専門学校は就職に有利? 就職率100%は本当?
せっかく進学するなら、就職率が高い学校へ行きたいと考えるのは自然なことです。
就職率について、こんな声を聞いたことはないでしょうか?
・専門学校は就職に有利になりやすい
・専門学校の就職率は100%
・大学より専門学校のほうが就職しやすい
こうした噂が本当かどうか、専門学校の就職事情についてまとめました。
専門学校が就職に有利なのは本当?
専門学校は就職する上で役立つ知識や技能を集中的に学ぶことから、就職に有利になりやすいというイメージがあります。
実際、専門学校の中には「就職率100%」と対外的にアピールしている学校も見られます。
果たして、専門学校が就職に強いというのは事実なのでしょうか。
専門学校の就職率が100%と言われる理由
専門学校の就職率が100%と聞くと、非常に高い数字のように思えます。
文部科学省が令和元年に行った調査によれば、大学の就職内定率は76.8%、短大は40.6%ですので、専門学校のほうが就職に有利であるかのように感じられるでしょう。
参考:令和元年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)
実は、専門学校の就職率は「専門学校に在籍する就職希望者のうち、就職が決まった人の割合」が示されているケースがあります。
卒業した人の中には、就職そのものを希望しなかった人もいるはずです。
たとえば、別の学校に進学したり、フリーターになったりした人は含まずに就職率が計算されている可能性があります。
また、就職が決まった人のうち全員が希望通りの就職先に就職が決まっているとも限りません。
このように、専門学校の就職率が100%と言われるのは、実態としては就職していない人を人数に入れていないことが背景にあることも考えられます。
学んだ分野に就職しやすいのは事実
専門学校では年間800時間以上の授業が行われています。
そのうち7割以上の授業は特定の職業に就くために必要な知識や技能を身につけるための時間となっています。
専門学校では講義だけでなく実習も多く授業に組み込まれていますので、大学や短大と比べて仕事に役立つ実践的な知識・技能を身につけやすいのは事実です。
企業にとっても、専門学校を卒業した人は仕事で使う知識や技能を中心に学んでいることから、即戦力になりやすいというイメージを持たれやすいと言えます。
大学や短大での授業は学術的な内容のものが大半で、特定の職業に結びつくものではありません。
そのため、専門学校で学んだ分野に就職しやすい可能性は高いと考えられます。
就職サポートが充実している専門学校が多い
専門学校は就職することを目的に通う人がほとんどです。
高い就職率を維持することで専門学校としての信頼度が高まり、入学希望者も増えると考えられます。
そのため、専門学校では就職サポートに力を入れている学校が多いのです。
たとえば、就職ガイダンスや模擬面接、進路指導を積極的に行い、在籍生が希望の進路を叶えられるように力を尽くしてくれます。
また、専門学校は各業界とネットワークを築いているため、過去の就職実績などから豊富な求人情報が集まってきます。
「〇〇専門学校で学んできた人を採用したい」という企業があれば、学外から応募するよりも有利になるでしょう。
このように、就職サポートが充実している専門学校が多いことから、専門学校は就職に有利になりやすいと言われることがあるのです。
就職率がとくに高い3つの専門分野
文部科学省の学校基本調査の中には、専門学校で学んだ分野に就職した人の統計があります。
専門分野への就職率が高いのは、医療、衛生、教育・社会福祉の各分野です。
令和元年度学校基本調査では、
・ 医療関係(専門分野就職者54,233人/卒業者61,909人)87.6%
・ 衛生関係(30,915人/36,762人)84.1%
・ 教育・社会福祉関係(11,944人/13,913人)85.8%
となっています。
さらに具体的に就職率が高い分野の主な学科について見てみると、
・ 医療関係:看護95% 歯科衛生93%、理学・作業療法85%
・ 衛生関係:調理78%
・ 教育・社会福祉関係:保育士養成89%、介護福祉91%
です。
こうした分野の就職率がなぜ高くなっているのか整理しておきます。
医療関係
医療関係の分野には看護、准看護、歯科衛生、歯科技工、柔道整復、理学・作業療法などがあります。
いずれも医療に携わる専門分野であり、それぞれの分野で就業するには国家資格が必要です。
そのため、医療関係の専門学校に進学する人の大半は、将来的に国家試験に合格して免許を取得し、専門性を活かして就職することを入学時点から決めています。
