携帯電話業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





携帯電話業界とは

携帯電話業界とは、携帯電話の販売やサービス提供を主な業務とする業界です。

今や携帯電話は私たちの生活に欠かせないものであり、携帯電話業界の大手企業の有価証券報告書からはその市場規模は約10兆円と推測され、比較的大規模な市場をもつ業界となっています。

日本企業では3キャリアと言われるドコモ、KDDI、ソフトバンクが中心ですが、沖縄地域に特化したサービスを提供する沖縄セルラーや、MVNO分野に参入する楽天、インターネットイニシアティブ、ケイ・オプティコムなどの企業も一定の顧客を獲得しています。

携帯電話業界では、店舗における販売スタッフだけでなく、本部で企画や商品開発を担当する人や、各地の基地局の管理に携わる人などその仕事内容はさまざまです。

安定した需要が今後も続くと見られる携帯電話業界ですが、今後は5Gなどの新技術への対応や、一層の経営効率化、老朽化が進む通信インフラの再整備が大きな課題と見られています。

携帯電話業界の役割

携帯電話は現代の生活に欠かせない通信インフラであり、その通信インフラを維持・整備し、より安定したサービスとして提供することが携帯電話業界の重要ミッションです。

特に近年は災害時における連絡手段としての役割や、インターネットサービス利用のための窓口としても携帯電話にかかる期待も大きく、快適かつ安定した利用への期待は一層大きくなっています。

一方で、海外と比較して通信費が高いことから値下げの圧力も強まっており、安価な携帯電話サービスの提供に対するニーズが強まっています。

高品質と低価格を両立するためにさまざまなプランが提供されていますが、消費者にわかりにくくトラブルも多いため、販売方法の整備も今後は求められます。

また、スマホ決済やGPS機能の提供など、携帯電話を利用したさまざまなサービスの提供に向けた先端技術利用も携帯電話業界の大きな役割です。

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携帯電話業界の企業の種類とビジネスモデル

国内大手キャリア

国内の大手キャリアであるドコモ、KDDI、ソフトバンクでは、従来の携帯電話事業・データ通信事業の拡充や5Gへの対応が行われています。

また、ロボットや人工知能(AI)、フィンテック、ポイントサービスなどの先進技術分野に積極的に乗り出す動きも目立ってきており、スマートフォンを情報通信機器の中心に据えた、ライフスタイルの変革に向けたサービス開発に注力しています。

今後は人口減が続く国内市場においては成長は見込みにくいこともあり、海外への技術輸出を視野に入れて事業活動が行われています。

MVNO参入企業

モバイル通信サービスにおいて、自前のインフラを持たずにサービスを提供するのがMVNOです。

「格安スマホ」「SIMフリー」といった表現で一定の層に訴えかけてきましたが、認知も進んできて、通信費の削減を検討している法人、特に中小企業からの強いニーズが見られます。

本体価格や通信料金の高い大手サービスに対し、明確に価格帯を分けることで差別化を行いながら、ユーザーにストレスのない通信環境や端末の提供に注力し、大手のシェアを少しずつ奪おうと取り組んでいます。

楽天モバイルやインターネットイニシアティブ、LINEなどが代表的です。

エリア限定キャリア

携帯電話業界の中でも、沖縄県における通信サービスを提供している沖縄セルラーは特殊な位置づけのキャリアです。

KDDIのグループ会社でありながら、島嶼地域である沖縄の広いエリアにわたり、独自の携帯電話やデータ通信用の基地局運営を行っています。

地域における快適な利用に特化し、エリアを限定することで利用しやすいサービスを提供しつつ、沖縄県外のエリアにおいてもKDDIの回線を利用してスムーズな利用ができるように工夫されています。

携帯電話業界の職種

携帯電話業界では、ビジネス領域の拡大に伴って多くの職種が必要になっています。

ここでは、携帯電話業界特有の職種について紹介します。

インフラ系技術職

携帯電話業界の技術職は、ネットワークに関わる仕事が多いですが、その他にもIT技術を利用したソリューションを多く手がけています。

インターネットや電話回線を取り扱うネットワークエンジニアや、基地局の機器やシステムの管理に携わったり、またデータセンターでシステムの運用管理を行ったり、客先で情報システムの構築に携わるシステムエンジニアなどがいます。

携帯電話・データ通信ネットワークのインフラを支え、さまざまなソリューションを提供して暮らしやビジネスをより便利にするやりがいある仕事です。

開発系技術職

携帯電話や関連サービスで利用可能なアプリケーションや、端末に搭載する新しい機能開発、その他先進的な技術を利用したサービスの開発・導入を専門的に研究する技術職です。

企業の競争力を左右する大事な仕事で、企業の事業方針によってアプリケーションやIoT、ロボットやAI、フィンテック、セキュリティなどさまざまな方向の開発が行われています。

