不動産業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





不動産業界とは

不動産というと、土地や建物の販売や賃貸のイメージが強いですが、不動産業界にはさまざまな種類の企業が存在します。

不動産業界は大きく分類すると、「建てる」「販売する」「貸す」「管理する」の4つに分けることができます。

これらの過程の中で、住宅建設を手掛けるハウスメーカー、物件の売買や賃貸を仲介する不動産仲介業者、マンションや戸建て住宅を販売する住宅販売業者があります。

また、商業施設、ビル、リゾート施設などの比較的大規模な開発を手掛けるデベロッパーがあり、加えて、これらの建物の管理を行う管理会社で構成されています。

不動産業界は、平成24年までは金融危機の影響などにより低迷しましたが、それ以降は業績が伸び始めました。

これは、政権交代に伴い「アベノミクス」の効果により、経済全体が上向きになったことで、住宅やマンションの売れ行きが好調になったためです。

そして不動産業界は、景気に左右される部分が大きく、不景気の時は不動産の相場が下がってしまうという面もあります。

不動産業界の役割

不動産は、人が社会的な生活を送るために必要不可欠な「衣食住」の「住」に関わる業界です。

人が豊かに生活するための住宅の購入は、一生に一度の大きな買い物であり、その決定に関わる住宅業界は重要な役割を担います。

また、社会インフラとしての機能を果たす施設や建物の建設は、経済活動の根幹ともなる不動産の提供という点で重要な役割を果たしています。

不動産業界に関わることは「地図に残る仕事」に関わることであり、街づくりや都市開発という将来的な観点からも人の生活に影響を及ぼす、重要な意義がある仕事といえます。

上記の観点から、さまざまな側面で社会的に与えるインパクトが大きく、使命感を感じることができ、仕事を成し遂げたとき大きな達成感を感じることができる業界であるともいえるでしょう。

