証券業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





証券業界とは

証券業界に属する「証券会社」とは、主に株式や債券、投資信託などの売買を行う企業のことです。

日本の証券業界には、大手から中小企業までたくさんの証券会社が存在しており、その中でも代表的な企業としては「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券」などが挙げられます。

このような大手証券会社の場合、「リテール業務」と呼ばれる個人や中小企業向けの事業だけではなく、大手企業に対するコンサルティング業務など幅広く事業を展開しています。

また、これまでは個人に対しても「対面方式」で営業を行う証券会社が主流でしたが、近年ではインターネット上で口座開設から取引まで行うことができる「ネット証券」が勢力を伸ばしています。

さらに、今後の日本の人口減少を見据えて、海外の企業を買収する証券会社が出ていきていることも業界としての特徴です。

今後も海外進出に目を向ける証券会社は増えていくことが予想されており、グローバルに活躍したいと考える人にもおすすめの業界といえるでしょう。

証券業界の役割

証券会社が取り扱うのは株式・債券・投資信託などの金融商品であり、証券会社はそれらの金融商品の「仲介者」としての役割を果たしています。

例えば、企業が資金調達を行うために株式を発行した場合、それを買ってもらう投資家を探さなければいけません。

投資家側の立場で考えても、「株式でお金を運用したい」と思った時にもしも投資先を自分で探す必要があれば、それはとても大変なことです。

証券会社は、このような「企業」と「投資家」を結びつける役割を担っており、証券会社が機能しているからこそ、個人でも簡単に株や債券などの金融商品を購入することができるのです。

ここでは「企業と投資家」の例を挙げましたが、「国と投資家」や「投資家同士」という関係性においても、証券会社の仲介者としての役割が必要不可欠となっています。

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証券業界の企業の種類とビジネスモデル

国内大手企業

証券業界の代表的な存在としては、「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券」「みずほ証券 」「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」の5つが挙げられます。

この5社は日本の「5大証券」とも呼ばれており、個人や中小企業向けの「リテール業務」から大手企業向けの金融コンサルティングまで、フルサービスで事業を行なっています。

これら5社の事業内容についてはそれほど大きな違いはありませんが、「企業の成り立ち」の部分で違いが見られます。

具体的には「野村證券」と「大和証券」は「独立系証券会社」、「SMBC日興証券」「みずほ証券」「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」は「銀行系証券会社」です。

独立系証券会社は証券会社としての歴史が長いことから「情報の網羅性・信頼性」に強みを持っています。

一方、銀行系証券会社はグループにメガバンクを持つことから、銀行の利用客を証券会社の顧客として開拓できることがメリットといえます。

準大手・中堅企業

証券業界の準大手企業としては、「岡三証券」「東海東京証券」がこれに該当します。

この2社は大手証券会社と同様にフルサービスでの事業を展開しており、全国各地に支店を有しています。

また、中堅企業としては「丸三証券」「いちよし証券」「東洋証券」などの企業が挙げられます。

中堅の証券会社は、大手や準大手のような全国展開には積極的ではなく、地域密着で営業基盤を固めている点が特徴です。

外資系企業

日本の証券業界には、「ゴールドマン・サックス」「メリルリンチ」「モルガン・スタンレー」といった、世界を代表するような米国大手金融グループの証券部門も参入しています。

これらの大手外資系企業は証券の分野にとどまらず、投資銀行業務、資産運用業務、不動産業務など、さまざまな金融サービスにおいて業界を牽引する存在です。

事業範囲としては、どちらかといえば「対個人」よりも「対企業」に対しての事業を積極的に展開しています。

証券業界の職種

証券業界特有の職種を3つ紹介していきます。

基本的には、どの職種においても金融に関する専門的な知識が求められています。

営業

営業は「リテール」とも呼ばれ、主に個人や中小企業を対象に営業活動を行います。

個人向けの営業の場合、仕事のメインは「口座開設の営業」と「資産運用のコンサルティング」の2点が挙げられます。

法人向けの営業の場合は、顧客企業のニーズを把握し、資産運用の領域を中心に専門的なアドバイスを行います。

リサーチ

経済状況や個別の株式などについて調査を行うことがリサーチの役割です。

「今の経済状況は良いのか、今後はどうなるのか」といった点や、「今後大きく値上がり、もしくは値下がりが予想される株式」などについて専門的に調査・分析を行います。

これらの調査結果は社外に対して発信されることも多く、責任も重大な仕事です。

インベストメント・バンキング

インベストメント・バンキングは「投資銀行業務」と呼ばれるもので、主に法人顧客の代わりに金融取引を行うことが仕事になります。

具体的には、企業がM&A(企業買収)やIPO(株式を証券取引所に上場させること)を行う際のコンサルティングや各種サポートを行います。

非常に高度で、大きな金額を動かす業務内容であるため、金融に関する深い知識や経験が求められる職種です。

証券業界のやりがい・魅力

金融に関する専門的な知識が身につく仕事

証券業界で働く上では、株式や国債、投資信託などに関する商品知識を身に付けることが必須の仕事であるため、それら金融商品に関する専門的な知識を身に付けることができます。

