僧侶(住職・坊さん)はどんな修行・訓練をする?

「得度」を経て修行・訓練開始

宗派によって若干異なりますが、たいていの場合、「得度(とくど)」と呼ばれる儀式を経て仏門に入ることが、僧侶住職坊さん)としての修行のスタートになります。

いわゆる「出家」のことで、剃髪(ていはつ)をして定められた戒律を守ることを制約し、そして法名(ほうみょう)・戒名(かいみょう)が与えられ、いよいよ僧侶の仲間入りを許されるという流れです。

得度は出家のために必要不可欠な儀式であり、古くは肉親との絶縁、俗世(ぞくせ)との決別を意味しました。

現在は肉親と縁を切ることはありませんが、僧侶として生きていく決意を表明するための大切な過程のひとつであると考えられています。

ただし得度を受けたからといって、一人前の僧侶として認められるわけではありません。

あくまで得度は入門の儀式であり、その後生涯を通じて修行を続け、人生をかけて理想の僧侶を目指していくことになるのです。

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日常生活のすべてが修行・訓練

僧侶の生活は独特の厳しさがあり、日常生活のすべてが修行とされます。

早寝早起きはもちろんのこと、粗食、質素倹約、身の回りを清廉(せいれん)に保つなど仏の教えに基づいた理想の生活を追求するため、一般の人と異なることが多い生活です。

寺院によっても異なりますが、見習いの修行僧は夏の朝は午前3:30、冬は4:30頃に起床して座禅やお勤めを行い、夜は21:00に就寝する早寝早起きが基本です。

とくに早朝の清掃は作務(さむ)と呼ばれ、仏に使えるものとして毎日欠かすことなく行います。

夏の暑さや冬の寒さに屈することなく、ほうきや雑巾などを使って心を込めて行い、常に境内(けいだい)を清潔に保つことも、立派な修行のひとつです。

また1日2食の精進(しょうじん)料理は感謝の念を絶やすことなく、私語を謹んで食べるなど、日常の当たり前の所作(しょさ)も僧侶(住職・坊さん)にとっては重要な修行のひとつになります。

宗派によってさまざまな修行・訓練を行う

経典の修得のための読経(どきょう)や写経は、どの宗派でも共通して行われる修行です。

読経は1日数回、姿勢を乱すことなく、30分以上休憩なしで行われることがほとんどです。

僧侶が修行を行うのは「悟り(さとり)」を開くのが目的で、お釈迦(しゃか)さまが約7年の過酷な修行を経て悟りを開いたことに由来しています。

そのため見習い期間を終えて僧侶(住職・坊さん)として認められた後も、寺院にお勤めする中で毎日の修行を永続的に続けていくことが大切です。

宗派によっては滝行や川行などの水行、山岳修行、瞑想、お百度参りやお遍路(へんろ)などが行われており、僧侶は仏の教えをより深く理解するためにすべての修行に真摯に取り組んでいます。