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不動産業界の企業の種類とビジネスモデル

不動産業界のビジネスモデルは、前述した通り、「建てる」「販売する」「貸す」「管理する」の4つに分けることができます。

この章では、各プロセスのビジネスモデルを解説します。

建てる:住宅メーカー、デベロッパー

新規で建物を建てる場合に関わる企業が、住宅メーカーやデベロッパーです。

土地を仕入れ、そこにどのような建物を建てるのか企画開発、設計、建設を行います。

一戸建ての注文住宅や建設住宅を手掛ける住宅メーカーの代表的な企業としては、積水ハウス株式会社や大和ハウス工業株株式会社などがあります。

また、商業施設、ビル、マンション、リゾート施設などの開発を手掛けるデベロッパーには、三井不動産株式会社や三菱地所株式会社などがあります。

販売する 住宅販売会社

マンションや戸建て住宅を販売する役割を担う企業です。

住宅の購入は、人生において重要で高価な買い物であるため、購入希望者の要望にあったマンションや住宅を提案し販売します。

価格はもちろんのこと、集合住宅か戸建なのか希望の間取りや立地など、注文住宅の場合は設計から提案しますし、建売であれば希望に近い物件を探し出して提案します。

代表的な企業としては、セキスイハイムグループやタマホーム株式会社などがあります。

貸す:不動産仲介業者

物件の賃貸や売買を仲介するのが、不動産仲介業者です。

マンションや一戸建、事務所、商用物件などのさまざまな種類の物件の情報を持ち、家主から借主に仲介する役割を担います。

一昔前は、賃貸物件を探すために、不動産会社巡りをするのが一般的でしたが、近年はインターネットで検索し内見するという流れが多くなっています。

不動産仲介業者の代表的な企業としては、住友不動産販売株式会社や東急リバブル株式会社などがあります。

管理する:不動産管理会社

マンション、ビルなどの保守メンテナンス、管理を行う企業です。

入居者や建物利用者の満足を高めるために、建物の保守メンテナンスなどの管理サービスを提供しています。

時には、設備管理やテナント誘致、賃料回収やトラブルの対応などを行うこともあります。

代表的な企業としては、大東建託株式会社、株式会社レオパレス21などがあります。

不動産業界の職種

営業

 
不動産業界において、もっとも人数の多い職種です。

不動産業界における営業が携わる取引形態、取引先は多岐に渡ります。

マンションや戸建ての販売営業を行ったり、売買の仲介を行ったり、賃貸の仲介を行うこともあります。

不動産という商品の性質上、必ずしも購入して所有するというものではないため、不動産所有者とそれを使用する人との間に立って、販売、賃貸などの適切な取引を仲介するのです。

また、取引先は、ビルやマンション、商業施設などの規模の大きい不動産になると法人営業となる場合が多く、居住用の住宅の場合は、個人営業の比率が多くなります。

企画、開発

不動産業界での企画や開発は、マンションやビル、分譲住宅などの建物自体の企画開発から、市街地開発などの土地開発まで幅広い分野があります。

建物を建てるための土地の取得から、その土地にどのような建物施設を建設するのかを企画します。

例えば、小学校などの教育機関が多くある地域には、若い夫婦やファミリー層に住んでもらいやすい集合住宅や一戸建てを建設する計画を作ります。

ファミリー層が購入しやすい価格帯で、なおかつ住みやすい建物企画を行い、土地を取得し、プロジェクト推進、竣工、引き渡しまでの一連の事業に携わる職種です。

管理

不動産管理は、建物の保守メンテナンスを主に行っているイメージがありますが、実際の業務は多岐に渡ります。

不動産所有者に代わって建物を運営する上で生じる、さまざまな出来事に関して対応を行う必要があるためです。

例えば、施設内での住民トラブルに対する対応も業務のひとつです。

また、テナントの誘致を行ったり修繕工事の企画や手配、実行を行うこともあります。

大手の不動産会社では、グループ内に不動産管理会社や部門を所有し、自社所有する物件に関して管理を専門に行っている場合もあります。

不動産業界のやりがい・魅力

不動産は、売買、賃貸、投資など、取引形態はさまざまで、使用目的も商業用や個人使用などありますが、一回の取引金額は大きく、顧客にとっては大きな決断となる取引です。

そのような決断に関して関わることができるのが不動産業界の醍醐味といえます。

顧客が希望する不動産物件を提案し、それが採用されたときには、大きな達成感を得ることができるでしょう。

また、デベロッパーなどの土地開発から関わる企業の場合は、自分が関わった案件が建物となって形に残るという点で成果が目で見てわかり、やりがいを感じやすいという点があります。

自分で開発や企画、営業に携わった物件が、多くの人により利用されているところを目にすると、大きな達成感を感じることができるでしょう。

不動産業の平均年収は660万円台といわれています。

国税庁の2017年民間給与実態統計調査から、日本の平均年収は432万円であるのに比べ、不動産業は高い水準であるといえます。

不動産大手企業に限定すると、平均年収が1000万円を超えることから、企業の規模や売上により年収に差があることも分かります。

また、大企業は、給与待遇だけでなく、福利厚生も充実しているため、就職希望者が非常に多く、競争率が高い状況です。

不動産の販売は取引金額が大きいため、一度成約を取ると高額のインセンティブを支給する企業もあります。

そのため、年齢が若くても営業成績などで結果を出せば給与を多く支給されるなど、年齢に関係なく実力次第で評価されることが多い業界ともいわれています。

不動産業界の雰囲気

不動産業界は、よく「体育会系」といわれることが多い業界です。

この理由としては、建物などの不動産は建てただけでは収益化できず、それを賃貸したり、販売することによって収益化させないといけないという点があります。

そのため建設した建物を早く収益化させるため、営業マンが懸命な営業活動を行うことが多くありました。

また、業務時間も顧客の都合に合わせて営業活動を行うことから、一般的な企業のような9時から5時での業務では対応できない部分も多く、この場面がクローズアップされて「体育会系」といわれることが多くなったようです。