身に付けた知識を活かして個人のお客さんの投資相談に乗ったり、法人相手に資産運用に関して効果的な運用方法の提案を行い、それが良い結果に結びつけば大きなやりがいを感じることができるでしょう。

その分、「ファイナンシャルプランナー」や「二種外務員資格」など、金融に関する資格の取得を求められるケースも多いですが、こういった資格の勉強も自己成長につなげることができます。

日々自己研鑽を行い金融商品に関する知識を深めることで、より高いレベルでお客さんのサポートが可能となる仕事です。

給与水準が高い業界

証券業界は給与水準が高いことも魅力の一つです。

企業口コミサイト「キャリコネ」が2018年に実施した「証券業界の年収ランキング」では、1位の「野村證券」が699万円、2位の「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」が692万円、3位の「SMBC日興証券」が674万円と発表されました。

ランキング上位の証券会社の平均年収は600万円を軒並み超えている状況であり、他の業界に比べても給与水準の高さが見て取れる結果となっています。

また、証券業界の企業には「実力主義」の企業風土があり、能力の優れた人ほど高い年収をもらっているケースが多いことも特徴です。

「仕事の実績を給料にもしっかり反映してほしい」という人には魅力的な職場環境だといえるでしょう。

証券業界の雰囲気

証券業界の男女比はほぼ半々で、営業職でも多くの女性が活躍していることが特徴です。

通常、営業の仕事は男性の比率が高い傾向がありますが、お客さんの資産運用に関する相談に乗ったりアドバイスを行うといった仕事の特性上、女性の持つ柔らかな雰囲気やきめ細やかさはとても重宝されています。

また、全体として「結果」を求められる傾向が強いことも証券業界特有の雰囲気といえます。

営業職においても「新規開拓」の仕事を任されることも多く、これまで取引のなかった会社へ訪問して営業活動を行なうことも少なくありません。

このように厳しさを感じる側面もありますが、その分結果を出している社員には報酬面で還元したり、資格取得や語学勉強などに関しては補助金を出す企業があったりと、人材育成意識が高いことも証券業界の特徴といえます。

証券業界に就職するには

就職の状況

証券業界は「給料が高い」「自己成長できる」といったイメージから、学生の就職先としても人気の高い業界の一つです。

中堅規模以上の証券会社であれば、ほとんどの企業で毎年採用活動を実施していますが、応募条件として「大卒以上」の学歴が求められるのが一般的です。

新卒で募集の多い職種としては「総合職」や「営業職」の採用であり、総合職の場合でもまずは営業として働くケースがほとんどとなります。

ここまで見てきたように、証券業界は「結果」を求められる傾向があることや、金融に関する資格の勉強が必要になるといった部分から、合う・合わないがハッキリしている業界でもあります。

そのため、「自分には合わない」と判断して退職する人も毎年一定数いるため、その分を補う意味でも営業職の求人数は比較的多く出回っています。

就職に有利な学歴・大学学部

中堅規模以上の証券会社に総合職や営業職として入社を希望する場合は、大学を卒業していることが必須条件といえるでしょう。

それ以下の規模の証券会社であれば高卒の求人も出ていますが、大卒の求人数と比べると数は少なく、仕事内容が限定されているケースも少なくありません。

また、証券業界への就職で有利な学部・学科については、株式や債券などを取り扱うことから「経済」「経営」などの学科が評価につながりやすい傾向があります。

しかしながら、基本的には「学部・学科不問」で求人を出している証券会社がほとんどであり、経済や経営以外の学科出身であっても、金融に関する基本的な知識を押さえておければ問題ないといえるでしょう。

就職の志望動機で多いものは

証券業界を受けるときの志望動機としては、「専門性の高い仕事がしたい」「大学で学んだ金融の知識を活かせる仕事がしたい」といった理由が多く見られます。

証券業界は金融商品に関する専門性の高い知識を身につけ、その知識を活かしてお客さんへの提案活動を行う仕事であり、その部分に魅力を感じて志望する人は多いです。

ただし、お客さんに対する提案活動を行う仕事である以上、身に付けていかなければならない知識の水準は高く、入社後も継続して金融に関する勉強を続けていく必要があります。

「大学で学んだ金融の知識を活かしたい」という志望理由は悪いものではありませんが、「入社後も、金融に関する幅広い知識を身に付けられるよう努力したい」という部分まで伝えられると高評価につながりやすいです。

