ファッションアドバイザーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「ファッションアドバイザー」とは

ファッションアドバイザーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

アパレルショップで、お客さまへの商品の提案や、着こなしのアドバイスをする。

ファッションアドバイザーは、アパレル製品を扱う店舗において、お客さまの好みやニーズに合わせた商品を提案したり、トレンドを踏まえた着こなしのアドバイスをしたりする仕事です。

未経験からでもスタートできますが、商品の種類や特性をよく理解し、自分自身のセンスも磨く必要があります。

また、人と接することが好きであることも重要な要素となります。

おもな就職先はアパレルメーカー直営店、衣料品販売店、百貨店やブランドショップとなり、雇用形態は正社員のほか、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトとして働く人も多数います。

したがって、全体の平均年収は300万円前後とやや低めとなっています。

お客さまに対して気持ちよい接客をし、売上向上に貢献できる人は、どのような職場でも歓迎されるでしょう。

「ファッションアドバイザー」の仕事紹介

ファッションアドバイザーの仕事内容

購買意欲を高めるディスプレイ作り

ファッションアドバイザーとは、衣類・服飾用雑貨を扱う店舗の中でお客さまに商品を提供する、いわゆるショップ店員のことです。

主にお客さまのニーズや好みに合わせた商品を提案したり、トレンドを取り入れた着こなしやコーディネートの仕方についてアドバイスを行います。

まずは、お客さまの目に留まるようなウィンドウディスプレイのアレンジを行い、店内に足を踏み入れたくなるような”雰囲気づくり”を行うのがファッションアドバイザーとしての腕の見せどころです。

店内においても店の個性をアピールするためのレイアウトや、トルソー(マネキン)を用いたディスプレイ作りを行うことも大切な仕事です。

入店したお客さまには明るい笑顔と丁寧な言葉づかいを心がけ、お客さまが買い物を存分に楽しんでいただけるように「おもてなしの心」で接客します。

お客さまが手に取った商品をきれいにたたみ直し元の場所に戻すなど、商品を美しく見せるための美的センスを常に意識しながらレイアウトを行います。

そのほか商品管理や発注業務、商品の入れ替え作業やマーケティング、購買動向研究など販売以外の仕事も行います。

ファッションアドバイザーになるには

ファッション知識を学び接客経験を積む

ファッションアドバイザーになるためには、特に必要とされる資格などはありません。

ファッションアドバイザーを目指すには、専門学校やスクール、通信教育などでファッションに関する専門知識やコーディネート技術を習得したのち、百貨店やアパレルメーカーなどに就職するのが一般的です。

ファッションアドバイザーは、お客さまの購買意欲を高めるアドバイスがきちんとできることが求められます。

そのためには扱っている商品の特性を十分に理解した上で、その年やシーズンのトレンドとなる素材や色・デザインなどについても常に把握しておかなければなりません。

コーディネートセンスや接客技術を身に着けるためには、何よりも現場経験で学び、接客経験を積むことが重要となります。

ファッションアドバイザーの学校・学費

アパレル本社勤務は幹部候補のケースも

ファッションアドバイザーは、基本的に学歴などが問われない職業です。

実際に求人情報を見てみると、販売スタッフの募集要項では「学歴不問」とする企業も少なくはありません。

ただし、多くのケースではアルバイト採用の販売スタッフに限定していることが多いため、企業の募集要項を十分に確認してから応募することをおすすめします。

大手アパレルメーカーの本社勤務を希望する場合は、総合職や企画職・営業職・マーチャンダイザーなどの専門職に分かれ、高卒以上で専門学校・専修学校・大学・短大、中には大学院卒を対象とする企業もあります。

こういった場合のたいていのケースでは、企業は幹部候補としての採用を考えており、入社後の数年間は経験を積むために店舗スタッフとして勤務し、その後本社への異動といったルートが用意されているといえます。