収入の水準がいい分、激務というイメージがある不動産業界ですが、近年はICT技術の活用や働き方改革の波に乗り、このような状況は緩和されているようです。

企業により差はありますが、ワークライフバランスを重視した企業風土を育成しようとする流れも出てきています。

不動産業界に就職するには

 

就職の状況

 
大卒者を中心とした、新卒採用は大企業を中心に毎年定期的に行われています。

大企業では、大人数の募集をしているところもありますが、前述した通り、不動産の大手企業となると年収がよく福利厚生が充実している企業が多くあります。

そのため、募集枠に対して多くの学生が応募するため、毎年競争率が非常に高い状況にもなっています。

不動産業仲介業者や販売業者を中心に、土日も営業日とするシフト制での勤務の企業もあり、一般的な企業にある平日勤務、土日休みが難しい場合があります。

また、地道な外回りの営業活動も多いことから、入職前のイメージとギャップを感じ離職率が高い業界ともいわれています。

業界を志望する場合は、業界研究や企業研究を行い状況を把握しましょう。

就職に有利な学歴・大学学部

不動産業界に入職する上で、特別有利になる学部や学科はありません。

法律や金融の知識が役立つことがあり、法学部や経済学部の知識が役に立つといわれることもありますが、必須の知識というわけではなく、これらの学部に通うことが、不動産業界就職の近道ともいえない状況です。

特に、不動産の営業職は専門知識が充分になくても、業務がしやすいといわれており、志望する場合は営業に必要なコミュニケーション能力や提案スキルなどの、プレゼン能力を強化するのもよいでしょう。

また、大手デベロッパーをはじめ、大手企業は就職の競争率が高いと前述しましたが、一流といわれる大学の学生も多く応募する状況にあります。

学歴ですべてが判断されるということはありませんが、高い能力を持った学生が応募するということを前提に準備しましょう。

就職の志望動機で多いものは

不動産業界の志望動機として多いものは、

・人生の中でも大きな買い物である、不動産物件の提供に関わる仕事がしたい。
・後世に残る建物の企画、開発に携わりたい。
_それぞれの人の要望に合う物件を提案する仕事を通して、ひとびとの生活を豊かにする手伝いをしたい。
_不動産開発を通じて、都市開発や、街づくりに携わりたい。

などがあります。

上記の理由は、不動産事業を通して、人の生活や人生を豊かにしたいという思いが根底にある場合が多いようです。

これらの業界に対する志望動機に加え、企業に応募する際は、なぜその企業を志望するのかを具体的に説明できるように企業研究もしっかりと行っておくとよいでしょう。

不動産業界の転職状況

転職の状況

不動産業界は、人の入れ替わりが激しい業界といわれており、中途採用も活発に行われています。

不動産ビジネスでは、たくさんの人材を必要とするプロジェクトも多くあることから、年間を通じて中途採用を行う企業も一定数あるようです。

また、不動産営業を中心に成約件数に応じて高額のインセンティブを支給する企業もあり、給与水準の高さに惹かれて転職を希望する人も多い状況です。

転職の志望動機で多いものは

転職の志望動機として多いものは、

・同業他社での就業経験がある人が、他社の土地開発や、建設技術に惹かれて転職を決意した。
・住宅販売企業で就業経験のある人が、商業施設や大規模な不動産事業に携わる経験を積みたいと考え、転職を決意した。
・他業種での営業経験を活かし、不動産業界で営業に携わりたいと考え、転職を決意した。

などがあります。

今まで培ってきたビジネススキルを強化するためであったり、経験値を上げるために転職する人が多いようです。

転職で募集が多い職種

転職で募集が多い職種は、営業職です。

不動産業界が好調に推移していることもあり不動産物件は増えている状況で、不動産所有者と顧客を結びつける窓口となる営業職は多くの人材が必要となっているためです。

また、不動産の営業職は、専門的な知識よりもコミュニケーション能力や対応力、提案力が重視されるため、不動産業界経験者に限らず広い間口で募集を行っているので求人件数が多くなる傾向があります。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

