奨学金にはどんな種類がある?

(読了時間:9分37秒)

大学や専門学校へ進学するにあたって、学費の準備は重要な問題です。

経済的事情でまとまった金額を用意するのが困難な場合、奨学金制度を利用する方法があります。

平成30年時点で昼間部に通う大学生の47.5%が何らかの奨学金を受給しており、多くの人が奨学金制度を活用していることが分かります。

参考:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「平成30年度学生生活調査」

奨学金にはどのような種類があり、利用するメリット・デメリットはどんな点にあるのかをまとめました。

奨学金制度の利用を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

日本学生支援機構の奨学金

日本学生支援機構(JASSO)は国が運営する独立行政法人で、奨学金をはじめとする各種支援を実施しています。

国が運営しているため、奨学金の利用を検討する人の多くが申込先として検討する代表的な奨学金制度です。

日本学生支援機構の奨学金には、大きく分けて給付型奨学金と貸与型奨学金があります。

それぞれの制度の違いについて確認しておきましょう。

日本学生支援機構の奨学金の内容

給付型奨学金

日本学生支援機構は2020年度から給付型奨学金の給付内容を拡充しており、対象者は授業料のほか入学金についても免除・減額されます。

家計を支えている人が住民税非課税である世帯か、18歳時点で児童養護施設等に入所している人が対象となります。

対象 区分 貸与額(月額)
大学
短期大学
専門学校
国公立 自宅 2万円
自宅外 3万円
私立 自宅 3万円
自宅外 4万円

貸与型奨学金(第一種)

第一種奨学金とは無利子の奨学金のことです。

学習意欲があり、経済的理由により修学が困難な人が貸与の対象となります。

対象 区分 貸与額(月額)※
大学 国公立 自宅 3万円・4万5千円
自宅外 3万円・5万1千円
私立 自宅 3万円・5万4千円
自宅外 3万円・6万4千円
短期大学
専門学校
国公立 自宅 3万円・4万5千円
自宅外 3万円・5万1千円
私立 自宅 3万円・5万3千円
自宅外 3万円・6万円

※貸与額は選択制

貸与型奨学金(第二種)

第二種奨学金とは有利子の奨学金のことです。

世帯年収が1千万円を超えるような場合、所得上限の規定により受給できない場合がありますが、基本的には学習意欲があり、高校での学業成績が平均以上であれば利用可能です。

