テニス選手のつらいこと・大変なこと・苦労

テニス選手のつらいこと・大変なこと

国内外の大会に出場するための遠征費がかかる

テニス選手にとって大変なことの一つは、大会へ出場するための遠征費がかなりかかることです。

世界ランキングで100位以内をめざすと、男子の場合、「サテライト・サーキット」や「フューチャーズシリーズ」、「TPチャレンジャーツアー」などの下部大会に出場して、ポイントを獲得しなければなりません。

女子の場合も、システム的には同じです。

そこで、男子の「フューチャーズシリーズ」の予定をみると、韓国で開催された後、ロシアやボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、チェコといった東欧諸国を回り、エジプト、イタリア、モロッコが会場というスケジュールになっていました。

また、時期によっては、アメリカ大陸を転戦することもありますし、西欧諸国を転戦することもあります。

すべてに出場する必要はありませんが、少しでもポイントを稼ごうと思えば、世界各地を転戦していくしかありません。

遠征費の大きさに比べ賞金が少ない

世界の国々を転戦しようと思えば、かなりの費用がかかります。

それなのに、収入は、大会で勝たなければ得ることができません。

つまり、賞金を獲得しようと思えば、あらかじめ、大会に出場するための遠征費を用意しなければならないのです。

そのうえ、大会で優勝したとしても、ランキングの低い間は大会の規模が小さく、賞金の額も多くありません。優勝賞金は数十万円で、準々決勝に進出しても十数万円です。

さらに、大会に出場しても、勝たなければ収入はありません。そのため、世界ランキングで100以内に入るまでは、出費のほうがかなり多くなります。

遠征費を節約しながら、世界各地を転戦する

かつてのプロ選手には、家族や親せきがかなり裕福で、遠征費を出してもらっていた選手もいました。

それが無理なら、自分でスポンサーを探さなければなりません。

プロとして実績のほとんどない選手が、スポンサーを探すのは、なかなか大変です。

遠征費を切り詰めるため、宿を質素なところにしたり、食費を節約したり、さらには、長距離移動でもバスにすることもあります。

多くの選手は、毎日、お金の計算をしながらテニスの大会を戦っていくことになります。

大会から宿泊、移動の手配も自分でする

遠征は一人で行くことが多いです。

出場する大会を探してエントリーすることから、飛行機や列車、バス、ホテルの手配、現地での食事や移動も、すべて自分でしなければなりません。

試合に負ければ、ホテルに戻って次の大会のエントリーをし、移動手段と次のホテルを予約。

準備が終われば、さっそく、次の試合会場に向かいます。

言葉は、すべて英語が基本です。

慣れるまでは全てが大変で、精神的、体力的にかなり強くなければ、コートに立つ前にヘトヘトになってしまいます。

中学、高校時代から海外での試合に慣れておくことが大事

最近は、日本テニス協会が、中学生、高校生のうちから海外での試合に派遣する機会が増えています。

また、「盛田ファンド」などを使って、中学生を海外留学させるケースもあります。

中学、高校生のうちから海外遠征を経験することで、海外での大会出場に慣れることができたり、英語の勉強を積極的にするようになるからです。

また、中学、高校生のうちから海外で活躍すれば、プロに転向した時、スポンサーもつきやすいものです。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

テニス選手の悩み・よくある怪我

活動拠点をどこにするか

世界を飛び回るプロテニス選手だからこそ、練習拠点をどこに置くかは非常に重要な問題です。

例えば、錦織圭選手はアメリカ・フロリダ州にある「IMGアカデミー」を拠点としています。

錦織圭選手が中学生のころに留学した場所であり、現在も大会の合間にここで調整を行います。

ジュニア時代に使っていた練習場所を使うケースは国内にいる選手にも見られます。

奈良くるみ選手は東京の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)と並行し、ジュニア時代から練習していた大阪の江坂テニスセンターも拠点としています。

ただし、ジュニア時代からの練習拠点がプロになっても使える選手は非常に幸運といえます。

多くの選手は充実した設備や、レベルの高い練習相手がいる環境を求めて拠点を探すことになります。

一流選手は休めないことが最大の悩み

過去一年間の大会の成績による獲得ポイントで決められる、世界ランキング。

男子は世界ランキング30位以内、女子は10位以内に入るとコミットメントプレーヤーとなり、世界中で行われるATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)が定める大会に出場しなくてはいけません。

試合に出る権利を有していることは、プロテニス選手にとってはアドバンテージである一方、けがなどを理由に欠場してしまえば、ポイントを獲得できずランキングを下げることにつながります。

よって、一流であればあるほど年間を通して大会に出場することが義務付けられ、休みたくても休めない状態が続くのです。

よくランキング上位の選手が「けがの状態が悪化して、試合を途中棄権した」というニュースを見ますが、これこそがコミットメントプレーヤーの宿命ともいえます。

ひじや手首の怪我が増加傾向

かつてテニス選手を悩ませていたのは、ラケットを振ることによって負荷のかかる肩の怪我でした。

しかし、近年では肩以上にひじや手首の怪我が増加傾向にあります。

原因は、道具の進化とラリーの高速化です。

木製だったラケットがグラスファイバーになり、軽いラケットを使ってトップスピンをかけたストロークが増え、負担のかかる箇所がひじや手首に移行しているのです。

さらに、ラリーの高速化すると体を正面に向けたままオープンスタンスで打つため、これもやはりひじや手首にかかる負担が増える原因となっています。

こうした怪我のリスクと戦いながら、約11か月という長いシーズンを休みなく戦うトップ選手にかかる負担は相当なものとなっています。

テニス選手を辞める理由で多いものは?

プロテニス選手の引退は、一流選手だと30代に入ったところでピークを迎え、その後35歳前後で引退を迎えます。

男女ともにけがと戦いながら長いシーズンを送ることに限界を感じて引退するケースが多いです。

2019年に引退を発表したアンディー・マレー選手も臀部の怪我に悩まされ続け、引退を決意しました。

1996年に一度引退も、その後2008年に現役復帰し2017年に二度目の引退を表明した、日本を代表するテニスプレーヤー伊達公子さんも、最後は体がついていかなくなったことが引退理由でした。

もちろん、結婚生活を優先したいという思いや、これまでの人脈を生かしてテニス以外の分野での成功を夢見て引退する選手もいます。

いずれにしても、世界を転戦する過酷なシーズンを送るテニス選手という仕事を40代を過ぎて続けていくのは難しく、多くの選手にとって、30代は引退決断の時期となります。