大学の単位の仕組みは? 卒業に必要な単位数の目安は?

大学の授業や卒業要件に関する情報を調べていると、よく見かける言葉の1つに「単位」があります。

単位は学修に要する時間を表す基準であり、一般的な卒業要件単位数は124単位です。

大学において非常に重要な単位とはどのような仕組みになっているのか、年間どれくらい取る必要があるのかについてくわしく見ていきましょう。





大学の単位の仕組み

受講する講義を選ぶとき重要なのが「単位」です。

大学では高校までとちがい、学生が各自で講義を選択し、受講することになります。

ただし、どの講義をどれだけ受講しても完全に自由というわけではありません。

大学の単位のしくみを理解しておくことで、大学4年間の勉強がどのように行われるのか、大まかに分かるようになります。

ここからは、大学の単位の仕組みについて解説します。

大学の単位とは?

単位とは、大学における講義ごとの修了証明書です。

ある講義を受講し、修了要件を満たした場合、所定の単位を取得することができます。

一方、「落第」とは、講義の修了要件を満たせず、単位を取得できないことです。

受講した講義ごとに定められた単位は、出席状況や試験結果などを考慮して評定が決定されます。

評定の表記は大学によって異なりますが、「優・良・可・不可」「AA・A・B・C」などが一般的です。

「不可」「C」の評定は、その講義の単位を取得できなかったことを表します。

大学には、卒業に必要な単位数がそれぞれ定められています。

この単位数を満たさない場合、卒業することはできません。

また、進級に必要な最低限の単位数も設定されており、大学や学部によって異なります。

これを満たさない場合、留年することになります。

単位の取得方法・取得条件

大学では単位制度を基本としており、1単位あたり45時間を必要とする内容をもって構成することが標準とされています。

ここでいう1単位あたり45時間という時間は、単に授業時間内だけではありません。

その授業の事前の準備学修・事後の準備復習を合わせたものを指します。

単位を取得することは、この「45時間分」の学修内容を修得することを意味します。

基本的には出席日数だけでなく、学期末にはテスト、課題、レポートなどが行われ、総合的に評価されます。

高校までのように、ただ授業に出席していただけで卒業できるわけではありません。

単位を落とす理由としては、以下の様なものがあげられます。

  • 出席日数が足りなかった
  • テストの点数が基準点に達しなかった
  • レポートを提出日までに提出しなかった

実習など授業内容によっては、一定の技術を習得できなかったという理由で単位を落としてしまうこともあります。

1科目あたりの授業時間数と単位数

大学の授業は一般的に1講義が90分と設定され、前期と後期に分かれて行われます。

前期・後期でそれぞれ14〜16回の授業が実施されるのが一般的です。

前期と後期を修了するとそれぞれ2単位が与えられ、年間で4単位を取得するパターンがよく見られます。

ただし、年間の授業数や講義の内容によっては、2単位に設定されている場合や、演習や実験が中心の場合には、より多くの授業が行われる場合があります。

専門性の高い講義ほど、年間で取得できる単位数が多くなる傾向がありますが、その代わりに授業時限数も多くなります。

たとえば、ゼミのように専門性の高い授業では年間8単位として計算されることもあります。

大学では、学生が自主的に講義を選び受講する仕組みになっています。

そのため、年間で取得する単位数を把握した上で、計画的に講義を選ばなくてはなりません。

絶対に落とせない必修科目の単位

講義の中には必修科目と呼ばれるものがあり、学部・学科に所属する学生全員が必ず取得しなければならないものです。

必修科目は卒業までに取得しておくことが必須です。

学生が自主的に受講する講義を選ぶと言っても、あらゆる講義を自由に選択できるわけではなく、必修科目を取得していない場合は、ほかの卒業要件を満たしていたとしても、卒業することができません。

