女性の神職・神主
奉職活動では多少不利
神職を目指す女性の数は近年増加傾向にあります。現在、約22,000人の神職のうち、女性の神職は約3,000人といわれています。
神社という清廉な環境で古来より信仰されてきた神道に従事する女性神職の姿に美しさを感じ、憧れを持つ女性も多いことでしょう。
しかし、実際に神職として神社に奉職するとなると、女性は男性に比べて多少不利になります。
男女同権が叫ばれて久しい現代社会において時代錯誤であると感じる人も多いかもしれません。
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女性神職の歴史は浅い
女性が神職に就くのを不利にしている一番の理由は歴史の中で長い期間、神職が男性の職業とされていたことだと考えられます。
現在のように女性が神職に携わるようになったのは第二次世界大戦以降のことであり、その歴史はまだ長いとはいえません。
そのため、男子神職や氏子のなかには、いまだに古い考えを持っている人も少なからずいるというのが実際のところです。女性の神職を認めないばかりか、祭祀によっては女人禁制を布いたりしている神社もあります。
たとえばトンネル工事における安全祈願などでは、昔から女性を避けてきたという経緯があるため、今でも現場によっては祈祷を男性神職だけで行ったりすることもあるのです。
奉職してからも苦労は絶えない
女性神職は狭き門であるのが実際のところですが、その門戸は徐々に広がりつつあります。しかし、その就労環境は神社によってまちまちです。
たとえば、規模の小さな神社の場合、巫女もいないので女性専用の更衣室がない場合もあります。また日々の社務には力仕事も多く、宿直勤務もあるため、女性には体力的にも厳しい部分があるでしょう。
このような理由で、神社側も女性の採用に消極的になってしまいがちなのです。
また古来、女性はその性別的特徴から穢れているとされてきました。この穢れの観念は、現在ではほとんど問題視されなくなってきています。
しかし、少数ではありますが、今でも幣殿と本殿との境界にある結界から内側(本殿側)は、職員といえども女性が立ち入ることは一切禁止とするような神社もあるようです。
神職を志す女性は相応の覚悟を持って奉職活動に励むことが望まれます。
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今後の展望は明るくなりつつある
女性が神職を志す場合に取り巻く厳しい現実は、いまだ完全に払拭できません。しかし、戦後、女性神職が誕生してから、すでに70年以上が経っています。
その間に奉職した女性神職の奮闘、努力が実を結び、当初は男性神職の補助的な存在であった女性神職の在り方も近年大きく変わりつつあります。
時代とともに女性神職が受け入れられる環境は確実に整ってきており、最近では、社家の出身ではない女性神職が周囲の神職や氏子から大きな信頼を得て、宮司に就任したという事例もあります。
また氏子・参拝者への細やかな対応や、女性の出産にまつわる儀礼、また、男性には話しにくい女性特有の悩みや相談への助言など、男性神職には難しい事例を女性神職が担い、神社の活性化につなげようという動きが多くの神社で見られるようになりました。
このような期待は今後さらに高まっていくことが予想され、神職を目指す女性にとって明るい時代が到来しつつあるといえます。