不動産業界は、未経験者の採用も積極的に行っている業界ですので、特別なスキルや資格が必ず必要という業界ではありません。

ただ、不動産関連の資格があれば、より有利な条件で転職することが可能になります。

例えば、マンションやビルなどの管理や維持に関する資格である「管理業務主任者」の資格を持っていると、不動産管理会社への転職が有利になる場合があります。

国家資格で宅地や建物の取引を行う際に、公正で正確な説明を行うことができる宅地建物取引士の資格を持っている場合も、評価されることがあります。

不動産業界の有名・人気企業紹介

三井不動産株式会社

 
個人から、企業向けの物件まで、幅広く顧客を持つ、業界最大手企業で、東証一部に上場しています。

霞が関ビルディングや東京ディズニーランドの開発を行っており、近年は高層ビルの建て替えなどの都市再開発事業でも注目を集めています。

また、商業施設として、アウトレットモールの運営を行ったり、ホテル、オフィスビルの開発など、多種多様な不動産事業を展開している企業です。

三井不動産株式会社 ホームページ

飯田グループホールディングス

一建設、飯田建設、東栄住宅などの、上場住宅企業6社が経営統合して生まれた会社です。

「戸建分譲・日本一」を謳い文句に、低価格の分譲住宅の販売を主力事業とし、その販売数は、年間4万戸を超え、他社を圧倒しています。

海外展開では、ロシア、インドネシア、アメリカに現地法人を設立し、事業展開をしているグローバル企業でもあります。

飯田グループホールディングス ホームページ

三菱地所株式会社

総合デベロッパー企業で、東証一部上場企業です。

東京にある丸ビルなどのオフィスビルのマネジメントを行う三菱地所ビルプロパティマネジメント、住宅事業を展開する三菱地所レジデンス、設計事業を展開する三菱地所設計等を傘下に置く大企業です。

近年では、丸の内の再開発を行い巨額の投資を行って、オフィスビル街の構築を行うなど都市開発に強みがあります。

三菱地所株式会社 ホームページ

不動産業界の現状と課題・今後の展望

平成24年以降の、景気の回復により、不動産業界の業績は伸び続けています。

また、国際的なイベントを控え、都市再開発やインフラの再整備、インバウンド向けのホテル開発、ビルやマンションの改修、修繕といったニーズが高まっています。

しかし、長期的には日本国内は少子高齢化の影響を受けて、不動産業界に対する需要は減っていくと予測され、各企業の国内での競争が厳しいものになっていくでしょう。

そのため、大手企業を中心に、今後人口が増えていくと予測される東南アジアなどの地域にもグローバルに事業展開し、将来的な事業の基盤を海外にも求める動きがあります。

また、近年は独り暮らしの増加により、単身用住宅へのニーズが高まっていたり、自然災害の頻発により住宅の安全性が昔以上に求められるなど、時代とともに求められる住環境が変化しています。

これらの多様化する要望に応えながらも、収益を確保できる企業が、今後も成長を続けていくことでしょう。

加えて、不動産業界もICT技術の活用が注目されており、住宅のエネルギー消費を最適に制御したり自家発電機能を持たせるなどのスマートハウスと呼ばれる物件も登場しています。

環境配慮への関心が高まっている背景もあり、このようなICT技術を活用した環境配慮型の不動産は今後、住宅だけでなく商業施設やオフィスビルでも増加すると予測されており、次世代型の不動産として注目されています。

このように、景気の動きやニーズを的確にとらえた不動産物件の建設や海外進出などの新しい市場を切り開くことで、各企業が収益を確保する動きが継続するでしょう。

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