また、学部・学科によって進級時に取得しておくべき必修科目の単位が定められていることもあります。

たとえば、2年次修了までに取得しておくべき必修科目の単位が決められていることがあります。

この場合、3年に進級する際、所定の必修科目の単位を取得していなければ進級することができず、留年してしまいます。

単位の種類

専門科目

専門科目は、自分が専攻する学部や学科に関連する授業のことです。

特定の専門分野について深く学び、専門知識を身につけられます。

たとえば、経済学部の学生であれば、以下の様な経済学に関連する授業が専門科目となります。

  • ミクロ経済学
  • マクロ経済学
  • 経済史

教養科目

教養科目は、自分が専攻する学部や学科とは異なる分野の授業のことです。

人文科学や社会科学、自然科学など、幅広い分野の授業が含まれます。

総合的な教養を身につけることができ、専門科目とのバランスをとりながら学ぶことが重要です。

必修科目

必修科目は、その大学において卒業するために必ず履修しなければならない科目です。

専攻科目だけでなく、教養科目にも含まれます。

大学のカリキュラムを構成する上で、非常に重要な役割を持っています。

選択必修科目

選択必修科目は必修科目の中でもいくつかの科目から選ぶことができる科目のことです。

たとえば、社会学部の学生が「社会心理学」と「社会統計学」の中からどちらかを選択する、といったようにです。

専門科目、教養科目のどちらの場合もあります。

自由選択科目

自由選択科目は、学生が自分で選択できる科目のことで、専門科目、教養科目のどちらの場合もあります。

自分の興味や関心のある分野を自由に学ぶことができます。

ただし、専攻科目や必修科目の単位数が足りていない場合は、自由選択科目を履修できない場合もあります。

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大学の単位は年間どれくらい取ればいい?

大学では4年間で取得する必要のある単位数が決められています。

そのため、計画的に単位を取得し、卒業までに所定の単位数を取得し終えることができるようにしておかなくてはなりません。

ここで注意すべきこととして、取得する単位数は1年次から4年次まで均等ではないという点があります。

では、具体的に大学4年間を通じて各年次でどのくらいの単位を取得していけばいいのでしょうか。

4年制大学の平均取得単位数は124単位

4年制大学で取得する必要のある単位は、124〜136単位に設定している大学が多いです。

平均すると124単位程度となる大学が多いと考えていいでしょう。

このうち、必修科目と自由選択科目の内訳は大学や学部によって異なります。

そのため、シラバスや授業案内をしっかりと確認しておく必要があります。

教員を目指す場合は、教職課程を履修する必要がありますが、教職課程の単位は124単位にさらに上乗せして取得することになります。

教職課程での単位数は教育職員免許法で定められており、文科省では修得すべき科目として下記を示しています。

出典:文部科学省 教員免許状取得に係る必要単位数等の概要

「教科に関する科目」は、所属する学部・学科の講義の中から取得単位数として認められるものもあります。

「教職に関する科目」は教職課程独自のものです。

そのため、学部・学科の講義に上乗せして受講し、所定の単位を必ず取得しておく必要があります。

年次ごとに取得したい理想の単位数

大学4年間で124単位を取得するとなると、単純計算で1年次ごとに平均して30単位ずつ取得していけばよいことになります。

ただし、実際には4年次は含めずに取得単位を考えるケースがほとんどです。

つまり、1〜3年次で平均40単位程度を取っておくのが理想です。

年次が低いほど必修科目など教養的な内容の講義が多くなります。

そのため自由選択科目を含めて、早い段階からできるだけ多くの単位を取得しておいた方が後が楽になります。

大学によっては、留年する学生数を抑えるための配慮として、1・2年次に取得しておくべき単位数を多めにしている場合があります。

そのため、3年次は大学に通う日数が減り、4年次になるとほぼゼミだけという状態になることも少なくありません。

4年次の取得単位が少ない理由とは?

大学4年間で124単位を取得する場合、実際には4年次は単位取得から除外されることが多いです。

そのため1〜3年次では平均40単位程度を取得しておくことが理想です。

4年次を除外する理由は、主に2つあります。

1つ目は、卒業論文です。

卒業論文を仕上げるまでに、ゼミで研究を進めたり、教授の指導を受けたりする必要があります。

そのため、文献を探したり読んだりする時間が必要です。

理系学部では、実験のために研究室にいる時間が大半を占めることもあり、授業に出席する時間がなくなることもあります。

もう1つの理由は就職活動です。

企業説明会や面接に参加するために、授業に出席する時間が取れなくなることがあります。

また、インターンに参加する場合、数か月間にわたり授業に出られないこともあります。

以上の理由から、4年次までにできるだけ多くの単位を取得しておくことが望ましいとされています。

特に、早いうちから自由選択科目を含めて多くの単位を取得しておくことが重要です。

具体的な単位の取り方は?

