大学を休学するには? どんな理由が多い?
休学とは、いずれ復学することを前提として、大学に籍を置いたまま一時的に休みをもらうことを言います。
文部科学省が2014年に行った調査によれば、年間で67,654人の大学生が休学しています。
これは7年前の2007年に実施した調査と比べて0.5ポイント増となっており、休学する学生数が微増傾向にあることが分かります。
どのような理由で大学を休学することが多いのでしょうか。
また、大学を休学するにはどういった手続きを取ればよいのでしょうか。
大学を休学する理由で多いものとは?
大学の休学とは、数週間など短期間ではなく、半年(半期休学)や年単位など長期間にわたって大学を休みたい場合に利用する制度です。
休学している期間は大学での在籍期間としてカウントされないため、たとえば1年間休学すれば大学生活はトータルで5年間となります。
こうした条件下でも大学を休学する人は、どのような理由で休学という選択をするのでしょか。
休学する理由で多いケースについて解説していきます。
体調不良など健康上の理由
病気やケガなど健康上の理由によって休学する人は少なくありません。
先に挙げた調査結果によれば、休学した学生のうち14.6%は病気・ケガを理由としています。
とくに入院など長期間にわたる対応が必要になる場合、その期間中は大学に通えないことが確実となりますので、大学に在籍し続けていても授業に出ることができません。
この期間中、大学の授業は「欠席」という扱いになってしまいますので、必要な単位を落としてしまうことにもなりかねないのです。
そのため、いったん休学の申請をしておき、体調が良くなってから復学したいと考える人が多いのです。
休学制度は休学期間を終えたら復学することが前提になっていますので、健康状態が良くなったら復学する可能性がある場合、大学を辞めてしまうよりも得策と言えます。
留学・旅行など長期不在になるため
長期にわたる海外留学や旅行によって不在にするため、一時的に大学を休むという選択をする人もいます。
2016年の調査では、休学した学生のうち海外留学を理由に挙げた学生の割合が15.0%だったことが分かっています。
留学中に海外で別の大学に通うケースも多いはずですので、この期間中は在籍している大学の授業に出席できないことは確実となります。
また、一般的に留学は半年間、1年間と期間が決まっているケースがほとんどですので、休学すべき期間が明確になっており、復学のタイミングが見定めやすいのが特徴です。
そのため、いつからいつまで休学する、といったことを伝えやすく、休学制度を利用するには適した理由と考えられます。
長期インターンへの参加
就活に向けて大学2年頃から企業でのインターンに参加する人が見られます。
早い企業では大学1年からインターンへの受け入れをしているケースもあります。
インターンには短期と長期がありますが、長期インターンとなると半年間、あるいは1年間といった単位で実施されることがあります。
大学に通いながらインターンに参加できることもありますが、場合によってはインターン先の企業が地理的に離れており宿泊して参加する必要があるなど、インターン期間中は大学を休む必要がある場合もないわけではありません。
インターン期間中はインターンのスケジュールを優先せざるを得ないため、一時的に大学を休んでインターンに参加することもあり得るのです。
仮面浪人するため
決して多いケースではありませんが、そもそも仮面浪人して別の大学を受験するつもりでいる人の中には大学入学後すぐに休学届を出し、受験勉強に専念する人もいます。
仮面浪人するにしても、入学した大学には籍があるため、本来であれば授業に出席する必要があります。
他の学生と同様に大学に通いながら仮面浪人することも可能ですが、授業への出席など通常の大学生活を送っていると受験勉強に使える時間が少なくなってしまいますし、かといって授業を欠席し続けていては、授業についていけなくなり結果的に留年することもあり得ます。
そこで、休学して大学には籍を残しつつ、仮面浪人という形で受験勉強を継続するのです。
万が一、翌年の受験に失敗しても在籍している大学に復学することができますので、いわば「保険」をかけている状態となります。
大学を休学する場合に必要な手続き
ここまで見てきたように、大学を休学する人にはさまざまな事情があることが分かります。
休学は大学が認めている正式な制度ですので、事情や考えがあって休学という選択をすること自体に問題はありません。
では、大学を休学するにはどのような手続きを踏めばいいのでしょうか。
大学を休学する場合に必要な手続きについて確認しておきましょう。
事前に休学申請を行う
大学を休学するには、休学申請を行う必要があります。
具体的には、大学事務局で休学届の書式をもらい、必要事項を記入して提出することになります。