ファッションアドバイザーの資格・試験の難易度

現場で役立つ2つの民間検定試験

ファッションアドバイザーになるためには、必須となる資格などはありません。

しかし、店頭ではファッションに関する深い知識やコーディネート技術、接客技術が必要となります。

ここではアパレルメーカーの現場で役立つことができる2つの資格をご紹介します。

<ファッションビジネス能力検定>
ファッションビジネスに関する知識と技術を評価する民間検定試験のひとつです。

等級は3級・2級・1級があり、3級と2級は「ファッションビジネス知識」と「ファッション造形知識」の2科目があります。

1級は、アパレル・リテール企業で5~6年程度の実務経験を積んだレベルとなります。

受験資格に制限などはなく、希望する級を受験することが可能です。

<ファッション販売能力検定>
アパレル業界への就職を志す人におすすめしたい民間検定試験のひとつです。

店舗スタッフとしての接客技術・販売力・ショップ運営に関する知識や能力を向上させることを目的とした試験となります。

等級は3級・2級・1級があり、3級と2級は販売スタッフに向けた出題内容で、ファッションのトレンドや事象なども含まれます。

1級は店長・店舗マネージャーを対象としたレベルで、3級・2級の内容を理解した上での応用編となっています。

ファッションアドバイザーの給料・年収

平均年収250万円~350万円程度

ファッションアドバイザーの平均年収は250万円~350万円程度が相場といえます。

未経験から就職した場合、初年度の年収はおよそ200万円程度からスタートし、5年目くらいになると300万円程度になるようです。

月収は15万円~25万円未満がファッションアドバイザー全体のおよそ9割を占めており、他の職種と比べると年齢や経験年数に応じて給与水準の差があまり見られないのが特徴ともいえます。

ファッションアドバイザーとしての実績を積んだのち、店長やマネージャー職など役職がついたり、商品企画・営業・マーチャンダイザー・マーケティングやバイヤーなど、ほかの職種へとキャリアップが可能になれば年収増加も期待できます。

しかしながら、ファッションアドバイザー専任となると高収入を望むのは難しい現状です。

ファッションアドバイザーの現状と将来性・今後の見通し

通販ショップより実店舗を選ぶ人も

インターネットやスマートフォンが普及する現代では、店舗に足を運ばなくても通販やネットショッピングで気軽に衣服を購入しておしゃれを楽しむ時代となりました。

しかし、実際に衣類を手にとって、素材の手触りや色あいを確かめたり試着してから買い物をする人もいまだ多く、ブティックや専門店、百貨店の服飾店、セレクトショップなどが今後なくなることはまずないでしょう。

ファッション業界やアパレル業界は、いかに売上を伸ばし生き残るかが問われる競争が激しい業界でもあります。

ECサイトの開業やネットショップの売上げは年々増加傾向にありますが、お客さまが足を運ぶ実店舗において売上に貢献できるファッションアドバイザーは、今後も需要がある職種として活躍できるでしょう。

ファッションアドバイザーの就職先・活躍の場

アパレル業界・ブランドショップなど

ファッションアドバイザーの主な就職先は、アパレルメーカー直営店やブランドショップ、衣料品販売店、百貨店やショッピングモールなどです。

フォーマルウェアを扱う専門店やブランドショップなどでは、店のオリジナル性や専門知識も必要ですし、高級ブランドショップではハイレベルなファッションセンスや知識が求められます。

店舗によってお客さまの年齢層や扱う商品の内容、プライスゾーンなども変わってきます。

企業に所属するファッションアドバイザーの場合は、商品開発や集客プランニングを考案する仕事など、さまざまな活躍の場があります。

大手のアパレルメーカーではプレスや商品管理、マーチャンダイザー、マーケティングなど専門職へのキャリアアップのチャンスも期待できます。

ファッションアドバイザーの1日

アパレルショップ勤務の場合

店舗の営業時間によっては早番・遅番と2交代制勤務の場合もあれば、開店から閉店までフルタイム勤務の場合もあります。

ここではアパレルショップに勤務する、あるファッションアドバイザーの1日の仕事をご紹介します。

9:30 出勤
金庫に保管してあるレジを開け、すべてのお金を金庫の中からレジへ移動させます。
前日遅番スタッフからの引継ぎメモを確認し、当日入荷する商品を確認します。

10:30 店内清掃
開店準備をはじめます。床のゴミを掃き、静電気でホコリが溜まりやすい店内の隅々までモップをかけます。
ディスプレイした商品の乱れを整えて見ばえの良い場所に移動し、トルソーのコーディネートチェックを行います。

10:50 朝礼
1日の売り上げ目標や、前日スタッフからの連絡事項などを出勤スタッフ全員に伝えます。

11:00 開店
お客さまを店内へ迎えます。開店直後はまばらに入店することもあれば、シーズン立ち上がりの日などは開店と同時に大勢のお客さまが入店することもあります。

