飲料業界(読了時間:9分50秒)

飲料業界とは

スーパーやコンビニエンスストアでは、ペットボトル飲料や紙パック飲料など、さまざまな飲料が売られています。

レストランや居酒屋へ行けば、おいしいソフトドリンクやお酒を飲むこともできます。

このような普段消費している飲み物の製造・販売を業務としているのが、飲料業界です。

日本における飲料業界は、清涼飲料水とアルコール飲料の成長に伴い発展してきました。

例えば、コカ・コーラに代表される炭酸飲料など、嗜好品としての清涼飲料水は、日本の飲料業界を支えるメインの商品のひとつです。

ですが、昨今の健康ブームの影響を受け、炭酸飲料や缶コーヒーなどのニーズ、アルコール飲料の消費が下がってきている傾向があります。

変わって人気を集めているのが、特定保健用食品、通称「トクホ」の飲料と、エナジードリンクです。

体に良い効果を期待できる商品へのニーズが高まりを見せており、各社強みを生かしつつ、新しい商品の開発に力を入れています。

飲料業界の役割

ここ数十年という期間で、飲料は瓶入りから缶入り、ペットボトル入りへとどんどん手軽に、そして便利に進化してきました。

今後は、更にそこに環境に優しいという視点が付加されていくと考えられます。

また、中身に関しても、時代のニーズや消費者の好みに合わせ、全く新しい商品が次々と生み出されています。

経済成長を支えていた時代には缶コーヒーが大きな市場でしたが、最近ではその勢いは弱まり、変わって健康志向のドリンクが好まれるようになってきています。

このように、飲料業界では消費者のニーズに合わせてさまざまな進化を遂げた商品を開発・発売してきています。

現代人の生活の根幹となるニーズや欲求に応え、より満足度を得られる商品を提供し続けるということは、飲料業界の重要な意義であり、やりがいであるといえます。

飲料業界の企業の種類とビジネスモデル

飲料業界は、取り扱っている商品によって大きく二つに分けることができます。

まずひとつは、アルコール飲料、もうひとつは、アルコールを含まない清涼飲料水です。

アルコール飲料を扱う飲料メーカー

アルコール飲料を扱うメーカーはほとんどの場合清涼飲料水も扱っていますので、実際はアルコールを扱うか扱わないか、と言い換えることも可能です。

アルコールと清涼飲料水の両方を扱うメーカーには、アサヒグループホールディングスやキリンホールディングス株式会社などがあります。

アサヒグループホールディングスの場合、アルコール類ならアサヒスーパードライやブラックニッカ、清涼飲料水ではカルピスや三ツ矢サイダーなどが有名です。

アサヒグループホールディングスでは食品の開発・販売にも力を入れており、主要な商品としてミンティアなどの菓子類の他、乳児用粉ミルクや介護食品、サプリメントなどを取り扱っています。