大学によって休学期間中の授業料の扱いなど各種規定がありますので、大学事務職の方から説明を受け、必要があれば質問をするなどして休学するにあたっての注意事項をよく確認しておきましょう。
休学申請を行っただけでは、休学手続きが完了したことにはなりません。
後日、正式に大学側から休学許可が出ますので、許可が下りたことを確認して一連の手続きが完了します。
大学の規定に則って申請し、許可を得る必要があるのがポイントです。
休学許可は申請後すぐに下りるわけではなく、1ヶ月程度の期間を要します。
大学によって異なりますが、一般的には休学を希望する日から1ヶ月前までには申請しておかなくてはなりません。
学部主任やゼミ担当教授との面談を行う
休学を申し出た後、休学する理由などについて大学側と面談が行われることがあります。
所属する学部の学部主任や、ゼミが始まっている場合はゼミ担当教授と面談を実施するケースがよく見られます。
休学そのものは事務的な手続きですが、学業という視点で考えた場合、休学期間中に学業に遅れが生じるのは避けられません。
そのため、復学後にどのような計画で遅れを取り戻していくのかを話し合っておく必要があるのです。
とくにゼミに関しては、ゼミの指導教授によって方針が異なる場合があります。
たとえばゼミ受講者の中で1人だけ半年間休学した場合、他の学生とどのように指導の仕方を変えるべきか、方針を確認しておかなくてはなりません。
休学することでこうした配慮をしてもらう必要があることについて、よく理解しておく必要があるでしょう。
復学する際は復学届を提出する
休学期間を終えても、自動的に復学したことにはなりませんので注意しておきましょう。
復学する際には大学に改めて復学届を提出し、復学を認めてもらう必要があります。
この手続きを忘れると、休学届を出したきり音沙汰がないことになってしまいます。
決して忘れることのないよう、必ず復学届を提出しましょう。
なお、一般的には休学前と同じ学費が復学後にかかることになりますが、大学によっては年度ごとに授業料や諸経費を見直していることがありますので、復学時点での学費を改めて確認しておくことも大切です。
また、留学などの理由で休学した場合、留学先で取得した単位を在籍する大学での取得単位として認めてもらえる場合がありますので、単位の扱いについても確認しておきましょう。
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大学を休学する際の注意点
休学手続きそのものは、これまで解説してきた手順を踏めば完了することができます。
ただし、手続き上のこと以外にも休学にあたって注意しておくべきことがいくつかあります。
とくに次に挙げる2点については、大学に休学申請をする時点でよく確認しておき、後になって「知らなかった」ということのないようにすることが大切です。
休学中の学費がどうなるか確認しておく
休学中は大学に籍を残しながら通わないという扱いになりますが、授業に出ないからといって学費がかからないとは限りません。
国立大学においては休学中の学費は原則として全額免除となります。
私立大学においては、大学ごとに対応はまちまちです。
授業の一部は納入する必要がある場合もあれば、授業料は全額免除になるものの在籍するための諸経費は必要になる場合もあります。
休学するのだから学費は必要ないはずだ、と思い込んでいたものの、実際は学費の一部を納入しなくてはならないケースがないとは言えないのです。
このように、休学中の学費については休学申請をする時点で大学側によく確認しておき、認識の違いがないようにしておくことが大切です。
休学期間の上限を確認しておく
休学期間は上限なくいくらでも申請できるわけではありません。
大学によりけりですが、一般的には休学期間の上限を4年間としているケースが多く見られます。
これは、4年制大学におけるトータルの在籍期間が8年間と定められているケースが多いことと関連しています。
大学に通っている期間が合計4年間だとすれば、休学期間が4年を超えてしまうとトータルでの在籍期間が8年を超えてしまうためです。
万が一、休学期間の終わりになって休学を延長しなくてはならなくなった場合、「すでに休学期間の上限に達している」と聞かされても対処できない可能性があります。
あらかじめ大学の規定をしっかりと確認し、休学期間の上限を把握しておきましょう。
この記事のまとめ
大学生活4年間の中で、さまざまな理由により休学という選択をせざるを得なくなることは誰にでもあり得ます。
休学制度があることによって、何らかの事情で大学に通えない期間があってもすぐに退学を考えなくても済むという面もあるのです。
休学という制度があることをはじめ、手続きの仕方や注意点を知っておくことは非常に重要と言えるでしょう。
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