シューフィッターの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「シューフィッター」とは
一人ひとりの人間の足にピッタリと合う靴を選んで提案する、靴の専門家。
シューフィッターとは、一人ひとりの人間の足にピッタリと合う靴を選んで提案する、靴の専門家のことをいいます。
おもに靴の専門店や百貨店の靴売り場などに勤務し、足の疾病予防の観点からお客さまの正しい靴選びをサポートします。
シューフィッターになるためには、「足と靴と健康協議会(略称FHA)」が養成・認定しているシューフィッターの資格が必要です。
シューフィッターとしての求人は極端に少なく、まずは販売員として靴を売りながらシューフィッターの資格取得を目指してステップアップする人が多くいます。
年収は大手靴メーカー勤務であれば約500万円、大手百貨店では600万円以上となっているようです。
健康志向の高まりからプロのアドバイスを求める人は増えているため、今後はシューフィッターの活躍の場がさらに広がるかもしれません。
「シューフィッター」の仕事紹介
シューフィッターの仕事内容
健康という観点から靴選びをサポート
シューフィッターは、靴の専門店、百貨店などで勤務する、靴選びの専門家です。
「足と靴と健康協議会」が認定した資格をもつ人で、足の健康という観点から、お客様の靴選びをサポートします。
足に合わない靴を履き続けることは、靴擦れなどの足のトラブルにつながるだけでなく、脊髄の歪みから腰痛をも引き起こしかねません。
これらを未然に予防するために、計測器具を用いて、足の部位や形状を細かく分析します。
また人には各々歩き方の癖があります。
シューフィッターは、靴底の減り具合を観察することで、お客様の歩き方の癖や特徴をつかみます。
その上で、測定値をもとに選んだ靴にインソールを調整するなどして、お客様に最適な1足を提供します。
正しい靴選びは、快適感につながるだけでなく、姿勢を正しくし、日々を健康に過ごす上で重要なものです。
シューフィッターは、ただ販売するだけでなく、足と靴の深い知識を有する技術者として、お客様の靴選びをサポートする存在です。
シューフィッターになるには
「足と靴と健康協議会」認定資格が必要
シューフィッターを名乗るためには、「足と靴と健康協議会」が認定している資格を習得する必要があります。
シューフィッターの資格は、初級の「プライマリー」、上級の「バチェラー」、最上級の「マスター」という三段階があります。
他にも幼児に対応する幼児子ども専門シューフィッター、高齢者に対応するシニア専門シューフィッターなどがあります。
プライマリーの受験には靴に関する仕事に3年以上従事している経験が必要です。
そのため、多くの人は、まず百貨店や靴の専門店に就職し、接客実務を積みながら、勉強します。
その後、3日間の講習と3ヶ月間の通信講座を経て、初めて受験資格が与えられ、試験合格者がプライマリーに認定されます。
シューフィッターの資格・試験の難易度
難易度は高くなく、経験が必要
シューフィッターの資格のうち、初級の「プライマリー」の難易度は約8割が合格するなど、難易度は高くありません。
講習の内容をしっかり理解しておけば、クリアできる内容でしょう。
ただ、プライマリーの資格取得には、1年で50人分の足型を提出する必要があり、経験の豊かさが求められます。
プライマリーの資格取得者は、より上位資格の「バチェラー」を目指します。
シューフィッターの資格は国家試験ではなく、民間資格ですが、30年を超える歴史ある資格です。
取得することで、靴の専門知識、フィッティング技術などについて、深い知識を保有していることをPRでき、業界内で強みとなる資格です。
シューフィッターの給料・年収
資格手当が期待できる
シューフィッターの資格取得には、3年以上の実務経験を必要とします。
そのため、最初は一般の販売員として、靴の専門店や百貨店に就職します。
初任給は18~20万円前後が一般的です。
