棋士のやりがい・楽しさ・魅力

棋士のやりがい・楽しさ

棋士同士の対局に勝つこと

棋士にとって最大のやりがいは、リーグ戦(順位戦)やタイトル戦などに出場して勝つことです。

棋士はもともと、子どもの頃から将棋が特別に強かった人ばかりで、棋士(四段)になれるのは半年ごとに2人だけしかいません。

「棋士になるのは、東大に入るより難しい」といわれており、棋士同士の対局は、棋士のプライドを賭けた戦いともいえます。

それだけに棋士同士の戦いに勝つことは、大きなやりがいを感じる瞬間です。

精神的に成長したと実感できたとき

将棋の対局は、勝敗に棋士の心の状態が大きく影響するといわれています。

対局中に焦ってしまったり、相手の意表をつく手に動揺したり、ひとつの戦法にこだわりすぎたり、雑念がよぎったりするとなかなか勝てません。

勝てるときはやはり、どしっと落ち着いて感覚が研ぎ澄まされ、相手の手がまさに手に取るように読めるようなときです。

大きな大会ほど、そして相手が強いほど、平常心を失い、本来の実力が発揮できなくなる傾向にあります。

棋士それぞれ、克服すべき大会や相手のレベルは異なりますが、対局を通じて少しでも精神的に成長できたと思えることは、棋士にとって大きなやりがいです。

勝つことがそのまま収入につながる

棋士の収入の基本は、対局料や賞金なので、大きな大会で勝てば勝つほど収入が増えていきます。

日本将棋連盟によれば2019年の獲得賞金は、1位が豊島将之竜王・名人の7,157万円、2位が広瀬章人八段の6,984万円でした。

参考:日本将棋連盟

さらに大きなタイトルを取れば、指導や講演を依頼されたり、イベント出演や取材も増えてさらに収入がアップするでしょう。

勝つことが直接収入につながることも、棋士にとってのやりがいです。

話題となる手を指すこと

大きな大会では棋譜が新聞や専門雑誌に掲載されますが、とくに鮮やかな逆転勝ちや意表をついた手で勝った場合には、愛好家の間でその手が話題になります。

棋士にとって対局での指し手は自分の作品ともいえるので、話題に上がることはほこらしく、やりがいや将棋の面白みを感じる瞬間です。

棋士の仕事内容

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棋士の魅力

将棋を職業にできること

棋士の最大の魅力は、将棋を自分の仕事にできることでしょう。

プロ棋士になるための「奨励会(しょうれいかい)」に入会するのは、たいてい小さなころから大人にも勝ち、「将棋の天才」と呼ばれてきた小学校の高学年から中学生の子どもたちばかりです。

いわば恵まれた将棋の才能を生かし、将棋を職業として生きていけることは大きな魅力といえます。

学歴は関係なく実力の世界

将棋の世界に学歴は全く関係なく、将棋の強さだけがものをいう世界です。

たとえば永世名人の羽生善治棋士は東京都立上野高校卒業、同じく永世名人の谷川浩司棋士は兵庫県の滝川高校出身ですが、2人とも中学生でプロ棋士となっており、高校卒業後に大学には進んでいません。

将棋の実力があれば、学歴に関係なく活躍できます。

むしろ将棋が強いと、中学生のころから将棋の勉強に没頭するため、受験勉強をするヒマがないというのが現実です。

性別や年齢に関係なく活躍できる

棋士は、性別や年齢に関係なく活躍することもできます。

これまで女性で正式にプロ棋士なった人はいませんが、女性に対して門戸が閉ざされているわけではありません。

奨励会で好成績を収め、四段に昇段すれば誰でもプロ棋士になれますし、プロ棋士になれなくても、女性なら「女流棋士」として将棋を職業にすることも可能です。

また19歳までに「奨励会」に入会し、26歳までに棋士になれば、以後は年齢に関係なく棋士として活躍することもできるのも魅力でしょう。

引退は自らの意思で決められるため、将棋を指すことができれば何歳になっても棋士として活動できるので、望めば生涯現役でいられるのも棋士の魅力のひとつです。

将棋を通していろいろな人と交流できる

「レジャー白書2018」によると、日本将棋愛好家は700万人と推定されており、藤井聡太七段の人気が影響して前年から170万人も増加しています。

参考:レジャー白書2018

プロ棋士になると指導やイベント、交流会などを通じて、たくさんの人に会えることが魅力です。

愛好家にはさまざまな職業の人がいて、とくに企業のトップや政治家、学者、芸能人、プロスポーツ選手、職人などと交流を持つことは勉強や刺激になり、楽しみにしている棋士も少なくありません。