警備業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
警備業界とは
施設警備、現金輸送、ボディーガードなど、警備に関する業務を行うのが警備業界です。
「警備業法」という警備業界について定められた法律があり、違反していると欠格となり経営できません。
特有の職種として「警備員」があり、「新任教育」と「現任教育」という2つのプログラムを受けることで、仕事に就くことができます。
人々の安全を守る仕事である警備業界で求められるのは、正義感が強くタフネスな人間です。
上下関係やルールに厳しい雰囲気もあり、格闘技やスポーツなど体育会系の空気を経験した方に向いています。
業績面では、オリンピック開催や訪日外国人増加など、警備業にとって明るいニュースが続いており、プラス成長が続いています。
しかし、警備員が行うのが常識だった警備業務も、近年では監視カメラ、AI、ドローンの発展によって、必ずしも人間が必要というわけではありません。
新技術の発展により、「警備員のいらない警備体制」になれば、既存の企業は苦しい戦いを強いられることが予想されます。
新しい需要を読み取り、新技術をいかに取り入れるかが、今後の発展のカギです。
警備業界の役割
警備業界の役割は、警備業務を通して、人々の生命や財産を守ることです。
とはいえ、公務員である警察官と違って、凶悪犯を直接逮捕する必要はありません。
犯罪者を見つけた時は、警察に速やかに通報し、対応してもらう役割を担います。
これまでは企業に対するサービスを主に展開してきましたが、近年は高齢者の見守りやホームセキュリティなど、個人に対するサービスも盛んです。
日本に警備業という概念が誕生したのは、経済成長とともに凶悪犯罪が多発した高度経済成長期。
1962年に、初の警備会社である日本警備保障株式会社(現在のセコムグループ)が誕生しています。
それから約60年、巡回警備の実施やオンライン警備システムの開発など、今までなかったサービスやシステムを開発し、人々の安全に貢献してきました。
技術の進歩や業界構造の変化はあっても、「人々の安全を守る」というミッションは現在も変わっていません。
20代で正社員への就職・転職
警備業界の企業の種類とビジネスモデル
警備業界の2大巨頭、セコムとALSOK
警備業界の大手企業として挙げられるのが、セコムと綜合警備保障(ALSOK)です。
どちらも幅広く事業を展開しているのが特徴で、警備業の他に防災、メディカル、インフラ監視、鳥獣被害対策などのサービスを提供しています。
オリンピックのテロ対策やホームセキュリティによる需要増により、売り上げは拡大傾向です。
技術開発も盛んで、近年はAI(人工知能)による施設警備や顔認証が研究されています。
警備業界の中小企業
警備会社は国内に約9,000社程とされており、その多くが中小企業です。
人的資源以外は資本を必要としない点から開業が盛んで、多くの企業がひしめいています。
1つの業務に特化した企業が多く、施設警備専門会社や交通整理専門会社などが存在しています。
最新技術の導入や設備投資は体力的に厳しく、クライアントをどのように獲得するかが、規模拡大を図る際の課題です。
ボディーガード専門企業
警備業界の中でも異彩を放っているのが、要人の警護を行うボディーガードです。
通常の警備会社ではなく、ボディーガード専門の会社が仕事を請け負っています。
犯罪に巻き込まれるリスクのある会社社長や芸能人を警護する役割を担っており、一般の警備員よりも高い専門性が必要です。
給与も高くなりやすい反面、業務は過酷で危険になるので注意が必要となります。
警備業界経験者、元警察官や自衛官の方が多く採用されていますが、未経験で募集する企業も存在します。
警備業界の職種
警備員
警備業界独特の職種といえるのが、警備員です。
警備員と一言で言っても、その種類はさまざまです。
担当する業務によって1号業務〜5号業務の5種類に分類されるので、就職する際は「何の警備を担当するのか」を確認しましょう。
警備員の分類ごとの特徴
1号業務は施設警備業務と呼ばれ、オフィスやスーパーなど施設の警備を担当する係です。
巡回業務や施設保安業務を請け負っており、お店を利用するお客さまや店員の安全を守ります。
2号業務は、雑踏警備・交通誘導警備業務が担当です。
イベント会場や道路で渋滞が発生しないよう、人と車の流れを監視・誘導する役割を担います。
3号業務は、運搬警備業務と呼ばれ、現金や貴金属を輸送する担当です。