対象 貸与額(月額)※
大学
短期大学
専門学校
2万円〜12万円

※貸与額は選択制

なお、貸与額は私大医学部・歯学部の場合、12万円に4万円を上乗せすることが可能です。

また、私大薬学部・獣医学部の場合、12万円に2万円を上乗せすることが認められています。

入学時特別増額付与奨学金

奨学金は入学後にかかる学費をまかなうために月々支給されます。

そのため、入学手続時に必要となる入学金や初年度授業料、施設設備費といった費用を奨学金でまかなうことができません。

そこで、入学時に必要な費用をまかなうことを目的として、50万円までを一括で貸与する入学時特別増額付与奨学金が設けられています。

入学時特別増額付与奨学金は入学月の奨学金に上乗せする形で貸与されます。

第一種・第二種奨学金のどちらとも併用できますが、教育ローンの融資を受けた場合は利用できない制度になりますので注意が必要です。

日本学生支援機構の奨学金を利用するメリット・デメリット

日本学生支援機構奨学金のメリット

日本学生支援機構の奨学金は、国内で元も多くの学生が利用している奨学金です。

国の事業ということもあり、信頼性や安心感が得られる面は大きなメリットといえます。

返済が不要な給付型奨学金や無利子の第一種奨学金は給付の条件が厳しめに設けられていますが、第二種奨学金であれば比較的幅広い層の学生が利用することができます。

知名度が高いため、JASSOの奨学金を利用したいと申し出れば、高校側でもスムーズに対応してもらえることがほとんどです。

日本学生支援機構奨学金のデメリット

給付型奨学金や第一種奨学金の場合、世帯年収の条件や高校での学業成績といった条件による基準が設けられているため、誰でも受給できるわけではありません。

したがって、奨学金を受給する学生の多くが返済義務のある第二種奨学金を利用することになります。

多くの人が奨学金制度を利用しているとはいえ、奨学金は将来長い期間にわたって返済しなくてはならない「借金」であることに変わりはありません。

国の事業のため安心感や信頼性が高く、利用するにあたって心理的な抵抗感が少ない反面、返済についてもよく考えて計画を立てておく必要があります。

大学・専門学校の奨学金制度

大学や専門学校の中には、学校独自に奨学金制度を設けて意欲のある学生を支援している場合があります。

どの学校でも必ず用意されている制度ではないため、進学を希望する学校に独自の奨学金制度があるかどうか、事前に調べておく必要があります。

大学・専門学校独自の奨学金制度は、その他の奨学金とどのようなちがいがあるのか確認しておきましょう。

大学・専門学校独自の奨学金制度の内容

大学・専門学校が独自に設ける奨学金制度の多くは、返済が不要な給付型奨学金です。

学校によって制度の仕組みは異なり、支援可能な金額や基準もさまざまです。

入学金や授業料を給付・減免してもらえる制度や、成績優秀者を対象とした学費減免、部活動で優秀な成績を残した学生に対する奨学金など、学校ごとに独自の支援を行っています。

学校によっては「特待生」といった呼称になっているなど、入試結果や高校での学業成績と連動した制度になっていることもあります。

このように、学校独自の奨学金制度は入学後に学業に励むことを期待して支給する性質のものが多く、その他の奨学金と比べて学業面での基準が厳しめに設定される傾向があります。

大学・専門学校の奨学金を利用するメリット・デメリット

大学・専門学校独自の奨学金のメリット

学校が独自に設ける奨学金は、将来的に返済する必要のない給付型奨学金のことが多いのが特徴です。

卒業後に返済する必要がありませんので、先々のことを心配せず学業に打ち込むことができます。

とくに成績が優秀な生徒や実力のある生徒にとって、経済的な事情によらず受給できる奨学金として、他に類を見ない希少な奨学金制度といえます。

大学・専門学校独自の奨学金のデメリット

学校独自の奨学金は、高校での成績や入試結果を重視して支給が決定されるケースがよく見られます。

奨学金の受給を希望しても受給できない可能性がありますので、奨学金がどうしても必要であれば他の制度を利用したほうが現実的な場合があります。

また、入学して学業に励むことを条件に給付される奨学金のため、入学後の学業成績によって給付条件が見直される場合があります。

入学後に成績不振が続くようなことがあれば、奨学金が打ち切られることも十分に考えられます。

一度給付が決定すれば卒業まで必ず受け取れるとは限らない点に注意が必要です。

民間の奨学金制度

公益財団法人や一般企業、研究機関などが、次世代の優れた人材を育成することを目的として奨学金制度を設けています。

こうした奨学金制度は民間の奨学金と呼ばれます。

一例として、保護者が働けない事情のある家庭で育った学生を対象とした「あしなが育英会」や、交通事故で保護者を亡くした学生を対象とした「交通遺児育英会」などがあります。

民間の奨学金制度の内容

民間の奨学金は、給付する団体によって内容はさまざまです。

各団体が独自に給付の基準や対象を定めていますので、詳細は各団体に問い合わせるなどして確認する必要があります。

給付額についても月5万円と定めている団体もあれば、15万円を上限と定めている団体もあります。

給付型や無利子の奨学金が多く、卒業後の経済的は負担を軽減することができます。

他の奨学金との併用が認められているものもありますが、併用不可のものや給付期間が短いものもありますので、制度の仕組みについてよく確認した上で申し込むことが重要です。

