神職・神主になるには

神主・神職になるための道のり

資格取得は絶対条件

神職に就くためには、神社本庁が認める神職資格(階位)の取得が必要です。

この階位は下から「直階」「権正階」「正階」「明階」「浄階」の5つに区分されており、神社本庁所定の検定試験を受けることで得られます。

検定の内容は、階位によって異なります。

神職・神主になるまでのルート

ルート1:國學院大學か皇學館大學を卒業

神職資格をとる最も一般的な方法は、神職資格取得課程を有する「國學院大學」か「皇學館大學」に進学し、卒業することです。

通常の入試を突破して4年間で所定の単位を取得すれば、上から3番目の階位である「正階」を取得できます。

また、所定の実習を受け、さらに成績優秀であると認められれば、さらに1ランク上の「明階」を目指すこともできます。

國學院大學か皇學館大學への進学にあたっては神社本庁からの推薦状が不要であるため、神社とゆかりのない人でも試験に合格さえすれば入学が可能です。

社家以外で神職を志すほとんどの人は、この方法を選択します。

大学卒業後に「神道学専攻科」で学ぶ

両大学とも、4年制の学部学科とは別に神道学専攻科が設置されています。

他大学で学んだ後、1年ほど専攻科に通うことで階位を得ることができますが、4年制に比べて狭き門であるのが現実です。

また、國學院大學に関しては神社本庁からの推薦状が必要とされるため、神職の子弟や知り合いの神社に奉職が決まっている場合以外での入学はかなり難しいと考えてよいでしょう。

ルート2:神職養成所に入所する

大学以外では、全国各地にある神職養成所で階位を取得を目指すことができます。

神職養成所は以下の6つです。

  • 出羽三山神社神職養成所(山形県)
  • 志波彦神社 塩竈神社神職養成所(宮城県)
  • 熱田神宮学院(愛知県)
  • 京都國學院(京都府)
  • 神宮研修所(三重県)
  • 大社國學館(島根県)

ただし、神職養成所に入るには、宮司を通じて神社本庁に推薦書を発行してもらう必要があります。

神職と何のつながりもなく神職を志す人にとっては難しい方法であるといえます。

ルート3:階位講習会を受講する

階位検定講習会とは、短期(約30日間)で神道に関する基礎知識や必要な技能を身につけ、神職としての信仰を深めるための制度です。

講習会は、國學院大學・皇學館大學・神社庁で行われます。(※ただし、すべての神社庁が開催するわけではありません)

講習会には、神職になるための大学や養成所と比べ、短時間で階位取得を目指すことができるメリットがあります。

ただし、受講のためには以下の条件を満たす必要があります。

  • 階位取得後に奉職する神社が決まっていること
  • 当該神社の宮司および神社が鎮座する都道府県神社庁長の推薦が得られること
  • 大学または短期大学に在学中あるいは短大卒者と同等以上の学歴であること(國學院大學・皇學館大學で受講する場合)
  • 高等学校以上の学校卒業者であること(神社庁で受講する場合)

講習会では、「直階」「権正階」「正階(國學院大學・皇學館大學のみ)」の3つの階位を目指すことができます。

ただし、必ず直階から受講することが必要です。

開催時期は、通常は大学では春季と秋季、神社庁では夏季となっていますが、事前に確認してください。

ルート4:通信課程を受講する

「一般財団法人大阪国学院」では、全国で唯一、神職資格取得通信課程を有しています。

大阪国学院のカリキュラムを受講・修了すれば「権正階」や「直階」の階位を取得することができます。

ただし、神職資格の通信課程を受けるには、階位取得後に奉職する神社が決まっていることや、年齢要件(25歳以上65歳以下)など、いくつかの条件を満たさなくてはなりません。

神職になるための学校・養成所・通信講座の詳細については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

神職・神主になるには? どんな養成所や大学がある? 通信教育でも目指せる?

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奉職先を見つける

奉職を希望する神社を見つけて応募する

神職として従事するためには、奉職先である神社を見つけることが必要です。

ここでいう「奉職先」とは、一般の仕事でいう就職先・勤務先と考えるとわかりやすいでしょう。

求人は神職関連の大学や養成所に出るので、その情報をもとに希望の神社に奉職活動をかけます。

規模が大きく有名な神社には応募が殺到し、反対に小さな神社は求人をあまり出しません。

一般企業を目指す就活生とほとんど同じ状況であると考えてよいでしょう。

奉職先は縁故で決まることも多い

1点注意が必要なのは、神社の面接は専願制であるという点です。

つまり、ひとつの神社の合否が出る前に他の神社を受けることはできません。

奉職先は縁故で決める人がほとんどであるため、社家の生まれでない人は多少不利になるのが正直なところです。

ただし、大規模な神社はこの限りではありません。

また、女性神職の受け入れに関してはかなり門戸が開けてきているとはいえ、男性と同条件であるとは限らないため、各神社に問い合わせる必要があります。

中途採用はほとんどが縁故となっているため、新卒ではない人が神職を志す場合は、新卒者に比べて採用される可能性が低くなります。

とくに30代以上の人はまず奉職先を見つけて、つながりを作ってから資格を取得すべきでしょう。

神職に求められるもの・向いている人

神道の正しい理解

神職を志す者にとって神道を正しく理解しているかどうかはとても大切です。

昨今のスピリチュアルブームにより、神道に対して誤解を持っている人も少なくありません。

もちろん志すきっかけは人それぞれであるため、スピリチュアルブームを入り口として神道に興味を持った人もいるでしょう。

しかし、そこから先は、階位取得の課程において神道の歴史を一から学び、神道の定義を正しく理解する必要があります。

それを原点として実生活にどのように生かしていけるのか、社会貢献に役立てるにはどうしたらいいのかを生涯を通じて模索することが神道に従事する者の務めです。

信仰心を持てる人

神職は職業のひとつであるため、もちろん収入を得ることはできます。

ただし、一部の有名神社の神職を除き、一般的な神職の年収は300万円以下にとどまることも珍しくありません。

日々の業務では、境内や本殿の清掃、各種祈祷の受付といった事務的で目立たないものも多いです。

自発的に奉仕活動をおこなう機会も多いため、神道に対しての信仰心を持つことができ、金銭面以外の部分でも充足感を得られる人のほうが神職に向いているといえます。

神職・神主に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介

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神職任用後の教育・研修

神職は、階位を取得して神社で働き始めた後も、日々研鑽を積んでいくことが求められます。

日本の神社の約9割が所属する組織「神社本庁」では、神職の生涯教育として次のような研修を実施しています。

  • 初任神職研修(任用後の受講必須)
  • 中堅神職研修
  • 指導神職研修
  • 専門研修
  • 各種研修(神職として必要な知識・教養・技能等を学ぶ)

神職は、日々の仕事に加えて積極的にこういった研修に参加することで、神職としてステップアップすることを目指します。