保護観察官とは
保護観察官とは
保護観察官は、法務省採用の国家公務員の一種で、保護観察所や地方更生保護委員会に配属されます。
罪を犯した人が刑事施設を出所して社会復帰を果たした際に、健全な社会生活を送れるようさまざまなサポートを行う「社会内処遇」の専門家です。
社会内処遇とは、犯罪をした人に地域社会のなかで一般人と同様の生活を送らせながら改善更生を図るものです。
また、犯罪や非行のない社会を築くための「犯罪予防活動」を促進する役割もになっています。
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保護観察官の仕事
保護観察所へ配属された場合は、家庭裁判所で保護処分決定を受けた少年や、刑事施設から仮釈放された人の保護観察を実施します。
そのほか、出所後の住まいや就職先などの生活環境の調整や、再犯を予防する活動なども行います。
一方、地方更生保護委員会へ配属された場合には、刑事施設や少年院に収容中の人との面接を実施し、仮釈放や仮退院に関する審理のために必要な調査などを行います。
保護観察官の労働時間・待遇
保護観察官は原則として1日7時間45分の労働時間で、配属先によっては宿直業務もあります。
給与は法律によって定められており、保護観察官には「行政職俸給表(一)」が適用されます。
国家公務員として各種休暇制度や育児休業制度なども整っているため、女性にとっても働きやすい環境といえるでしょう。
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保護観察官になるには
保護観察官になるには、法務省専門職員(人間科学)採用試験に合格する必要があります。
応募要件に学歴や資格などに関する条件はなく、受験する年の4月1日に21歳以上30歳未満の人なら誰でも受験できる試験です。
1次試験では基礎能力試験(多肢選択式)と専門試験(多肢選択式・記述式)が実施され、2次試験では人物試験(個別面接)、身体検査、身体測定が実施されます。
2次試験も無事通過すれば「採用候補者名簿」に名前が得点順に掲載され、その名簿のなかから最終的な採用が決定します。
保護観察官に向いている人
保護観察官の重要な仕事の一つに、保護観察中の人との面接があります。
保護観察者本人やその家族と対面し、仕事の状況や家族との関係などについてじっくり話を聞き、必要に応じて指導も行います。
その際には、いかに相手の気持ちをくみ取れるか、また保護観察者それぞれの状況に適した臨機応変な対応ができるかが重要なポイントです。
そのため、相手の立場になって物事を考えられる人や、状況に応じて適切な対応ができるような機転の利く人が向いている仕事といえます。
また、保護観察官の仕事は心理学や教育学、社会学などの専門的知識を活用しながらの業務になりますが、採用試験を受ける段階でこれらの高度な知識が求められるわけではありません。
それらの知識は採用後の研修や実務を通して身につけられますので、それよりも犯罪に走ってしまった人の社会復帰や、安全な社会の実現に対する熱意を持っていることのほうが重要だといえるでしょう。