専門学校としても国家資格に合格させ、医療関係の仕事に就くことができるようサポートしますので、就職率が高くなる傾向があります。
専門学校と連携の強い病院などとのネットワークが構築されていることも、医療関係の専門学校から就職しやすくなっている理由の1つと考えられます。
衛生関係
調理関係の専門学校に進学する人の多くは、将来的に調理師になるなど専門分野と関連の深い仕事に就きたいと考えています。
調理師免許は各都道府県で実施されており、これに合格することで調理師免許が交付されます。
ただし、調理師養成機関の1つである専門学校で所定の履修を終えることで、調理師免許試験を受けることなく免許を取得することが可能になります。
確実に免許を取得するための方法として、専門学校を選ぶ人もいると考えられます。
また、調理師としての就職先はレストランやホテルといった施設だけでなく、小学校や介護施設での集団調理を行う仕事も就職先として視野に入ってきます。
また、食品メーカーでの商品開発など、活躍できるフィールドが幅広いのが特徴です。
こうした幅広い就職先に対して、専門学校が独自のネットワークも駆使しながら就職サポートを行うため、就職率が高くなりやすいのです。
教育・社会福祉関係
教育・社会福祉分野は、保育士や介護福祉士といった人材を養成することを目的としています。
保育士や介護福祉士は、いずれも国家試験に合格することで得られる資格です。
保育士はこの資格がなければ就業することができません。
介護業界では資格がなくても介護助手や介護補助として就業することはできますが、介護業界で働いていく上での将来的な見通しを考えると、いずれは取得しておいたほうがよい資格です。
つまり、教育・社会福祉関係の専門学校を進学先として選ぶ時点で、将来的にこうした業界で働くことを決めている人が多いのです。
資格を得て卒業してからは、取得した資格を生かして働きたいと考える人が多いため、それに伴って就職率も高くなりやすい傾向があります。
20代で正社員への就職・転職
専門学校から公務員を目指せる?
専門学校で学んだ知識・技能を生かして活躍できる職業は多種多様ですが、中には「公務員になりたい」と考えている人もいることでしょう。
公務員にもいろいろな仕事がありますが、たとえば国や自治体の行政職となると、大卒を対象とした募集も多いイメージがあるはずです。
専門学校で学んで公務員を目指すことは可能なのでしょうか。
公務員専門学校で学ぶことで公務員を目指せる
専門学校の中には、公務員を目指すことに特化した学校があります。
こうした専門学校は、一般的に「公務員専門学校」と呼ばれています。
公務員専門学校には大きく分けて2つの種類があり、大手の資格スクールなどが開講する「公務員講座」と、専修学校における「専門課程」があります。
前者は大学生や社会人が公務員試験合格を目指してダブルスクールとして通うことが多く、後者は専門学校でみっちりと学ぶ美、試験勉強に専念することが多い傾向があります。
授業内容は主に公務員試験対策で、プロの講師から試験のポイントを解説・指導してもらいます。
また、模擬試験や面接指導、進路相談なども実施するなど、公務員試験合格に向けてトータルでサポートしてくれます。
公務員試験に合格できるどうかは自分しだい
公務員専門学校に通う目的は公務員試験合格ですが、こうした学校に通うことで必ず試験に合格できるとは限りません。
専門学校で授業が行われている公務員試験の多くは難易度が高く、高倍率になる試験もあります。
専門学校で対策授業を受けたからと言って、確実に合格できると断言できるほど甘くはありません。
習ったことを元に自分で予習・復習を行い、着実に実力を伸ばしていくための勉強が必要になります。
また、公務員を目指すために公務員専門学校に必ず通わなくてはならないわけでもありません。
実際、専門学校や予備校に通うことなく、独学で合格を勝ち取っていく人も数多くいます。
公務員専門学校は、効率的に勉強をして、公務員試験への合格を確実なものにしていきたいという人に向いている学校といえます。
この記事のまとめ
専門学校は職業人として活躍するための知識・技能を集中的に学べることから、就職に有利になる側面があることはたしかです。
ただし、就職率100%とアピールしている専門学校の中には、就職しなかった人の数を除いて就職率を計算しているケースもありますので注意が必要です。
国家資格が必要な職業など、専門学校での学びを生かすことで着実に夢の実現へと近づいていける分野があるのも事実です。
将来就きたい仕事が決まっている人は、専門学校という選択肢を考えてみてもいいでしょう。
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