核燃料など慎重に扱うべきものも警備対象となっており、高いスキルが求められます。
4号業務は身辺警護業務と呼ばれており、要人の警護を行うボディーガードが該当しています。
豊富な知識と経験があって初めて遂行可能な業務であり、高度な訓練を受けなければなりません。
近年は高齢者や子供の見守りなど、一般市民の保護を請け負うケースも多いです。
警備業界のやりがい・魅力
警備業界特有のやりがいとして、「人々の安全や安心を守る実感が持てる」があります。
警察のように直接犯人を逮捕することはできませんが、警備員が存在するだけで、犯罪への抑止力になれるのです。
日常の安全を守ることで人々から感謝され、感動してしまったというエピソードは数多くあります。
「自身の力で、社会の安全を守りたい」と強く願う方なら、警備業界は天職といえるでしょう。
そんな警備業ですが、警備員の平均年収は300万円程。
月給にして23万円となっており、平均よりやや低めです。
管理職になれば給与も増えるので、「警備員指導教育責任者」の資格を取得するなどして目指しましょう。
綜合警備保障(ALSOK)の平均年収は550万円となっており、大手企業に就職できれば給与も増えます。
警備業界は今のところプラス成長を達成していますが、人手不足や給料が低いという問題を抱えており、今後は不透明です。
IT化、ロボット化などによる人員削減を考慮すると、単純な警備員としてキャリア積むのはおすすめできません。
最新技術に対する知見と、プロと呼べるレベルの接客・警備スキルを磨き、生き残りを計りましょう。
高齢者の見守りや外国人観光客への対応など、新たな需要は増えているので、それらのチャンスを生かせれば成功への道が開けます。
警備業界の雰囲気
服装や言葉遣いなどの教育を受けるなど、警備業界には自身を律することを尊ぶ雰囲気があります。
全体的にキチッとした雰囲気の中で働けますが、その反面、責任者を「隊長」と呼ぶなどある種軍隊的な1面も見られます。
上下関係も厳しく、上司からの指示は迅速に対応しなければなりません。
体育会系の経験がある方なら、適性があるといえるでしょう。
警備員となった場合、アルバイトから正社員までさまざまなタイプの人と出会えるので、コミュニケーション力が磨けます。
男性が多くを占める業界なので、女性の方が志望する際は注意しましょう。
勤務時間が長時間に及び、勤務する現場も変わりやすいので、ストレスに対する耐性も求められます。
警備業界に就職するには
就職の状況
全体的に人手不足に悩まされており、求人の需給は常にあります。
プラス成長も続いているので、全体的な就職難易度は低いといえるでしょう。
とはいえ、危険やリスクが伴う業務であり、待遇もさほど良いとは言えないので、志望者がなかなか増えないのが現状です。
しかし、近年は労働条件が改善されており、企業も条件をしっかり定めて雇用してくれます。
規定以上の長時間労働は行わないルールを定めている企業もあり、働きやすさは年々向上しています。
アルバイト求人も数多くありますが、正社員になる方が、将来的なキャリアや給与面で有利です。
シニア層の人材発掘にも力を入れており、体力が続けば末永く働ける業界といえるでしょう。
就職に有利な学歴・大学学部
学歴不問な企業が多く、高卒や専門学校卒でも入りやすい業界です。
体力が求められるので、スポーツや格闘技の経験がある方が歓迎されます。
とはいえ、セコムやALSOKなどの大企業を目指す場合は、ある程度の学歴が求められるので注意しましょう。
警備業界は業務に関連する資格が多いのが特徴となっており、事前に取得しておけば、就職する際に有利です。
例えば、施設業務を担当する1号業務の場合、「上級救命講習」や「自衛消防技術試験」を取得すると評価されます。
これらは取得難易度も低いので、警備業界で就職を目指すなら取得しておくといいでしょう。
就職の志望動機で多いものは
警備業界の志望動機としてもっとも多いのが、「人々の安全を守る社会貢献がしたい」というものです。
スポーツ経験を生かし、「立ち仕事や長時間勤務に耐えられる体力があるから」とアピールする方もよく見られます。
志望動機を作成する際は、警備業界のルールである「守秘義務」を意識しましょう。
守秘義務とは働いた現場であったことを口外しない義務であり、警備業界で働く人間すべてに求められます。
例えば、面接で警備会社でのアルバイト経験をアピールする場合、守秘義務に抵触するような内容まで話すのは逆効果なのです。
守秘義務を遵守できる人間であることを志望動機でアピールできれば、選考で有利になれます。
