ユーザーの声が喜びに。絵でたくさんの人の心を動かす仕事
キャラクターデザイナー上野 愛良(うえの あいら)さん
東京藝術大学大学院美術研究科卒。大学院生時代に株式会社ミクシィでアルバイトを経験し、2016年4月に同社へ新卒入社。デジタルエンターテインメント事業本部 インキュベーション事業部所属。2019年10月よりマネージャーとしてチームのマネジメント業務に携わる。
いまの仕事の内容を教えてください。
エンターテインメント事業やライフスタイル事業を手掛ける株式会社ミクシィで、キャラクターデザイナーとして働いています。
私が現在所属している「デジタルエンターテインメント事業本部」は、スマートフォンアプリゲームなどのエンタメコンテンツを開発している部署となります。
私はそこで新規のゲームタイトルに携わっていて、現在は主に10名のチームのディレクションやマネジメント業務を担当しています。
キャラクターデザイナーになったきっかけを教えてもらえますか?
大学・大学院では油絵や版画を中心に学んでいたのですが、当時ソーシャルゲームにハマっていたことと、その頃からテクノロジーを使って製作することに興味があったことから、ITやゲーム関連企業に興味を持ったんです。
大学院在籍中には、縁があって当社でアルバイトとしてアプリのイラスト作りなどのお手伝いをさせてもらっていました。
実際にデジタルイラストに触れたのはそのときが初めてだったので、とても楽しくて。
そんなことがきっかけで、修士課程修了後は正社員としてミクシィに入社し、キャラクターデザイナーになりました。
絵を描くことやゲームをすることは昔から好きだったのですか?
はい。親が共働きだったので、子どものときから一人でノートに絵を描いたり、ゲームで遊んだりするのが好きでした。
漠然と「絵を描くことを仕事にしたい」という思いもあったのですが、最初から絵一本というわけではなくて、高校では女子サッカー部で汗を流していましたし、英語を勉強するのも好きで高校2年生くらいまでは英語系の大学への進学も考えていました。
好奇心旺盛なタイプだったので、いろいろなことに挑戦してきましたね。
藝大への進学を決意したのは、高校時代の美術の先生に薦めていただいたことが一つのきっかけで、1年間の浪人生活を経て藝大へ入学しました。
東京藝術大学というと、アーティストの道へ進む人が多く、一般企業への就職を目指す人はあまり多くないイメージがあるのですが、実際はどうなのでしょう?
そうですね、私の世代でも就職したのは学部55人中7人ほどしかいませんでした。
大学では「自己表現」に重きが置かれていて、いかに自分の内面にあるものを作品として形にしていくかといったことを考える時間が多かったと思います。
ただ、私は自分自身をどう見せるかということよりも、世の中のたくさんの人たちに喜んでもらえるものを作りたいという気持ちが強くて。
ですので、自然と就職という道を選択しました。
最近の1日の仕事の流れを教えてください。
日によって多少変わってくるのですが、朝出勤すると、週に3回は「クリエイティブチェック」という進捗確認の時間があって、30分から1時間かけてチームでミーティングをします。
その後はチームメンバーのタスク確認をして手伝いに入ったり、イラストのラフを描いたり、納品したものをブラッシュアップして格納したりといった作業をしています。
会議に出席することもあります。
お昼休憩は自由にとっていいので、作業の進捗状況によってチームメンバーと声をかけ合って一緒に食べています。
2020年1月には新オフィスへ移転したのですが、キレイな食堂ができてとても便利になりました。
新オフィスに移って、働く環境はいかがですか?
昇降式のデスクが用意されていて、画面位置の微調整ができるので作業がしやすいです。
また、新オフィスには皆が自由に使えるフリースペースがあって、景色のいいところに置かれたソファに座って、東京タワーを眺めながらiPadで作業することもあります。
先日もチームのイラストレーターと一緒に、ソファでちょっとした相談をしながら絵を描いていたのですが、なんだか友達と家でお絵かきをしているような感覚になりました(笑)
ちなみに当社はフレックスタイム制をとっていて、コアタイム以外の時間は、プロジェクト会議などがないときであれば、比較的自由に働くことができます。
締め切りがあるお仕事だと思いますが、残業をすることはありますか?
もちろん締め切りは意識しながら作業を進めていきますが、普段から深夜まで働くようなことはめったにないです。
チームでタスクが詰まっている人は手助けし合いますし、定期的なクリエイティブチェックでメンバーの状況を報告し合うので、一人だけで抱え込んで苦しくならないような体制をとっています。
私の場合はマネージャーになってからメンバーに声をかけられることが増えたので、自分の作業に集中したいときは朝早く出社して、その分フレックスを使って早めに退社することもあります。
いまの仕事のやりがいを教えてください。
自分が描いたキャラクターに対して、ユーザーから反応があったときが一番うれしいです。
ゲーム内の「お問い合せ」などを通じてゲームを楽しんでくれているユーザーの声を聞いたり、Twitterなどネット上に上がっているコメントを読んで良い反応だったりすると、キャラクターが認められたような気持ちになります。
日常的な作業として楽しいのは、ラフを描いているときやキャラクターの設定を考えることですね。
企画の担当者とコミュニケーションをとりながらキャラクターを作り上げていく作業が好きです。
他のメンバーと連携して働く機会は多いのですか?
はい。ディレクターやプランナーなど社内の人だけでなく、外部の会社にもイラスト制作をお願いすることがあるので、そちらの担当者とも密にコミュニケーションをとりながら仕事を進めていきます。
私自身、もしコミュニケーションが嫌いだったらフリーランスになっていたと思うのですが、学生時代から人と一緒に何かを作ることが好きだったので、この働き方が合っていると思います。
仕事をしていて「つらい」と感じるようなことはありますか?
