半導体業界(読了時間:12分10秒)

半導体業界とは

半導体とはスズやシリコンのように、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間的な性質を持っている物質です。

その半導体を利用した電子部品を製造しているのが半導体業界です。

本来は物質のことを指しますが、「半導体部品=半導体」という認識が一般的になっています。

半導体はエアコン、テレビ、スマートフォンといった身の回りの電気製品から、ATMや自動車、電車運行システムなど生活に欠かせないものにまで使われており、重要な役割を持っている部品といえます。

以前は自社で半導体を設計・製造しているメーカーがほとんどでしたが、近年は分業化も進んでいます。

半導体の設計を行う会社、設計した半導体を製造する会社、半導体の製造装置を開発する会社、半導体の流通を担う会社など、専門的に行う会社も増えています。

職種としては設計・研究開発職、評価・検証職、営業職などがあります。

半導体業界は電気製品などに欠かせない部品を製造しているため、世の中の変化に左右されやすい業界であるといえます。

消費が落ち込めば当然部品の需要も減少しますし、新技術や新商品、新サービスが爆発的に伸びれば業績も右肩上がりになる時もあるでしょう。

半導体業界の役割

半導体は電気製品になくてはならない部品です。

そのため業績の上がり下がりはあるにせよ、常にニーズのある業界といえます。

加えて技術の進歩により、半導体の役割も多様化しています。

近年でいえばクラウドサービスやIoT、AIといった新サービスや技術に対し、ニーズに合わせた開発も必要になってきます。

AIの場合、画像処理や学習機能をつかさどる技術に対し半導体を最適化しなければいけませんし、IoTであればセンサーの数も格段に増えるため、コストを抑えつつ耐久性向上といった要求も見込まれます。

このように世の中が便利になればなるほど半導体業界の役割も増え、成長し続けると考えられています。

社会的ニーズに合わせて自分の力を発揮できる喜びを感じられ、達成感が高い業界といえます。

半導体業界の企業の種類とビジネスモデル

半導体メーカー

半導体メーカーは半導体の研究・開発、製造を行う企業を指しています。

世界的な代表企業は、インテルやサムスン電子です。

日本の代表企業としては、東芝メモリやルネサスエレクトロニクスがあげられます。

東芝メモリは名称からわかるように東芝系列の半導体メーカーです。

東芝製品に搭載するNAND型フラッシュメモリを中心に製造しているのが特徴です。

ルネサスエレクトロニクスは三菱電機と日立製作所から分社化していたルネサス テクノロジ、NECエレクトロニクスの経営統合によって生まれた大手半導体メーカーで、多様な製品に搭載する半導体を製造しているのが特長といえます。

半導体商社

半導体商社は半導体メーカーの製造した製品を流通させる企業を指しています。

半導体を電機メーカーに納品するだけでなく、情報収集や動向調査、品質管理や数量管理、技術的なサポートを行う場合もあります。

半導体業界は移り変わりが激しいため、なくてはならない企業といえます。

代表的な企業はマクニカ・富士エレホールディングスや加賀電子です。

マクニカ・富士エレホールディングスは半導体国内最大手で、加賀電子は独立系企業としてあらゆる製品を取り扱う企業です。

製造装置、検査装置、材料メーカー

分業化の進半導体業界は、それぞれの工程に特化したメーカーも存在しています。

半導体を製造するための装置製造メーカー、完成品の検査装置製造メーカー、半導体のもととなる材料を扱う材料メーカーなどがあります。

装置メーカーは東京エレクトロン、検査装置メーカーはタカノ、材料メーカーは日立化成などが代表的な企業として挙げられます。

世の中と半導体ニーズの多様化が進む近年において、特定分野に特化したメーカーと協力し合うことで品質の向上や自社のコストダウン、効率化を実現し製品供給を行っています。

