航空宇宙業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





航空宇宙業界とは

航空宇宙業界は航空産業と宇宙産業を主として事業展開を行っている業界です。

厳密には違う業界ですが、航空産業の技術をもとに宇宙産業に発展しているため、ひとつの業界とくくられることが多いようです。

三菱重工、川崎重工業、SUBARU、IHIなどが国内における代表的な企業といえます。

各社とも航空宇宙を専門とした事業部があり、宇宙ロケットシステム開発や航空エンジン開発、航空機・ヘリコプターの開発や製造などを行っています。

航空機を構成する部品は数百万点もあるため、部品製造だけでも多様なニーズがあるほか、研究開発も含めると事業としての広がりはまだまだ可能性を秘めています。

職種も多様で、航空機の設計や生産技術、航空エンジンの設計、ロケットエンジンの設計、素材開発や研究など挙げていけばきりがありません。

世界的な需要も高まると予想されており、今後、日本産業を支える分野になるともいわれています。

航空宇宙業界の役割

航空宇宙業界は日本の基幹産業になりえる分野として注目度が高まっています。

部品製造はもとより、航空機やロケットそのものの開発・設計・製造力も高めるため、技術的な成長も期待されています。

国としても産業の成長を促すため、法整備や補助金の割り当てが行われるなど、期待度の高さが伺われます。

宇宙分野でいえば、日本独自での宇宙開発に役立つのはもちろん、海外の機関と協力することで地球規模での宇宙開発にも役立てるでしょう。

航空分野ですと日本ブランドを高めることができ、航空機そのものや関連部品・技術力に付加価値を付けることができ、産業としての成長も大いに期待されています。

航空宇宙業界が成長することは、経済のみならず国家レベルでの発展にもつながるため注目度の高い分野といえます。

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航空宇宙業界の企業の種類とビジネスモデル

航空機製造事業

航空機やヘリコプターなど、機体製造を行う事業部を要している企業で、川崎重工やSUBARUが代表的なメーカーです。

機体全体の設計・製造やエンジン部分、翼などの設計・製造、運行システムの開発など、全般的に行う特徴があります。

機体製造に強みがあったり、エンジン開発に強みがあったりなど、メーカーによって特色があるようです。

ロケット関連事業

宇宙利用のためのロケット関連事業に力を入れている企業で、代表的なのはIHIです。

H-ⅡAロケットをはじめ国産ロケットに搭載するターボポンプやガスジェット装置の開発を行うなど、日本の宇宙事業発展に寄与しています。

ほかにも宇宙環境で利用するための衛星搭載モニタカメラや衛星搭載磁気センサ、宇宙放射線モニタなど、ありとあらゆる製品の開発・製造を行っています。

部品製造・システム開発事業

総合的な展開ではなく、部品単位の開発・製造やシステム開発に強みを持ち事業展開している企業を指します。

例えばNEC航空宇宙システムはその名の通りシステム開発に強いメーカーで、人工衛星追跡管制システムや地上局運用制御システム開発を行っています。

部品は何百万という膨大な数があるため企業規模も範囲も多様です。

一例としてアンフェノールジャパンという会社はインターコネクトを専門としており、航空機や宇宙システムで使っても安全で確実な製品開発・提供を行っています。

航空宇宙業界の職種

研究開発

ロケットや航空機のエンジンや翼、燃料や使用する材料など、事業に関する研究開発を行います。

非常に専門性が高いため、ロケットエンジン、航空機エンジン、航空機エンジンの材料といったように分類ごとに分かれるのが一般的なようです。

メーカーによっては海外企業との共同開発も多いため、英語力が問われる場合もあります。

設計

航空機やロケット、ヘリコプターといった機体そのものや搭載するエンジンの設計、搭載する電子回路の設計など、関連するあらゆるものの設計を行います。

数年レベルでのプロジェクトも多く、チームワークを大事にして進めていくことも多いためコミュニケーション力も大事になるでしょう。

専門性の高い知識と技術が求められるので、熱設計やインターフェース設計など、専門特化した職務にあたるのが通常のようです。

品質管理・品質保証

自社が開発し製造した製品の品質を保つための業務を行います。

例えばエンジンの場合、完成したエンジンの品質を管理するのはもちろん、製造工程の管理を行うことで成果品のクオリティを担保したり、部品単位での品質を管理したりする職種もあります。

