神職・神主の現状と将来性
神社、神職の数
全国にある神社のほとんどは「神社本庁」という宗教団体に属しています。
神社本庁傘下にある神社はおよそ8万社にものぼり、これは全国の神社の90%にあたります。
神社本庁という本社があって、全国の傘下神社が支社や支店であると考えるとわかりやすいでしょう。
ただ、神社本庁が本社に相当するとはいっても、全国にある傘下神社が神社本庁の利益のために活動をしているわけではありません。
それぞれの神社は独立採算で運営されています。
現在、全国におよそ2万人の神職がいるといわれています。
ただし、これは神社本庁に属する神社に奉職している神職の数です。
それ以外の団体に属している神社や、単一で宗教法人化している神社の神職を含めるとそれ以上になりますが、正確なデータが出ていません。
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神職は世襲のみ?
「神職に就けるのは神職の家庭に生まれた人だけ」といわれることは多いです。
同じ宗教家である僧侶も世襲制をとっているところが多いため、神職に関しても同様のイメージが根付いているのかもしれません。
実際、やはり世襲制をとっている神社はとても多く、このあたりは一般社会と異なる部分です。
しかし、世襲ばかりがまかり通った結果、神社神道は世の中の動きに遅れを取ってしまったという指摘が組織内にあるそうです。
その反省から、現在では神社本庁に属する神社であっても、一般から神職を募集するケースが増えています。
また、神社本庁とは別の宗派に属する神社では、一般からの神職募集を積極的に行っているところがあります。
これからの神社、神職
神社本庁傘下だけでも全国に8万社ほど存在する神社に対して、神職は2万人余り。この数字だけを見ると、神職の数が圧倒的に足りていないように思われます。
仮にすべての神社に一人ずつ神職が配置されていると考えてみても、6万社は無人の神社ということになってしまいます。
ただ、無人に見える神社であっても、常駐していないだけで必ず神職は配置されています。
このような神社は、他の神社に奉職している神職が兼務で「宮司(ぐうじ)」を務めています。
宮司とはその神社の責任者を務める神職のことであり、どの神社にも必ず一人置かれることが神社本庁によって定められています。
これが神社数と神職数が大きくかけ離れたものになっている理由です。
神職は欠員があまり出ないケースが多いため、どの神社も募集人員が少ないのが現状です。
また、前述のように多くの神職が社家出身者であるため、つてがない人には狭き門であるといえます。