どのような講義があるのかを調べる

自分が取りたい分野の講義が開講されているか調べます。

大学のウェブサイトやシラバスなどを参考に、学部や学科、専攻に応じた講義一覧を探し、その中から候補を選びましょう。

シラバスなどで評定方法を調べる

講義ごとにどのような評価方法なのかを調べます。

講義のシラバスや授業スケジュール、教授の掲示板などを確認し、テストや課題、レポートなどで難易度を調べておきましょう。

また、定期的にシラバスや掲示板を確認し、課題の締め切りや試験日程に備えることも大切です。

友人や先輩から情報を集める

友人や先輩から情報を集めることも大切です。

同じ大学や学科に在籍している人たちに、講義の難易度や評価方法、先生の授業スタイルなどについて聞いてみましょう。

また、質問に答えてくれる教務課や学生相談室などもありますので、利用してみるといいでしょう。

単位に関する履修選択時の注意点

年間の取得単位を決める上で重要なのが、履修選択です。

とくに1年次の履修選択は大学入学直後の時期に行われます。

どのような講義があるのか、単位の仕組みはどうなっているのか、といったことが理解できていないと思わぬ失敗をしてしまいます。

ここでは、とくに次の2点について、履修選択時の注意点を挙げておきます。

年間の取得単位上限と取得期限

卒業に必要な単位数を確実に取得し、留年などのトラブルを回避するためには、1年次から可能な限り多くの単位を履修することが重要です。

ただし、すべての講義を選んでしまうことは避けるべきです。

なぜなら、大学によっては、年間に履修可能な単位数に制限がある場合があるからです。

また、専門性が高い講義などは、特定の年次に履修することが望ましいため、配慮が必要です。

単位数に制限がある場合は、上限いっぱいまで履修選択することをおすすめします。

さらに、科目には「何年次までに履修すること」という期限が設けられていることがあります。

この場合、期限を過ぎると単位を取得できなくなることがあるため、注意が必要です。

必要な単位を取得できないと留年になることも

履修選択時に必要な単位を把握せず、履修しないままになってしまうと、単位不足で留年となってしまいます。

必修科目は、ほとんどの場合全員が受講することが求められます。

しかし、必要な単位数が定められている場合もあり、科目の中から選択する「選択必修」という講義もあります。

選択式とはいえ、必修単位であることに変わりはありませんので、所定の単位数を期限内に取得しなければなりません。

こうした必須の単位を見落としてしまうと、その時点で留年が確定することもありますので十分注意しましょう。

必要な単位を見落としてしまうと留年のリスクがあります。

このように、留年や卒業要件未達となる原因は、選択した講義の単位を落としてしまうことだけではありません。

1年次には学生課に確認したり、先輩に聞いたりして、必要な科目をしっかりと把握して選択するとよいでしょう。

単位を落とさないためには?

授業に出席する

授業に出席することは、単位を取るために最も大切なことです。

授業を欠席すると、出席率が下がって単位を取得できなくなることがあります。

また、授業によっては欠席が多いだけで、テストやレポートを受理してもらえないこともあります。

授業内容を理解するためにも、授業には出来るだけ積極的に参加しましょう。

テストやレポートで合格点を取る

授業で出されたテストやレポートは、単位を取得するために非常に重要なポイントです。

合格点を取るためには、授業内容をしっかりと理解して、十分な準備をしましょう。

もし不合格になってしまった場合でも、補習や再履修などの方法がありますので、担当者に相談してみるといいでしょう。

提出物などの期限を把握する

大学の授業では、レポートや課題、提出物などの期限は厳密に設定されており、なかには時間指定されているものもあります。

期限を過ぎて提出すると、大幅な減点や不合格になってしまいます。

あらかじめ提出期限を把握して、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

「大学の単位の仕組み」のまとめ

大学において、単位は「間違いなくこの講義を修了した」という証明となる、非常に重要なものです。

4年間の学びを左右しかねないばかりか、卒業や進級に大きく関わります。

そのため、単位の仕組みや大学が定める卒業・進級要件を十分に理解しておく必要があります。

教職課程を履修する場合、必要な単位はさらに増え、履修科目が複雑化します。

学生課など大学窓口に相談して漏れや誤りがないかチェックしてもらうことをおすすめします。

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