半導体業界の職種

設計・研究開発

半導体や製造装置の設計や開発などを行う職種です。

製品そのものはもちろん、材料や製造工程、組み込む基盤まで考慮するケースもあります。

変化の激しい半導体業界ですので、ニーズを組み込みつつ高いパフォーマンスを発揮する製品開発を行います。

また、時代を見据えた次世代の製品開発を行う場合もあり、最先端技術を手がけられる喜びがあるでしょう。

評価・検証

半導体や半導体製造装置の品質をチェックする職種です。

半導体そのものであれば製品の不具合を調べたり、半導体製造装置であれば合格レベルの製品を作れているかを検証したりします。

製品のチェックだけでなく、工程の評価・検証、不具合発生時の対策考案、品質向上のためのフロー策定も行います。

そのため半導体についての高い知識も必要な職種です。

営業

半導体メーカーの営業であれば電子機器メーカー、半導体製造装置メーカーであれば半導体メーカーなど、クライアントに自社製品の提案を行い、利益を生み出す職種です。

大事なのは顧客ニーズの把握と提案力といえます。

国内にとどまらず、海外マーケットを相手にした営業活動も求められるでしょう。

売って終わりではなく、クライアントと自社を結ぶ窓口となりアフターフォローも大事になってきます。

資材調達

半導体や半導体製造装置など、自社製品に必要な資材を調達する職種です。

資材が変われば確実な性能を発揮できなくなるため、設計通りの製品を作り、計画通りに製品出荷するために資材調達はとても大事な役割を持っています。

コストを抑えた調達力やより高品質な資材調達も求められることも多いでしょう。

調達先は海外も数多く、世界を相手にビジネスを展開できる職種といえます。

半導体業界のやりがい・魅力

半導体業界は最先端技術を支えている業界ともいえ、時代の流れとともに成長を続けてきた業界でもあります。

そうした現場で活躍したい人にとってはやりがいを感じることでしょう。

研究・開発などの技術系であれば、まさに自分の手で時代を支えている実感を得られ、営業や資材調達といった事務系の職種であれば、自分たちが製品を世に広め社会に貢献している達成感を得られます。

他業界と同じく世の中の流れによって需要も変わってきますので、業績の浮き沈みはあるといえますが、平均年収は比較的高めの業界といっていいでしょう。

加えて電化製品には欠かせない部品であるため比較的に安定した業界であるのは確かです。

画期的な技術や大きな流行が発生した際、対応する半導体は爆発的な需要が生まれ業績も大きく伸びる可能性も秘めています。

近年はIoTやクラウド、AIといった新たな技術が登場しており、それらに対応する半導体は将来的にも大きなビジネスチャンスになっています。

特にIoTの注目度は高く、あらゆるモノがインターネットとつながる時代になると半導体の役割も急激に増えると考えられています。

当然ながら新技術に対応するための開発も継続的に行われ、エンジニアをはじめ半導体業界の職種には柔軟性が求められるため、成長意欲のある方にはやりがいのある業界といえるでしょう。

半導体業界の雰囲気

半導体業界は時代のトレンドに対応しなければならず、常に進化を求められています。

そのためチャレンジ精神の高い人が向いている傾向があります。

技術系の職種の場合、新しい技術のみならず既存製品の品質アップも求められます。

クライアントの要求をクリアし、高い品質を実現するためには何度も試行錯誤を繰り返すことでしょう。

問題点を見つけ、改善しテストを行うといった工程を幾度となく繰り返すことになるため、チャレンジ精神に加え忍耐力も求められるでしょう。

事務系の職種も同様です。

例えば営業職の場合、半導体トレンドを敏感に察知し自社のみならず、クライアントへの提案力も問われます。

当然、半導体や新技術に対する知識も求められるので、常に学ぶ意識を持った人は向いているでしょう。

圧倒的に技術系の人が多い業界ですが、職種に関わらずチームワークも必要なため協調性のある人も多く在籍しているでしょう。

半導体業界に就職するには

就職の状況

半導体業界は人材不足が続いているため、大手半導体メーカーをはじめ積極的な新卒採用を行っています。

製造をメインにおいている企業ですと技術系の人材確保は大きな課題になっているといえます。

半導体は部品としての重要性はとても高いですが、あまり目にせず表に出てこない部品であるため、学生からの注目度も低くなりがちなため、各社工夫を凝らして興味を持ってもらう活動を行っているようです。

開発や製造をメインとする半導体メーカーの職種としては、研究開発、製造技術開発、製造装置開発、情報システム開発、品質保証など多岐にわたるため活躍の場は多い業界といえます。

半導体商社の場合は営業職がメインとなりますが、企業によっては技術系部門を持っているため、将来のビジョンを明確にした就職活動が重要です。

就職に有利な学歴・大学学部

大卒を対象にした募集が多いですが、半導体メーカーの場合は工業高等専門学校の学生も応募資格に入っている場合があります。

有利な学部としては半導体メーカーか半導体商社を希望するかで、若干の違いはあるようです。

半導体メーカー、特に技術系の職種を希望する場合、やはり理系の学部は有利といえます。

半導体や製造装置などの開発を行うため、電気・電子、化学・材料、物理、機械などを専攻していると有利になるでしょう。

半導体商社の場合は学部不問の場合も多いです。

ただし、技術部門もある半導体商社の場合、電気や電子、通信や情報などを専攻している学生を歓迎徐条件に挙げているメーカーもあります。

新卒採用の場合、基本的に全学生を対象とはしていますが募集要項を見れば適性学部が記載されていますので確認するようにしましょう。

就職の志望動機で多いものは

当然ですが半導体に関する興味・知識は求められます。

加えて半導体業界の特色である変化の激しい業界であることを理解しなければいけないでしょう。

逆をいえば時代とともに歩み、暮らしを支えている業界ともいえます。

そうした業界特有の事情に適合でき、興味とやる気を持っていることをアピールする内容が多いようです。

また、チャレンジ精神や柔軟性も人材には求められるポイントですので、それらの要素を組み込んだ志望動機が好印象を与えられるでしょう。

時代のトレンドを察知し、学んできた知識をどう活かしたいかをアピールする、未来の暮らしに対しどういった貢献をしていきたいかを盛り込むなど、自分の想いが伝わる志望動機にしましょう。

