大学院の志望理由の考え方・例文

大学院に出願する際に提出する書類の1つに志望理由書があります。

志望理由書は、大学院進学の可否を判断する上で重要な資料となります。

また、面接試験の際には志望理由を必ず聞かれますが、答える内容が志望理由書と一致している必要があります。

大学院の志望理由はどのように考えればいいのでしょうか。

具体的な例文とともに確認しておきましょう。





大学院の志望理由書を提出する目的とは?

的確な志望理由を準備するためには、志望理由を問われる目的や理由を正確に理解しておくことが大切です。

志望理由を考えておく目的は、志望理由書の提出を求められる理由と同じと考えて差し支えありません。

そこで、大学院に出願する際になぜ志望理由書の提出を求められるのかを確認しておきましょう。

志望理由書を提出する主な目的として、次の3点が挙げられます。

なぜその大学院・研究室に入りたいのか伝えるため

志望理由とは「なぜその大学院に入りたいのか」を指しています。

大学院は大学以上に専門性の高い研究を行う機関であり、知識や技能を「学ぶ」「教わる」のではなく「研究」するための場所です。

そのため、志望理由においても「学びたい」ではなく「研究したい」テーマがあることが非常に重要な要素となります。

また、将来やりたいことや就きたい仕事があり、その目的を達成するために専門性の高い研究に取り組んでおく必要がある、といった志望理由は説得力があります。

注意しておくべき点としては、どの大学院でもいいのではなく「その大学院・研究室でなくてはならない理由」になっていることが挙げられます。

大学院側としては、志望理由書に記載されている研究テーマが受け入れ可能なものかどうか確認する上で、志望理由書の記載内容は重要な判断材料となります。

研究内容に論理性や客観性があることを知ってもらうため

大学院では専門性の高い研究に取り組むため、先行論に見られない新規性に富んだ研究テーマが求められます。

研究の専門性が高くなればなるほど、研究成果を世の中に認知してもらうための難易度も高くなる傾向があります。

大学院を志望する時点で、研究に値するテーマかどうか、独りよがりの研究内容ではないかが厳しく問われると考えていいでしょう。

志望理由書においても、掲げている研究テーマが論理的に説明されており、研究内容に客観性が感じられることが大切です。

見方を変えれば、一定以上の知識がある人であれば、誰が読んでも理解できるだけの論理性・客観性のある志望理由になっている必要があります。

大学で所属していた研究室・ゼミの指導教授しか理解できないような志望理由は、志望理由書に記載する内容としてふさわしくありません。

大学院での研究に対する熱意を認めてもらうため

入りにくく卒業しやすい大学とは異なり、大学院は「入りやすく卒業しにくい」と言われています。

大学院を修了するには、修士論文や博士論文が審査に合格し、研究成果が認められなくてはならないからです。

何年間にもおよぶ研究では指導教授がやるべきことを教えてくれるわけではなく、取り組むべきことを自主的に見つけて進めていくのが基本です。

研究内容が高度なものほど、答えのない問いに取り組まなくてはならない場面も多くなるはずです。

そのため、継続的に研究を進めて成果を挙げるには「どうしてもこのテーマを研究したい」「必ず研究成果を残したい」といった強い熱意が必要とされます。

志望理由書においても、大学院に入って研究に取り組む姿勢や熱意の部分は重要視されると考えていいでしょう。

大学院の志望理由を考える3つのポイント

大学院の志望理由を考えるにあたって、志望理由書を提出する目的に合った内容になるようポイントを押さえておくことが重要です。

1つの方法として、クリアしておくべきポイントを先に書き出してから文章にまとめることにより、抜けや漏れのない志望理由にすることができます。

そこで、大学院の志望理由を考える上でとくに重要な3つのポイントをまとめました。

志望理由を考える際は、これらのポイントについて箇条書きにした後で文章にまとめていくといいでしょう。

研究テーマを定めた理由・きっかけ

大学院での研究テーマは、基本的には大学で取り組んできた研究が土台となります。

テーマをより深く追究する上で、大学での研究だけでは十分ではなかったことが大学院進学の重要な動機となるわけです。

そのため、まずは大学で取り組んできた研究に対してどのような問題意識を持ち、より深く追究したいと思い至ったのかを書き出しておきましょう。

将来の希望進路や就きたい仕事があり、研究の専門性を生かしたいのであれば、そのために大学での研究をより深めたいという理由もあり得るでしょう。

反対に、研究テーマを定めた理由が漠然としており、なぜ研究したいと思い至ったのかが不明確だと、面接試験でほぼ確実に追及されることになります。

なぜその研究テーマを定めたのか、研究に取り組む上で志望する大学院の研究室がなぜ最適と言えるのかが伝わることが大切です。

具体的な研究対象と研究の進め方

研究に対してある程度の見通しが立っていることも重要です。

どれほど研究テーマが立派に見えても、実際に研究を進めるにあたって具体的な方策がなければ、研究が成就する可能性は低くなってしまいます。

研究テーマを追究するために具体的に何を研究対象とするのか、研究を進めるにはどのような方法をとるのかを整理しておきましょう。