その後、シューフィッターの資格を取得した場合、資格手当が支給され、昇給するケースが多いです。
平均年収は所属する会社の規定によりますが、大手靴メーカーの場合は約500万円、大手百貨店の場合は600~750万円ほどになります。
人気のシューフィッターは、常連客を抱え、売上も伸びていくため、年収800万円以上を稼ぐこともあります。
シューフィッターの現状と将来性・今後の見通し
健康志向の高まりから、ニーズ増加
最近は、健康志向の高まりから、ウォーキングやランニングを行う人が増加しています。
それに比例し、お洒落なデザインや価格という観点からでなく、履きやすさという観点から靴を選ぶ人が増えています。
また、超高齢社会が進むなかで、健康寿命という考えも広がっています。
将来自分の足で歩けなくなるリスクを回避するためにも、足の健康に注目が集まっています。
そのようななか、靴を買う際に、プロであるシューフィッターに選んでもらいたいというニーズも強くなっています。
シューフィッターは今後、今以上に活躍が期待されているといえます。
シューフィッターの就職先・活躍の場
百貨店、靴専門店など多岐にわたる
シューフィッターの就職先は、靴の専門店、百貨店、スポーツ用品店、アパレルなど多岐にわたります。
主に靴の販売の現場でお客様の靴選びをサポートすることが多く、店長クラスには資格の取得を推奨する企業もあります
また、シューフィッターは、靴の専門知識、フィッティング技術だけでなく、足の構造、機能、寸法、形態、老化などについて深い知識を有しています。
そのため、靴のメーカーに在籍し、より履き心地のよい靴の開発を行うシューフィッターもいます。
シューフィッターの1日
シフト制で働く場合が多い
シューフィッターは、多くの場合、靴の専門店や百貨店などに勤務し、一般の販売員と同じような勤務体系になります。
勤務先によっては、勤務時間が長く、早番・遅番などのシフト制で働くこともあります。
勤務時間が長くない職場であれば、開店から閉店までフルで勤務することもあります。
今回は百貨店で働くシューフィッターの早番の1日を解説します。
9:00 出勤
出勤し、清掃や商品陳列を行います。
常連客からの予約が入っている場合は、あらかじめ、お客様のカルテを見返し、特徴や好みを把握します。
開店前にはミーティングに参加し、売上目標や本社からの連絡事項を確認します。
10:00 開店
商品の品出しなどを行いながら、来店されたお客様へのアドバイスを行います。
13:00 休憩
14:00 午後の勤務開始
オーダーメイド希望のお客様に対して、足の形状、サイズを計測するほか、素材やデザインを決定します。
15:00発注作業
オーダーメイドの内容を靴メーカーに伝え、発注を行います。
16:00接客
引き続き、接客を行いながら、お客様の最適な1足を選ぶお手伝いをします。
18:00 勤務終了
お客様の来店時間、常連客の予約状況によって残業が発生することもあります。
シューフィッターのやりがい、楽しさ
お客様の信頼を得ることが可能
足の形状や特徴は人により様々で、自分の足に合う靴をみつけることは、お客様にとって難しいことです。
自分に合わない靴を履いているお客様のなかには、靴ずれや腰痛など健康問題を抱える人もいます。
正確な計測と深い知識をもとに提案した靴が、履き心地もよく快適だった場合、お客様から感謝され、やりがいを感じます。
そして、信頼され、次回の靴選びも任せてもらえることも多いです。
長い関係を築くことができる点に魅力を感じます。
シューフィッターのつらいこと、大変なこと
お客様の健康を左右する責任感
お客様に合う靴を予算やデザインも考慮しながら、選ぶ必要があるという点が大変です。
さらに、お客様のなかには、悩みをかかえて、シューフィッター資格保有者の接客を希望する方もいます。
シューフィッターの肩書に恥じることがないようにというプレッシャーは強いです。
また自分が最適と思い提案した靴が原因で、お客様が靴擦れなどを起こすことがないよう慎重な判断が求められ、大変です。
加えてシューフィッターは、靴への理解だけでなく、接客技術も求められます。
