パチンコ業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
パチンコ業界とは
現在、全国各地にたくさんのパチンコ店があります。
パチンコ店では、風営法の下、店内のパチンコ機で得たパチンコ玉を景品に変える遊び方が可能となっています。
そのようなパチンコの遊技場を私たちに提供し、ビジネスを行っている業界が「パチンコ業界」です。
日本においてパチンコが本格的に普及しはじめたのは、第二次世界大戦後の1950年代です。
娯楽の乏しかった戦後の日本においてパチンコは大ブームとなり、近代における娯楽の一つとして確たる地位を築きました。
その後、高度経済成長にも乗じてパチンコ業界は大きく成長し、2005年には年間34兆円と過去最大の売上を記録するまでに至りました。
しかし2005年以降のパチンコ業界は下降傾向にあり、特に2010年以降は参加人口、売上ともに急降下しています。
背景には「ギャンブル依存症」の対策として、出玉規制や広告規制などが行われたことも関係しています。
また、インターネットやSNSの普及により娯楽の選択肢が増え、パチンコへの興味自体が薄れてきていることも根本的な原因となっています。
それでもなお巨大な産業を形成していますが、以前に比べると先行き不安になってきているのがパチンコ業界です。
パチンコ業界の役割
パチンコはギャンブルとしての側面もありますが、その本質は「娯楽」です。
映画館やゲームセンターなどと同じように、庶民が娯楽を楽しむ場として、パチンコの遊技場があります。
特に地方や郊外など娯楽施設の少ない地域においては、パチンコは数少ない娯楽として親しまれてきました。
パチンコ業界の本質的な役割は、娯楽を庶民に提供していくことです。
昨今は、店内に飲食コーナー・雑誌コーナー・ゲームコーナーなどを設置し、パチンコ以外の楽しみを提供するお店も増えてきました。
パチンコ業界の先行きが不安視される中、これまでとは一味違った娯楽を提供していくことも、今後この業界に求められてくるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
パチンコ業界の企業の種類とビジネスモデル
パチンコ業界の一般的なビジネスモデル
パチンコ業界のお客さまとなるのは、私たちパチンコを楽しむ利用客です。
利用客は、パチンコ店から「パチンコ玉」を借り、店内でパチンコを楽しみます。
このパチンコ玉の貸出料金(遊技料金)が、パチンコ店側の直接的な利益となります。
なお利用客が遊技でパチンコ玉を増やし景品と交換すると、景品分の経費が発生します。
したがって利用客にあまりにパチンコ玉を増やされると、パチンコ店側にとっては経営的に痛手となります。
これがパチンコ業界の一般的なビジネスモデルです。
パチンコ運営会社
「パチンコ運営会社」の例としては、「マルハン」「ダイナム」「ガイア」などがあげられます。
これらの企業は、パチンコ店を運営している側の企業であり、チェーン型のパチンコホールを各地で展開しています。
併せて、リゾート施設やゲームセンターなど、パチンコ以外の娯楽・アミューズメント施設を運営しているパチンコ運営会社も多いです。
パチンコ機メーカー
「パチンコ機メーカー」の例としては、「三洋物産」「サミー」「平和」などがあげられます。
これらの企業は、パチンコ機(パチンコ台)の開発・製造を行っているメーカーです。
あくまでパチンコ機を作る会社であり、パチンコホールの運営などは基本的に行っていません。
パチンコ機メーカーは、パチンコ運営会社にパチンコ機を販売することで利益を得ています。
パチンコ業界と3店方式
パチンコ業界では「3店方式」と呼ばれるビジネスモデルが普及しています。
本来であれば、法律上パチンコ玉は景品にしか交換できませんが、この「3店方式」により現金への交換が可能となっています。
<3店方式の流れ>
①利用客は、「パチンコ店」にて、増やしたパチンコ玉を景品に交換
②利用客は、「景品買取所」にて、景品を現金に交換
③「景品買取所」は、「景品卸業者」に景品を売却
③「景品卸業者」は、「パチンコ店」に景品を売却
このような循環の仕組みがあり、景品から現金への交換が間接的に可能となっています。
※なお、「景品買取所」や「景品卸業者」は、パチンコ店とは関係のない企業や団体です。