大手キャリアでは新規事業に積極的に乗り出しているため、高度なスキルをもった人材の募集が多くなっています。

販売

各キャリアの店舗で携帯電話やデータ通信サービスなどの販売を担当する職種です。

販売スタッフは契約社員やアルバイトも多いですが、正社員は店舗のマネージャーやスーパーバイザーとして活動し、サービスの利用拡大や新サービスの普及に努めます。

顧客ニーズの理解や適切なサービスやプランを提案する売上に大きく影響する仕事であり、顧客との接点となる仕事であるため「携帯電話会社の顔」とも言える職種です。

携帯電話業界のやりがい・魅力

生活に密着したインフラを提供するやりがいある仕事

携帯電話業界では、携帯電話やインターネットサービスなど、生活に密着したインフラを提供しています。

自社の広告をテレビなどのメディアで目にしたり、取り扱いサービスが身近な人に利用され、便利に感じてもらえている様子を見る機会も多かったりと、やりがいを実感しやすい仕事です。

また、先進技術の利用に積極的に取り組んでいるため、仕事を通してより便利な社会作りに貢献していることを強く実感できます。

高待遇で働きやすい業界

携帯電話業界は、収益が安定していることから、待遇も他業界よりも良く安定しています。

職種にもよりますが、平均よりも給与水準が高く労務管理もしっかりと行われており、福利厚生や手当も充実しています。

外国人労働者や障がい者などを受け入れるダイバーシティ化が進んでいる業界のひとつで、さまざまなバックグラウンドを持つ人にも働きやすくなっています。

技術職は男性が多いですが、本部や店舗のスタッフでは女性従業員も多く、女性にとっても活躍しやすく働きやすい職場です。

市場は伸び悩みも新規ビジネスモデルに期待

携帯電話の端末売上や通信料金だけを見れば、市場は伸び悩みを見せていますが、他分野の事業への進出によって高水準の売上を継続し続けています。

今後は5Gのような新技術と新しいサービスの提供、AIやロボットによる業務効率化、老朽化する設備の再整備が大きな課題です。

市場環境は決して楽ではありませんが、大手キャリアを中心に高い技術力とサービス提案力を有しているため、各キャリアが新たなビジネスモデルを構築して安定的に発展すると見られています。

携帯電話業界の雰囲気

携帯電話業界では店舗スタッフ以外にも本部で多くの人が働いており、スーツを着ての法人営業や取引先企業との交渉を行う人もいれば、作業服に身を包んで基地局やデータセンターなどで働く人もいます。

ベンチャー企業や通信ベンダーからの引き抜きでキャリアチェンジする人も多く、従業員の平均年齢も40歳前後と大企業としては比較的若いです。

どのキャリアもチャレンジ精神が旺盛で、社内ではさまざまなアイデアがオープンに議論される雰囲気があります。

公私にメリハリがあり、仕事だけでなくプライベートでもエネルギッシュに活動している人が多いのが特徴です。

大手企業では多様な人材の受け入れに取り組んでおり、障がい者や外国人の採用も行っているため、社内では多くの人種や言語を見聞きする機会もあるでしょう。

携帯電話業界に就職するには

就職の状況

携帯電話業界では、各社が同じく新卒採用に力を入れています。

デジタル・ネイティブと言われる世代は生まれた時にはすでにインターネットがあり、携帯電話がある中で育ってきており、それまでの世代とは生活スタイルやアイデアが違うため、成長のエンジンとして期待されています。

基本的に本部で働く総合職では4年制大学卒以上が採用条件になっており、店舗スタッフは学歴不問で採用が行われています。

学生にもなじみが深く人気が高い業界ですので、選考の競争率は高いです。

インターン採用や第二新卒採用、外国人採用や障がい者採用も行われているなど、他業界と比較して多様な人材を受け入れる傾向が見られます。

就職に有利な学歴・大学学部

携帯電話業界では、技術系の分野ではIT技術の知識がある情報系の学部や工学部卒の人は有利にはたらきます。

また、学部卒よりは大学院卒の方が高く評価され、特に先進分野のエンジニアではロボット分野やAI分野の博士号取得者は非常に高く評価されるでしょう。

技術系の分野では4年制大学卒だけでなく、高専や専門学校の卒業生も採用の対象となっています。

総合職では4年制大学卒以上の人に向けた採用活動が行われていますが、第二新卒も対象となっています。

学部学科による差は総合職ではほとんどありません。

海外事業を行っている企業も多いため、TOEICの点数が高ければ有利に働くでしょう。

店舗での販売職では学歴を問わず募集が行われており、実力次第で店舗のマネージャーなどにキャリアアップできる場合もあります。

就職の志望動機で多いものは

携帯電話業界は就職活動をする学生にも人気が高い分、志望動機には「携帯電話になじみがあるから」「キャリアの携帯電話やサービス、ブランドが好きで」といった理由も多く見られます。

