしょう。

転職で募集が多い職種

医療機器業界には、関わる職種がとても多く存在しています。

どの職種も求人はありますが、特に多く募集されるのが、営業職です。

営業職は、実際に医療機器を使用する医療機関へ商品の提案を行ったり、導入済の機器の保守・運用に当たって、窓口になったりといったことが業務の中心となります。

在宅で使用する医療機器などでは、使用している患者さんとのやり取りを担当する場合もあります。

機器や医療に関する幅広い知識が必要で大変な職種ではありますが、実際の使用者に直接関わることができるため、やりがいを感じやすい職種でもあります。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

医療機器業界への転職において、最も有利なのは、やはり医療知識や機器に関する知識です。

機械の開発経験があったり、医療系の資格を持っていたりといった場合は、転職にも大変有利になります。

そのような専門知識や資格がない場合でも、営業の経験や、法務の経験など、これまでの実務経験が生かせる職種への応募であれば、他業種であってもキャリアとして認められる可能性が高いです。

医療機器業界の有名・人気企業紹介

医療機器業界の企業には、どのようなものがあるのでしょうか。

なかなか普段意識しないと思いますが、実は誰もが知っている企業が多く存在しています。

今回は、中でも医療機器業界で存在感のある企業を3つ紹介します。

オリンパス

前項でも紹介したとおり、カメラで有名なオリンパスは、消化器内視鏡の第一人者です。

世界規模で見ても、そのシェアは7割以上。

消化器内科領域においては、なくてはならない存在です。

オリンパス ホームページ

テルモ株式会社

医療機器メーカーとして最も知名度のある企業のひとつに、テルモ株式会社があります。

幅広い分野の医療機器を扱う企業ですが、特に心臓血管領域に強く、カテーテルやステントなどといった医療材料も取り扱っています。

在宅で行える人工透析の機器も有名です。

テルモ株式会社 ホームページ

オムロン

医療関係者に、「血圧計メーカーと言えば?」と問えば、ほとんどがオムロン、と答えるでしょう。

家庭内血圧計の分野では、なんと世界シェア50%を誇るメーカーです。

医療機器の他にも、電子部品や車載電装部品など、幅広い分野を手掛ける企業です。

オムロン ホームページ

医療機器業界の現状と課題・今後の展望

今回は、医療機器業界について説明してきました。

最後に、医療機器業界を取り巻く現状と、今後の展望について紹介します。

競争環境

医療機器は世界的に注目度が高く、様々な国で研究・開発が行われています。

また、優れた技術であれば国を問わず世界中に輸出可能です。

そのため、医療機器業界においては競合は国内メーカーだけでなく、国外メーカーも含まれます。

競争相手が多い分野でもありますが、その分、日本企業の製品についても、海外の市場でも広く展開されています。

競合の多い分野であはりますが、世界的にニーズが高く、大変優良な市場であると言えます。

最新の動向

医療機器分野においては、常に新しい技術の研究・開発が行われています。

現在最も注目を集めているのは、手術ロボットに代表されるような、高度な技術を必要とするテクノロジーです。

医療の分野だけでなく、工学分野とも連携しながら、より精巧で緻密な作業を行うことができる機器の開発が求められています。

業界としての将来性

何度もお伝えしている通り、医療機器業界の特徴はその成長性です。

現在、社会は世界的にかつてないほどの高齢化社会であり、今後もその傾向は続くと考えられています。

そのため、医療分野のニーズは日々高まり続けています。

社会に対し、よりよい医療と新しい技術を提供する医療機器業界は、そのニーズに応える存在として大変注目されています。

技術の革新に伴い、業界自体も成長を続けていくと考えられます。

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