パチンコ業界の職種
パチンコ店を運営させるには、たくさんの人の力が必要になり、職種もさまざまなものが用意されています。
ここでは、パチンコ業界の特有の職種のうち代表的なものを紹介します。
ホールスタッフ
「ホールスタッフ」は、パチンコ業界で最もポピュラーな職種です。
各パチンコ店のホールにて、接客・玉運び・清掃業務・トラブル対応などの店頭業務を行います。
パチンコ店は一日の営業時間が長めのため、早番遅番の2交代制で働くケースが多いです。
パチンコ業界に就職すると、まずはこのホールスタッフを担当させられる事が多く、その後経験を積み、店長職やマネージャー職にステップアップしていくのが一般的です。
エリアマネージャー
「エリアマネージャー」は、パチンコ業界での上位職です。
市場動向やエリア動向を分析し、担当エリアの売上を伸ばすための戦略を練っていきます。
担当エリア内の複数店舗を纏めあげる立場ともなりますので、マネジメント力も求められてきます。
店長などで良い成績を残した、経験豊富で優秀な社員がエリアマネージャーに抜擢されることが多いです。
パチンコ機の開発
パチンコ機メーカーにて、パチンコ機の設計や開発を行う職種です。
電子基盤や電気系統の設計においては機械・工学・電気系学部出身者、プログラムの設計においては情報系学部出身者が活躍しやすい職種です。
また昨今のパチンコ機はディスプレイを使った映像演出が当たり前となっているため、「映像ディレクター」、「グラフィックデザイナー」、「サウンドクリエイター」などのクリエイティブ系の開発職種も用意されています。
パチンコライター
「パチンコライター」は、パチンコ系雑誌やパチンコ系WEBメディアなどで、新台情報やパチンコ攻略テクニックなど、パチンコに関する記事を書くライターです。
店舗イベントへの参加や、パチンコ番組への出演など、ライターだけでなくタレントのような仕事をすることもあります。
パチンコ業界のやりがい・魅力
収入が良い
パチンコ業界は、他業界に比べて収入ベースが高めです。
初任給が月25万円を越えている会社も多く、スタートからして高めです。
リーダー・店長・エリアマネージャーなど細かく役職を区分しており、ステップアップする度に役職手当が付くため、入社後の給料の伸びも良好です。
40代で1000万円プレイヤーになる店長も珍しくありません。
着実にお金を稼ぎたい人にとっては魅力的な業界といえるでしょう。
福利厚生が良い
パチンコ業界は、意外にも福利厚生が充実した業界です。
「住宅手当」、「育児手当」、「家族手当」といった各種手当、「子育て休暇」、「リフレッシュ休暇」といった各種休暇など、豊富な福利厚生が用意されています。
特に住宅手当の待遇が良い会社がパチンコ業界には多く、都心の一等地に格安の価格で住ませてくれる企業や、家賃を全額負担してくれる企業もあります。
業界のイメージ改善を目的とし、福利厚生を積極的に強化している会社も多いため、安定した生活をおくりやすいです。
パチンコに囲まれて過ごせる
パチンコ業界に就職すると、まずはホールスタッフとしてパチンコ店の店頭で働きます。
多くのパチンコ機に囲まれ、多くのパチンコ好きのお客さんに囲まれ、毎日を過ごす事なります。
パチンコ好きな人であれば、それまで好きで通っていたパチンコ店がそのまま仕事場になりますので、過ごしやすい職場となるでしょう。
また上司や同僚にもパチンコ好きの人が一定数いますので、同じパチンコ好きとして打ち解けやすい良さもあります。
パチンコ業界の雰囲気
パチンコ業界では、働く人の年齢層が全体的に若めです。
というのも、パチンコ店で働く従業員の大多数はアルバイト・パートとなり、社員は1、2割にすぎません。
かつパチンコ店は体力も使う職場ということもあり、アルバイト・パートにくるのは20代の男女が大半を占めます。
したがって、若者の比率が多く、若くエネルギッシュな雰囲気が職場に漂っています。
男女比に関しては、社員は男性が大半を占めますが、アルバイト・パートにおいては女性比率が高くなる傾向があります。
また接客業の業界ですので、おのずと明るくコミュニケーション力の高い人が集まりやすい傾向があります。
パチンコ業界に就職するには
就職の状況
パチンコ業界の多くの会社は、新卒者を対象とした定期採用を行っています。
