大好きな野菜・果物の魅力を伝え続けて、みんなの食生活をより豊かに!
野菜ソムリエKAORUさん
ラジオ局で報道キャスターを務める傍ら、野菜ソムリエの資格を取得。全国で第一号の野菜ソムリエとなる。現在は、日本野菜ソムリエ協会の講師として野菜ソムリエの育成に力を注ぐほか、主にTV・ラジオ・雑誌で活躍。またセミナーや講演、執筆活動も行っている。さらに飲食店等のレシピ開発や大手企業とのコラボ商品も多数手掛ける。書籍に『干し野菜手帖』『野菜たっぷり!サンドイッチレシピ』(ともに誠文堂新光社)がある。
KAORUさんは今、どんなお仕事をされているのですか?
主な仕事内容は、野菜ソムリエとして生活者に野菜の魅力を伝える講演活動や自治体のイベント、メディアへの出演、レシピ提案、商品開発などです。
また、野菜ソムリエの資格のPR活動や協会で開催している野菜ソムリエ講座の講師もしています。
全国に5万人以上いる野菜ソムリエの資格取得者のうち、KAORUさんはその第1号とのこと。資格を取った経緯は?
以前の私は、食とは全く関係ないラジオ局で報道キャスターの仕事をしていました。でも、その頃から野菜や果物が本当に好きで。周りから「ちょっと変わってるよね」って言われるくらい、野菜オタクだったんです(笑)
野菜ソムリエの資格ができた時、職場の人たちに「向いてそうだから受けてみなよ」と薦められて挑戦しました。将来、新しい仕事に繋がるかも…なんていう期待感は全くなくて、ただ「大好きな野菜のことをもっと知りたい!」っていう気持ちでしたね。
野菜が好きになったのには、何かきっかけがあるのですか?
信州出身で、子どもの頃は新鮮な旬の野菜や果物が身近にあるのが当たり前でした。
でも大学進学を機に上京した時、東京のスーパーで売っている野菜や果物が、私の知っているそれと違うことにショックを受けて…。
地元のものとはみずみずしさが全然違うのに値段は高いし、本当に驚きました。
と同時に、それまで私がとても恵まれていたことに気付いたんです。同じ日本でも、流通でこれだけ変わる。地域によって、同じ野菜でも手に入る品種が違う。そんなことを考えているうちに改めて「私って野菜や果物が好きだったんだ!」って。
それで、野菜や果物のことをもっと知りたいと思ったのですね。
はい。もともと「人に伝える」ことが好きだったので、野菜や果物の本当のおいしさを知らない人に、「本当はこんなにおいしいんだよ!」って伝えたくなりました。
でも、当時はまだ野菜ソムリエの資格がなく、大学の専攻も食とは関係なかったので、野菜の勉強は趣味の一つでした。デパ地下の野菜売り場の人と仲良くなって情報を仕入れたり、野菜のおいしいレストランを見つけてみたり。
サラダバーがあるレストランにしょっちゅう出入りしていたら、「野菜を食べ過ぎるから出入り禁止!」なんて言われちゃったことも(笑)
当時はわかりやすい野菜や果物の解説本が出ていなかったので、図書館で植物学や農業の専門書を読み漁っていました。だから、みんなにも「変わってる」って思われてたみたいです。
ところで、野菜ソムリエになるには、講座を受講する必要があるようですが。
はい。野菜ソムリエ協会が主催する講座を受講して、課題提出と筆記試験を受けて合格すると、ジュニア野菜ソムリエとして認定されます。
この資格はレベル別に3種類あって、みんな最初に受けるのが「ジュニア野菜ソムリエ」。さらにステップアップを目指す方には、「野菜ソムリエ」「シニア野菜ソムリエ」があります。
私が最初に受けた頃とは違って今は通信制の講座もありますし、全国に会場ができているので、受けやすくなっていると思いますよ。
受講者は、やはり食に関する仕事をしている方、目指す方が多いのでしょうか?
実はそうでもないんです。たしかに、私が受講した当初は、栄養士さんやお料理教室の先生、農業や流通に関わる方などが多かったです。
でも、最近ではタレントさんが受講していたり、一般の会社員や主婦の方も増えています。
ジュニアの講座を受講する方は、「野菜のある生活を楽しみたい」「家族の健康のために」と話す方が多いですね。
同じく「食」の専門化である「栄養士」と「野菜ソムリエ」の違いは何でしょうか?
栄養士さんの仕事は食材の栄養を分析していくことが主で、どちらかといえば提供する側の立場に立っています。一方、野菜ソムリエの場合は食べ手側の立場に立つのが特徴的。
病気の方は栄養士さんのサポートが必要になりますが、「おいしいものを食べたい」「食を楽しみながら体作りをしたい」といった方に対して、幅広く野菜・果物の情報を提供するのが私たち野菜ソムリエです。
講座では、食品の分析や栄養に関する授業もありますが、それは一部分。流通や、野菜作りのための土壌や農薬の授業、マーケティングの授業、さらに、料理をどう魅せるか?といった授業もあるんですよ。
野菜に関連することを広く学び、それらを「楽しむ」という視点で、さまざまな形で表現するのが野菜ソムリエです。
KAORUさんは、資格を取ってからお仕事はすぐに見つかりましたか?
当時は野菜ソムリエ協会もできたばかりだったので、私もスタッフと一緒にテキスト作りや問い合わせ対応、メディアの取材対応など、いろんなお手伝いをしていました。そうするうちに、少しずつお仕事に繋がった感じですね。
最初は私自身も世間のみなさんも、野菜ソムリエを「職業」として捉えていなかったので、全てボランティアでやっていました。お金をいただいてお仕事ができるようになったのは、何年か経ってからですね。
でも、今でも自治体のお仕事などボランティアで行うものもありますよ。
1日のスケジュールと休日はどのようになっていますか?