詳細については研究計画書にまとめることになりますので、志望理由としてはそのエッセンスの部分を取り入れるようにします。

大学院側としては、希望する研究対象や研究の進め方に合致した環境を提供できるかどうかを判断するための材料にもなります。

進学後のミスマッチを防ぐためにも、研究対象と研究の進め方はできるだけ具体的に詳しく考えておく必要があります。

修了後に研究内容をどう生かしたいか

大学院での研究内容を将来どのように生かしていきたいか、具体的に考えておくことも欠かせません。

たとえば研究開発職に就いて専門性を生かしたり、博士課程や研究職に進んだりする道が考えられます。

大学院修了後の見通しが立っていることは、研究に取り組む上でのモチベーションにもつながりますので、具体的であればあるほど志望理由として説得力が増します。

また、取り組んできた研究を世の中に還元できる人材を輩出していくことを目指している大学院も多いため、研究機関として大学院が目指している方向性と合致することも考えられるでしょう。

大学院での研究は修士課程であれば最短で2年間、博士課程を合わせても最短で5年間と期間が限られています。

修了後の見通しや目的意識を強く持っていることは、研究成果を挙げる上で重要な要素と判断される可能性が十分にあります。

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大学院の志望理由の例文

大学院の志望理由として、文系・理系それぞれのケースで例文を紹介します。

いずれの例文も、次の流れで構成されています。

《志望理由の構成例》

① 志望理由・研究テーマを定めたきっかけ
② 将来の目標・研究をどう生かしたいか
③ 大学での研究内容
④ ②に対して③で不足していること
⑤ 研究対象・研究の進め方・熱意
⑥ 志望する大学院・研究室が適している理由

基本的にはこの構成に沿って志望動機を考え、文章にしていくといいでしょう。

文系大学院の志望理由の例文

「私は国際経営に関する研究に取り組みたく、貴学の経営研究科を志望いたします。

将来、外資系企業のローカライズや長く存続してきた日本企業のグローバル社会への対応といった課題解決に寄与できる経営コンサルタントになりたいと考えております。

大学では経営学部にて、国外のビジネスモデルを自国で展開し成功した事例について研究してきました。

学部に在籍してきた4年の間にも企業経営を取り巻く環境は急速に変化しており、4年前の成功事例が現在では古めかしくなってしまった事例は枚挙に暇がありません。

今後、5G通信網の整備状況やEVの普及状況などが各国・各地域でのテクノロジーの発展に影響を及ぼし、主要なビジネスモデルが大きく転換していく可能性が高いと思われます。

この急激な変化に適応できる経営コンサルタントとなるには、これまで得た知見をさらに深め、かつ現在のビジネス環境における実態に即した研究を進めておく必要性を感じております。

具体的には自動車関連産業を研究対象とし、EVの普及がそのビジネスモデルに与える影響について、スマートフォン普及時の事例と比較しながら研究を進める予定です。

日本経済の屋台骨として貢献してきた自動車産業への影響は、今後のビジネス環境を考える上で看過できるものではなく、本研究はコンサルタントとして重要な素養となると確信しております。

自動車関連産業に造詣の深い〇〇教授が率いる貴学の経営研究科であれば私が目指す研究を実現できると考え、志望いたしました。」

理系大学院の志望理由の例文

「私は貴学にてデータサイエンスの研究に取り組みたく、情報工学研究科を志望いたします。

産業界におけるビッグデータ活用は実用化が始まったとはいえ、現段階では日々蓄積されていくデータを十分に有効活用できているとは言いがたい状況と考えております。

今後、ビッグデータ活用の可能性とその応用範囲はますます広がっていくと考え、データサイエンスの中でも生体の個体識別と行動分析をテーマに研究に取り組む所存です。

学部では主に時系列解析の手法と、取得したデータの抽出・活用方法について研究してきました。

これを実用レベルまで引き上げるには、企業との連携も視野に入れた実証実験を行う必要がありますが、学部では理論の研究に留まっていたのが実情です。

大学院では、生体の個体識別と行動データの解析により、無人店舗などに転用可能な技術を実証実験も視野に入れて研究したいと考えています。

労働人口が減少していく今後のわが国において避けて通れない重要な技術となること、その発展に大きく寄与する研究になると確信しております。

貴学の情報工学研究科は過去にも企業に協力を仰いで実証実験を実施され、実用化された事例を豊富にお持ちです。

ぜひ貴学の研究環境を活用させていただき本研究に着手したく、貴学の情報工学研究科を志望いたします。」

この記事のまとめ

大学院入試において、志望理由は合否を分ける重要なものと位置づけられます。

志望理由書を作成する際に必要となるだけでなく、面接試験の際にも志望理由を明確に伝えなくてはならないからです。

必要な要素を抜け・漏れなく盛り込んだ説得力のある志望理由書を作成できるよう、志望理由の意義や伝えるべき内容を改めて確認しておきましょう。

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