清涼飲料水のみを扱う飲料メーカー

清涼飲料水のみを扱うメーカーには、株式会社伊藤園やダイドードリンコ株式会社などがあります。

これらの企業はアルコール飲料を取り扱わず、清涼飲料水に特化した開発・販売を行っています。

特に株式会社伊藤園は中でも茶類に強く、お〜いお茶やTEA’s TEA、ヘルシールイボスティーなど、さまざまな商品を販売しています。

また、タリーズコーヒージャパン株式会社を子会社としており、タリーズコーヒーのメニューを元にしたペットボトル飲料なども発売しています。

海外飲料メーカー

ここで紹介した企業はいずれも日本国内の企業ですが、国内飲料市場において、海外メーカーの商品も大きなシェアを占めています。

日本におけるシェアの大きい海外メーカーとしては、例えばコカ・コーラボトラーズ株式会社やネスレ日本株式会社、ユニリーバ・ジャパン株式会社などがあります。

ネスレ日本株式会社はネスカフェやミロなど、ユニリーバ・ジャパン株式会社はリプトンなどを製造・販売しています。

飲料業界の職種

飲料メーカーの多くは商品の開発から製造・販売までのすべての行程を自社で行なっているため、業界内の職種は大変多岐に渡ります。

今回は中でも主要な職種に関して紹介します。

研究・開発

商品の研究・開発に携わる部門は、飲料業界を支える重要な部門です。

ここでは、具体的な商品の開発の他、中長期的に商品開発に使えると考えられる新技術や成分の分析・開発も行われています。

ここで研究・開発された技術や成分配合が、飲料商品のみならず、サプリメントや医薬品に活用されることもあり、大変やりがいのある職種です。

マーケティング・企画

研究・開発部門によって開発された技術や配合を生かして、実際の商品企画を行なっていくのが企画職の仕事です。

新商品の開発や既存商品のバージョンアップのためには、消費者のニーズや市場の動向をはかり、綿密なマーケティングに基づいて行われていることが多いです。

また、商品開発以外に、商品の販売促進のため、キャンペーンなどを企画・運営するという業務内容もあります。

宣伝

飲料業界においては、無数の競合商品があり、それらが短期間でどんどん入れ替わっていきます。

また、季節ごとに好まれる商品も変化するという特性があります。

そのため、自社の商品の消費を伸ばすためには、TVCMなどをはじめとした、宣伝が大変重要です。

特に、最近ではインターネット媒体への出稿などもあり、複数のメディアでの宣伝を横断的に計画・実施していく必要があります。

営業

実際の商品を消費者が手に取るのは、コンビニやスーパーといった小売店か、あるいはレストランやバーなどの飲食店においてということになります。

そのため、メーカーは自社商品をこれらの店舗においてもらい、販売を委託する必要があるのです。

このように販売の委託や、より良い販売位置の獲得、販促キャンペーンの依頼など、小売店・飲食店との折衝の窓口となるのが、営業職です。

飲料業界のやりがい・魅力

飲料業界のやりがいや魅力はたくさんありますが、中でも大きいものは、商品が消費者の生活に密着しているという部分ではないでしょうか。

飲む・食べるという行動は、生命維持の根幹を担うものです。

また同時に、「おいしいものを味わいたい」という欲求をかなえてくれるものでもあります。

おいしいものを開発すれば、消費者に受け入れられ、彼らの生活に深く入り込むことができる。

また同時に、彼らの生活に彩りを与え、幸せな気持ちになってもらえる。

このような思いは、社会貢献度を強く感じさせてくれますし、飲料に関わるスタッフの大きな喜び・やりがいとなっています。

また、コンビニやスーパー、飲食店などで自社商品を目にすることで、それらが広く受け入れられ、好まれていることを日々実感することができるというのも、やりがいを感じるポイントと言えます。

働くという視点で言えば、その待遇の良さも魅力の一つです。

飲料業界の多くは大手企業と呼ばれる規模で、社員数も大変多く、福利厚生も行き届いていることが多いのが特徴です。

活躍している女性社員も多く、女性が働きやすく、かつ働き続けやすくするための工夫や取り組みもなされています。

業界内の平均年収も一般企業に比べ高水準となっています。

特に、業界内で大手と言われる企業においては、平均年収が1000万円近い企業も多く、待遇面においても大変魅力的な業界と言うことができます。

飲料業界の雰囲気

飲料業界で働く人には、型にとらわれない、自由な発想とチャレンジ精神が求められることが多いようです。

というのも、飲料商品は入れ替わりが大変激しく、短期間でどんどん新商品を開発していく必要があるためです。

また、常に最先端で求められる商品を作り出すためには、社会の流行やニーズに敏感であることや、新しい発想を持てることが大変重要となります。

そのため、業界内で働く人たちは、柔軟で機転のきく人物が多いようです。

歴史や実績のある企業では、慣例や通例を重んじる風土のイメージがあるかもしれませんが、飲料業界においては真逆とさえ言える雰囲気があります。

また、最近では海外進出を進めている企業も多く、グローバルな働き方ができるスタッフが求められている傾向もあります。

飲料業界においては、どんどん新しい環境やチャンスに向かっていく、向上心のある人材が多いようです。

飲料業界に就職するには

就職の状況

飲料業界における大手企業の場合、人材のほとんどを新卒採用で採用し、その後自社内の研修プログラムや業務を通して育成していく、という方針が多いようです。

どの企業も毎年大量に新卒社員を採用しますから、採用枠が少ないということはほぼありません。

しかし、飲料業界の市場規模は大変大きく安定している業界であることや、企業規模が大きいこと、待遇が良いことに加え、扱っている商品が馴染みがあるものであることから、毎年就職希望者が殺到します。