民間の奨学金制度を利用するメリット・デメリット

民間の奨学金のメリット

民間の奨学金は、返済が不要な給付型や無利子での貸出が多いのがメリットといえます。

有利子の奨学金は、給付額によっては卒業後に返済する額が大きく経済的な負担になったり、返済が長期間に及んでしまったりすることがあります。

卒業後の返済について心配することなく、在学中は学業に専念できるのが、民間の奨学金を利用するメリットです。

民間の奨学金のデメリット

民間の奨学金は募集人数が少なく、多くても10名程度、少ない団体では1名のみに限っている場合もあります。

そのため、申し込んだとしても奨学金を受け取れるとは言い切れない面があります。

また、在学中はずっと支給されるとは限らない場合がありますので、事前によく調べておかないと卒業までの学費を確保できなくなる可能性もあります。

各団体が独自に設けている制度のため、情報が広く知られていないことも考えられます。

民間の奨学金に申し込むのあれば、自分でしっかりと情報収集を行う必要があります。

自治体の奨学金制度

地方自治体によっては、自治体で奨学金制度を用意している場合があります。

貸与型の制度が多い傾向がありますが、自治体によっては給付型の制度を設けている場合もあります。

奨学金を受給する学生自身が居住している自治体の教育委員会に申し込むのが一般的です。

自治体の奨学金制度の内容

自治体の奨学金は、各自治体によって給付額が異なります。

月額1万円という場合もあれば、月額5万円が支給される場合もあります。

自分が住んでいる自治体がどのような奨学金制度を整えているかは、日本学生支援機構のWebサイトで確認することができます。

参考:大学・地方公共団体等が行う奨学金制度

また、県庁や市役所・区役所のWebサイトでも奨学金制度について案内していることがありますので、住んでいる自治体のWebサイトをチェックしておきましょう。

自治体の奨学金制度を利用するメリット・デメリット

自治体の奨学金のメリット

自治体の奨学金は、日本学生支援機構や学校独自の奨学金と比べて世帯年収や学業成績といった基準があまり厳しくないことがあります。

そのため、他の奨学金制度では基準を満たしておらず受給できなかった場合も、自治体の奨学金であれば受給可能となることも考えられます。

また、有利子の奨学金であっても低利子で借りられるケースがありますので、他の奨学金制度を利用するよりも返済の負担が軽減できる可能性があります。

自治体の奨学金のデメリット

自治体の奨学金は各自治体の予算内で支給額が決定されており、募集人数が限られています。

そのため、とくに都市部では募集人数に対して希望者多数となりやすい傾向があります。

また、自治体の財政状況によっては奨学金制度を維持するのが難しくなり、奨学金の給付を取りやめるケースも見られます。

自分が住んでいる自治体には奨学金制度があるのかどうか、申請前にしっかりと確認しておく必要があります。

新聞奨学金制度

新聞奨学金とは、大手新聞社の系列販売店と雇用契約を結び、大学や専門学校に通いながら給与と奨学金を受け取る制度のことです。

一般的な奨学金制度では在学中に奨学金を受給し、卒業後に返済する仕組みになっています。

これに対して、新聞奨学金は在学中に学生自身が働いて学費を稼ぐ仕組みになっているのが特徴です。

新聞奨学金制度の内容

新聞奨学生は新聞販売店の従業員となり、仕事に従事することになります。

朝刊・夕刊の配達はもちろんのこと、集金や営業活動といった販売店の仕事も担当することになりますので、学業と両立していくには相応の体力・精神力が必要になります。

奨学金は将来返済する必要がありませんが、新聞販売店が新聞奨学会から借りた学費を学生が新聞配達の仕事に従事することで返していく仕組みになっています。

在学中に新聞販売店での仕事と学業を両立することにより、学費を自分で稼ぐための制度と考えていいでしょう。

新聞奨学金制度を利用するメリット・デメリット

新聞奨学金のメリット

販売店が用意した寮に住み込みで働くため、学生時代にかかる学費のほか光熱費や生活費の負担はほとんど必要なくなります。

卒業後に奨学金を返済する必要がないことから、在学中にかかった学費の返済について心配の心配がいらないのもメリットといえるでしょう。

新聞奨学金のデメリット

販売店の仕事と学業を両立することになりますが、あくまで仕事が最優先の学生生活になると覚悟しておく必要があります。

新聞配達は早朝の3時頃から仕事が始まり、午後3時頃からは夕刊を配達しなくてはなりません。

途中で仕事を辞めてしまうようなことがあれば、奨学金を一括返済しなくてはなりませんので、一度始めたからには卒業までやり通す意志の強さが求められます。

在学中は学業のみに専念することが難しくなるため、実験や実習で時間が仕事のための取れなくなる可能性のある理系学部の学生は、新聞奨学生になりたくても断られてしまう場合があります。

奨学金にはさまざまな種類の制度があり、受給できる基準や返済方法も多種多様であることを解説してきました。

奨学金は経済的な理由で進学を諦める学生を減らすための制度ではありますが、借金をして学費の支払に充てていることをよく理解しておく必要があります。

制度の仕組みをきちんと確認した上で、奨学金を有効に活用することが大切です。

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