ホテル業界で仕事をしたい方にオススメしたい本
ホテリエ貞吉です。現在、40代後半でサラリーマンをしております。
おそらくこちらの文章を読んでくださる方はホテル業界に興味がある、もしくはホテル業界への就職を決めたという方がほとんどのはずです。
ホテルに就職をしたら、どんな仕事をするのだろうかと自分をイメージできますか?
本来であれば、OB訪問などをして仕事の内容を聞ければいいのですが、ご自身の大学の卒業生にホテル業界へ就職されている方がいないかもしれませんし、そもそもコロナ禍で直接人に会うことも難しいのが現状ですね。
そこで2021年に出版された本の中から、今回はホテル業界での仕事がイメージできるオススメ本を2冊紹介します。
今回はホテル業界での仕事がイメージできるオススメ本はこちらの2冊。
1冊目はホテルのサービスはどんなことをするのか知りたい方、そして更にキャリアアップしたい時に読んでいただきたいのが2冊目の本になります。
『星野リゾートの事件簿2』(中沢康彦著・日経BP社)
ホテル業界への就職を考えている大学生のみなさんは、サービス業に興味をお持ちでレストランやコンビニ、スーパーなどの小売店でアルバイトをされている方も多いでしょう。
アルバイトされている方は、お客様と接し、お客様のためにお手伝いをすることに喜びを感じているはずです。
しかし一方で「アルバイトの立場上、店長や社員の指示に従わなくてはならず、自分が考えるより良いサービスができない」とフラストレーションを感じているかもしれませんね。
「ホテル業界に入ったら、自分の考えるサービスを思いっきり実現したい」と思った時に手にしていただきたいのがこちらの一冊です。
著者は中沢康彦さんで日経ビジネスの副編集長です。
星野リゾートは2021年時点で国内外に50弱の施設を運営する国内有数のホテル・旅館チェーンになりましたが、その過程でホテルのオペレーションをどのように築き上げてきたのかを著者が現地でスタッフにインタビューすることによりまとめられたものです。
書籍のタイトルに「2」が入っていますが、第1弾は2009年までの出来事、第2弾の本書は2010年から2020年までの出来事が主な内容です。
本書の中では11の逸話が綴られていますが、みなさんが1番読みやすいと私が個人的に思うのがリゾナーレ熱海のブッフェ料理の件です。
星野リゾートの中でも「リゾナーレ」ブランドのホテルはファミリー層をメインターゲットにした施設です。
ファミリー向けの施設で肝になる一つがブッフェ料理。
自分の好きなものを好きなだけ食べられるブッフェ料理はコロナ禍でほとんどのホテルが見直しを迫られました。
今でこそ、ブッフェ台にアクリル板が設置されていたり、小皿で個別に提供されていたりしますが、星野リゾートではコロナウィルスが日本でも感染拡大が始まった直後の2020年5月から新しい形式でのブッフェ料理提供を開始しています。
その際のプロセスは本書を読んでいただきたいのですが、特徴的なのが一般のスタッフまで巻き込んでの新しい形式作り。
多くのホテルでは、新しいサービスを作ることもまだ経営者、管理職などが中心となり、一般のスタッフまで関わる機会は少ないのですが、一般のスタッフまで参加できるのは星野リゾートの特徴のひとつではないでしょうか。
前作の『星野リゾートの事件簿』でも北海道トマムで雲海テラス(山の上で雲海を見られる)の運営を考え、実施したのがゴンドラを整備していた社員自身だったという逸話も紹介されていて、どんな立場の社員でもお客様が喜ぶサービスを考え実行に移すことができるとを本を通して実感することができます。
『惚れるホテルを創る 愛されるホテリエたち』(近藤寛和著・オータパブリケイションズ)
上記の本はどちらかというとホテルに入社直後〜入社数年までのイメージができると思いますが、「入社数年以降にどのようなキャリアを積めるのだろうか」、とか「将来的に総支配人を目指している」などキャリアプランが明確な方にオススメしたいのがこちらの一冊です。
著者は近藤寛和さん。ホテル業界向けの出版社オータパブリケイションズで「週刊ホテルレストラン」の編集を経たのちに現在は、ホテル業界向けのセミナー「宿屋大学」の代表を務められています。
出版されたのは2021年9月。コロナウィルスが発生して1年半を経た時期に当たります。
コロナ禍でホテル業界が厳しい経営環境に置かれていることは多くの方が目にしていると思いますが、既成概念に囚われずに新たなホテルの価値創造に取り組んでいるホテルの若手経営者、管理職5人を取材し、個人的な仕事観、新たなホテルの価値観がまとめられています。
中でも注目すべきは龍崎翔子さん。
大阪の「HOTEL SHE」など特徴的なホテルをプロデュースし、現在L&G GLOBAL BUSNESS Inc.の代表を務められています。
ホテルを「ライフスタイルの試着室」と捉え、ホテルの中に地元で人気のアイスクリーム店を導入したりするなど斬新なアイディアを取り入れられていますが、その源となる価値観なんかも本の中から垣間見ることができます。
就職活動をする際に会社訪問、会社説明会など企業に接する機会は増えてきますが、なかなか生の声は聞きずらいし、ましてや自分の憧れとする、目標とする人物を見つけ、トレースすることはさらに難しくなりますよね。
そんな時に今回紹介した本を読んでいただくことで、ホテルで働くことのイメージを掴むきっかけになれば幸いです。