納棺師に向いている人、適性

他者を思いやることができる

納棺師の活躍の場は葬儀という厳粛な場です。葬儀の際、故人を失った遺族は悲しみに包まれており、多くの場合は混乱しています。

そんな中、縁もゆかりもない納棺師が故人に直接触れることを許されているわけです。

この事実をしっかりと受け止め、遺族の思いを汲み取った上で業務にあたることが納棺師にとって何より重要なことであるといえます。

言葉のみならず、所作や表情等からも思いやりの心は汲み取ることができるものです。

なにげない行動の一つひとつが遺族の癒しにつながり、故人を敬うことにつながることを心得ておきましょう。

これには日頃の鍛錬ももちろん不可欠ですが、納棺師一人ひとりが慈しみの心を持つことが必須であるといえます。

タフな精神力を持っている

納棺師はその業務の特性上、常に死と向き合わなければならない職業です。

向き合う遺体はもう二度と息を吹き返すことはなく荼毘(だび)に付すのを待つのみであり、遺族は故人を失った悲しみに打ちひしがれています。

このような状況の中で日々過ごすことは精神的に容易なことではないでしょう。

もちろん場数をこなすことである程度の慣れというものは生じてきます。

しかし慣れたからといって葬儀の場や人の死、遺族の悲しみといった唯一無二の事象の持つ重みが変わることはありません。

死というものを自分なりに解釈し、受け止めた上で日々の現場を客観的に捉えることのできるタフな精神力は納棺師を続ける上で必要不可欠であるといえるでしょう。

ただしこればかりはガッツや努力だけで得られるものではありません。

まさに各人の適性にかかっています。この有無が納棺師の離職率を高める要因の一つといえるかもしれません。

健康管理に留意し、基礎体力がある

納棺師は一日に3~4件、葬儀の現場をはしごし、2~3人のチームで作業にあたります。

勤務はシフト制で勤務あるため、欠勤等で穴を空けることは大きな損失を生む可能性があります。

納棺師に限ったことではありませんが健康管理に留意することは社会人として当然持っておくべきスキルです。

また、硬直した遺体を扱うことは大変な体力を使います。

ときには体格の良い遺体を扱うこともあり、腰痛等に悩まされる納棺師も多いようです。前述のように一日に何件も現場をはしごすることも身体にはこたえるでしょう。

意外と知られていませんが基礎体力と一定以上の筋力は納棺師が持つべき能力の一つなのです。

割り切り過ぎず、感情移入しすぎない

納棺作業をある程度仕事と割り切ることは必要なことです。

葬儀の度に感情移入しすぎてもらい泣きをしているようでは業務に大きな支障が出ます。遺族にも不安を与えかねません。

とはいっても、あまりに割り切り過ぎ、葬儀をいくつも行うものの一つと考えていると、その所作も機械的で形式的なものとなり、これも遺族に不信感を与えることにつながります。

このバランス感覚は実際に納棺師として経験を積んでいく上で必ず養うべきスキルです。