描いた絵が何らかの事情でお蔵入りになってしまったときは、やはり残念な気持ちになりますね。
あとは協力会社さんとイメージのすり合わせがうまくいかなくて、話がスムーズに進まなかったり巻き戻ってしまったりしたときには反省します。
でも、イラストを描くこと自体でつらいとか苦しいっていう気持ちにはならないです。
この仕事をしていて挫折したことや、それを乗り越えるために意識したことはありますか?
以前は他の人と自分の絵を比べてしまいがちで、よく落ち込んでいました。
でも、あるとき外部のワークショップに参加して、講師の方が「比べるだけ無駄だから楽しく絵を描いたほうがいい」ということをおっしゃっていて。
その言葉で何となく気持ちが楽になって、それからは自分のダメな部分ばかり見てしまわないように気をつけています。
ですが、成長して自分の幅を広げていくことは大事だと思っているので、インプットは常に欠かさず、たとえば巷で人気のアニメや映画はすぐにチェックするようにしています。
お休みの日はどんな風に過ごしていますか?
休日は疲れていたら自宅でのんびりNetflixを観ることが多いです。
外に出たい気分のときは映画を観に行ったり、本屋で新作の画集をチェックしたりするのも好きです。
当社には、スキルアップにつながる書籍の購入に補助が出る「書籍購入支援」という制度があり、制度を活用して気になった画集を購入することもあります。
ほかにも、当社には福利厚生の一環として「サークル・コミュニティ制度」というものがあって、会社が公認するものだと30以上のサークルやコミュニティが作られています。
自由参加ではあるのですが、私はいまフットサル、卓球、脱出ゲーム、筋トレ、ボルダリングなどたくさんのサークルに所属していて、その活動も仕事以外での楽しみです。
キャラクターデザインの仕事に向いているのはどんな人だと思いますか?
会社で働くのであればイラストが上手というだけではなかなか難しくて、いかに人とうまくコミュニケーションがとれるかも重要になってくると思います。
また、この仕事ではユーザーに向けてイラストを作るので、ユーザーが何を求めているのかを考える視点が欠かせません。
もともと絵を描く人は自分自身の内面に興味を持つ人が多いと思うのですが、プロダクトのイラストに関わるのであれば、外の世界や他者にも興味がないといけないなと思います。
キャラクターデザイナーを目指すにあたって、専門学校と大学のどちらに通うのがおすすめだと思いますか?
デジタルイラストのスキルそのものは、技術をみっちりと学ぶ専門学校のほうが身につきやすいかもしれません。
ただ、私の場合、藝大時代にはコンセプトや作品の世界観を評価されることが多かったので、自分が作るものに対する根拠や考え方をしっかり持てるようになったのは、大学に通ったからこそ身についたことだと思います。
ちなみに同じチームで働いている人の経歴はさまざまで、独学でイラストをやってきた人もいますし、専門学校出身も美術系大学出身もいます。
有名な学校を出ればネームバリューというのがあるかもしれませんが、それだけでやっていける仕事でもないので、本人の学ぶ姿勢のほうがずっと大事だと思っています。
今後、キャラクターデザイナーの仕事や業界はどうなっていくと思いますか?
最近の変化として、若い人のスキルがどんどん上がってきていると思います。
YouTubeにもデジタルイラストの描き方のメイキング動画がたくさん上がっていますし、プロの描き方を簡単に調べられるようになっているので、イラスト業界の質は全体的にアップしているのではないでしょうか。
ただ、この仕事では単に絵がきれいだったり、高い技術力があったりするから良いというわけではなく、「どんな人に向けて届けるのか?」を考えることがすごく大事になります。
ビジュアルが身近な時代にもなっているので、イラストやデザインの世界で働く人は、今後ますます「訴えかける力」が必要になってきていくのではないかと思います。
上野さんご自身の今後の目標を教えてください。
ゆくゆくはイラストだけでなく、プロダクトの世界観まで含めたアート全般のクオリティを見られるようになりたいです。
マネージャーのポジションについてからは人やチームの育成にも興味が出てきたので、技術的なことは個人で磨きながらも、「いいチーム作り」についてもっと学んでいきたいと思っています。
一般的に、キャラクターデザイナーのキャリアパスはどのようになっているのでしょう?
勤務先や働き方にもよると思いますが、当社であれば純粋にイラストを突き詰めていく道もありますし、マネジメントの道に進んでいくこともできます。
イラストを超えて「ゲームそのものが好き!」ということであれば、経験を積んでコンセプトの立ち上げから関わっていくこともできますしね。
先輩社員ではイラストデザインの仕事からプロデューサーへと抜擢された人もいますし、自分の頑張りやアピール次第ではいろいろな道が開かれています。
最後に、キャラクターデザイナーを目指す人にメッセージをお願いします。
現在のスキルに自信がなくても、それを気にして飛び込むのをためらわないでほしいなと思います。
私もデジタルイラストに触れたのは大学院生時代のアルバイトが初めてでしたし、やりたい気持ちさえあればネットなどを使っていくらでも学んだり、人からアドバイスをもらえたりする時代です。
自分の絵をいきなりネットに上げるのは恥ずかしいかもしれないですが、まずは友達や周りの人に見せるだけでも違ってくると思います。
現時点での力がないからあきらめるよりも、やりたい気持ちを積極的にアピールしてほしいですね。
そうすれば、熱意を受け止めてくれる人も必ず出てくると思いますので。
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