店頭に立って明るく元気な声で「おはようございます」と挨拶します。

平日の日中は比較的空いているため、お客さまと会話を楽しみながら商品をおすすめするなどして接客を行います。

接客の合間に在庫管理やタグ付け、新商品のチェックなどを行います。

14:00 昼食
13時~15時の間でスタッフと交互に昼食をとります。百貨店勤務の場合は社員食堂を安く利用できることもあります。

バックヤードで持参したお弁当を食べたりコンビニ食を買いに行くなど、各自で自由に昼食をとり午後の仕事に備えてリフレッシュします。

14:45 業務再開
午後の業務のスタートです。夕方に向けてお客さまが増えて行くため、より気を引き締めてお客さまに接客します。

17:00 休憩
会社帰りのお客さまが増えてくる時間帯に備え、メイク直しをして身だしなみを整えます。

19:30 勤務交代
遅番スタッフに勤務中の出来事や注意事項、連絡事項などを漏れなく伝えます。

店舗によっては遅番スタッフと交代する前に一度レジを締めて、早番の売上げを集計することもあります。

金銭管理は厳重に行い、遅番スタッフにしっかりと引き継いだ上で帰宅します。

ファッションアドバイザーのやりがい、楽しさ

ノルマのつらさも仲間と一緒に乗り越える

ファッションアドバイザーの魅力は、常に最先端のファッションアイテムに触れるため、トレンドに敏感になり自然とセンスが磨かれていきます。

好きな仕事に携わって、自分のセンスやアイデアをお客さまに提供できることがファッションアドバイザーとしての大きな魅力といえるでしょう。

アパレルメーカーのファッションアドバイザーなどであれば、個人ノルマが発生することもあります。

多くのショップでは複数のスタッフと一緒に働くことになりますから、仲間と一致団結しながら店舗売り上げ目標に向かって励むため、仲間意識と絆が深まります。

日によっては、客足が少なかったり自分の調子がいまいちで売り上げに貢献できない日もあります。

自分がおすすめした商品をお客さまに購入していただける喜びは、ファッションアドバイザーとして認められた気分になり、大きな達成感とやりがいを感じることでしょう。

ノルマ達成に伸び悩んだり、自身のモチベーションとの格闘は、スタッフの仲間の誰もが通る道です。

気分が落ち込む日もありますが、仲間と励まし合あいながら努力が報われた瞬間は、「がんばろう!」というポジティブな気持ちに切り替えることができるでしょう。

ファッションアドバイザーのつらいこと、大変なこと

「ブランドの顔」としてふるまう

ファッションアドバイザーとは、流行の最先端にある商品に囲まれた環境の中で、華やかで楽しい職業に見えるかもしれません。

しかし、現実は立ち仕事の連続で、商品の運搬や出し入れ、売り場の移動など、基本的に肉体労働が多く体力が資本の職業ともいえます。

どんなに疲れていても、気分が落ち込んでいても、お客さまには常に明るい笑顔で接客しなければなりません。

お客さまは店のブランドが好きで訪れるわけであり、ファッションアドバイザーの服装やセンス、接客態度を常にチェックしています。

いわば店の「ブランドの顔」を意識してふるまわなければなりません。

レディースファッションを扱うショップでも、男性客が来店することも多いです。

時には自分のコンプレックスをお客さまから指摘されたり、心ない言葉で傷つくこともあるでしょう。

お客さまにお声がけをしても無視されることもありますし、苦手なタイプや会話の合わないお客さまでもファッションアドバイザーのプロとして平等に接客しなければなりません。

このようにお客さまから見られる立場であることを常に意識して、どんな時でも明るくふるまわなければならないことが精神的につらい面もあります。

ファッションアドバイザーに向いている人・適性

ファッションアドバイザーとは接客業

流行に敏感でおしゃれを楽しむのが大好きで、周囲の人にセンスを認められているだけでは勤まることはできません。

ファッションアドバイザーとは接客業ですから、まずは人と接することが好きな人が向いています。

商品をおすすめするのもファッションアドバイザーの仕事ですので、社交的な人が向いているといえます。

お客さまが話しかけやすい容姿であることも大切です。明るく親しみやすい笑顔と人に好感を持たれる態度で接客ができ、TPOをわきまえて年上の人には正しい敬語を使える人が適性といえます。

お客さまによっては、ひとりで買い物を楽しみたい人もいるでしょうし、自分に合うデザインやサイズ、カラー、コーディネートについて悩んでいる人もいるでしょう。

そんな時はさりげなく声をかけ、流行のファッションについて会話をしたり、お客さまの好みやセンスを聞き出すことも接客業に必要なテクニックのひとつです。

さらに深い商品知識とファッションセンスを持ち、お客さまが手にとった商品を購入したい気持ちに導くことのできる説得力のある会話スキルが必要です。

「この人なら大丈夫!」とお客さまとの信頼を築き、次も来店してもらえるようなコミュニケーション作りができる人が適性といえます。

ファッションアドバイザー志望動機・目指すきっかけ

なぜこのブランドを選ぶのか...