半導体業界の転職状況

転職の状況

半導体業界のキャリア採用は増加傾向にあります。

募集しているのは技術系の職種が圧倒的に多く、各企業、エンジニアが不足しているのがわかります。

そのニーズを反映しているかのように、募集条件に「未経験者歓迎」を含めているのは少ない傾向にあり、即戦力としての人材を求めているようです。

半導体の技術職経験はないとしても、半導体業界以外で技術系の実務経験はあった方が転職も有利に進められるでしょう。

転職の志望動機で多いものは

転職を希望する理由は人それぞれです。

キャリアアップやスキルアップ、給与や職版環境の待遇アップなど理由はさまざまでしょう。

技術系職種の場合はやりがいを求め、自分がチャレンジしたい分野での研究や開発、製造に携わるのを目的に転職を目指す人もいます。

営業職も同じことがいえますが、技術職からのキャリアチェンジを目指す人もいるでしょう。

開発・製造で培った知識はクライアントからの信頼も得られやすく、営業の現場では大きな武器になります。

転職で募集が多い職種

新卒採用同様、技術系の募集は多い傾向にあります。

半導体や製造設備の研究開発、製造技術開発、品質検証など、技術系の職種は常に人材を求めています。

同職種のみならず、技術と知識を発揮できるケースもあります。

例えば提案営業などはこれまでの経験とスキルが活かせるため、技術系からの転職も歓迎されています。

転職サイトを見てみるとあらゆる職種が募集されており、自分の経験とスキルを活かせる意外な方向性も見つかるかもしれません。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

未経験では採用されづらいかもしれませんが、同分野での経験は大きなアピールポイントとなるため、開発実績や営業実績はしっかり伝えるようにしましょう。

分野が違う半導体開発・製造の経験も十分アピールポイントとなります。

特に製造技術関連は異業種の経験も活かせるため採用対象になるでしょう。

半導体業界が人材に求めるチャレンジ精神は大事な要因ですので、異業種の経験を武器にして積極的な転職活動が大事といえます。

半導体業界の有名・人気企業紹介

ルネサスエレクトロニクス

三菱電機と日立製作所から分社化したルネサス テクノロジとNECから分社化したNECエレクトロニクスが統合して生まれた会社です。

自動車向け半導体が多いですが、多様な事業展開を行っているためあらゆる電子機器に半導体が搭載されている日本でもトップクラスの半導体メーカーです。

・創業:2002年(平成14年)
・資本金:106億円(2018年12月末日)
・連結売上収益:7,565億円(2018年12月期)
・連結従業員数:19,546名(2018年12月末日)

ルネサスエレクトロニクスホームページ

東京エレクトロン

売り上げのほとんどを半導体関連の事業で構成されている企業です。

半導体製造装置の開発・製造に力を入れており、製品ラインナップも豊富な上に技術サポートにも定評があります。

・創業:1963年(昭和38年)
・資本金:549億円(2019年3月末日)
・連結売上収益:12,782億円(2019年3月期)
・連結従業員数:12,742名(2019年3月末日)

東京エレクトロンホームページ

加賀電子

加賀電子は独立系の半導体商社です。

分野に絞らず、幅広い商品を扱うなど、独立系のメリットを活かした事業展開を行っています。

世界各地に取引先があるためグローバル展開も積極的に行っています

・創業:1968年(昭和43年)
・資本金:121億円(2019年3月末日)
・連結売上収益:2,927億円(2019年3月期)
・連結従業員数:6,627名(2019年3月末日)

東京エレクトロンホームページ

半導体業界の現状と課題・今後の展望

競争環境(国内・国外)

世界半導体市場統計(WSTS)や半導体専門の調査会社が半導体売上高を下方修正したことからわかるように、半導体業界は世界的に不況といわれています。

メモリ市場や電化製品市場の停滞や、世界経済の先行きを不安視しているのが原因とされています。

しかし今後は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、VR(仮想現実)に次世代通信などが浸透してくると考えられており、業界全体として上向いていくと予想されています。

最新の(技術の)動向

何度か記しているように、IoTやAI、クラウドやVRなど新しい技術が広まってきています。

まだまだ世間に浸透しきっていませんが、それらの技術を活用するための機器に半導体は重要な役割を果たす部品です。

中でもIoTは注目度が高いといえます。

モノのインターネットを指すIoTは電化製品のみならずライフスタイルそのものを変えてしまう技術です。

産業機器であれば部品単位でインターネットとつながることが可能になり、生産性の管理もリアルタイムで簡単にできるようになります。

またパーツ消耗といった数値も容易にデータ化できるため、効率的で安定した生産にもつながります。

それらを実現するには半導体が必要不可欠なため、昨今注目を集めている技術です。

業界としての将来性

半導体業界は時代の流れで大きく業績も変わってきます。

少し前ですとスマートフォン需要の躍進により半導体需要も高まり、業界全体の業績も上昇していました。

最近は業績の落ち込みが続いていますが、前記したようなIoTやAI、クラウドやVRといった新しい技術が注目を集めています。

近い将来、それらの技術は広く一般的になると予想されており、半導体需要も高まると考えられています。

現在落ち込みが続いているのは確かですが、常に新しい技術と共に進化を続けてきた半導体業界ですので、将来性はまだまだ明るいといって過言ではないでしょう。

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