しかし、現在の携帯電話業界では携帯電話サービスは事業のほんの一部であり、好きという気持ちだけでは就職は難しいです。

携帯電話サービスを「社会を支えるインフラ」としてその価値をよく考え直す必要があり、また先進技術を多く有する企業としての各社をよく知ることが求められます。

携帯電話業界は、その名前がよく知られている分、自分のイメージをもとに企業の評価や分析を行ってしまうと失敗しやすいので注意しましょう。

携帯電話業界の転職状況

転職の状況

携帯電話業界では中途採用も積極的に行われており、多くの職種で求人募集が出ています。

店舗が全国に非常に多くあることから、店舗での販売スタッフは募集も多く、中途採用の場合は特に経験者や、他業界での店舗運営経験者や販売経験者は評価が高いです。

また、技術系の職種での募集も行われており、ネットワークやセキュリティなど専門性を求められる職種や、システム保守・運用、ヘルプデスクなどの専門性の低い職種も募集されています。

営業やバックオフィス業務の募集も年間を通して行われています。

転職の志望動機で多いものは

携帯電話業界への転職における志望動機では「経験や技術を活かしたい」「成長力のある企業で働きたい」といったものが多く見られます。

携帯電話業界は資本力のある会社が多く、レベルの高い人材を多く有することから、企業の成長力や技術力に期待してキャリアチェンジを考える人も多いです。

また、店舗では「勤務地が家から近い」といった理由もよく見られ、子育てや親の介護などで通勤時間を大きく取れない層でも働きやすくなっています。

転職で募集が多い職種

転職の募集が多いのは店舗での販売スタッフで、正社員や契約社員など雇用形態はさまざまです。

また、事業拡大や成長のための高度な技術者を募集する傾向も見られ、特にセキュリティやAI、ビッグデータ関連の技術者は高く評価されています。

法人営業やバックオフィスでは欠員補充が主ですが、人材の入れ替わりも多い業界であるため、年間を通して求人があります。

新規事業を始める際に人材募集を行うことが多いため、事業内容の変化に注意していると携帯電話業界で働くチャンスが出てくるかもしれません。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

中途採用では基本的に即戦力が求められているため、転職を希望する人は該当する職種に対する経験やスキルが必要ですが、専門性が高い人なら高く評価されて転職で高待遇も期待できます。

店舗販売スタッフや、法人営業スタッフについては業界や職種未経験であっても採用される場合があるので、興味がある人はチャレンジしてみても良いでしょう。

また、海外事業への意識や増える外国人客への対応のため、総合職や店舗販売では英語力が確認できる経歴や資格があると有利にはたらきます。

携帯電話業界の有名・人気企業紹介

NTTドコモ

1991年創業、設立。売上高48,408億円、従業員数26,564名(2019年3月期、連結)。

携帯電話の市場シェアの4割を占め、docomoブランドで知られる国内最大手キャリア。

携帯電話事業を中核に、決済サポートやエンターテインメントなどのスマートライフ事業の拡充に取り組み好調に成長を続けています。

NTTドコモ ホームページ

KDDI

1953年創業、1984年設立。売上高50,803億円、従業員数41,996名(2019年3月期、連結)。

auブランドで知られる総合通信大手企業で、国内では携帯電話だけでなく個人向けライフサービスやIoT用プラットフォームの提供に力を入れています。

海外での通信インフラ構築やICTソリューションの提供拡大にも積極的に取り組んでいます。

KDDI ホームページ

ソフトバンク

1984年創業、1986年設立。売上高37,463億円、従業員数23,059名(2019年3月期、連結)。

SoftBankブランドで知られるソフトバンクグループの中核企業で、ワイモバイルなど価格帯の違うサービスも提供。

AI、IoT、ロボット、自動運転などの新技術に積極的に取り組み、携帯電話にとどまらずIT技術による社会の変革を目指しています。

ソフトバンク ホームページ

携帯電話業界の現状と課題・今後の展望

競争環境(国内・国外)

大手3キャリアが市場シェアの大部分を占める構造が続く中、業界では携帯電話だけでなくデータ通信サービスも含めた競争が行われています。

MNNOは格安の料金設定を武器に、ライトユーザー層や低コスト利用を求める中小企業などをターゲットにシェア拡大に取り組んでいますが、撤退する企業も多く大手キャリアとの競争や差別化に苦戦しています。

新技術の5Gにおいる端末やサービスをどのように提供するかが競争上大きなポイントになりそうです。

最新の(技術の)動向

現在の4G(LTE)に変わる5G技術をどのように提供することができるかが、今後の携帯電話業界における競争力を左右すると見られています。

既存の電波の感度を高め送受信の速度を向上させる技術の開発や、通信インフラの効率的な運用・管理のための取り組みも行われています。

加えて、各社が取り組むAIやIoT、ロボット、フィンテックなどの先進技術が携帯電話サービスにどのようなフィードバックをもたらすのかも注目されます。

業界としての将来性

携帯電話は社会的なインフラとなり契約者数の大きな変化は望めないため、携帯電話業界は売上増を目指し関連サービスの拡充を目指しています。

しかし、一方で通信料金の値下げなども政府から強く求められ、売上高の急速な拡大が難しい状況下にあると言えます。

市場シェアや総合的な売上高の大きな伸びは難しく、各社が手がける新規事業分野がどのようなシナジー効果をもたらすかが成長のカギになりそうです。

また、5Gへの対応や、今後進むデータ通信やセキュリティ関連の法対応も携帯電話業界にとっての大きなテーマとなりそうです。

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