ファッションアドバイザーを志す人は、洋服とおしゃれが好きなことが共通しているのではないでしょうか。

ファッション好きの母に影響されて子どものころからアパレルメーカーで働きたいと夢を追い続ける人や、好きなブランドに憧れを抱きファッションアドバイザーを目指す人もいることでしょう。

お客としてショップに入店した時のスタッフの印象や商品の感想を述べたり、ブランドが好きな気持ちを率直に伝えることで、「この企業(このブランド)」で働きたいという意欲をアピールすることができます。

アパレルメーカーでは多くのブランドや職種が存在します。数ある職種の中で、ファッションアドバイザーを志す理由について自分の思いを一度振り返ってみましょう。

企業によって扱う商品のコンセプトやテイスト、ターゲット層なども異なるため、企業(ブランド)情報を公式サイトなどで調べた上で、自分から見たブランドの魅力や共感できる点などをまとめてみましょう。

「この企業」を選び、「このブランド」で働きたい思い、貢献できる点などを自分の言葉でしっかりと伝えることが重要です。

ファッションアドバイザーの雇用形態・働き方

アルバイトから正社員、フリーランスまで

ファッションアドバイザー募集の求人情報を見てみると、アルバイト・パート・正社員・契約社員などさまざまな雇用形態があります。

大手人材派遣会社の求人では、ファッション業界の接客・販売系の職種として、ファッションアドバイザーの派遣スタッフを手がける派遣会社もあります。

紹介予定派遣を利用して、キャリアを積む人もいるようです。

また、フリーランスとして独立したのちサロンを開業し、洋服・メイク・ヘアスタイルなどトータル的なファッションを提案するアドバイザーとして活躍する人もいます。

ファッションアドバイザーの勤務時間・休日・生活

勤務時間は企業規定に準ずる

多くのアパレルショップでは、土日や祝日も開店しています。

百貨店やモールなどに店舗を構えるショップはもちろんですが、レディースファッションを扱う店舗では、主婦層や会社員が圧倒的に多いため、客足の伸びる土日祝日がファッションアドバイザーの稼ぎ時です。

雇用形態や契約内容にもよりまずが、定休日とシフト制で休日が決められています。

勤務時間は店舗営業時間によって変わりますが、9時30分~22時前後の時間帯で、早番・遅番といった2交代制やシフト勤務など、あらかじめ定められた雇用契約に準じての勤務となります。

繁忙時や季節によっては営業時間外に商品の入れ替えや模様替え、棚卸し業務などで残業することもあります。

ファッションアドバイザーの求人・就職状況・需要

ワーキングマザーへのフォロー体制

求人情報サイトを見てみると、ファッションアドバイザーの求人は豊富にあり、正社員のほか契約社員・派遣社員・アルバイトやパートまであらゆる雇用形態があります。

ファッション業界は、他業界と比べて主に女性が活躍する職種であることから、キャリアを積んだのちに結婚して子育て中のママになっても長期的に働きやすいことが魅力といえます。

近年では、ファッション業界・アパレル業界全体として、ワーキングマザーへのフォロー体制に力を注ぐ傾向にあり、時短勤務に変更して子育てと両立させながら仕事を続けるファッションアドバイザーも増えているようです。

ファッションアドバイザーの転職状況・未経験採用

未経験者にも社内研修やOJTなど完備

いくつかの求人サイトを見てみると、未経験者に向けた求人も多く、それぞれのライフスタイルに応じた働き方も可能です。

アルバイトの販売スタッフからスタートしても、企業や店舗によっては商品知識やブランドの特性を学びながら接客経験を重ね、正社員に登用されたり店長やマネージャー職にキャリアアップできるチャンスも望めます。

なお、未経験者で異業種からの転職や若年層からシニア層までを幅広く対象とした求人もあり、新入社員研修や教育制度が完備されている企業が増えているようです。

ファッション業界に特化した転職エージェントや派遣会社もあり、アパレル業界出身者のキャリアコンサルトが転職支援を行うなど手厚いサポートを受けたのち、転職に成功している人もいます。

販売経験はなくてもファッションに興味がある、またはファッションが好きでも販売経験がないなどの未経験者でも、社内研修や現場のOJTなどで接客技術やブランド知識を学べる教育制度が整う企業もあります。

また、将来的には副店長や店長として運営に関わるキャリアを磨くことが可能なキャリアプランが用意されている企業もあります。