僧侶(住職・坊さん)の階級や位にはどんな種類がある? 法衣(袈裟)の色の違い
僧侶は修行を積むことで階級を上げ、階級ごとに着用する法衣(袈裟)の色が変わります。
この記事では、僧侶の階級制度と法衣の色について詳しく解説します。
僧侶の階級「僧階」とは
僧侶の世界には、「僧階」と呼ばれる階級制度があります。
僧階は宗派によっても異なりますが、修行を積むことで上げていくことができます。
階級の種類
「僧階」は、僧侶の階級制度のことで、この制度は各宗派で数段階にわかれています。
「僧位」という宗派もあります。
僧侶たちは、仏教の教えを学び、修行を積むことで自己の成長を追求し、僧階を上げていきます。
「僧階」は宗派によって若干異なりますが、ここでは真言宗の「僧階」について紹介します。
- 1級:大僧正(だいそうじょう)
- 2級:権大僧正(ごんのだいしょうじょう)
- 3級:中僧正(ちゅうそうじょう)
- 4級:権中僧正(ごんのちゅうそうぞう)
- 5級:少僧正(しょうそうぞう)
- 6級:権少僧正(ごんのしょうじょう)
- 7級:大僧都(だいそうづ)
- 8級:権大僧都(ごんだいそうづ)
- 9級:中僧都(ちゅうそうづ)
- 10級:権中僧都(ごんちゅうそうづ)
- 11級:少僧都(ごんちゅうそうづ)
- 12級:権少僧都(しょうそうず)
- 13級:大律師(しょうそうづ)
- 14級:律師(りっし)
- 15級:権律師(ごんりっし)
- 16級:教師試補
一般的な企業では役職が上がると給与も増えることがありますが、僧侶の場合は僧階が上がっても給与や手当に直結するわけではありません。
僧侶の修行や僧職は、一種の奉仕や宗教的な使命として捉えられています。
僧侶は物質的な報酬や給与を目的とせず、自己啓発や精神的な成長、仏法の普及などに専念します。
そのため、僧階が上がることで給与が増えるというシステムは一般的に存在しません。
僧侶の階級は修行の年数で決まる
僧階は、出家してからの修行の年数によって決まるルールです。
僧侶の中で、長い修行年数を持つほど僧階が高くなります。
実年齢よりも修行年数が重要視され、各階級ごとに段階的な修行を行う必要があります。
ただし、修行年数だけで僧階が決まるわけではありません。
修行中には、指導者や上位の僧侶からの評価や指導を受けながら、修行の進捗や個人の成長、教えの理解度、戒律の遵守などを考慮して階級が上がっていきます。
僧階の昇進には、寺院や宗派によって異なる規定や手続きがあり、例えば、特定の教義の習得や試験の合格、上位の僧侶からの認定や推薦などが必要な場合もあります。
最終的には、個人の努力や成果、宗派や寺院の規定に基づいて、僧侶の階級が決定するのです。
ただし、宗派や伝統によって僧階は違いがあり、具体的な階級の詳細は、それぞれの宗派や寺院の教えや規定に従わなくてはなりません。
上下関係が重んじられる僧侶
僧侶の世界では、僧階は非常に重要なものです。
修行の世界は非常に厳しいため、長年その中で修行を積んできた僧侶は、高い僧階を持つことで尊敬される存在となります。
上位の僧階の僧侶は、下位の僧侶の面倒を見る役割を持ち、下位の僧侶は上位の僧侶を師匠や兄弟子として敬います。
葬儀や法事の際には、複数の僧侶が参加する場合、必ず上位の僧侶が上座に座るのが決まりです。
ただし、僧階が低いからといって、仏道に励む者を軽んじることは、信仰の有無に関わらず避けるべきです。
歴史的に名を残している僧侶の中にも、僧階の低い人々が多く存在しており、僧階に関係なく人々を正しく導く存在として、常に努力する姿勢が必要です。
僧階は学歴でも左右される
僧階は修行年数だけでなく、学歴によっても異なることがあります。
たとえば、真言宗では、資格認定において大学院卒の方が7級の「大僧都」となり、大学卒の方が6級の「権少僧正」となります。
また、高校卒や専修学院卒の方が12級の「権少僧都」となることが目安です。
そのため、エリートコースを進む場合には、宗派に合わせた学歴があることが重要です。
日蓮宗では、立正大学仏教学部宗学科の大学院を修了すると、高位の「僧都」から僧階をスタートさせることが可能です。
一方、同じ立正大学でも学部卒業や高校卒業の場合は、低い僧階から始まることになります。
そのため、宗派に合わせて必要な学歴を事前に調べておくことをおすすめします。
「僧階」は修行年数だけでなく、学歴によっても異なる場合があることを覚えておいてください。
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僧侶が着用する法衣の色の違い
僧階によって法衣の色も異なります。
法衣の色は僧侶の階級を示す重要な要素であり、法衣の色によって僧侶の位や地位を推測することができます。
最高位の僧侶である1級の大僧正は、緋色の法衣を身に着けます。
緋色は最高位を示す色として、宗派に関係なく共通して使われる色です。
一方、2級の権大僧正から6級の権少僧正までは、紫色の法衣を着用することが一般的です。
なお、普段の勤行や日常的な活動では、略装用の法衣を着用することが一般的です。
略装用の法衣は黒色で統一されているため、お寺で見かける僧侶の多くは黒い法衣を身に着けていることが一般的です。
宗派や伝統によって細かいルールや色の使い方が異なるため、具体的な色分けの詳細については、それぞれの宗派や寺院の教えや規定に従う必要があります。
一方で、袈裟に関しては色による階級の違いはなく、身に着ける法衣の色に合わせて僧侶本人が選んでいます。
寺自体にも階級がある
寺院にも階級制度である「寺格」があります。
寺格は寺院の規模や文化的な価値、社会的な影響力などに基づいて設定されます。
- 総本山(そうほんざん) 各宗派の本山を統括している寺院
- 大本山(だいほんざん) 総本山の下で末寺を統括している寺院
- 本山(ほんざん)一宗一派を統轄する寺院
- 末寺(まつじ) 本山の配下に位置する寺院
例えば、「総本山」や「大本山」などは各宗派を統括する重要な寺院の一つです。
明治維新以前は、寺格は国家によって定められていましたが、現在では各宗派が独自に寺格を定めています。
寺格の高い寺院では、一定以上の僧階の僧侶しか修行できない制限がある場合もあります。
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「僧侶(住職・坊さん)の階級」まとめ
僧侶(住職・坊さん)の階級は修行年数や学歴などの要素によって決まります。
法衣(袈裟)の色も階級を表す重要な要素です。
僧侶の世界では僧階が重要であり、上位の僧階を持つ者は尊敬される存在となりますが、階級が低いからといって僧侶の価値が軽んじられるわけではありません。
また、寺院にも階級制度である「寺格」が存在し、寺院の規模や影響力によって階層が分かれています。