そのため、採用枠は大量にあるのですが、採用に至るのが容易ということはありません。

飲料業界への就職を希望する場合、しっかりと企業研究をした上で、自分自身の経験や特性を生かし、効果的な自己PRを行なう必要があります。

就職に有利な学歴・大学学部

営業職や企画職を希望する場合、特に有利な学部や専攻はないというのが一般的です。

それよりはむしろ、柔軟で新しい発想をすることができるか、既存の価値観にとらわれず挑戦し続けることができるか、といった適正の部分を重視される傾向にあります。

また、営業職希望の場合は、それに加え、店舗への交渉力につながるコミュニケーション能力も重視されることになります。

対して、研究・開発職を希望する場合は、学部を限定されることが多いようです。

どの企業・研究内容であっても、基本的には理系学部の卒業を求められると考えていたほうが良いでしょう。

また、化学やバイオ部門、食品開発に関わる学部や研究内容があれば、就職活動における武器となることは間違いありません。

就職の志望動機で多いものは

自分が携わった商品を誰かが手に取り、それによって小さな幸せを感じることができる、という点は何にも変えがたい喜びです。

飲料業界を志望する理由としては、このような内容が多いようです。

ところで、業界を志望する理由はスラスラ出てくることが多いのですが、意外と見落としがちなのが、業界内でもなぜ特にその企業なのか、という志望動機です。

企業理念や求める人材像は多くの場合公式サイトなどで確認できます。あるいは、その企業の商品がなぜ好きなのか、ということでも構いません。

他のどの企業でもなく、そこの企業に入りたいのだ、ということが納得度高く伝わる内容を述べることが大切です。

飲料業界の転職状況

転職の状況

飲料業界内大手企業の多くは、人材のほとんどを新卒採用で確保することが一般的ということです。

また離職率もあまり高くなく、転職機会が常にあるということは期待できません。

しかし、離職や新規部署・ビジネスに伴い人材が必要になった際には、募集が行われます。

職種によっては業界内での経験が必須となることもありますが、営業職や企画職などでは、未経験での採用も積極的に行われているようです。

自分の人となりや、前職での成果をしっかり伝え、企業にとっての採用メリットを提示することができれば、未経験でも転職は十分可能です。

転職の志望動機で多いものは

転職希望者の志望動機としては、新卒採用の場合と同様に、消費者の生活に根ざした商品開発の魅力や、社会貢献度に関して述べる人が多いようです。

相手企業の研究と商品研究をしっかりした上で、企業と商品それぞれの特徴と魅力についても述べることができると良いです。

また、新卒採用とは違い、社会人経験がある状態からの応募となります。

志望動機では、企業の魅力だけでなく、自分が入社後どのように貢献できるのか、具体的な実績やスキルを挙げて伝えることも必要です。

転職で募集が多い職種

人材が不足したタイミングで適宜募集がかかるというスタイルが一般的ですから、そのタイミング次第でさまざまな職種の募集が行われる可能性があります。

中でも募集が目立つのは、営業職です。

飲料業界の営業職の場合、小売店や飲食店との折衝が主な業務となります。

また、国内市場の飽和に伴い、海外展開を進めている企業も多くあります。

そのため、海外担当部署に関する募集も、比較的募集が期待できる職種のひとつです。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

飲料業界では、急速に移り変わる市場のニーズに対応し、常に新商品を開発し続けていく必要があります。

そのため、業界で働く人材には柔軟性と発想力が求められます。

既存の枠にとらわれず、常にチャレンジし続けていく素質が重要と言えます。

加えて、最近では海外市場への展開を進める企業が多く見られます。

そのため、前職において海外進出業務の経験があったり、語学力を生かしグローバルに活躍していた経歴のある人材は好まれる傾向にあるようです。

飲料業界の有名・人気企業紹介

サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社は、アルコール飲料を中心にさまざまな飲料を発売しています。

また、飲料の開発・販売だけでなく、環境活動や文化・スポーツ・社会的な取り組みも行なっており、大変幅広く展開している企業です。

サントリーホールディングス株式会社 ホームページ

株式会社ヤクルト<

社名ともなっている「ヤクルト」の他、乳酸菌飲料など、健康を中心とした様々な飲料・食品を展開しています。

これまでに開発した技術や知見を生かし、サプリメントや健康補助食品の開発・販売も行っています。

株式会社ヤクルト ホームページ

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社は、国内でも有数の飲料メーカーです。

加えて、飲料開発で培った高い技術力を生かし、現在は子会社にてバイオケミカル部門を有しており、様々な疾患に対する新薬の研究・開発を行っています。

キリンホールディングス株式会社 ホームページ

飲料業界の現状と課題・今後の展望

競争環境

飲料業界は大手企業が多く属している業界ですが、どれか一つの企業が突出しているというよりは、大手企業数社がシェアを分け合っているという状況です。

これまでは飲料開発・販売は飲料メーカーがほぼ独占していましたが、最近では気軽に利用できるカフェが増えたことや、コンビニコーヒーなどの新しい販売形態が出現したことで、競合となる範囲が広がっています。

そのため、今後は飲料業界内部だけでなく、小売りや飲食店など、広い業界に視野を広げ、競合状況を見ていく必要があります。

最新の動向

飲料業界としては、各社新しい商品や技術の研究には常に力を入れています。

特に、昨今の健康ブームの影響を受け、飲料においても特定保健用食品のニーズが飛躍的に高まっています。

これまでの飲料業界はいかにおいしく、目新しいものを作るか、ということがひとつのポイントでしたが、今後は健康に良い、体に嬉しい効果がある、というポイントがトレンドとなっていくことは間違いありません。

業界としての将来性

国内における飲料市場の規模はほぼ成熟しており、これ以上の大きな成長は期待することは難しい状況です。

このような状況に対し、大手企業においては海外市場への進出を進めている企業が多く見られるようになってきています。

特に、経済的な成長が目覚ましいアジア市場における新たな機会の獲得に向けて、各社取り組みを行なっているようです。

今後少子高齢化が進むにつれ、この傾向はさらに加速していくと考えられます。

職業カテゴリー