法務教官に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
法務教官に向いている性格・適性
相手の立場になって物事を考えられる人
法務教官のおもな仕事は、罪を犯した少年を社会復帰へと導くことです。
そのためには少年一人ひとりとじっくり向き合い、罪を犯してしまった原因や背景を理解する必要あります。
しかし、少年が非行に走ってしまう原因は単純なものばかりではありません。
少年自身の問題をはじめ、家庭環境や学校での人間関係など、さまざまな事情が複雑に絡み合った結果として非行に走ってしまうのです。
こうした個々の少年ごとに異なる事情をくみ取り、少年の気持ちは理解するためには、相手の立場になって物事を考えられる能力が必須となります。
つねに平常心を保てる人
少年院や少年鑑別所に入所する未成年者は、事情はあったにせよ何かしらの罪を犯してしまった少年たちです。
一筋縄ではいかない少年も多く、周りの言うことを聞かなかったり、法務教官に対して煽るような言葉を投げかけたりする少年もいます。
そうした場合にもカッとせずに、少年に対してはつねに平常心を保って接することが法務教官には求められます。
前向きな性格の人
非行に走った少年を更生するのは簡単な仕事ではなく、思うようにいかないことのほうが多いでしょう。
なかには「これはやってはいけないことだ」と認識する能力が欠落してしまっている少年います。
また家庭環境に問題がある場合には、親自身の規範意識が薄かったり、幼児期のしつけを放棄していたりするケースもあり、そうした背景から「社会のルールを守る」という意識をこれまで持たなかった少年もいます。
そんな少年たちを教育していくうえで、ときには挫折感や無力感をおぼえることもありますが、それを乗り越えていけるだけの前向きさがある人が法務教官には向いているでしょう。
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法務教官に必要なスキル・能力
少年と向き合うための忍耐強さ
前述のとおり、少年の更生が思うように進まないことも珍しくありません。
いくらプログラムや授業内容を工夫したとしても、なかなか成果が得られなかったり、少年が心を開いてくれなかったりするケースも多いでしょう。
しかし初めは心をかたくなに閉ざしていた少年であっても、時間をかけて向き合うなかで、徐々に胸の内を開いてくれる可能性もあります。
法務教官には、少年とじっくり向き合うための忍耐強さが求められるといえるでしょう。
複数の業務を進められるマルチタスク能力
ひと口に「非行少年の更生」といっても、法務教官のやるべき仕事は多岐にわたります。
職業訓練や体育指導のほかにも、担当する少年たちとの個別面談や、保護者との面会などもこなしていかなければなりません。
複数の業務を同時に進めていける、マルチタスク能力が必要な仕事です。
夜勤をこなせる体力
法務教官は少年院や少年鑑別所などで働くことになりますが、それらの収容施設は24時間保安にあたらなければなりません。
そのため、法務教官は昼間勤務と昼夜間勤務を交代で担当することになります。
昼夜間勤務は、まずは昼間の仕事をこなし、そのあとはそのまま夜間勤務にあたります。
このような長時間勤務にも耐えられる体力がなければ、法務教官として長くは勤められないでしょう。
法務教官に向いていないのはどんな人?
「なるべく短期間で成果を出そう」と考える人は、法務教官には向いていない可能性があります。
非行少年のもっている意識や考え方は、更生プログラムを実施したからといってすぐに変えられるものではありません。
また表面的には良い子に見えても、ふとした拍子に裏切られることもあります。
そんなときも大きな心で受け止め、長い時間をかけてゆっくりと社会復帰へと導いていくことが法務教官の役割といえます。
とても苦労の多い仕事ではありますが、少年たちのちょっとした変化にやりがいを感じられるような人が法務教官として活躍していけるでしょう。