園芸学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
園芸学の概要・理念
園芸学は農学の一分野であり、野菜・果樹・花きといった園芸作物に関する研究を行う学問です。
園芸作物の生態など自然現象の解明を進める一方で、観賞植物としての文化・芸術的側面についても扱います。
たとえば、花の形や色といった見た目上の特徴は、植物の持つさまざまな機能や性質によって決定付けられています。
こうした機能や性質を理解するとともに、人為的に制御する手法について実習を交えながら解明していきます。
園芸作物の苗や球根の管理、鮮度保持、生産技術などに関しても、安定的に観賞植物を供給するためには欠かせない知識・技能となります。
遺伝学的特性や生理・生態学的特性について研究しながら、実際に園芸作物として市場に供給するための植物の育成や新品種の開発にも携わります。
また、広い意味では庭園や環境についても研究テーマとして取り上げられることがあるなど、園芸植物に関する総合的な研究を行う学問として発展を続けています。
園芸学で学ぶこと
園芸作物の栽培や育種について、伝統的な園芸作物の育て方や機能を体系的に学び、知識を深めることで園芸学の基礎的な知識を習得していきます。
栽培・管理の手法に関しては日進月歩の分野であることから、品種改良や遺伝子操作といった技術を併せて学びます。
園芸作物が育つ環境という切り口から研究を進める場合、生物学・化学・物理学の理論を総合的に活用しながら、生産環境の構築や管理に応用していきます。
学ぶ内容は生物学や農学と隣接するものも非常に多く、園芸作物に関わる学問領域を総合的に学ぶといったイメージです。
また、園芸作物を実際に育てて観察・検証する実習も盛んに行われており、座学に留まらない実践的な技能を習得する機会も豊富にあります。
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園芸学の大学での授業科目の例
落葉果樹栽培論
リンゴ・モモ・ブドウといった落葉性果樹類について、その生態や栽培方法を研究します。
花弁開花制御論
花を咲かせる植物の開花時期や頻度を制御し、観賞植物として必要な機能を持たせるための研究を行います。
植物生物学
生物学のうち、とくに植物に関する研究を行う学問であり、植物の形態や発生、生理、育成地域、生態について総合的に学びます。
害虫防除論
園芸作物を害虫からどのようにして守り、いかにして健康な作物を育てるかを研究します。
細胞遺伝学
細胞学によって解明された事実と遺伝学における理論との比較を行うことにより、遺伝現象の機構を研究します。
園芸学のレポート・テーマの例
園芸学の研究領域は園芸作物に関するあらゆる分野が関わることから、レポートのテーマについても多岐にわたっています。
実際に園芸作物を育て、観察を通じてレポートを作成する場合もありますので、数ヶ月単位の期間をかけてレポートを仕上げていくこともめずらしくありません。
- ・野菜の生育制御
- ・花色の決定要因について
- ・植物の老化について
- ・球根の休眠に関する解析
- ・植物工場における環境制御法
園芸学と関連する学問
園芸学はもともと農学の一分野として発展してきた背景があることから、農学との関わりは非常に深く、農学の研究領域と重なる部分も数多く見られます。
また、園芸作物の機能や性質を解明する上で、生物学の知識は必須となります。
現代における園芸学は遺伝子レベルでの研究も盛んに行われていることから、遺伝子組み換えなど最先端の研究成果を応用する場面も多く見られます。
さらに、園芸作物を育てる環境や、園芸作物が環境に与える影響について考える場合には、環境科学など隣接する学問の知識や先行論を参考にすることも少なくありません。
園芸学を学んで就職に有利な業界・仕事
園芸学を学んだ人に人気のある仕事の1つに公務員が挙げられます。
農林水産省や経済産業省といった省庁で国家公務員として勤務する場合、あるいは県庁や市役所といった自治体の職員として勤務する場合、園芸学の知識を活かして活躍できる場面があります。
食品メーカーや製薬会社、化粧品メーカーといった業種においても、生物系の知識を活かせる仕事がありますので、園芸学で学んだことが活かせるでしょう。
このように、園芸学を学んだからといって必ずしも園芸関係の仕事に就くとは限らない傾向があります。
人数としては多数派ではありませんが、種苗メーカーや観賞植物の供給業者、造園業といった園芸関係の仕事に就く人もいます。
また、広い意味では流通に関わる分野であることから、小売や流通といった業種で活躍する人もいます。
園芸学を通じて得た知見や技能は文系・理系を問わない総合的な力として発揮できるものですので、就職に際しても幅広い分野で活かしていくことができます。
園芸学の知識は人生でどう役立つ?
園芸作物をはじめとする産業植物は、そう遠くない未来には企業的大規模生産が行われる時代がくるといわれています。
現在も工場で作物を栽培する研究は着々と進められていますので、こうした生産方法が実現したときに指導的な役割を担う人材や実務を担当する人材が必要となることが予想されます。
これまでになかった方法での生産が実用化されると、その分野の専門知識を持つ人材が重宝されるのは、過去にあった別の分野の事例を見ても明らかです。
また、園芸作物は私たちの暮らしに比較的身近なところにある植物です。
季節ごとに園芸作物を観賞するのはもちろんのこと、その背後にある技術や技能に思いを馳せることができるのも、園芸学の専門知識があってのことでしょう。
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