貿易事務のつらいこと・大変なこと・苦労
貿易事務のつらいこと・大変なこと
残業が多くなりがち
貿易事務の仕事では、外国企業との頻繁なやりとりが発生します。
外国企業との時差の都合で、朝早くから対応しなければならない業務や、定時後に連絡をしなければならないことは多くあります。
急ぎの対応を求められたり、夕方以降に電話が入ったりすることも多く、慌ただしい1日を過ごし、どうしても残業をせざるを得ない日もあるのが現実です。
また、複数の取引先の仲介役をする場合も、各所との調整や連絡待ち、時差の関係などで残業が多くなってしまいます。
実際には勤務する企業や職場体制にもよりますが、貿易事務の仕事は、慢性的に残業が発生する職場が多いようです。
文化、商慣習の違いによるトラブル
輸出入業務では、取引先の外国人と関わることも多くあります。
国によって商慣習は異なり、さらに時間の考え方や仕事の進め方などもさまざまです。
日本のビジネススタイルで進めようと思っても、うまくいかないことが多々あります。
そのため、自分の常識が相手の常識であると思うのではなく、明確に意思を伝え、こまめに連絡を取り合い、認識にズレがないかなどを確認していくなど、慎重な仕事の進め方が求められます。
コミュニケーションに手を抜くと大きなトラブルにつながる可能性があるため、気を遣うことも多いです。
社会事象に影響をうけやすい
社会事象や天候に振り回されるのも、貿易事務の仕事の大変な一面です。
たとえば東日本大震災の際には、すべての輸送機関が麻痺してしまったため、国内からの輸出待ちの製品や、海外からの輸入製品のストック場所の確保に非常に苦労した、という話があります。
天候や国の情勢などによって、船便が遅れることも頻繁にあります。
こういった「トラブル」を予測しつつ、常に気を配りながら仕事を進める必要があり、一般的な事務にはない国際感覚や注意力が求められます。
天候、災害、テロ、内戦などは貿易事務個人がコントロールできるものではなく、見通しが立ちにくいというやりにくさがあります。
利害関係者との調整に苦しむ
貿易事務は、貿易取引における実務のエキスパートです。
スムーズな取引にするために、自社の担当者はもちろん、国内外の生産工場、輸送業者、納入先、銀行と多くの利害関係者とやりとりすることが多くなります。
トラブルが発生した場合、調整がうまくいかない、業者が見つからないということもあり、その対応に非常に苦慮します。
たとえば、現在はトラックドライバーの人材不足が深刻化しているといわれています。
大型自動車免許を持つ人口自体が減少している上に、不況の影響で運送会社の倒産が相次いでいるためです。
しかし、日々輸入されてくる品物、輸出されていく品物を埠頭や空港に届けるため、輸送手段を確保するのも貿易事務の仕事です。
これが滞ると、例えば工業製品輸入の場合は国内工場のラインが止まる、輸出の場合は船が遅れることで数千万円の損失が出ることもあります。
貿易事務は、関係者との板挟みになりやすく、それがつらいという声も多いです。
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貿易事務の悩み
精神的ストレス
国を横断して、商品を無事に顧客の下へ納品するまでは、倉庫、輸送機関、税関など、さまざまな関係機関を通らなければなりません。
そして、貿易事務としては通関書類や船積申請書類などの書類を作成し、並行して進捗などを関係者へ連絡しながら進めることが必要となります。
また、納期や申請期限などを確実に把握して、それに間に合うように、膨大な種類の書類をミスがないように処理していきます。
専門用語や、ときには英語で書かれた書類もあるなかで、ミスなく丁寧かつスピーディな対応が求められる、非常にストレスのたまる業務です。
ストレスからうつ病傾向になったり、慢性的に胃痛・頭痛を感じたりという人もいるようです。
英語への不安
貿易事務の場合、英語力が重要になることが多いです。
基本的にインボイスなどの貿易取引書類はもちろん、海外工場などとの連絡は英語が使われます。
書類は定型的なものが多く、慣れの部分もありますが、会話では高いレベルの英語能力が求められます。
元から英語が好き、英語が得意という人であれば、最初は大変でも楽しくなるでしょう。
しかし、英語が嫌いであったり、苦手意識があったりする人にとっては、毎日の業務が苦痛に感じられるかもしれません。
なかには英語を話さなくてはいけないというプレッシャーから、電話恐怖症になってしまった人もいるようです。
貿易事務を辞める理由で多いものは?
残業時間の多さ
貿易事務は、事務職のなかでも残業が多いといわれる職種です。
事務職は基本的には残業が少ない傾向にありますが、貿易事務職については残業の多さにうんざりすると同時に、イメージしていた事務職との違いに戸惑ってしまう人もいるようです。
忙しいときは終電ギリギリまで働くことも多く、肉体的にもきつく、退職する人もいます。
しかし、残業時間は勤務先の規模や人員数と仕事のバランスによるため、入社前に残業の傾向を確認しておくとよいでしょう。
また、残業が多くて、家事や育児との両立ができないという場合は、派遣社員で働くなど雇用形態を見なおすのも手です。
いろいろな雑務を任される
大手企業であれば、貿易事務は専門職として確保されていることが多いです。
一方、中小企業の場合は人手不足にあり、貿易事務だけでなく、一般事務、営業事務などを兼任することが珍しくありません。
それだけでなく、蛍光灯の交換、社内イベントの手配などの雑務まで任せられることもあるようです。
貿易事務の専門として経験を積みたいと考えている人のなかには、こういった点を不満に感じ、辞める人もいます。
また業務が増えると、必然的に残業も多くなりがちなため、それを苦に退職する人もいます。
コミュニケーション能力への不安
貿易事務は、貿易書類の作成などの事務仕事ももちろんありますが、関係各所への調整が多い仕事です。
調整業務を滞りなく進めるためには、関係各所に状況を明確に伝えられる説明能力が不可欠です。
また、必要であれば何かを頼み込んだり、自分が悪くなくても謝ったりと、柔軟なコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーション能力に自信がなく、調整業務を苦手に感じ、退職する人もいます。