部品一つひとつが安全性にも関わるので重要な職種といえるでしょう。

航空宇宙業界のやりがい・魅力

航空宇宙業界はすべてにおいて次世代を背負って立つ業界といえます。

経済面でいえば冒頭でも記したように、これからの日本の基幹産業になると見込まれています。

製造するだけでも何百万点という膨大な部品が必要になるため、研究開発、設計といった上流工程はもちろんですが、部品製造や組み立てなど、全般的にモノもヒトも必要になってきます。

需要と供給が高まれば市場規模も大きくなり、業界としての魅力も高まることでしょう。

社会に対しての役割も高いのもやりがいのひとつといえます。

航空機は世界中で必要な輸送システムですし、人の移動手段や物流関係、さらには軍用でも利用されるため、民間のみならず国家レベルでの開発も推進されています。

国内外問わずに需要がある分野ですので、自分に仕事が世界中で役立っている実感も持てることでしょう。

またロケットをはじめとした宇宙関連事業は日本という枠組みに収まらず、地球規模での役割を持っています。

未知なる宇宙空間への橋渡しとなる輸送システム開発や宇宙空間で使用される部品の開発、運用システムの構築など、未知の世界を自分たちで切り開くと共に、無限の可能性を秘めている分野といってよいでしょう。

共通していえるのはまだまだ発展途上の業界だということです。

日本の航空機製造高は約1兆円(年間)といわれていますが、アメリカはその10倍以上の生産高を誇っています。

日本としては、国家レベルで航空機産業の高付加価値化が推進されており、官民一体となって業界が成長していくと考えられています。

航空宇宙業界の雰囲気

航空宇宙業界に関わる職種は技術も知識も高い水準が求められるので、モノづくりを追求したい人には向いている業界といえます。

研究開発や設計、品質管理に生産技術など、どの職種も発展途中といえるので仕組みづくりに関わるチャンスもあるでしょう。

業界の特性上、民間企業であっても国と連携して開発を進めることもあり、次世代の日本を支えることにもつながります。

このように、中途半端な気持ちでは務まらない職種が多く、目的意識の高い人たちが集まっている業界といえますが、プロジェクトチームを組んで案件を進めることもあるため協調性のある人も多いでしょう。