スケジュールは毎日違うのですが、取材や撮影の予定がある日は、時間に合わせて各現場に向かいます。空いている時間は、コラムなどの原稿書きやセミナーの資料作成に使っています。
朝晩は、自宅でレシピの試作をすることが多いですね。
イベントは土日に入りやすいので、基本的には不定休です。活動内容にもよりますが、フリーで働く場合は、ある程度不規則な生活になる人が多いはず。食品メーカーや農業法人などに勤めながらこの資格を活かす場合は、また違うと思いますが。
KAORUさんが感じる、このお仕事のやりがいを教えてください。
ラジオも「人に伝える」仕事でしたが、野菜ソムリエになってからは、直接人前に立って野菜や果物の魅力を伝えることができるので、とてもやりがいを感じています。
自分が大好きなことを伝えて人と感動を共有できるなんて、すごく素敵だと思います。
それに、勉強するだけでも楽しい。野菜や果物の知識が身についていくと、同じものを食べるにしても、感動や味わい方がずっと変わってくるんですよ。
大変なことや苦労することはありますか?
出ている場所は華やかだけれど、裏でやらなければならないことが多いです。資料作りもそうですし、1つのレシピを出すにしても、案は複数必要になりますからね。もちろん、野菜の調達も大事な仕事。裏では地味な作業も多いですよ。
でも、たとえば野菜ソムリエ同士で役割分担して進めることも可能です。野菜ソムリエは資格を取った後、地域ごとのコミュニティで学ぶなど、受講生同士で交流を深める機会も多いんですよ。
みんなに悩みを聞いてもらうこともできますし、仲間を作っておけばいざという時に力になってもらえます。
野菜ソムリエのお仕事の魅力はどんなところにあるのでしょう?
野菜や果物は新種が次々と登場しますし、栄養に関する新しい情報もどんどん出てきます。私も10年以上野菜ソムリエを続けていますが、まだ勉強することがいっぱいあって、毎日が新鮮です。
「決まりきったことをただ覚える」のではなく、「野菜ソムリエとして自分らしさを作っていける」のが、この仕事の魅力。
「私はこんな活動をしているよ」っていう例はあるけれど、たとえば地方で活躍したい人は地域の行政や農業に関わることもできますし、美容や医療の分野でも必要とされる知識のはず。
自分の夢や考え方次第で、いろんな展開ができる仕事ですよ。
資格をどう活かすかは自分次第、ですね。この資格に対する今後の展望について、どうお考えですか?
野菜ソムリエが一つの職業として認識されるようになること。そして、野菜ソムリエとしてきちんと働いていけるようになる人を増やすというのが、協会の目指すところです。
プロとして、高い意識を持ってやっていく人が増えれば、それだけ野菜や果物の魅力を発信する人が増えて、誰もが野菜を楽しめる世の中を創ることができると思っています。
では、KAORUさんご自身の夢や目標はありますか?
最初は「野菜の魅力を伝えたい」「世の中を変えたい」なんて思っても、どこかで本当に実現できるのかな?と思っていました。でも、これだけ野菜ソムリエが増えてくれば、本当に世の中を変えられる気がしています。
野菜嫌いな人や、野菜にあまり触れていない人に目を向けてもらうための商品開発も手掛けたいですね。
実は近年、協会では野菜ソムリエ以外の資格も人気です。
たとえば、野菜や果物を美に特化した形で学ぶ「ベジフルビューティー」、アスリートの体作りを食を通してサポートする「アスリートフードマイスター」、野菜をブーケやオブジェのように仕立てる「ベジフルフラワーアーティスト」など関連資格もあわせて、さらに多角的な提案ができるかなと思っています。
「野菜・果物がある楽しい食生活」を伝えたい。そこから、みんなの毎日が明るく、元気で楽しくなるような“ライフスタイル提案”をしていきたいです。
話は変わりますが、KAORUさんが一番好きな野菜を教えてください。
すべての野菜が好きなのですが、その中でも一番好きなのはトマトです。健康や美容にいいのはもちろん、あの味わいも色も魅力だし、手軽にいつでも食べられるところも大好き。
トマトは品種も多いし、調理によっても個性が変わります。味も、夏はさっぱり目で青臭いものもありますが、春先や秋口は陽射しが少ない分じっくり育つので、濃厚な味わいになるんです。
野菜は五感で楽しめるもの。色、形、香り、食感、味わい…。付き合っていけばいくほど面白い面が見えていくのが、人間の付き合いと似ているなと思います。
奥が深いからこそ、飽きずに続けられる。この仕事の魅力の一つは、まさにそこですね!
最近は食に興味を持つ男性が増えていますが、男性にもオススメできる資格ですか?
もちろんです! 男性の受講者も2割程度いますし、その割合は年々増えています。純粋に食を楽しみたい男性、いつか食で仕事をしてみたいと夢を持つ男性がたくさん受けていますよ。
特に野菜ソムリエの講座内容は「調理すること」がメインではないので、食べるのは好きだけど料理はちょっと…という男性にもオススメできますね。
最後に、野菜ソムリエに興味を持った方に向けて、メッセージをお願いします!
食べていくことは、どんな人にとっても必要。生活の中で一番大事なものだからこそ、食についての知識を身につけるのは大切だと思います。
きちんと野菜や果物をとれば体も心も元気になるし、勉強も仕事もはかどります。自分の夢を実現するためにも、食について真剣に考えてほしいですね。
社会人になり忙しくなるとなかなか学ぶ時間を作りにくいので、学生のうちに食に対する知識を身につけておくと、将来どんな職業に就くことになっても元気に活躍できると思いますよ!
(取材・文:石原 桃子)
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