大学の「ゼミ」とは? 授業との違いは?

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大学のシラバスや授業案内を見ると、講義のほかに「ゼミ」という時間があります。

高校までの授業にはなかったゼミとは、どういった研究をするための時間なのでしょうか。

また、その他の授業とゼミの違いはどういった点にあるのでしょうか。

大学のゼミについて、学部ごとの特徴やゼミの選び方なども含めて確認していきましょう。

大学の「ゼミ」とは?

大学のゼミは、主に3・4年次を中心に設定されています。

講義とは名称が異なることからも分かる通り、ゼミではその他の授業とは違った考え方で研究が進められます。

ゼミとは何かを理解することによって、希望する学部・学科の特徴をより明確に捉えられるようになることもあります。

ゼミと授業との違いや、ゼミで行われる研究の特徴について理解しておきましょう。

「ゼミ」と授業との違い

大学の授業には、大きく分けて座学の講義と実習・実験の2つがあります。

講義とは、教授の話を聞き、ノートを取りながら知識を習得していく形の授業です。

形式としては、高校までの授業に近いイメージと考えていいでしょう。

実習・実験では、教室以外で調査を行ったり、実験室で実験器具を使って検証を行ったりします。

これらの授業に共通しているのは、あくまで教授が主導しており、学生は教授から知識や知見を分け与えてもらっているという点です。

一方、ゼミでは学生が自ら研究テーマを掲げ、各自のテーマに沿って研究を進めていきます。

ゼミには担当教授がつきますが、あくまで学生の研究に対する助言をする役割を担っているという点で、他の授業とは異なっているのです。

学生が主体的に学ぶための場

ゼミでは、学部・学科の専門的な領域の研究が行われます。

1・2年次の授業で習得してきた基礎知識をもとに、学生が自ら研究テーマを設定し、探究していくことを目的としています。

ゼミ以外の授業では、授業ごとに科目やテーマが決められていたのに対して、ゼミでは学生が主体性を持って自分の研究に取り組む点が大きな違いです。

したがって、研究テーマだけでなく、具体的に研究をどのように進めるかに関しても、基本的には学生に任せられています。

研究テーマがあまりに壮大すぎる場合や、研究の進め方が適切でないと思われる場合は、指導教授から助言を受けることもありますが、原則としては学生が自ら考えた進め方で研究が行われると考えていいでしょう。

教養系のゼミと専門研究系のゼミがある

ゼミには大きく分けて教養系のゼミと専門研究系のゼミがあります。

教養系のゼミでは、参考文献の調査や学生同士のディスカッションなどを通じて、研究テーマを深めていくことに主眼が置かれます。

一方、専門研究系のゼミは研究室での実験など、実践的な研究が行われることもあります。

学部・学科によって一概には言えませんが、一般的には文系学部では教養系ゼミが多く、理系学部では専門研究系ゼミが多くなる傾向があります。

また、ゼミは授業と比べて少人数制で行われるケースが多く、とくに専門研究系のゼミでは限られた人数で研究室を共有し、研究を進めることが少なくありません。

教養系のゼミは選択するゼミによってさまざまですが、中には講義と同じくらいの大勢が参加する場合もあります。

そのため、教養系のゼミの中には、実質的に講義とあまり変わらない形式で進められるゼミも見られます。

卒業論文の作成にゼミが大きく関わる

大学でのゼミが重要な理由の1つに、卒業論文の作成に大きく関わる点が挙げられます。

ゼミで研究したテーマを発展させて卒業論文にまとめたり、場合によってはゼミでの研究をそのまま卒業論文として提出したりすることもあります。

就職活動に際しても、大学でどのような研究に取り組んできたかを伝える場合、ゼミでの研究内容や卒業論文として予定しているテーマについて話す学生が多く見られます。

このように、ゼミは大学での学びの集大成として位置づけられている面があるのです。

まれに、ゼミの指導教授が就職についてアドバイスしてくれたり、場合によっては就職先を紹介してくれたりすることもあります。

授業と比べると教授との距離が近く、深く話し合うことも多くなりますので、将来の進路を左右するような重要な相談を持ちかける場面も出てくるのです。

文系・理系・芸術系のゼミの違い

大学のゼミは、授業以上に学部・学科ごとの特色や、指導教授の方針が表れやすくなります。

学部・学科によってゼミでの研究の進め方はさまざまですが、ここでは文系・理系・芸術系の3つに分けた場合のゼミの特徴を紹介していきます。

ひと口にゼミと言っても、多種多様な形式のものがあることが分かるはずです。

文系学部のゼミの特徴

文系学部では、ゼミでの研究に文献や先行論を参照する機会が多くなる傾向があります。

たとえば文学部であれば、過去の文学作品や評論、作品・作家に関する先行論など、文献や文書を調べながら自身の論を練っていくことになります。

一方、社会学部のようにアンケートなどの街頭調査をもとに統計資料を作り、その結果得られた検証結果をまとめることが中心となる学部もあります。

経済学部であれば、コンピュータを使って統計データをまとめたり、シミュレーションを行ったりすることもあります。

こうした研究の特性上、ゼミは主に教室内で行われることが多く、それ以外は図書館などで調べ物をする時間が占めることになります。

指導教授に適宜質問や相談をしながら、定期的に卒業論文の進捗を報告する、といったイメージで考えていいでしょう。

理系学部のゼミの特徴

理系学部のゼミは研究室単位で進められることがほとんどです。

指導教授の研究室に所属し、実験を重ねながら自身の仮説が正しいかどうかを検証していく作業の繰り返しになります。

大学によっては、研究室に所属する学生各自にデスクが貸与され、会社のオフィスのような雰囲気になっているところもあります。

実験のテーマや進め方は基本的に学生に任せられていますが、自分が想定していた実験結果が出ない場合や、実験に失敗してしまった場合などは、夜遅くまで実験を続けることもあります。