また海外メーカーや海外の宇宙関連機関と連携・協業するケースも多くあるため、世界を舞台に活躍したい人にも向いている業界といえます。

航空宇宙業界に就職するには

就職の状況

日本の経済を支える、次世代の産業として注目されている航空宇宙業界ですので注目度は高い就職先といえるでしょう。

企業としてもますます人材が必要になると見込まれており、高度な知識を有した学生の確保は他社との差別化はもとより、業界発展のために必要不可欠となっています。

しかし、必ずしも宇宙航空業界への就職を希望する学生は多いとはいえない課題があるようです。

かつ、院生でなければ採用対象にならないケースもあり、さらにハードルを高めているといえるでしょう。

国としても基幹産業になりうる分野として力を入れており、産業の規模拡大を後押しして人材確保を促進するなどの環境整備を進めています。

就職に有利な学歴・大学学部

高度な知識が必要になる航空宇宙業界は4年制大学の卒業が基本で、企業によっては大学院まで進み博士号が必要な場合もあります。

航空宇宙業界への就職に有利な学部はやはり理系です。

中でも工学部を卒業した学生が多く、航空宇宙関連の仕事に就いているようです。

航空宇宙工学科や航空システム工学科といった学部を設置している大学も多く、航空宇宙業界への就職を希望する際はそうした専門の学科を専攻すると有利になるでしょう。

しかし修士課程を卒業したとしても、航空宇宙業界に就くのは全体の20~30%というデータもあるため、そうした人材をいかに取り込むかが課題といえます。

就職の志望動機で多いものは

航空宇宙業界への志望動機で多いのは未知の世界や、次世代の技術へのチャレンジ精神ではないでしょうか。

何度も記してきたように、航空宇宙業界はこれからの日本産業を支える分野です。

自分が手がけた研究開発が業界の発展につながる可能性もあり、学んできた知識を存分に発揮するチャンスもあるため、大きなやりがいを求めて志望する人も多いでしょう。

また宇宙産業はまだまだ未知の分野であると共に、可能性も無限に広がっている分野です。

海外機関と協力してプロジェクトを進めることも多く、日本だけではなく世界的な発展のために航空宇宙業界を志望する人も多いでしょう。

航空宇宙業界の転職状況

転職の状況

航空宇宙業界は慢性的な人材不足といわれているため、転職のチャンスは比較的高いといえるでしょう。

研究開発をはじめとした工学系エンジニアはもちろん、IT分野の人材確保も重要視されているようです。

人工衛星などのシステム運用にIT技術は欠かせず、新卒者はもちろん異業界から採用にも積極的です。

日本経済を支える分野になる航空宇宙業界であるため、国も積極的に働きかけをして人材確保に動いているようです。

転職の志望動機で多いものは

航空宇宙業界に限ったことではありませんが、待遇アップは志望動機のひとつといえます。

ほかにあるとすればチャレンジ目的の志望動機もあるでしょう。

自分が培った経験を役立てるため、違う環境で新しいことに挑戦したい技術者は多いと思います。

日本の航空宇宙業界はまだまだ発展途上のため、自分の力が業界の成長に役立てるというやりがいを求める人も多いでしょう。

転職で募集が多い職種

事業の肝となる研究開発や設計といった技術職は当然多く募集しています。

ロケットなのか、航空機なのかでも分野は分かれますし、エンジンなのか機体なのかでも分野は分かれます。

細分化され、高度な専門も有するため、設計職といっても多様な募集がされています。

ほかにも生産技術職や品質管理職、整備用の治工具設計といった職種の募集もされています。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

職種未経験だと転職するのは難しいかもしれませんが、同職種で業界違いであれば転職チャンスは広がるでしょう。

前記したように、システム開発系であれば異業界からの採用にも積極的ですので、しっかり募集内容を確認することをおすすめします。

研究開発や設計などもやはり職種経験者が優遇される傾向にあります。

企業によっては英語力が歓迎条件に記載されている職種もあります。

英語はビジネスシーンでの活用はもとより、日常でも役立つ場合も多々あるためスキルを備えておいて損はないでしょう。

航空宇宙業界の有名・人気企業紹介

三菱重工

三菱重工は三菱グループの企業です。

多様な事業展開を行っており、どれも日本トップクラスの規模を誇っています。

航空宇宙関連ではロケットエンジンの開発や宇宙ステーションの船内実験室や保管室などの製造を行っています。

・創業:1884年(明治17年)
・資本金:2,656億円(2019年3月末日)
・連結売上収益:40,783億円(2019年3月末日)
・連結従業員数:80,744名(2019年3月末日)

三菱重工ホームページ

IHI

IHIは日本を代表する総合重工業メーカーです。

事業分野は主に、資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4つから成り立っています。

航空・宇宙関連ではロケットの設計開発や航空機用ジェットエンジン開発なども行っています。

・創業:1853年(嘉永6年)
・資本金:1,071億円(2019年3月末日)
・連結売上収益:14,834億円(2019年3月末日)
・連結従業員数:29,286名(2019年3月末日)

IHIホームページ

SUBARU(スバル)

SUBARU(スバル)は自動車メーカーとして一般的に有名な企業です。

自動車だけではなく、航空宇宙事業にも力を入れており、ヘリコプターの開発・製造やボーイングの中央翼の開発・製造、防衛省やJAXAへのシステムインテグレーション提供なども行っています。

・創業:1953年(昭和28年)
・資本金:1,537億円(2019年3月末日)
・連結売上収益:31,605億円(2019年3月末日)
・連結従業員数:34,200名(2019年3月末日)

SUBARUホームページ

航空宇宙業界の現状と課題・今後の展望

競争環境

国内で航空宇宙事業を展開している企業は十数社といわれており、競争が激しい業界とはまだまだいえない環境です。

また世界規模で見てみると航空宇宙事業の市場は年々拡大し続けており、近年は40兆円に迫る勢いといわれています。

しかし日本では1兆円強の市場規模しかなく、技術のみならず単純に産業としての出遅れも課題となっています。

最新の動向

航空宇宙産業は欧米を中心に発展を続けてきました。

しかし日本の基幹産業として成長するには、海外からの発注に対応するだけでなく、自国で開発した技術を欧米各国に提供するスタンスも重要になってくるでしょう。

ロケットや航空機そのものだけでなく、材料開発やシステム開発、GP受信機や人工衛星用基板など、モノづくり大国日本ならではの技術力を活かした製品提供も期待されています。

業界としての将来性

航空宇宙業界への期待は日々高まっています。

国としても期待度が高く、施策を打ち出し成長を推進する取り組みを行うなど官民一体となって動いています。

市場規模の拡大は当然ながら、技術力の向上や人材不足の解消などを図り、世界水準の産業を目指している段階ともいえるため、将来的にもまだまだ伸びる業界であるのは確かでしょう。

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