気難しいお客様もいて、コミュニケーション能力が求められる面もあります。
シューフィッターに向いている人・適性
探求心があり、人に喜ばれることが好き
まずシューフィッターになるには、販売員として3年以上勤務しながら、勉強を続ける必要があります。
途中で挫折する人も多いため、目標に向かって、努力できる向上心が必要です。
靴には、サンダルやロングブーツまでさまざまな種類や形状があり、流行によっても店舗のラインナップは常に変動します。
シューフィッターは、たくさんの靴の中から、履き心地がいい靴だけでなく、デザインや用途もお客様の希望にあったものを選ぶ必要があります。
それは、靴が好きであることや深い知識をもっているだけでなく、人一倍の探求心と情熱が必要でしょう。
また、シューフィッターは接客業でもあります。
そのため、高いコミュニケーション能力、お客様に喜んでもらいたいというホスピタリティが大切になります。
シューフィッター志望動機・目指すきっかけ
専門性を高めたい人が多い
シューフィッターを目指す人は、まず靴が好きで、靴の専門店などに就職した人が多いです。
そして、単なる販売だけでなく、深い知識と技術をもつ専門職を目指して、シューフィッターを目指す人が多いようです。
他社との差別化を図るため、店員に資格取得を推奨する企業も多いです。
シューフィッターの資格保有者は、資格手当や昇給により、年収アップにつながることから、取得を目指す人もいます。
シューフィッターの資格は業界内で評価が高く、顧客からの信頼にもつながるという魅力があります。
シューフィッターの雇用形態・働き方
正社員や契約社員が多い
シューフィッターは、さまざまな雇用形態で働くことができます。
正社員として、靴の専門店、百貨店、スポーツ用品店、アパレルに就職する人もいますが、派遣社員、契約社員などの働き方も可能です。
多くの場合、まずは一般の販売員、製造員として就職し、実務経験を積むケースが多いようです。
資格に合格することで、シューフィッターに職種転換するパターンが大半です。
契約社員の場合、正社員に比較し、雇用の安定性には欠けますが、人気靴店や大手メーカーに勤務できるチャンスがひろがります。
シューフィッターの勤務時間・休日・生活
シフト制が多く、土日も出勤する
勤務先や立地により、営業時間は異なりますが、早番や遅番というシフト制の勤務を導入する企業が多いです。
土日祝日にお客様が増加することから、平日休みが多く、土日祝日に連続して休むことは難しいです。
またシューフィッターの仕事は、専門性が高く、一般の社員では替えがきかないケースが多いため、欠員などの場合は休日出勤もあります。
他にも常連客やリピーターを多くかかえるシューフィッターは、お客様の来店日時にあわせる必要があり、残業時間が多くなる傾向にあります。
シューフィッターの求人・就職状況・需要
シューフィッター自体の求人は少ない
シューフィッターは、資格取得にあたり、3年以上の実務経験を必要とします。
そのため、まずは一般の販売員、製造員として、靴の専門店、百貨店、スポーツ用品店、アパレル、靴のメーカーに就職する人が多いです。
資格取得後は企業内でそのままシューフィッターとして活躍するため、シューフィッター自体の求人は少ないです。
ただし、シューフィッターを店や売り場に1人は置きたいという企業ニーズは高く、深い知識を有するシューフィッターの需要は高いでしょう。
シューフィッターの転職状況・未経験採用
学歴にはこだわらない傾向
シューフィッターを希望する人は、まず一般の靴の販売員や製造員としての就職を目指します。
百貨店や大手メーカーを除き、学歴や資格にはこだわらないことが多いです。
シューフィッターになるためには、3年以上の実務経験が必要となることから、異業界からの転職を行う場合は若いほど有利になるでしょう。
シューフィッター自体の求人は少ない傾向にあり、転職はしにくい傾向にあります。
1つの企業のなかで、知識と経験を積み、リピーターや常連客を増やしていく人が大半です。