証券業界の転職状況

転職の状況

証券業界では、新卒者を対象とした採用活動以外にも、多くの企業で転職者の受け入れを積極的に行なっています。

総合職や営業職の他には人事・総務などの「事務系」の募集や、ネット証券においては「システムエンジニア」の中途採用も行われています。

ただし、大手や準大手と言われる証券会社ほど新卒採用の比率が高くなっているため、証券業界への中途入社を目指す場合には、中堅・中小規模の企業も視野に入れて探すことをおすすめします。

転職の志望動機で多いものは

証券会社への転職を希望する人は金融業界出身であることも多く、志望理由としても「これまで培ってきた業務知識やスキルを活かしたい」という内容がよく見られます。

とく中途採用の場合であれば「即戦力」が求められる傾向があるため、これまでのキャリアを志望動機に盛り込むことは効果的なアピールにつながるといえるでしょう。

金融業界出身でない場合は、「営業スキル」や「コミュニケーション能力」を活かして働きたい、という内容で志望動機を伝える人が多いようです。

転職で募集が多い職種

証券業界では総合職、営業職、事務系スタッフなど、さまざまな職種で中途採用が行われていますが、その中でも特に募集が多いのが営業部門での採用です。

証券業界のビジネスモデルを考えても、まずは企業のお客さんとなってくれる取引先を増やさなければいけないため、そのためには数多くの営業部隊が必要となります。

そのため金融業界以外の職歴しかない場合でも、営業の経験がある人は面接で高く評価されることもあり、チャンスといえるでしょう。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

証券業界へ転職する場合、営業を行う職種であれば「金融業界での業務経験」や「営業職として働いた経験」があると選考でも評価につながりやすくなります。

こういった経験がない人でも、証券会社の仕事は「お客さんとの関わり方」が重要であることから、面接で高いコミュニケーション能力を認められれば採用されるケースもあります。

一方、「投資銀行業務」での採用については求められるレベルが非常に高いことから、M&A関連の業務経験や、コンサルティングファームでの業務経験を有していることを募集条件として掲げている企業も多く見られます。

証券業界の有名・人気企業紹介

野村證券

1925年創業、2001年設立。連結売上高18,351億円(2019年3月期)、従業員数13,093名(2018年3月時点)

国内最大手の証券会社であり、親会社である「野村ホールディングス」はアジア最大の投資銀行・証券持株会社。

業務範囲も個人、機関投資家、企業向けなど幅広く、30を超える国・地域でビジネスを展開しています。

野村證券 ホームページ

大和証券

1902年創業、1943年設立。連結売上高7,126億円、従業員数14,691名(2018年3月期)

野村證券に続いて国内2位の大手証券会社。親会社である「大和証券グループ」は、大和証券の他に「大和投資信託委託」「大和総研」などを傘下に持っています。

日本各地に160以上の店舗を構え、強力な国内基盤を有しています。

大和証券 ホームページ

SMBC日興証券

1918年創業、2009年設立。純営業収益3,192億円、従業員数10,122名(2019年3月期)

1918年に「川島屋商店」として創業し、現在は三井住友フィナンシャルグループの子会社。

同グループの「三井住友銀行」が持つネットワークに加え、グループ統合前の独立系証券としての実績も有している点が強みです。

SMBC日興証券 ホームページ

証券業界の現状と課題・今後の展望

競争環境(国内・国外)

国内の証券市場においては、老舗企業である「野村證券」「大和証券」のシェア率が依然として高い状況ですが、「SBI証券」や「マネックス証券」などのネット証券を主力とした企業も存在感を増してきています。

中堅・中小規模の証券会社では、フルサポートを強みとする大手証券会社とは異なり、特定の事業領域に特化してビジネスを展開する動きも見られます。

また、日本の人口減少を見据えて海外進出に積極的な証券会社も少なくありません。

業界最大手の「野村證券」が「リーマンブラザーズ」のアジア部門を買収した事例もあるように、事業範囲を海外へ拡げていく証券会社は今後ますます増えていくことが予想されます。

業界としての将来性

証券業界は、世界経済の動向に影響を受けやすいという特徴があります。

2008年に起こった「リーマンショック」では、当初日本ではそれほど大きな影響はないと見られていましたが、実際にはリーマンショック後3年以上に渡り日本の株価市場は低迷する結果となりました。

このあおりを受けて、証券業界においても売り上げが落ち込み、当時の証券各社の業績は軒並み停滞しています。

このように景気の影響を受けやすい点に加えて、上で述べたような日本の人口減少についても証券業界にとって避けられない問題です。

今後はグローバルな目線で収益を安定化させていくことが、証券業界の各企業に求められているといえるでしょう。

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