警備業界の転職状況
転職の状況
就職と同じく、転職の需給も盛んとなっています。
オフィスビルの竣工や新イベントの開催で警備員の需要は増えていますが、人員はなかなか増えないからです。
健康な肉体を持つ18歳以上の男性なら、高い確率で採用されます。
もちろん、業務内容はハードな面もありますが、働き方によっては大金を稼ぐことが可能です。
警備業界専門の転職エージェントもあるので、比較的転職しやすい業界といえるでしょう。
転職の志望動機で多いものは
転職市場では、「警備業界での経験があり、それを活かしたい」という志望動機が多くなります。
未経験を多く採用しているので、「未経験でも挑戦できることに魅力を感じた」という志望動機を作る方も多いです。
採用担当も業界の事情は承知しているので、どうしても志望動機が思いつかない場合は、正直に言ってみるのも一つの手です。
ただし、「採用されたら、何を目標にするのか」は具体化しておきましょう。
転職で募集が多い職種
警備員が、最も募集の多い職種となります。
事前のスキルが問われない、施設警備の1号業務や交通整理の2号業務が特に多いです。
輸送警備の3号業務、人員警備の4号業務はスキルや知識が必要なので、採用されるには工夫が必要となります。
アルバイト求人も多いですが、正社員登用制度もセットで整備されており、努力次第で正社員へステップアップできます。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
警備業界での勤務経験があれば、転職はスムーズに進むでしょう。
自衛隊や警官の経験も、類似する仕事として重視されます。
「警備員指導教育責任者」、「機械警備業務管理者」、「警備員業務検定」など、警備員に関する国家資格を保有していれば、管理職や幹部候補としてのポジションも用意されます。
とはいえ、業界未経験でも充分転職は可能なので、エージェントと相談しながら積極的に活動を行いましょう。
体力や力仕事に自信のある方は積極的にアピールすれば評価されます。
警備業界の有名・人気企業紹介
セコム
日本で初めての警備会社であり、今なおトップを走り続ける最大手企業です。
メインであるセキュリティ事業を中心とし、情報通信や地理情報サービスなど幅広く展開しています。
企業理念として、正しさの追求、新しいシステムを開発するための否定の精神、現状打破の精神を掲げているのが特徴です。
綜合警備保障株式会社(ALSOK)
セコムに次ぐ歴史と規模を誇る、大手警備会社です。
警備業を核としながら、新しい事業にも積極的にチャレンジする精神を持っています。
経営理念として「ありがとうの心」と「武士の精神」が掲げられており、感謝の心と強く正しい心で仕事に取り組むことを理想としています。
セントラル警備保障株式会社
機械警備システムの販売や工事を請け負うハイテク企業です。
情報セキュリティシステムや暗号技術ソフトなど、情報サービスに関しても強みがあります。
「仕事を通じ社会を幸せにする」という理念を掲げており、人との関わりを大切にする企業です。
警備業界の現状と課題・今後の展望
警備業界は、セコムと綜合警備保障株式会社(ALSOK)の2大巨頭がトップの座を巡って争い、その下では9,000社の中小企業がひしめき合っています。
大企業は資本力を生かして新たなサービスや技術を続々と開発していますが、資本のない企業は国外進出もままならず、過当競争や人手不足に悩んでいるのが現状です。
オリンピックや万博の開催、都市再開発、民泊の増加など新たな需要は発生しているので、それをいかに獲得できるかが今後の鍵となります。
技術面では、ITを利用したセキュリティ技術の開発が活発です。
大企業であるセコムと綜合警備保障株式会社(ALSOK)では特に盛んで、ウェアラブルカメラ、人工知能(AI)による画像解析など、「人がいなくても監視できる警備システム」が着々と整備されています。
これらが発展していけば、これまで人手による警備が主だった警備業界に、大きな変化が起こるでしょう。
技術力を持たない中小企業は、生き残りのための新たな作戦を考える必要がありそうです。
さまざまな問題を抱える警備業界ですが、近年売り上げは増加傾向にあり、まだまだ成長の余地を残してるといえます。
労働条件も改善傾向にあり、インバウンドなど海外の需要を取り込めば、新たなチャレンジの機会が訪れます。
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