専用の実験器具や装置が必要になることもあるため、研究室でなければ研究を進められないケースが多くなりやすいのも、理系学部のゼミの特徴と言えるでしょう。

芸術系学部のゼミの特徴

美術など芸術系のゼミにあたるのが卒業制作です。

制作のためのアトリエが与えられ、ほぼ1日中制作に没頭する日々が続きます。

彫刻など大型の作品になるとアトリエから持ち出すことが難しい場合もあるため、制作を進めるにはアトリエに通う必要があります。

音楽系の学部の場合、専用のレッスン室が用意され、指導教授がマンツーマンで演奏などの指導にあたることもあります。

この場合も、1日のうちの大半を練習に費やすことになります。

いずれも、自宅では用意することが難しい本格的な環境を用意してもらえるため、制作や練習に没頭するには非常に恵まれた環境となります。

こうして制作や練習を進めながら、定期的に指導教授からアドバイスをもらい、作品や演奏技術をさらに研鑽していくことになります。

大学のゼミの選び方

大学によっては、所属する学部・学科に多数のゼミが用意されていることがあります。

どのゼミを選ぶかは、研究したいテーマや指導を受けたい教授によって決めることになりますが、これ以外にもゼミを選ぶ際に重要な観点がいくつかあります。

大学のゼミを選ぶにあたって、とくに重要と思われるポイントをまとめましたので、ゼミ選びの参考にしてください。

ゼミの規模・学生数を確認する

所属するゼミによって、学生数に偏りがあることも少なくありません。

あるゼミには数十名の学生が所属している一方で、ゼミによっては4〜5名といったこともめずらしくないのです。

一般的に、規模が大きなゼミは人気がある指導教授が担当していたり、多くの学生が選ぶ研究テーマに即した研究が行われていたりすることがよく見られます。

ただし、大規模なゼミになると、指導教授1人が見なくてはいけない学生数が多くなることから、きめ細かな指導を受けるチャンスが少なくなる面があることも否めません。

少人数のゼミであれば、ほぼマンツーマンに近い状態で研究指導を受けられることもありますので、ゼミの規模や学生数を確認しておくことは必須と言えます。

ゼミの研究内容・指導教授を確認する

ゼミでは自分が掲げた研究テーマに即して研究を進めることになりますので、指導教授の専門分野や研究内容を確認しておくことが非常に大切です。

ゼミの選び方を誤ってしまうと、自分が研究したいと思っていた分野の研究が進めにくかったり、指導教授の専門外だったりすることもないとは言えないからです。

指導教授が有名人の場合、学生から人気のあるゼミになることもありますが、ゼミを選ぶ上での基準はあくまで自分の研究が進めやすいかどうかです。

ゼミとして掲げている研究の大きな方向性や、指導教授が取り組んでいる研究内容、発表している論文のテーマなどをよく確認し、自分が取り組みたい研究に合致しているか調べておくようにしましょう。

先輩の話を聞くなど情報収集を行う

ゼミを選ぶときシラバスや授業案内をよく見ておくことはもちろん大切ですが、そういった文面からだけでは分からないゼミの雰囲気や実際の教授との距離感なども知っておくほうが望ましいと言えます。

実際のゼミの雰囲気を知るには、ゼミに所属している先輩の話を聞くのが最も確実です。

サークルなどで付き合いのある先輩で同じ学部・学科に所属している人がいるようなら、ゼミの様子を直接聞いてみることをおすすめします。

自分が想定している研究テーマがゼミに合っているかどうか判断できない場合は、指導教授に直接相談するのもひとつの手です。

指導教授としても、しっかりと考えた上でゼミを取ってくれる学生が多いほうが指導しやすいため、こうした相談には応じてもらえることが多いのです。

大学のゼミ選びは就活に影響する?

大学のゼミ選びが就活にどの程度影響するか?という点については、研究への取り組み方しだいでしょう。

就活の面接で「大学ではどのような研究に取り組んでいますか」「卒業論文はどういったテーマを考えていますか」といった質問をされることがあります。

このとき、企業側は学生の専門性が自社の仕事に合っているかを知りたいと考えていることもありますが、ほとんどの場合、目の前の課題に真剣に取り組む姿勢を持っているかどうかを見ているのです。

専門性の高い職種になると、指導教授が著名人であったり、研究内容が優れていたりすることで就活で優遇されることもないとは言えません。

ただし、大半のケースではゼミ選びそのものが就活に影響するというよりは、所属するゼミで熱心に研究に打ち込んできたことが伝わるかどうかが重要と考えていいでしょう。

大学のゼミは、高校までの授業とは大きく異なる研究の場です。

ゼミで専門性の高い研究テーマに自ら取り組んでいるときが、もしかしたら大学生活の中で最も「大学で研究に取り組んでいる」と実感できる時期かもしれません。

大学でのゼミは研究の集大成である卒業論文にもつながる重要なものです。

ゼミの特徴や授業との違い、学部・学科ごとの特色を理解した上で、自分に合ったゼミを選ぶようにしましょう。