大手のパチンコ運営会社であれば、毎年100人〜150人程度の新卒社員を採用しています
全国の店舗が勤務対象となる「総合職」と、勤務先が一つのエリアに限定される「地域限定職」の2パターンで募集されることが多いです。
新卒採用者の場合も、最初は「ホールスタッフ」や「店舗運営スタッフ」として採用される形となります。
ちなみにパチンコ業界は、学生の就職先としてそこまで高い人気はありません。
パチンコが好きでどうしてもパチンコ業界に入りたいという学生も一部いるものの、この業界を第一希望する学生というのはやはり少ないです。
また昨今の若者のパチンコ離れにより、パチンコ業界を目指す学生自体も減少しつつあります。
逆にいえば競争が少ない売り手市場といえ、就職が決まりやすい業界といえます。
就職に有利な学歴・大学学部
パチンコ業界はさほど学歴を重視していない業界です。
大手のパチンコ運営会社でも、大卒に限定せず、専門学校卒・短大卒以上としている会社がほとんどです。
さらには大手パチンコ運営会社「マルハン」のように、高卒も採用対象に含めている会社まであります。
学部についても全学部を対象としており、出身学部によって有利不利が生じることもありません。
パチンコ業界の場合、学歴や学部よりも、内面的な適正が合っているかを重視することが多いです。
ただし、昨今は大学全入時代となってきていることもあり、パチンコ業界に就職する学生もその多くは大卒が占めます。
有名大学卒の学生や大学院卒の学生がパチンコ業界を目指すケースも珍しくなくなってきました。
就職の志望動機で多いものは
パチンコ業界への就職を目指す学生には、「人と触れ合うのが好き」という人が多いです。
たとえば「人と触れ合うのが好きであり、さまざまなタイプの人の集まるパチンコ店に興味をもった」、「アルバイトで携わった接客業に魅力を感じ、今後も接客業をやっていきたいと思った」などがあげられます。
加えて「パチンコが好き」を志望動機とする学生も一定数います。
中には「パチンコが生活の一部であり、卒業後は常連でもある〇〇店でどうしても働きたい」とパチンコに対する熱い想いをアピールする学生もいます。
「人と触れ合うのが好き」、「パチンコが好き」といのも立派な志望動機ではありますが、それだけでは弱い部分もあります。
「その会社で仕事として何がしたいか」、「将来どのようになりたいか」、「どのように会社に貢献したいか」の部分まで掘り下げた上で伝えるのがよいでしょう。
パチンコ業界の転職状況
パチンコ業界では、新卒者を対象とした定期採用のほか、既卒者を対象とした「中途採用」も行われています。
パチンコ業界は、なかなか新卒学生が集まりにくい業界であり、かつ定着率も少々低めであるため、中途採用からも積極的に人材を集めています。
常時中途採用者を募集しており、毎週のように面接を行っている会社も多いです。
パチンコ運営会社大手の「ダイナム」では、過去に勤務していた退職者を再度採用する「カムバック採用」という試みも行っています。
業界全体的に中途社員を歓迎している傾向があるため、転職は比較的しやすい業界といえます。
転職の志望動機で多いものは
パチンコ業界へ転職を目指す人には、「ベンチャー精神やチャレンジ精神溢れる社風や雰囲気に惹かれた」「パチンコ業界のイメージを払拭させようとするその熱い想いに惹かれた」といった人が多いです。
もちろんパチンコ業界に転職を考える人には、「収入を上げたい」「福利厚生のよい会社に勤めたい」といった現実的で切実な理由も奥底にあります。
その上で、パチンコ業界ならではの熱意やエネルギッシュな雰囲気が心に響き、最終的な決め手となったという人が多いです。
転職で募集が多い職種
中途採用においても、最も募集が多い職種は「ホールスタッフ」であり、過半数を占めます。
中には大規模な会社説明会を開き、ホールスタッフを中途で大量採用する会社もあります。
それに次ぎ、「店長」や「エリアマネージャー」などの管理職も積極的に募集されています。
ただし店長やエリアマネージャーは経験者向けの職種となり、求人数は多いものの未経験の人では採用されにくいです。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
パチンコ業界では、「接客業」、「販売職」、「営業職」といった人を相手にする仕事をしていた人が歓迎されやすく、これまでの経験も活かしやすいです。
とはいえパチンコ業界では、経験やスキルはさほど強く求めていない会社が多いです。
全く接客系の経験がなくとも、やる気や体力があれば歓迎してくれる会社も多々あります。
特に年齢の若い人であれば歓迎されやすいですので、20代であれば未経験でも転職できる余地は十分にあります。
パチンコ業界の有名・人気企業紹介
マルハン
1957年創業。連結売上高1兆5,503億円、連結従業員数12,230名(2019年3月期末)、国内最大手のパチンコ運営会社です。
パチンコチェーン店「マルハン」を全国展開しており、店舗数は計300以上にのぼります。
「パチンコ業界においてES、CSともにトップになること」をビジョンとして掲げています。
パチンコ店の他に、ボウリング場・映画館・カラオケ店といったアミューズメント施設の運営も行っています。
ダイナム
1967年創業。連結売上高7,008億円、連結従業員数9,571名(2019年3月期末)、国内準大手のパチンコ運営会社です。
チェーンストア型のパチンコホールを全国展開しており、店舗数は計400以上にのぼります。
売上はマルハンに次ぐ国内第2位となりますが、店舗数は国内トップとなります。
昨今は海外にもパチンコホールを展開しており、グローバルな企業となってきています。
ガイア
1984年創業。連結売上高3,119億円、連結従業員数3,187名(2018年5月期末)、国内準大手のパチンコ運営会社です。
パチンコチェーン店「ガイア」、「メガガイア」、「ガイアネクスト」を全国展開しており、店舗数は計160以上にのぼります。
「地域と共に歩む」を企業理念としており、大手でありながら地域密着型のパチンコ店を目指しています。
地域の行事への参加やCSR活動も積極的に行っている、異色の大手パチンコ企業です。
パチンコ業界の現状と課題・今後の展望
パチンコ業界にとっての悪材料が増えている
近年、パチンコ業界にとっては痛手となる悪材料が多々出てきています。
<パチンコ業界にとっての悪材料>
・ギャンブル依存症の対策として出玉規制
・射幸性の高いパチスロ機の規制
・広告規制(グラントオープンやナンバー1といった過剰表記の制限、ポスティングの禁止 など)
・リーズナブルな「1円パチンコ」の登場による売上の低下
・パチンコ機の買い替えサイクルが早まったことによる経費増加
・2020年よりパチンコ店も「屋内全面禁煙」
など
特に今後大きな痛手となるのが、パチンコ店の全面禁煙です。
受動喫煙対策の一環で法律が改正され、2020年4月1日よりパチンコ店でも屋内全面禁煙となります。
パチンコの利用客は未だ喫煙率が高く、パチンコとタバコはセットの楽しみとなっています。
それが全面禁煙になってしまうと、客入りが大きく減る恐れがあります。
カジノという新たなギャンブル
2018年にはIR実施法が可決され、日本でも「カジノ」解禁の動きが本格化しつつあります。
カジノもパチンコと同じくギャンブル性のある遊技ですので、今後カジノが普及すると、パチンコの利用客がカジノに奪われる恐れがあります。
「カジノは富裕層向け」、「パチンコは庶民向け」とターゲット層は少々異なるものの、パチンコ業界が下火になっている今、利用客の移動は多少なりとも起こるでしょう。
業界としての将来性
パチンコ業界にとってもう一つ大きな課題があり、それが「若者のパチンコ離れ」です。
インターネットの普及により多くの娯楽に触れられるようになった現代において、以前のようにパチンコで熱心に遊ぶ若者というのは減ってきています。
次世代の若い利用客が育たず、利用客の高齢化が進んでいることも、今現在パチンコ業界が抱えている大きな課題です。
このままパチンコ離れが進むと、将来的に業界が大きく縮小する恐れもあります。
若者や普段パチンコをしない層にパチンコの魅力を伝え、今一度利用客を呼び戻すことがパチンコ業界に求められています。
またパチンコ事業だけに固執せず、パチンコ以外の娯楽・アミューズメント事業を第2の柱として育てていくことも今後この業界に求められてくるでしょう。
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